庶民生活あれこれ (22)
今日の1枚は、「青鞜派」と題するシリーズから、「私のような女に」と題する石版画を選びました。ここではお馴染みになった『シャリヴァリ』紙の1844年5月23日号に載ったものです。
フランスでは、1840年代に入ると、有識者の女性の中から、女性解放を唱える人たちが出てきます。ショパンとの愛憎半ばした激しい恋で知られるジョルジュ・サンドの功績が大きいのですが、彼女の活動に刺激を受けて文筆活動をはじめた女性の中から、夫を捨ててリストとの同棲生活に踏み切ったダニエル・ステルンなど、今日に名を残す何人もの女性たちが登場しました。
こうした女性たちには、上層ブルジョワからプチブルまで、広い範囲のブルジョワ階級の出身者に混じって、フローラ・トリスタンら無産市民の出身者も混じっており、次第に影響力を拡げていたのです。
彼女らの影響力が、無視できないものになりつつあることを理解した男たちにとって、それは家父長制への挑戦として映ります。当然男たちは、戸惑い困惑します。ドーミエは、そうした男たちの戸惑いもまた絵にしたのです。

先ずはト書きを見ましょう。
「私のような女に、ズボンのボタンを付けてと言うの… あんたって馬鹿じゃないの…」 「そうなのか! 彼女はキュロットをはくだけじゃ満足できなくて、私の顔にそれを投げつけなきゃ、収まらないというわけか!」
私だって書きますわよ」とばかりに、文筆活動に乗り出したものの、誰もが文才に恵まれているわけではなく、思うように行かずにいらだっている妻は、思わず空気の読めない夫に八つ当たりをしたのでしょう。
家庭の外にばかり関心を向ける妻の変化に戸惑い、どうしていいか分からない夫の困惑が、見事に切り取られていますね。
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