ザ・スーパー・ポップ宣言

音壁コンピ2

音壁の世界(コンピ2)

THE WORLD OF "WALL OF SOUND"(COMPILATIONS)

niagara4.jpg

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フィルズ・フィル (PHIL'S FILL) ウォール・オブ・サウンドの革新的技法 へジャンプ

PHIL'S FILL: The Revolutionary Technique of the Wall of Sound へジャンプ

【 コンピレーション 】

PHIL SPECTOR / THE EARLY PRODUCTIONS '10

Phil Spector Early Productions.jpg

1. I'M SO HAPPY (TRA LA LA) - The Ducanes
2. SPANISH HARLEM - Ben E King
3. WHEN YOU DANCE - Billy Storm
4. I LOVE HOW YOU LOVE ME - The Paris Sisters
5. SHANG SHANG - The Creations
6. YOU TOOK ADVANTAGE OF ME - The Blackwells
7. THAT'S ALL RIGHT BABY - Kell Osborne
8. UNDER THE MOON OF LOVE - Curtis Lee
9. BE A SOLDIER - Terry Day
10. HEY MEMPHIS - LaVern Baker
11. THE BASIC THINGS - The Top Notes
12. HOW MANY NIGHTS (HOW MANY DAYS) - Bobby Sheen
13. HEY THERE MOUNTAIN - Obrey Wilson
14. TALK TO ME, TALK TO ME - Jean DuShon
15. TWIST AND SHOUT - The Top Notes
16. THE BELLS - The Creations
17. I LOVE YOU, BETTY - Terry Day
18. NIGHTS OF MEXICO - Russell Byrd
19. WHERE CAN YOU BE - Tony & Joe
20. BUMBERSHOOT - Phil Harvey
21. LITTLE DID I KNOW - The Ducanes
22. PRETTY LITTLE ANGEL EYES - Curtis Lee
23. WHAT AM I TO DO - The Paris Sisters
24. EVERY BREATH I TAKE - Gene Pitney
25. ANYONE BUT YOU - Ruth Brown
26. LAUGH RIGHT IN MY FACE - Bobby Sheen
27. YOU SAID GOODBYE - The Teddy Bears
28. DON'T YOU WORRY MY LITTLE PET - The Teddy Bears

THE TASTE OF WALL OF SOUND / V.A. (SONY SICP 20314)'11

THE TASTE OF WALL OF SOUND.jpg

2008年に 「音壁JAPAN」 として、フィルスペクターのウォール・オブ・サウンドに影響を受けた日本人の曲ばかりを集めたコンピを作ったソニーが今度はその海外アーチスト版を作りました。60年代を中心としたコンピは海外から沢山出てますけど、( 音壁の世界(コンピ) 参照)70年代以降~近年に到るまで広く網羅されたものは皆無なようなので、企画としては良いと思います。ただし、入門篇として作られたということからも玉石混合、60年代から97年のものまで年代は拡散し、音壁的にも分厚いものから薄っぺらなものまでと統一感は少ないので予め覚悟の上で。

1はBILLY JOELのヒット曲カバー。音壁的にはカスタが鳴っているだけって感じなのが残念。2は音壁度ゼロ。3はAORの世界的ヒット曲にして80年代を代表する音壁曲。厚めに奏でられるカスタネットとアコギのシャンシャン感で全体をリード。メリハリのあるドラムスが快活さを醸しポップ感を増幅させた素晴らしい作品。4はコーデッツの56年のヒット曲カバー。厚いサウンドと深いエコーで一種幻想的な雰囲気を醸すサウンドが素晴らしい。

5は遥か50年代のDOO-WOP時代から活躍するディオンの晩年の作品。4のDave Edmundsがアレンジなど多方面に渡って活躍。フィルスペクター以降の洋楽音壁曲としては個人的には最高峰の作品と位置づけている。ドゥルドゥルコーラス、カスタネット、グロッケンなどの音色とエコーのかかったドラムスの響きなどがひたすら気持ちいい。ド派手なアレンジだがメロディや歌を殺すことなく絶妙に盛り上げるセンスが素晴らしい。

6はフィルスペクター作品の黒人ソウル曲の白人カバー。サウンドがしょぼいのはしょうがないけど、歌の方もティナ・ターナー版に慣れたソウルファンからすれば赤子同然の弱弱しさで萎えー。7はRONETTESのヒット曲のカバー。単にメロディをなぞっただけで音壁的には無価値に等しい作品。同じカバーでは、LINDA SCOTTによるものがアップテンポでノリのいいグルーヴ、重量感のある厚めの音などオリジナルを凌駕する名カバーなので、是非 LINDA SCOTT版 を収録して欲しかった。

8は山下達郎の東京版カバーでも有名な曲。DAVE EDMUNDSも LONDON版カバー をやっていますが、何れも好内容ですね。11は「Da Doo Ron Ron - Crystals」タイプの音壁ポップ。疾走感とヴォーカルの瑞々しさ、手拍子の入る楽しさ、グルーヴ感など、その爆発力は本家に引けをとらない素晴らしい内容。16もRonettesカバーながら音壁度ゼロ。こういう曲の収録は止めて欲しかった。

17も同様で、Righteous Brothersのカバーながらサウンド的に全く聴き所がないばかりか同じブルー・アイド・ソウルと思えない程ヴォーカルに魅力が無い。19はロネッツのカバー。壁は厚いとは言えないけど、シャンシャン感や楽しい曲調などポップな内容。QUEENのFREDDIE MERCURYによる LARRY LUREX名義のカバー は更にポップな内容で良い。

音壁の達人、タイダマンさんによる推薦曲が多数紹介されている 日記 の方もあわせてご覧下さい。

1.SAY GOODBYE TO HOLLYWOOD / Ronnie Spector & The E Street Band
2.TAKE ME HOME TONIGHT / Eddie Money with Ronnie Spector
3.DON'T ANSWER ME / The Alan Parsons Project (ポップ偏差値64)
4.BORN TO BE WITH YOU / Dave Edmunds (ポップ偏差値62)
5.ALWAYS IN THE RAIN / Dion (ポップ偏差値67)
6.RIVER DEEP-MOUNTAIN HIGH / Harry Nilsson
7.YOU BABY / The Lovin' Spoonful
8.NEW YORK'S A LONELY TOWN / The Tradewinds (ポップ偏差値61)
9.WHEN WE GET MARRIED / 1910 Fruitgum Company
10.PARADISE / The Shangri-Las
11.MY ONE AND ONLY JIMMY BOY / The Girlfriends (ポップ偏差値65)
12.BOBBY'S COME A LONG. LONG WAY / Eight Feet
13.I'M NOBODY'S BABY NOW / Reparata & The Delrons
14.JUST YOU / Sonny & Cher
15.LOVE HER / The Walker Brothers
16.IS THIS WHAT I GET FOR LOVING YOU? / Marianne Faithfull
17.YOU'VE LOST THAT LOVIN' FEELING / Daryl Hall & John Oates
18.A PRISONER OF THE PAST / Prefab Sprout
19.I CAN HEAR MUSIC / The Beach Boys
20.HE COULDN'T GET HIS POOR OLD BODY TO MOVE / Brian Wilson
21.I LOVE YOU, BETTY / Terry Day (BONUS TRACK)

Beyond The Wall Of Sound : 26 Girl Pop Gems



フィル・スペクター追悼企画ということで、2021年4月に発売された国内製音壁コンピ。フィル・スペクター関連作品を除外した63年から67年にかけてリリースされた作品のなかから、ガール・ポップ音壁にしぼって選曲されています。当ブログで紹介orリストアップ済みの海外製音壁コンピとかなり収録曲がかぶりますが、国内盤として発売されるのが嬉しいですね。下記の*印をつけた6曲が海外製音壁コンピには未収録だった作品ですが、残念ながら新たな驚きとなる収録とはなりませんでしたね。音壁初期の作品ということもあり音壁的に完成度がいまいちな作品やメロディなど魅力度に欠ける作品が多いのはご愛敬ということで。

3はSearchersのヒット曲の方が有名だけど、ジャッキー版がオリジナル。4はカスタネットも多めに入ってなかなかフィルスペクターっぽい厚めの音壁ポップ。8は山下達郎オンエア曲。音壁は厚くないけどピアノや手拍子などによる歯切れの良いサウンドに明るめのメロディがポップです。11はポップでスピード感のある曲だけどメロディがもうひとつ。ヴォーカルも引っ込み過ぎてしまってちょっと惜しい内容。12は「Da Doo Ron Ron - Crystals」タイプの音壁ポップ。手拍子も入ってノリも良く本家と遜色無い素晴らしい作品。17はメロディは魅力不足だけど本家スタッフが係わっているんじゃないか?と思わせる程かなり厚めの音作り。18はDavid Gatesの作品。スピード感、音壁度、メロディとも及第点だけど何かが足りない気が。きれいなメロディラインを生かしてもっとゆったりとしたテンポの方が良かったかも。26はしっとりとした憂いを帯びたメロディが秀逸で拡がりのある厚めの音作りも素晴らしい。64年のFashionsがオリジナルだけど、65年の Lesley Gore版 の名唱がまた実に素晴らしい。

1.YOU'RE SO FINE / DOROTHY BERRY
2.TOO HURT TO CRY, TOO MUCH IN LOVE TO SAY GOODBYE / THE DARNELLS
3.NEEDLES AND PINS / JACKIE DESHANNON
4.LOVE KITTEN / NOREEN CORCORAN(音壁偏差値64)
5.YA GOTTA TAKE A CHANCE / THE BONNETS
*6.BIG-TOWN BOY / SHIRLEY MATTHEWS
7.I LOVE HIM / THE CASTANETS
8.HE'S MINE (I LOVE HIM, I LOVE HIM, I LOVE HIM) / ALICE WONDER LAND(音壁偏差値62)
*9.THAT BOY JOHN / THE RAINDROPS
*10.WHY DID YOU GO? / THE BOBBI-PINS
11.USHER BOY / MERRY CLAYTON
12.MY ONE AND ONLY, JIMMY BOY / THE GIRLFRIENDS(音壁偏差値65)
*13.WATCH OUT, SALLY! / DIANE RENAY
*14.MUSCLE BUSTLE / DONNA LOREN
15.HE DON'T LOVE ME / SHELLEY FABARES
16.YES SIR, THAT'S MY BABY / HALE AND THE HUSHABYES
17.A LITTLE LOVE (WILL GO A LONG WAY) / ALDER RAY
18.A GIRL NEVER KNOWS / CONNIE STEVENS
*19.IT COMES AND GOES / SADINA
20.MISSIN' MY BABY / CLYDIE KING
21.I'M NOBODY'S BABY NOW / REPARATA AND THE DELRONS
22.IS THERE ANYTHING I CAN DO / THE ASHES
23.AND THAT REMINDS ME / THE DOLLS
24.MY BABY LOOKS, BUT HE DON'T TOUCH / CAROL CONNORS
25.BRING IT ALL DOWN / THE SATISFACTIONS
26.BABY THAT'S ME / THE CAKE(音壁偏差値64)


音壁JAPAN / V.A. (SONY MHCL 1313)'08

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60年代ポップスの黄金時代に数多くのヒット曲を生み出した偉大なる音楽クリエイターのPHIL SPECTOR。なかでも彼の生み出した分厚いサウンドは「WALL OF SOUND」(訳して音壁)と呼ばれ、その後の音楽シーンに多大なる影響を与えました。このCDはそんな彼の影響を受けた日本人音楽家による音壁サウンドを多数収録したコンピレーション。同種のコンピの洋楽版は「PHIL'S SPECTRE : A WALL OF SOUNDALIKES」がありますが、日本人オンリーのものはこれまで無かったので画期的なコンピの誕生と言えます。企画・選曲は『フィル・スペクター「甦る伝説」制作実行委員会』で解説は土橋一夫氏。お世話様でした。

然しながら二言ほど付け加えておかなければならないことがあります。第一に下記の「音壁偏差値」表をご覧いただければお分かり頂けると思いますが、決して「音壁度」の高い作品ばかり集めた訳ではないということです。また第二に本コンピのタイトルは「音壁JAPAN」となっていますが、決して日本における音壁シーンの重要曲を広く「網羅」したものではないということ。

例えば、当ブログでも多くの良質な作品を紹介している、いまや質量ともに日本の、否、世界の音壁シーンをリードしている最重要人物・岩崎元是氏の作品はここでは一切取り上げられていないし、ライナーでさえ一言も触れられていません。( 音壁炸裂!偉大なる功労者の新作 岩崎元是 / FOR A LONG TIME ご参照下さい。)

ソニー製コンピということでソニー音源が中心となったことはある程度仕方ないとしても、他社音源も含まれているので、尚更これらの選曲はどうだったのかと残念な思いがします。制作に関ったスタッフの皆さんの今後のシリーズ展開に大いに期待したいと思います。

音壁オンリーということなので本ブログ恒例の「ポップ偏差値」( 洋楽スーパーポップの世界 等ご参照)ではなく、ここでは「音壁偏差値」というものを↓に算出してみました。尚、個人的に明るくポップな音が好きなので湿度の高めの曲は辛めの採点になっています。

1は大瀧詠一Pによる77年の作品。(P=プロデューサーの略語) 壁は厚く派手さは無いがバランスの取れた作品。メロディは湿っぽく個人的には好きではないが キンモクセイによるカバー(BYユキポ) は壁も厚くポップな仕上がりで素晴らしい出来。2も大瀧詠一P作品。松田聖子ものとしては「風立ちぬ」の方が有名ですがシングルカットされなかったこの曲も負けず劣らずの名曲なので、この曲の選択はいいと思います。3は効果音を入れたりと音壁に加え臨場感まで与えたアイデアがイイ。

小西康陽Pによる4はメロディは湿っぽいが、エコーが深くサウンドの奥行きが素晴らしい作品。「BE MY BABY」で始まる5は音壁は薄く、メロディも安っぽくナイアガラ系サウンドに慣れ親しんだ耳の肥えた人達に受け入れられるかは甚だ疑問。

76年の荒井由実作曲、鈴木慶一編曲による6は年代的にも模索期だったのでしょうか、エコーが少し浮いた感じがします。メロディは流石ユーミンで湿っぽいのですが良く出来ています。8は「BE MY BABY」イントロ+カスタネットということでフィルスペクター的ではありますが、音壁は薄い。

10は大瀧詠一Pによる山下達郎の75年の作品。メロディに山下達郎独特のポップさが無く、年代がら壁も薄め。後年の「ヘロン」のような音壁偏差値の高い作品が収録されず残念。11の原めぐみは当ブログで既に紹介済みの、より音壁偏差値の高いコニー・フランシスのカバー「離さないでね」、ハーマンズ・ハーミッツのカバー「見つめあう恋」もあり音壁界では重要な人物。

12は細野晴臣Pによるテクノ・ヒット曲。音壁は厚いとは言えないがキャッチーなメロディとカスタネットが特徴的で面白い作品。本コンピ収録の中で最もフィルスペクター的な音世界を実現したのが、元浅香唯の歌った13でしょう。個人的にはステレオ感のある方が好きなのですが、この作品でのクローンぶりには思わずニヤリとさせられ実に好感が持てます。

15は加藤和彦作曲編曲によるアイドルポップ屈指の名曲。実に多くのカバーが存在しますが、なんと言っても岩崎元是編曲による「金月真美 / DO YOU REMEMBER ME」が音壁偏差値・満点級の素晴らしい作品。因みに岩崎元是氏は他にも数多くの音壁偏差値・満点級の作品を残しています。詳しくは 「アニソンポップの世界」 等をご参照下さい。また「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」の多くのカバー曲についてはアルフォンスさんの Do You Remember Me? DISCOGRAPHY をご参照下さい。

16は大滝詠一ご自身による曲。個人的には嫌いなコミカルな音頭系の楽曲で本コンピへの収録には疑問符が付く。冒険などせず音壁偏差値満点の王道曲「君は天然色」で良かったのにね。17はフィルスペクターPによるPARIS SISTERSの「I LOVE HOW YOU LOVE ME」カバー。原曲に忠実なカバーですがオリジナル自体音壁度は低い。

* 音壁の厚さ(30点満点) エコー感(10点満点) 整合性(10点満点) メロディ(25点) 合計=音壁偏差値(75点満点)
番号
曲名 / アーチスト名
音壁の厚さ
エコー感
整合性
メロディ
音壁偏差値
1
夢で逢えたら(S) / シリア・ポール
15
3
8
19
45
2
一千一秒物語 / 松田聖子
27
8
10
23
68
3
SOMEDAY / 佐野元春
26
8
10
24
68
4
つのる想い / 須藤薫
28
10
10
18
66
5
世界中の誰よりきっと / 中山美穂 & WANDS
10
3
3
10
26
6
二人は片想い / ポニー・テール
10
8
3
20
41
7
夏休みの宿題 / 杉真理
20
7
8
17
52
8
酸っぱい経験 / 多岐川裕美
10
0
3
15
28
9
恋のハーフムーン / 太田裕美
20
7
7
16
50
10
雨は手のひらにいっぱい / シュガー・ベイブ
12
4
3
14
33
11
涙のメモリー / 原めぐみ
23
7
6
16
52
12
YOU MAY DREAM / シーナ&ロケッツ
12
5
5
18
40
13
Ring Ring Ring / YUI(浅香唯)
29
9
10
17
65
14
うれしい予感 / 渡辺満里奈
26
7
8
20
61
15
ドゥー・ユー・リメンバー・ミー / 岡崎友紀
23
6
8
24
61
16
青空のように / 大滝詠一
16
4
5
15
40

17
わすれたいのに / モコ・ビーバー・オリーブ
10
3
3
20
36





【 アルバム 】

岩崎元是(IWASAKI MOTOYOSHI) / FOR A LONG TIME '07

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岩崎元是氏の20年ぶりの新作が出ました。氏は、声優/アニソン・ポップスにフィルスペクター/大滝詠一ナイアガラ系ウォール・オブ・サウンドを全面的に導入し、数々の世界的名作を残した、このジャンルの第一人者です。音楽史的にみてアニメソングというものは70/80年代においては楽曲・サウンド的に高く評価されるようなものは皆無でした。しかし90年代になり岩崎元是氏は、とかく手抜きされがちなこのジャンルにおいて、楽曲・サウンド的にみてもポピュラー・ミュージック史に名を残す世界的名曲の数々に引けを取らない素晴らしい力作を連発しました。

「鈴木真仁 / あのね・・・。 (岩崎元是作曲編曲) '96 」
「金月真美 / 夏に、まだ少し・・・ (岩崎元是編曲) '96」
「小西寛子 / きっと きっと・・・ (岩崎元是作曲編曲) '98 」
「小西寛子 / BE ALL RIGHT・・・~高石タケルのテーマ~ (岩崎元是作曲編曲) '00」

特に当ブログの 「アニソンポップの世界」 で取り上げた上記の岩崎元是「・・・」4部作は、スペクター/ナイアガラ系音壁サウンドにフェロモンたっぷりなアニメ声優の歌声をのせた素晴らしい組み合わせの妙味があります。その気持ち良さ・心地よさ・音楽的魅力は未だかつて存在しなかった新たな音楽ジャンルを生み出したとさえ言えます。世界的に、否、日本においてさえほとんど認知されていない、これらの未だ適切な呼称の無い楽曲群でありますが、近い将来必ずや一つの栄えある称号が与えられ、長らく語り継がれ、多くのポップス愛好家たちに聴き継がれていくことになるでしょう。岩崎元是氏の偉大なる功績とともに・・・。

岩崎元是氏は80年代中期に「岩崎元是&WINDY」として2枚のアルバム(いわゆるシティ・ポップ)を残しましたが、それらは決して商業的な成功を収めませんでした。その結果、氏は音楽を生業としていくために様々な音楽ジャンルの裏方仕事に携わっていくことになります。そういった事情を考えれば、おそらくはご本人にとっては声優/アニソン・ポップスの仕事というのは本意ではなかったことでしょう。しかし記号的で貧相なサウンドしか存在しなかったこのジャンルにおいて、氏は大胆に、おそらくは全精力を振り絞って、思う存分遠慮なしにスペクター/ナイアガラ系音壁サウンドを展開しました。その結果(氏が当初から意図したものかどうかは分かりませんが)これまでポピュラー・ミュージック史において存在しなかった魅力を持った楽曲の数々が産み落とされたのです。

2007年9月28日に発売された本アルバムは、その岩崎元是氏が90年代中心に作った曲をこの一年ほどで新しく録音した新曲・カバー群です。歌も全てご自身が歌っておりますので、上記の「声優/アニソン音壁ポップ」とはだいぶ趣が異なります。氏の軽い声質は個人的には趣味ではないし、楽曲・サウンド的にみても、結論としては、岩崎元是「・・・」4部作ほどに世界の音楽史的に突出したポップスは無いと感じます。然しながらスペクター/ナイアガラ系音壁サウンドをベースとした良質なポップスが多く含まれている素晴らしいアルバムだということは断言出来ます。

PS:前言撤回。 「泣き顔のPINUP GIRL」 感動の大作ポップでした。失礼しました。

原めぐみ / WORDS OF LOVE '13 中村俊夫プロデュース



見つめあう恋 トビラ~EVERLASTING LOVE~ 離さないで などの音壁作品で当ブログでもお馴染みの音壁アイドル原めぐみさんのウォール・オブ・サウンド仕立ての初のフルアルバム。全編に渡って、 トビラ~EVERLASTING LOVE~ で聴けたのと同等クラスの完成度の高い音壁が構築されています。この2013年という時代において一体どれほどのニーズがあるのか?赤字にはならないのか?と心配してしまいます。しかし、そうした損得抜きで自分たちのやりたい音楽を好きな人に向けて力を振り絞って作ったのであろうことがヒシヒシと感じられ、その音楽馬鹿ぶりに感動してしまいます。原めぐみさん及び制作に関わった人々に一人の音壁ファンとしてお礼を申し上げたい。「関係者の皆さん、どうも有難う。是非また作って下さい。」

アルバム全体としてはフィルスペクターの60年代の一連のガールポップを現代風に解釈した感じの内容。全体的に明るく元気でポップですね。 「Phil Spector / Back to Mono」 と比べるのと、歌手が一人だからアルバム通して聴くと飽き易いのが難点か。(まあ当たり前ですが。)中村俊夫Pにおかれましては是非いつかガールポップのコンピレーションにも挑戦して欲しい。

個別の曲では、2が「Da Doo Ron Ron」タイプの明るく元気でノリの良いポップな曲。怒涛の音壁がイイね。3は落ち着いたバラードタイプ。Aメロはいいんだけどサビメロがいまいちかな。4も「Da Doo Ron Ron」タイプのノリの良い曲だけどメロディは大人しめで惜しい。5も落ち着いたバラード。6も「Da Doo Ron Ron」タイプのノリの良い明るく元気な曲。ちょっと多過ぎますかね。歌詞に「ダウンタウン」、「シュガータウン」ときてタイトルが「マイ・ボーイフレンド」ですから如何にも60'Sガールポップって感じですね。メロディもなかなかキャッチー。7は「I Love How You Love Me - The Paris Sisters」のカバー。音壁度も低く選曲に不満が残ります。8は元ジューシーフルーツのイリアこと奥野敦子さんの作品で「恋はあせらず」トラック。音壁とハリーラブの相性はいまいちで、ここでもハリーラブのグルーヴ感は多少損なわれた感がありますね、、、というか私がハリーラブものに多くを求めすぎているだけかも。なかなか良い曲です。9は「Baby I Love You - The Ronettes」トラック。こうしてフィルスペクターのネタがあちこちで垣間見られるのがこのアルバムの楽しいところでもあります。しかし、この曲「トビラ~EVERLASTING LOVE~」に似てませんかね(笑)。10は静かなバラード。ビーチボーイズ風コーラスも聴き所ですが音壁度は低い。

「YOU TUBE」 でダイジェスト版が聴けます。

1. プレリュード
2. WORDS OF LOVE~ふたりの愛言葉~ (音壁偏差値63)
3. ステディ・ボーイ
4. 恋はうらはら
5. ひとりの渚
6. マイ・ボーイフレンド (音壁偏差値61)
7. わすれたいのに
8. 5センチの恋
9. トキメキ (音壁偏差値62)
10. 恋のはじまり
11. WORDS OF LOVE~ふたりの愛言葉~(MONO MIX)









【おまけコーナー】

OOTAKI CONCERT.jpg

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