Different Shades of Brown / You Want Hearts and Flowers '73 (MOTOWN 1241)
オハイオ出身のグループの1970年のORIGINALSのスウィートソウル・カバー。「ディファレント・シェイズ・オブ・ブラウン」は甘茶ソウル百科事典未掲載ながらマニアには人気のあるグループで、当ブログでも、2006年に発売された編集アルバム HAVE A HEART '06(MY TOWN RECORDS)
と人気シングル モータウン産甘茶ソウルも濃いぞ WHEN THE HURT IS PUT BACK ON YOU (MOTOWN 1241)'73
を取り上げ済みです。1973年という甘茶全盛期の作品の本曲はアレンジは名手Paul Riserで元曲を完全な甘茶仕様に変換した内容。オリジナルズのオリジナルも悪くはないが、より緊迫度と糖度が増した本曲の方がマニアには人気のようです。しっとりとしたバックに可愛らしく甘みのあるファルセット、抑制のきいたハーモニー、バリトンの切れ込み具合がバランスよく連動。個人的にはタイトルを繰り返す統制のとれたコーラスに魅了されます。メロディに胸を締め付けるというほどの甘美さはないけれど、全盛期の甘茶そしてモータウンの底力を感じさせる良曲かと思います。
DR.YORK / I NEED YOU BACK (Long Version / Love Mix) (York's Records YRC-786-28)'86
特異な甘茶センスでマニアには人気なドクターヨークの1986年の2ndアルバムRe-New収録曲。当ブログでも、甘茶偏差値72の PLEASE STAY
や同70の LOVE WON'T LET ME WAIT
等を取り上げ済みです。本曲はその2曲には及ばないもののヨーク博士の変態的センスが十分に発揮された快作。基本は「君に戻ってきて欲しい」と歌う他愛のないラブソングなんだけど、シンセ中心に簡素にまとめたサウンドは音数が少ないながらも、かなりの甘さを感じさせる上質なもの。サックスや女性コーラス、そして自身の甘い囁き声を取り入れて作り上げられた大甘で官能的な空間には、常人離れしたセンスを感じますね。自分でプロデュースもしてしまうという意味ではジョージカーと双璧を為す存在とも感じますが、変態性という観点からするとソウル界でも唯一無二の鬼才だったかなと。
現在も懲役135年の刑に服しているようですが、 wikipedia
を更に詳しく読むと、100件以上の児童への性的虐待、小児性愛、など以外にも新興宗教の教祖だったり、信者のためのコミューンを作り好き放題にふるまったり、地球外生命体であると主張したり、サイババ的奇跡のパフォーマンスを主張したりと滅茶苦茶みたいですね。日本で言うとジャニー喜多川と麻原彰晃を足したような人物みたい。そうした常軌を逸し完全に狂気の世界にいっちゃう資質、更に音楽、特にスウィートソウルのセンスを持ち合わせた者が作った曲であると考えると納得の出来という気がします。
KEITH BARROW / IF IT'S LOVE THAT YOU'RE LOOKING FOR '78 (Columbia 3-10846)
70年代を中心にロスで活躍したソウル歌手キース・バロウの78年のアルバム「Physical Attraction」収録曲。アルバムを4枚も出していながら甘茶ソウル百科事典にU.S.BDGにも一切触れられてないからソウルファンには馴染みが薄いかも知れませんが、良質な甘茶ソウルがあります。フリーソウル・コンピに収録されている 「You Know You Want To Be Love」
が彼の一番のヒット曲のようですね。同曲同様に柔らかなハイトーン・ヴォイスが最大の魅力となっています。曲はゆったりとした和み系スウィートソウル。作曲はMichael Stokesで派手さはないけれど全体としてなだらかで綺麗なメロディが美味。時折女性のささやき等を交えキースの自由度の高い甘い唱法が冴える。全体として品の良さと甘茶ソウル的センスの高さを感じさせる好内容。彼のちょっと怪しげなルックスとの関係は定かではありませんが、29歳という若さでエイズによって死去。もっともっと良質な作品を残せていただろうことを想うと実に残念ですね。
Smith Connection / (I've Been A Winner, I've Been A Loser) I've Been In Love LP「Under My Wings」'72
三人兄弟グループ「スミス家の絆」が残した1972年の唯一のアルバム「Under My Wings」収録曲。当ブログでも、既にYOU AIN'T LIVIN' UNLESS YOU'RE LOVIN'、 THE DAY YOU LEAVE
そして、前身グループの SMITH BROTHERS / LET ME TAKE CARE OF YOUR HEART
、 SMITH BROTHERS / CHECK ME OUT
と4曲を取り上げていますが、短い活動期間であったにもかかわらず、こうした質の高い多くの歴史的名曲を残した彼らの才能と甘茶センスには心底感服致します。本曲はR&Bチャートで小ヒットしたようで、分かり易くキャッチーなメロディが特徴的。キラキラしたグロッケンや華やかで上品なストリングスと共に曲を大いに盛り上げているのが爽やかで甘酸っぱい魅力に満ちたファルセット・コーラス。タイトルを歌うサビこそリードと被って目立たないけれど、それ以外の箇所ではリード以上に際立った存在感を示している。サビがキャッチー過ぎて飽きやすい嫌いがあるけど、コーラスに注目すると また違った魅力に気づかされるかも。
ATKINS / BABY YOU'RE THE ONE LP(WARNER BROTHERS 3659)'82
男女混合のファミリーコーラスグループのグループ名と同名の1982年のアルバム収録曲。このアルバム1枚を残して儚く消えてしまったようですが、当ブログで既出の LOVE IS GROWING STRONG
など良曲が多い。残念ながらU.S.BLACK DISC GUIDE、甘茶ソウル百科事典のどちらでも取り上げられてません。ファミリーというのが甘茶的にそそるものが無いからですかねえ。曲はゆったりとしたテンポのスウィートソウルで、ちょっと悲しげなファルセットリードが特徴的。感傷的な甘いメロディの出来もよく優等生的な内容だけど、70年代スウィート好きにはどこか過剰な何かが欠けている感が否めないかな。とはいえこの内容ですら今では有り得ない古き良き時代のソウルの大切な遺産と感じますね。
Silk / I Know I Didn't Do You Wrong 「Smooth As Silk」'76
甘茶ソウル百科事典P.43とU.S.BLACK DISC GUIDEの#301で紹介されているシカゴの3人組グループの1976年の1STアルバム収録曲。当ブログで1973年の甘茶ソウル名曲 THE FIRST TIME WE MET
を紹介しINDEPENDENTSのうちの2人が中心になって結成されたグループのようです。何故か録音は南部メンフィスのMALACOで行われています。曲は「君に悪いことをしてないことは分かってる」と歌う渋めの恋愛ソング。語り入りでファルセットやコーラスもしっかり入り、甘いメロディもなかなかのもの。ただし、派手さはなく落ち着いた内容でアダルトな雰囲気が漂います。4人組から3人組へ、73年から76年へ、ニューヨークからメンフィスへ、とスウィートソウルの本線から離れていってしまったからなのか、悪く言えば少々物足りなさを感じますね。個人的にはTHE FIRST TIME WE METのような緊迫感や瑞々しさ、甘酸っぱさのある方が好みなだけにこの変貌はちょっと残念。ただ、大人向けの渋い雰囲気はいい感じなので 女性を口説く為のBGM
には向いている気がします。
SWISS MOVEMENT / TAKE SOME TIME (RCA APB0-0092)'73
1970年代初頭に活躍した4人組コーラスグループの唯一のアルバム「IT'S TIME FOR THE SWISS MOVEMENT」収録曲。テンプテーションズのメンバーによって見いだされ、プロデュースされたアルバムとのことです。懐中時計を模したジャケットからもどうやらグループ名はスイス製の時計の動きという意味っぽいですね。スイス時計の精度や品質の高さ、伝統に憧れての命名といったところでしょうか。唯一のアルバムがU.S.BLACK DISC GUIDE #343と甘茶ソウル百科事典P.45で取り上げられていることからも思惑通り、質の高いアルバムを残せたようですね。そのどちらでも触れられていませんが、アルバム最後を飾るこの曲はスウィートソウル仕立ての良曲。時計の秒針が刻む擬音を入れた明るく爽やかな仕上がりです。リードヴォーカルの声質は聞きやすいけれど引っ掛かりが無い箇所が幾分物足りなく、全体としてこってりとした甘さや萌えという点で不満を感じますが、スキャットなどを交え随所で多用される厚いコーラスは魅力的です。
PRESIDENTS / SWEET MAGIC 「5-10-15-20-25-30 Years Of Love」'70
VAN MCCOYプロデュースによる黒人ヴォーカルグループの1970年の唯一のアルバム「5-10-15-20-25-30 Years Of Love」収録曲。プレジデンツについては、当ブログではアルバムを 青春の甘酸っぱさ、ネオアコ甘茶ソウル PRESIDENTS
として、またアルバムタイトル曲を 爽やかでポップな甘茶ヒット 5-10-15-20
として取り上げ済みです。本曲はその彼らの代表曲5-10-15-20と同じくメンバーの自作曲。明るく元気な曲で1960年代のガールポップ風ですが、具体的には1968年の The Tams / Be Young, Be Foolish, Be Happy
辺りに近い感じ。イントロなど全編に渡って聴けるキャッチーな「SWEET MAGIC」というコーラスが特徴的で、おそらくはジャケットに映っているような若い男女の恋愛初期の魔法にかかったような甘く幸せな瞬間を歌ったもの。爽やかなコーラスを伴い溌剌とした甘めのヴォーカルが軽快なリズムに乗って多幸感に満ちた明るい世界を展開。あまりソウル色は濃くないけどポップな内容に仕上げたのはヴァンマッコイの力量って感じですかねえ。
IMAGINATIONS / GOD BLESS YOU LOVE 「IMAGINATIONS」'74
シカゴの4人組コーラスグループの1974年の1STアルバム収録のスウィートソウル。LOVE JONESのヒットを持つBrighter Side Of Darknessの後継グループなので下地は十分出来ていた感じでしょうか、しっかりとした出来です。曲のタイトルを直訳すると「愛する人を神が祝福しますように」ということになるけど、特にゴスペル臭や宗教臭を感じさせない雰囲気の明るく爽やかな曲。愛する恋人への想いや幸福感をファルセットで激しく歌い上げ、それをコーラスがしっかり盛り上げるところは1974年というスウィート全盛期を感じさせなかなかのもの。ただ、歌詞をしっかり追っていくと「ママ」なんて表現は甘いムードに水をさすし、「全能の神」なんて表現も気持ちを一気に萎えさせますね。BGM的に軽く聞き流すぐらいの楽しみ方がちょうどいいのではないかと思います。