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火の無いところに煙は立たない。だがウェストハムは自ら、意図的に火をおこした。「FWアドリアーノの獲得のため、インテルと話し合いを行っている」ウェストハムは公式にこれを発表し、アドリアーノ獲得を望んでいることを認めた。通常の移籍交渉では、仮に交渉が行われていたとしても秘密裏に進めることであらぬ噂や余計な干渉を極力排除するため、今回のウェストハムの発表はかなりの異例である。アドリアーノの不調は昨シーズンから続いており、一時はシーズン中にも関わらずブラジルでの休養が認められるほど深刻なものだった。メンタル的な部分も不調の原因ではあったのだろうが、その休養中に遊びほうけている姿を写真に撮られたことで、インテルファンの間からもアドリアーノ不要論はささやかれていた。またイブラヒモビッチやクレスポが、アドリアーノ不在を感じさせないパフォーマンスを披露したことも不要論を増大させていた。今夏の移籍市場でスアソを獲得したことでFW過多になったインテルは人員整理を余儀なくされた。だがスアソは獲得したばかりで、イブラヒモビッチとクレスポはFWの柱、クルスはターゲットマンとして短い時間で仕事が出来るスーパーサブの役割を果たせる。そうなると残るのはアドリアーノだけ。これまではいくら批判を浴びても擁護の姿勢を崩さなかったモラッティ・インテル会長さえも、「アドリアーノにとってそれが良いのなら移籍もある」と移籍を容認するようなコメントを残すようになった。移籍なら完全移籍を望むアドリアーノに対し、ウェストハムはローンでの獲得を視野に交渉しているらしい。そしてアドリアーノに対しては、ウェストハムだけでなく同じセリエのラツィオも移籍交渉を行っているようである。アドリアーノ獲得についてインテルから逆オファーがあったことをアーセナルのヴェンゲル監督が認めたように、アドリアーノはインテルにおいてアンタッチャブルな存在ではなくなってしまっている。今夏の移籍マーケットが閉じるのは8月31日。つまり今日(現地時間)。怪物の未来はどこにあるのか、もうすぐ分かる。ほな、また。
2007.08.31
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最悪の結末を迎え、正直どう表現すればいいのか、そもそも表現する方法などあるのかさえも分からない。28日午後2時30分(現地時間)、セビージャ所属のMF、アントニオ・プエルタが入院先の病院で亡くなった。22歳だった。25日に行われたリーガ開幕戦となるヘタフェ戦で先発出場したプエルタは、前半途中に意識を失いその場に倒れ込んでしまった。一度は意識を取り戻し歩いてロッカールームまで下がったが、再び意識を失いすぐさま救急車で病院に運ばれた。集中治療室に通された彼は、人工呼吸器なしではいられないほど状態がひどく、全く予断を許さない状況が続いていた。病院の発表によると、死因は長期的な心臓発作が原因となる「後発的無酸素脳症、及び多臓器不全」で、ロッカールームで再び意識を失った際に心配停止に陥っており、その状態が長期間続いたことで不整脈や、脳にまで影響が及んでいたようだ。セビージャの下部組織から03-04シーズンにトップデビューを飾ったプエルタは、06年4月のUEFAカップ準決勝、シャルケ戦の「セビージャの人生を変えたゴール」でクラブを史上初の決勝に導き、タイトル獲得に貢献している。それからわずか1年の間にUEFAカップ2連覇を含む5つのタイトルをクラブにもたらし、スペイン代表にも召集されるなど、彼の眼前には明るい未来が待ち構えているはずだった。「プエルタの容態が一刻も早く快方に向かうことを祈っているし、 彼がサイドを駆け抜ける姿を再び見られる日を待っている。 彼は強い人間だし、この状況に打ち勝ってくれると信じている。 今はいかなるライバル心も存在しない。 彼の家族や友人、ファンと同じだ」セビージャと同じアンダルシアに本拠を置くベティスのロペラ会長のコメントである。セビージャのデル・ニド会長とは犬猿の仲であり、偶然出くわしても挨拶さえ交わさないほどである。だが、そんなロペラの祈りも今となっては空しい響きである。10月にはアイトールと既に名づけられた男の子の父親になるはずだったプエルタ。アディオス、プエルタ。ほな、また。
2007.08.29
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我がユナイテッドに所属していたオレ・グンナー・スールシャールが現役引退を発表した。96年の7月に母国であるノルウェーのモルデというクラブからユナイテッドに移籍してきたスールシャール。以後11年間に渡って在籍しリーグ優勝6度、FAカップ2度、チャンピオンズリーグ優勝1度と、ユナイテッド黄金時代の象徴ともいえる“レジェンド”として貢献した。366試合に出場し125得点(リーグでは235試合91得点)を記録しているが、最大のハイライトはなんといっても98-99シーズンのチャンピオンズリーグ決勝。1点をリードされたまま迎えた後半ロスタイムに2得点を挙げ、40年ぶりのチャンピオンズリーグ優勝を掴んだ「カンプノウの奇跡」だろう。その決勝ゴールを挙げたのが、紛れもなく彼だった。ここ数シーズンは膝の怪我に苦しみ続け3度もメスを入れるなど、完全復活を信じリハビリに務めてきた。その成果、昨シーズンは32試合に出場し11得点を挙げ、4年ぶりのリーグ制覇に大きく貢献しただけに、いつかは訪れることとはいえ残念な結果になってしまった。「監督や医療スタッフ、サポーターのみんなに感謝したい。 私が負傷してチームを離れている間も、彼らにはいつも支えられていた。 彼らが私を支えてくれていたから、復帰を諦めず最後まで戦うことができた。 11年間のユナイテッドでの生活を誇りに思う」出場機会に恵まれなくとも不平不満を一切言わず、ピッチに立てばたとえわずかな時間であっても結果を残し続けたスールシャール。その童顔な容姿と献身的でプロフェッショナルなサッカーへの姿勢は、全ての選手にとっての見本であったし、多くのファンにとっては親しみやすく頼りになる存在でもあった。引退後もクラブに残り、クラブの公式大使として世界中を飛び回ることになるスールシャール。感謝するのは我々ファンのほうであり、あなたはまさに“レジェンド”だった。お疲れ様、長い間ご苦労様でした。ほな、また。
2007.08.29
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チェルシー唯一の弱点と言われている右SB。当初ターゲットに挙げられていたセビージャのDアウベスの獲得が予想以上に困難だと見たチェルシーが選んだのは継続ではなく、転換だった。チェルシーはバルセロナからブラジル人ベレッチを獲得することが決まった。移籍金は約8億6千万円で、契約年数は3年。2004年にビジャレアルからバルセロナに加入したベレッチは、チャンピオンズリーグ決勝で決勝ゴールを挙げるなど攻撃的右SBとして貢献していたが、ザンブロッタの加入などもあって昨シーズンはわずか15試合の出場にとどまっていた。Pフェレイラやボラルースが大きく期待を裏切った右SB。チェルシーにとって今夏の最重要補強ポイントがこのポジションだった。Dアウベスを獲得するべく、チェルシーは何度もセビージャにオファーを出し、その都度拒否されていたが、一度は交渉が合意し、あとはメディカルチェックや細部を詰める段階のところまで来ていた。だがオーナーのアブラモビッチが、一度は合意した(約50億円を越えると推定される)移籍金額を「ディフェンス1人に対しては高すぎる」と減額を要請したことから事態は急変した。決して放出を頑なに拒んでいたわけではないセビージャ会長デルニドも、これには憤慨し、「減額するなら放出は不可能」と交渉は振り出しに戻ってしまった。8月末で市場が閉じることを考えれば、このまま交渉を続けてDアウベス獲得に失敗し、右SBに不安を抱えたまま1月まで待つことを恐れたチェルシーは、バルセロナで出場機会に恵まれていなかったベレッチを獲得することで急場を凌いだというのが今回の裏側だろう。今回の移籍でDアウベスの移籍はなくなるのではないか、という考えが一般になりつつある。チェルシー移籍を頑なに志願し、チャンピオンズリーグの関係からセビージャでは試合に出場していないDアウベスだが、果たして本当に移籍はなくなるのだろうか。個人的には交渉次第と言える事が出来る。確かにベレッチを獲得したことで、Dアウベスの移籍を急ぐ必要はなくなった。モウリーニョの信頼を得ていないとはいえ、Pフェレイラやジョンソン、さらにはベレッチと頭数は揃った計算である。だがPフェレイラやジョンソン、さらにはボラルースが信頼を得られなかったのは守備面に軽さが見られるからであり、何度かエッシェンやジェレミをこのポジションで起用していたことからもそれは窺える。果たしてベレッチも攻撃面においてはある程度信頼されても守備面ではどうだろうか。ザンブロッタにポジションを奪われたのも決して偶然ではなく、ライカールトもその辺りを不安視していたのではないだろうか。そう考えると、チェルシー側から見ればDアウベスを諦めたわけでは決してなく、今後も交渉を続けていく可能性が高いと思われる。しかし仮に今回交渉がまとまらず、来年1月まで獲得交渉が延びてしまった場合、話は大きく変わる可能性もある。公にチェルシー移籍を志願しているだけに、交渉がまとまらなかったDアウベスのモチベーション低下は避けられずプレーに何かしらの影響が出ることが予想される。またクラブが飼い殺しの作戦を取った場合には、1月に移籍が決まってもコンディションや試合勘の問題も出てくるだろう。それより何より、Dアウベスに絞りつつもベレッチを獲得したのだ。1月になったらなったでDアウベスに代わる補強候補を絞っていてもおかしくはない。そしてその役目を十二分に果たせる選手が国内にいるなら尚更である。今シーズンはエリクソンの方針でCBでプレーしているものの、右SBでイングランド代表にも名を連ねるマンチェスター・シティのマイカー・リチャーズである。スピードもあり身体能力に優れた19歳のリチャーズは、すでにイングランド代表においてGネビルの後継者と位置づけられている逸材である。それこそビッグクラブが放っておくはずもなく、すでにマンチェスター・ユナイテッドなどのビッグクラブも興味を示している。シティはこれらの触手からリチャーズを守るために、週給約1200万円という新たな大型契約を結ぼうとしている。だが一方で、いつかは(もしかしたら早い段階で)リチャーズはシティを離れるだろうことも予想している。現にエリクソン監督も「リチャーズがクラブを離れることは我々の問題であると同時に、彼自身の問題でもある」と語り、引止めに全力を尽くす一方で、決めるのはリチャーズ自身であることも理解している。Dアウベス同様にリチャーズが移籍を志願すれば、そしてその決意が強ければ強いほどクラブにそれを全否定することは今のサッカー界では不可能である。だがクラブもバカではない。おそらくだが決して地元のライバルでもあるユナイテッドに放出するという愚行は犯さないだろう。ならばそれ以外で興味を持つビッグクラブといえば・・チェルシーもそれに当てはまる。以前にはライト・フィリップスの移籍があっただけに両クラブ間にネガティブな印象はなく、現に何度か噂が上っているだけに有り得ない話でもない。もちろん、リチャーズが移籍を志願し、約70億円といわれるリチャーズの移籍金をアブラモビッチが渋らなければの話だが。ほな、また。
2007.08.28
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先日発表されたエインセのレアル・マドリー移籍。前々から噂のあったロッペンの影に隠れてしまいがちだが、エインセの移籍はロッペン以上に複雑な事情が絡んでいた。そもそも昨シーズン終了の時点で、エインセはユナイテッドを去ることを決めていた。決して自ら「去りたい」とは言わなかったが、「コパ・アメリカまでには結論を出したい」と移籍を肯定するような発言や、エブラの台頭によって出場機会が失われていたことから、それは周知の事実であった。ではなぜここまで結論が先延ばしになってしまったのだろうか。コパ・アメリカが終わったのは7月上旬のこと。その時点でユナイテッドに届いていたオファーはゼロ、あって1だった。その1がレアル・マドリーであり、トルコに去ったRカルロスの後釜としてエインセに白羽の矢を立てたのだ。ベッカムやニステルの件もあるように、この両クラブの関係は決して悪いものではない。もちろん交渉内容において多くの食い違いは発生していたであろうが、クラブの関係を考えると「邪魔者はいないし、ゆっくり時間をかけて詳細を煮詰めましょう」といった穏やかな交渉だったのではないだろうか。しかし邪魔者は意外なところから現われる。リバプールである。ベニテスはリーセなどの既存選手にそこまでの信頼を置いておらず、有能な左SBを探していた。獲得費用を心配する必要はないのだから、それこそ世界中から選手を選ぶことが出来たのだが、それは偶然近くにいたわけだ。同じイングランドということで気候やプレースタイルに戸惑うこともない。ユナイテッドに負けず劣らずのビッグクラブであり、ネームバリューでも引けを取っていない。あとはどれだけの金を積めばユナイテッドが首を縦に振るか、だけのはずだった。ベニテスはエインセの代理人にコンタクトを取り、ユナイテッドとエインセが結んだ協定の存在を知る。それによると「ある一定の金額を移籍金として用意すれば、エインセの移籍を認める」というものだった。つまりはスペインでよく使われる違約金である。その額およそ18億円。Fトーレスを60億円以上で獲得したリバプール、ベニテスにとっては全く問題のない数字である。早速その金額を提示してエインセ獲得を試みたベニテスだが、ユナイテッドの返答はNOだった。この頃には既にある程度の交渉がレアルと進んでいたのだろう。そして宿敵リバプールに渡すくらいならレアルに渡したほうが賢明だとの考えもあっただろう。とにかく答えはNOだった。納得できないのはベニテスである。正当な違約金を提示し、正当なルートを使って獲得しようとしているのに、ユナイテッドは単にライバルに選手を渡したくないだけなのではないか。そう考えてもおかしくはない。ここからベニテスは違法すれすれの行動に出る。代理人に手数料の増額か何かでも約束したのだろう。エインセ本人がリバプール移籍を望んでいるコメントを発するように仕向けたのだ。そうすれば鬼ではないファーガソンも移籍を認めるだろうと思って。だがそれでもユナイテッドは頑なに拒否の姿勢を貫いた。お互い一歩も引く気の無いエインセ争奪戦は、いよいよリーグが介入するところまで来てしまい、エインセ、ユナイテッド、リバプールの3者から事情聴取を行ったリーグが1つの声明を発表した。「言い分はユナイテッドにあり、リバプールの行為は認められない」事情聴取の結果、ユナイテッドとエインセが結んだ件の協定は海外リーグからのオファーに対してのみ通用するものであり、国内リーグには適用されない類のものだったのだ。当然リバプールにも適用されず、同時進行で進めていたレアルへの移籍が正式に決まったわけだ。キチンと協定を読んでいなかった代理人の非が悪いのか、それとも金に目がくらんだ代理人が悪いのか、依頼人でもある選手のことを考えていない代理人が悪いのか。いずれにせよ、悪いのは代理人である。ほな、また。
2007.08.26
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チェルシーのオランダ代表ロッペンと、我がユナイテッドのアルゼンチン代表エインセが、レアル・マドリーへ移籍することが決まった。ロッペンは5年契約の約57億円の移籍金で、エインセは4年契約で移籍金は約18億円。今夏の移籍市場でレアルが新たに獲得した選手はこれで8人。ロッペン、エインセに加えて、メッツェルダー、ぺぺ、スナイデル、ドレンテ、サビオラ、ドゥデクといずれも名前の通った選手ばかり。既存選手と合わせれば“ニュー・ギャラクティコ”と新たなニックネームが付いても違和感のない豪華な布陣になった。だがこれだけの選手を獲得した裏で、やはりそれなりの数の選手がクラブを離れている。ロッペン、エインセの獲得が発表された同じ日にエメルソンとシシーニョがそれぞれミラン、ローマへと去り、メヒアやラウル・ブラボといった下部組織からの生え抜き選手達も自身の将来を見据えて旅立っていった。エメルソンはスペインの水に合わず、またカペッロ時代の遺産として放出は既定路線だったろうが、シシーニョは怪我もあってアピールするチャンスのないままクラブを去ることになってしまった。シュスターが残留を望んでいたにも関わらずである。昨シーズンにブレイクしたMトーレス、冬に獲得したマルセロの控える左SBもドレンテ、エインセの獲得によって、トーレスのポジションは失われた。マルセロと同じく冬にやってきたガゴ、イグアインにもスナイデル、サビオラといった選手を獲得している。プロだから競争相手がいるのは当たり前であり、実力のないものは去るまでである。だがまるでパッチワークのようにこうもとっかえひっかえされると、クラブの方針に疑いの目を向けたくなる。常勝を義務付けられているとはいえ、あまりにも節操がないと感じるのはぼくだけではないはずだ。レアルの開幕戦は宿敵アトレティコとのダービーマッチ。レアルに残るジンクスは打ち破られるのかカペッロ解任。リーガ・エスパニョーラは今日開幕である。ほな、また。
2007.08.25
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カペッロの後を追ってレアルに加入したエメルソン。しかしカペッロの解任と共に自身もお払い箱になってしまった。ミランがエメルソンの獲得を発表した。契約期間、移籍金ともに公表はされていないが、一部メディアによると移籍金は約8億円とのこと。カルチョ・スキャンダルの影響でスペインに新天地を求めたエメルソンは、リーグ通算27試合に出場しクラブの4シーズンぶりの優勝に大きく貢献した。しかしながら一部メディアやファンからはその守備的なスタイルから批判の対象に上がっており、今シーズンから就任のシュスター監督からもほぼ戦力外の扱いを受けていた。前々から噂に上がっていた今回の騒動だったが、一度は移籍金がまとまらず交渉は頓挫していた。しかしすぐに交渉は再開し今回の移籍が決まったようだ。ミランは今夏の補強最重要ポイントはFWであるはずである。オリベイラをサラゴサに出した今、残るメンバーはロナウド、インザギ、ジラルディーノの3人である。少なくとも4人は手元に置いておきたいはずだから、もう1人のFW、しかもガリアーニ副会長の言葉を借りれば「超大物」を補強したいのである。そして同じガリアーニの言葉に「あと1、2人の」という形容詞が付いていたことから、超大物のFWプラス誰かもう1人、このもう1人がエメルソンだったというわけだ。ネームバリューは高く、実績も申し分ない。経験があり、リーダーシップも発揮できる。イタリアでの生活も長いことから、それほど長くない時間でチームに順応するだろうから、補強としては悪くない部類に入るだろう。だが思う。ミランが欲しかったのはピルロのバックアッパー的選手だったのでは?仮にあと1人超大物FWを獲得したところで、カカが中心であり、フォーメーションもDF「4」の次が「3」は変わらないだろう。エメルソンを使うならその「3」のところである。だがエメルソンとピルロはタイプが全く違う。最近は怪我の影響もあって攻撃参加も少なくなった守備的なエメルソンに、正確な長短織り交ぜたパスで攻撃を組み立てる司令塔のピルロ。つまりエメルソンはピルロのバックアッパーではない。ならガットゥーゾの代わりなのか。“闘犬”の愛称で親しまれるガットゥーゾとは守備的なスタイルにおいて共通する部分はある。だがファンに人気のあるガットゥーゾを、わざわざユベントスに所属していたこともあるエメルソンに代えるだろうか。それはアンチェロッティが一番分かっているはずだ。ではピルロ、ガットゥーゾと共存させるのは?それでは別にエメルソンでなくともグルキュフやアンブロジーニという既存選手で十分まかなえるはずだ。またこの3人ではやはり守備的なサッカーしか出来ず、いくらチャンピオンズリーグも獲って継続路線を進めるといっても、良くて現状維持、悪ければ後退の道を余儀なくされるだろう。一度交渉が頓挫したとき、ミランはエメルソンから同じレアルのバプティスタに切り替えた。しかしすぐに戻ったということはミランの第1希望はエメルソンだったということになる。だが中盤では上記のような問題点がそれぞれに起こる。ならばミランがエメルソンに固執した理由は何だったのか。答えはもうすぐ分かるだろう。セリエ開幕まであと2日である。ほな、また。
2007.08.23
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世界屈指の呼び声もあるイングランド・プレミアリーグ。誰でも一度はここでプレーしてみたいという希望を持っている。だが稀に例外もいるわけで、単に他のリーグでプレーしたい希望があったり、料理が口に合わなかったり、あとは・・今週の水曜日、世界各地で国際親善試合が行われる。イングランド代表はドイツ代表と親善試合を戦うが、それに先駆けて先日、ドイツ戦に臨むイングランド代表メンバーが発表された。メンバーの大きな変更点と言えば、左足を骨折したルーニーと未だ昨シーズンからの怪我が癒えないGネビルが外れたことと、怪我が癒えたリチャーズが選ばれ、またU-21代表でもあるニューカッスルのテイラーが初選出されたこと。来月上旬にユーロ予選の大一番2連戦を控えているだけに、これまでのメンバーをほぼ触ることなく招集したわけだが、とはいえ今回は親善試合である。もう少し変更があると思っていただけに、今回の選考メンバーには少し驚いた。それだけ2連戦が重要であり、なかなか集合させることのできないメンバーを少しでも同じ時間共有させ、チームの連携を図ろうと考えているのだろう。いつもとほぼ同じメンバーではあるが、個々を別々に見ていると大きな危機感をイングランドには抱いてしまう。簡単に言えばあまりにも怪我人が多すぎるのである。先に述べたようにルーニーは骨折のため、今回はおろか次の2連戦も出場できない。選出メンバーでもベッカムは左足首、ジェラードは亀裂骨折、テリーはひざの靱帯損傷、キャンベルはそけい部(後に辞退)、レノンとハーグリーブスはひざ、オーウェンは太腿などなど。先週末の試合には出場した選手もいるし、プロなのだからどこかには怪我は抱えているものだ。プレミアが開幕して間もないため試合勘の問題もあるのだろうが、これだけのメンバーが怪我を抱え、しかもつい最近までそのために試合に出ていなかったというのはかなり異常なことである。それでもマクラーレン監督が召集した背景には、やはり少ない時間でも使いたい、あるいは試合の中で再確認したい何かがあるということなのだろう。そしてそれを9月の2連戦につなげたいのだろう。イングランド(イギリス)の天候は変わりやすい。そして基本的に太陽の出ている時間は少ない。外国人選手がイングランドを好きになれない理由の1つである。その空の下で戦う獅子たちに太陽は光をかざすのだろうか。ちなみに今回のドイツ戦、そして9月の2連戦は全てロンドンにある聖地ウェンブリーで行われる。ほな、また。
2007.08.20
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昔の友人に久しぶりに電話をしたら別人が出た経験は誰にでもあるだろう。ただ、それは両者が名前の知られていない一般人だから笑い話にこそなるのだが、両者共あるいは一方が有名人だったりすると厄介だ。しかも電話をかけたほうがそうならなおさら・・インテルに所属するMFセーザルは2006年1月にミラノにやってきた。だが左サイドを主戦場とする彼にとってグロッソとのポジション争いに敗れたり、マンチーニ監督の標榜する戦術との相性から、なかなか結果を残すことは出来ず出場自体も難しいものだった。選手にとって試合に出場しないことはプロとしての死を意味し、このまま出場機会のないまま時間だけが過ぎていくことは、自分の価値が時間と比例して下落していくことを意味する。そうなると当然選手は出場機会を求めて、代理人に他のクラブへの接触を依頼する。セーザルもこのような至極一般的なルートで自分の価値を再び高めようと考えていた。依頼人の要求を受けた代理人はすぐさま行動に実行した。その中には元イングランド代表監督でマンチェスター・シティの監督に就任したエリクソンの名前もあった。タクシン前タイ首相がオーナーに就任し積極的な補強を進めるシティならば、どうにか網の目にでも引っかかると考えたのかもしれない。早速代理人はエリクソンの携帯に電話をかけた。だが留守番電話に切り替わったため、一応セーザルのセールスポイントとともにメッセージを残しておいた。あとはエリクソンがセーザルに興味を持ち、折り返しの電話が来ることを祈るだけであった。だが電話はかかってこなかった。それもそのはずで、代理人がかけた電話番号の持ち主は17歳の女子高生だったのだから。なんでもこの電話番号はエリクソンがイングランド代表監督を務めていたときのものであり、ワールドカップ終了後にイングランドを離れる際、携帯は解約してしまったようなのだ。そして携帯会社がその番号は女子高生のクリスティーナに割り当てた。だが代理人はそれを知る由もなく、エリクソンの電話だと思いメッセージを残してしまったのだ。今のインテルの選手層を考えればセーザルの出場機会はそれほど多いとは言えず、このような報道が出てしまった後では、インテルを離れたがっていることも納得できる。だが自らコメントして移籍志願したわけではなく恥ずかしいミスによって発覚してしまっただけに、ある意味泣きっ面に鉢とでも言っていいだろう。現在の番号保持者であるクリスティーナの下には、これ以外にも複数の代理人から電話があったらしいが、さすがにサッカー選手の移籍交渉など出来るはずもない。このまま周囲に黙って会話を楽しむことも出来たかもしれないが、罪悪感が生まれたのだろうか、彼女は正直に番号が間違っていることを告白した。「次はベッカムからメッセージが来て欲しい」とクリスティーナは語ったようだが、今頃ベッカムの(そして代理人の)携帯からエリクソンの番号は削除、もしくは変更されていることだろう。黙っていれば本当にベッカムからかかってきたかもしれないのに。このニュースで一番得をしたのはエリクソンかもしれない。クリスティーナがこの電話番号になって「女の人から電話やメールが来たことはない」ようで、色々な浮名を流してきたエリクソンにとってはまさに彼女こそクリスティーナ=女神に見えることだろう。ほな、また。
2007.08.18
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放映権の影響で開幕戦が視聴不可能だったプレミアリーグ。だがJSportsが頑張ってくれたおかげで、なんとか今後3シーズンの放映権を獲得することができ、開幕戦のハイライトから日本でも視聴可能になった。ありがとう、JSports。色々と注目点はあったのだが、ぼくが特に気になったのはボルトン対ニューカッスルの一戦。7シーズンに渡ってボルトンの監督を務めていたサム・アラーダイス。しかし昨シーズン残り2試合を残したところで自ら辞任を表明した。理由を「個人的な理由」とした上で「人生で最も難しい決断」を下したアラーダイスは、それから数週間後、電撃的にニューカッスルの監督に就任した。つまりはこの開幕戦がアラーダイスにとっては、ボルトンの監督を辞めてから初めての里帰りだったのである。もう1つの注目点として、スミスとビドゥカのFWであった。アラーダイスが監督に就任したことで、タレントは揃っているものの結果が残せないクラブは大きく変貌を遂げようとしている。それが如実に現われるのが選手の入れ替えであり、今夏の補強ではアラーダイスの好む地味ではあるが基本的技術のしっかりとした、絶対的なセールスポイントを持った熱い選手を数多く補強した。ポストマンとして攻撃のタメを作れるビドゥカしかり、熱いハートで仲間を鼓舞することができ得点力も高いスミスしかりである。実はこの2人、以前リーズで4年間共にプレーした経験があり、今回が3年ぶりのチームメイトなのである。スミス、ビドゥカにマルティンスを加えた3トップで開幕戦に臨んだニューカッスルはマルティンスの2得点などで3対1とボルトンを破り幸先の良いスタートを切った。ボルトン時代には3人の中盤と3トップという布陣で守備的な戦いをベースにしてきたアラーダイスだが、噂によるとフロント陣はイングランド伝統の4-4-2をベースにした攻撃的な戦いをアラーダイスに要望しており、残り2週間となった移籍マーケットでの補強内容と怪我人の復帰時期の兼ね合いを見ながらその辺りは調整されていくだろう。怪我人といえばオーウェンである。ワールドカップでの大怪我から戻ってきたオーウェンだが、開幕前に傷めた太ももの影響で現在はリザーブリーグで調整中である。オーウェンを加えればワールドクラスのFWが4人も揃うのは、アラーダイスにとっては嬉しい悩みであるが、似たようなプレースタイルのマルティンスが開幕戦で結果を残した以上、いくらオーウェンとは言えうかうかとはしていられない。おそらくではあるが、ビドゥカはアラーダイスの好みのタイプの選手であり、前線でボールをキープ出来る能力は誰が監督であってもベンチに置いておくのはもったいないことだ。そうなると残り3人で1つ、多くても2つのポジションを争うことになる。前述の通りオーウェンとマルティンスのスタイルは似通っておりマルティンスは結果を出した。またビドゥカとスミスはリーズ時代にコンビを組んだ経験がある。UEFAカップを戦うことから放出の可能性は限りなく低いのは確かである。だがオーウェンとジェラードの再会の可能性がゼロではないことも、また確かである。ほな、また。
2007.08.17
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サッカーにおいてGKのポジションは1つしかない。そしてディフェンスとの連携面もあることから、通常レギュラーは固定され、大怪我や極端な不振に陥らない限り試合毎に選手が変わることはない。逆に言えば、それだけポジションが少ないのだからGKの頭数は他のポジションに比べ少ないはず。つまりはそれだけ希少価値の高いポジションであり、その中でも有能なGKの価値は半端ではない高値がつくはずである。先日、プレミアリーグ・サンダーランドがスコットランド・リーグのハーツに所属するスコットランド代表GKクレイグ・ゴードンを獲得した。5年契約で移籍金は約22億円と言われている。05-06シーズンには記者が選ぶリーグMVPに選ばれ、現在24歳ながらすでに代表経験が23試合ということから、ゴードンが優れたGKだと分かる。また昨シーズン終盤には、アーセナルがレーマンの後任として一時、獲得を健闘していた選手でもある。ところで、今回サンダーランドが支払った移籍金、約22億円という数字は、イングランドサッカー史上、GKとしては移籍金最高額らしい。これまでは我がユナイテッドがモナコからファビアン・バルデスを獲得したときの約19億円が、GKとしての最高額だった。30億や40億という数字のオファーが移籍市場で乱れ飛んでいる昨今、いくらイングランドという地域限定とはいえあまりにも低い最高額記録ということで、いささか驚きを隠せない。現在ブッフォンとやカシージャスと共に世界三大GKの呼び声もあるチェルシーのツェフでさえ移籍金は約17億円だった。そもそも、イングランドでは昔から優秀なGKが生まれる土壌があった。有名なところでは66年のワールドカップを制覇したゴードン・バンクスや、86年ワールドカップに出場したピーター・シルトンなどである。その土壌があるがゆえに、これまで国内リーグに所属するクラブのほとんどが国内産のGKをレギュラーとして起用していた。今でこそレーマンやツェフのような外国産のGKを起用するクラブもあるが、他国リーグに比べ明らかにその数は少ない。もちろんプレースタイルの違いなどの要素もあるだろう。だがそれだけでは説明できない部分もやはりある。イングランドと言えば、サッカーの母国である。サッカーは自分達がつくったものだ、と小さい頃から教えられ、遺伝子的にも受け継がれている。自分達が作ったのだから自分達が1番だ、1番でなければならない、という母国としてのプライドは間違いなくあると思う。そう思うことは決して悪いことではない。だがそのプライドが強すぎるために視点が盲目になっている感は否めないところだ。それを裏付けるものとして、島国という地理的要因がある。イングランド、スコットランド、ウェールズで構成されるグレートブリテン島はヨーロッパであって、大陸ではない。ヨーロッパよりもどちらかといえばアメリカ寄りの傾向があり、ユーロ導入に対しても断固反対の姿勢を貫いている。そこにあるのは“パックス・ブリタニカ”時代から受け継がれている偉大な自負であり、プライドであり、特別意識である。国自体がそういうメンタリティーな上に、サッカーにおいても同じような状況なのだから、その場所で育まれた「優秀なGKを輩出している」という思考は、それこそ絶対的なものであることが推測できる。そこにGKというポジション自体を過小評価しているという思考は全くない。むしろGKに対する尊敬の念は世界一と言ってもいいほど持ち合わせている。ただ上のようなメンタリティーがあるだけに「外から獲るのではなく中から獲れば良い。なぜならイングランドのGKは優秀だから」という思考が、逆にイングランド以外の国のGKを過小評価している結果になっている。同じグレートブリテン生まれのゴードンが最高額の移籍金なのも、納得である。ほな、また。
2007.08.14
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F1界の寵児と言えば、ルイス・ハミルトン。12歳からマクラーレンでマシンに乗り、今シーズン彗星のごとくデビューを果たした彼は、現在ではポイントランキングのトップに立っている。だがシーズン前、周囲には「あと1年デビューを待つべきだ」という声が挙がっていたらしい。だがシューマッハの抜けた大きな穴を埋めたいバーニー・エクレストンの後押しもあって、マクラーレンのボス・ロン・デニスが強健を発動してデビューをさせた。結果的にハミルトンは予想以上の好成績を上げ続けており、デニス、エクレストンともに胸をなでおろしていることだろう。ちなみにエクレストンはF1運営組織のCEOであり、テレビ放映権などの商業面を統括するなど、その影響力から「F1界の支配者」と呼ばれている。ある日、エクレストンに一本の電話が入った。電話に出た彼に対し、声の主はこう言った。「私の持っている株式を是非買ってくれないか?」声の主はデイビッド・デイン。プレミアリーグ・アーセナルの元副会長である。今年4月、クラブの買収問題を巡って取締役会で会長と対立し、アメリカ人富豪家による買収に反対していたデインは、24年に渡って務めてきた副会長の座を辞任した。現在のクラブの栄華を築いた中心的役割を果たし、96年に現在も監督を務めるヴェンゲルを招聘したのもデインであった。副会長の座にあぐらをかくことなく、選手に対する先見の明を持ったヴェンゲルからの選手獲得要請に対し、相手クラブや代理人との交渉、さらには獲得予算の折衝・商人まで、デインが中心になって動いていた。つまりは現在のチーム編成に対し、デインは大きな影響を与えていたのである。だが辞任するほど今回の買収問題に反対していたデインは、アーセナルを心の底から愛している。そうでなければ四半世紀に亘って1つのクラブには留まらないだろう。だからこそアメリカ人に売られることでクラブとしてのアイデンティティーが失われるのならば、親しき仲でもあるエクレストンに自分の保有する株式(現在も14,3%の株式を保有している)を売却することで、もう1度アーセナルに戻ろうと考えたのではないか。現にエクレストンがオーナーに就任した暁には、自身が会長として復帰する約束もしているようだ。デインの辞任が大きな影響を与えた、と残しバルセロナへ移籍したアンリ。今シーズン一杯で契約が切れるにも関わらず、未だ契約延長交渉を行っていないヴェンゲル。さらにはヴェンゲルという存在を信じて、昨シーズン8年という長期契約を交わしたセスクなど、デインの去就1つで、大袈裟にいえばクラブの存亡が左右されてしまう。そして、デインの去就はエクレストンが腰を上げるか上げないかで決まるため、現在イギリスのメディアはエクレストンの一挙手一投足に注目している。ではエクレストンとはどんな人物なのか。1970年代以降、今では当たり前となったテレビ放映権ビジネスによる世界的・商業的拡大を成功させ、F1というスポーツを世界3大スポーツイベントにまで育て上げた。だがこれらに関連する会社を所有していることから、F1を私有化していることに対しては独占的・儲けすぎという批判もなくはない。一方では交渉力や面倒見のよさを信頼され、長きに渡り特権を認められてきた部分もある。ちなみに個人資産は約7300億円と言われており、サッカーに興味がないこともなく、アブラモビッチより以前にチェルシーの買収も画策していたと言われている。その他にも完璧主義者で、何事も自分で決め自分でやる行動派なのがエクレストンである。仮に彼がオーナーになった場合、デインとしては上手く彼を利用してアーセナルというクラブを取り戻したつもりかも知れないが、これまでのようにある程度の自由を与えられて動くことは出来ないだろう。自分で何でもやりたがるエクレストンが口を挟みしゃしゃり出てくるのは目に見えているし、いくらヴェンゲルが望んだ選手であっても自分の思うようにしないと気が済まないエクレストンが拒否すれば、話はそこから進まないだろう。確かにF1界での手腕は相当な評価に値するものではあるが、それがそのままアーセナルでも遂行されるかは分らない。そしてデインの望むクラブの未来と、エクレストンの望むそれが必ずしも一致するとは言えない。それでもクラブの、自らのアイデンティティーを失うよりはデインにとってはまだましなのかもしれない。ほな、また。
2007.08.12
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4年に1度行われる、サッカー・ワールドカップ。その開催地については、以前まではインフラやその国の強さなどを総合的に判断して決定されていた。つまりはインフラが整っていてもサッカーが弱ければ大会を開催することは出来ず、その逆もまたしかり。よって開催地はヨーロッパや南米の一部にこれまでは限定されてきた。だが94年のアメリカや2002年の日韓共催など、ヨーロッパや南米以外の大陸でも成功を収めることが出来たことで、FIFAは2010年に行われる大会からは大陸持ち回りで開催地を選定することを決定した。地球上には現在ユーラシア、アフリカ、北米、南米、オセアニア、南極の6大陸が存在するのだが、南極で試合など出来るはずもなく、ユーラシアは地域でいえばアジアとヨーロッパに分けることができる。オセアニアといえばオーストラリアだが、今年初めにAFC所属となったことで、サッカー界では実質5大陸が存在し、これらを持ち回って開催を行うことになる。最初の2010年はすでに南アフリカで行われることが決まっている。そして2014年は国こそ決まっていないが南米での開催は決定している。ということはその次の2018年はアジア、ヨーロッパ、北米のいずれかの大陸で行われることになるのだが、これについてFIFA副会長のジャック・ワーナー氏がこうコメントしている。「2018年のワールドカップがヨーロッパで開催されることになったとしても、 イングランドで開催されることはないだろう。 開催されるならスペイン、イタリア、フランスあたりだろうか。 確かにイングランドはサッカー発祥の地と言われているが、 世界規模で大きなインパクトは残していない」どのような状況で、意図で言ったのかは知らないが、個人としても、FIFA副会長としてもこのような発言はするべきではないように思う。まずイングランドが外れる理由として、世界規模でのインパクトを挙げている。確かに66年の自国開催となったワールドカップ以来ビッグタイトルとは無縁であり、個々の大会でも負けて尚・・のようなインパクトを見せることは出来ずにいる。だがそれはスペインも同じではないだろうか。ワールドカップでは自国開催の82年でさえ準決勝に進むことが出来ず、最高成績は50年大会の4位という有様だ。ユーロでも64年大会の優勝はあるものの、84年の準優勝以降はこれまたベスト4にすら残っていない。ここ10年でインパクトを残した点で言えば、イタリアやフランスはヨーロッパのほかの追随を許さないだろう。前回のワールドカップではともに決勝に進出しているし、2000年のユーロでも決勝を戦っている。だがフランスは98年のワールドカップを開催しているため、仮に2018年のワールドカップがフランスで開催されれば、フランス、ドイツ、フランスの順になり開催の不公平さは否定できない。そしてイタリアでは現在、スタジアムの暴力が問題である。今年2月の警官死亡事故で対策はかなり取られたようだが、その影響で大本命と見られた2012年のユーロ開催地から外されている。そもそもコメントだけを見れば、国際大会でのインパクトだけで選考しているような印象を受けてしまうため、大きな影響力を持つFIFAの副会長としては、もう少し違った言い方もあるように思う。またいくら但し書きを付けたとはいえヨーロッパでの開催を前提に話すのは、これから立候補を考えている国や既に立候補を表明している国々(アメリカ、オーストラリア、中国、ベネルクス三国)の批判を浴びる可能性もある。開催地に決定すれば世界中からファンが押し寄せ、スポンサーも含めて多くの金が集まる、それこそビッグビジネスが展開される。ファンがとやかく言うのは良いとして、上に立つ人間がこのような、大会でのインパクトだけで開催地を選択するような発言は、組織を操る人間としては不適切なように思う。個人的には2002年アジア、前回ヨーロッパ、2010年アフリカ、2014年南米と来ているのだから2018年は北米で開催するのが良いと思うのだが。ほな、また。
2007.08.11
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明日は待ちに待ったプレミアリーグの開幕日。近年の外国資本の流入やアジアでの人気沸騰により海外向け放映権が高騰し、開幕前日となった現在でも日本での放送予定がないのは辛いところだが、文字情報や動画投稿サイトなどで見聞きすることは出来るので、今は放映権獲得を首を長くして待ちつつ今シーズンの展望を見ておきたい。優勝争いは我がユナイテッド、チェルシー、リバプールの3つ巴だろう。昨シーズンまでならここにアーセナルが加わっていたのだが、アンリやリュングベリの放出とそれに伴う選手獲得の質・量ともの少なさから、今シーズンに関してはトットナムなどと4位争いに終始するだろう。今シーズンは例年になく選手の移動が活発で、トットナム以外にもポーツマスや昨シーズンは何とか降格を回避したウェストハム、さらにはアラダイスが監督に就任したニューカッスルも上位争いに食い込んでくるのではないかと思われる。これらのクラブが予想以上の健闘や成績を残すようなことがあれば、たとえアーセナルといえどもUEFAカップ争いにまで落ちるかもしれない。そのほかにもオニールの戦術が浸透してきたアストンビラや、ロイ・キーン監督とともにプレミアに戻ってきたサンダーランドなども注目だが、個々については今後機会があれば触れたい。昨シーズン3位のリバプールは、昨シーズンの途中にジレット&ヒックスがオーナーに就任したことで金銭的余裕が生まれ、移籍市場でも多くの選手を獲得することに成功した。何と言っても一番の注目はアトレティコ・マドリーから獲得したFトーレス。一部では「モリエンテスの二の舞になるのでは?」という声はあるものの、約60億円をつぎ込んだこともあってベニテス監督は必ずトーレスをFWの軸として使うはず。これまで絶対的な点取り屋がいなかったリバプールにとっては、ようやく現われた(獲得できた)ストライカーなのは言うまでもない。あとはトーレスと誰を組ませるのが最善の策なのか、そしてこれまた新戦力のベナユンなバベル、そして主将でもあるジェラードらとのコンビネーションがどれくらいで機能するのか。守備面では大幅な人員交代がほとんどなくディフェンスでの問題点はほとんどないことから、攻撃陣の戦術浸透までの時間がそのままチームの成績に影響することは間違いない。昨シーズンを2位で終えたチェルシーは、タイトル奪回へ向けて今年も金に糸目をつけない補強策を行いたかっただろうが、今年初めのインタビューでアブラモビッチが述べていたように、ここまで5人の選手(内1人はローンバック)を獲得しながら使った移籍金はリヨンから獲得したマルダの31億円だけ。ほかのベン・ハイム、シドウェル、ピサロはいずれも移籍金なしで獲得しており、しかも前からDF、MF、FWとバランスよく、そしてプレミアでの経験が十分にある選手と、いろんな意味でチェルシーらしからぬ補強となっている。名前だけを見れば昨シーズンまでに比べて地味な印象を持つだけに「本気で優勝する気はあるのか」とも取られてしまう。だがマルダ獲得を詳しく見ると、その疑問が間違いであることに気付く。マルダのポジションは左サイドを主とする攻撃的選手である。リヨンでは3トップの左サイドを、フランス代表では中盤4枚の左でプレーしている。逆に言えば右であったり中央でのプレーが出来ない選手であり、モウリーニョの望むようなユーティリティ性は極めて低い。実際、モウリーニョはマルダの獲得に熱心ではなく、それよりもフロント主導で獲得した選手である。昨シーズンはフロント主導でシェフチェンコとバラックを獲得し、モウリーニョは過去2シーズンで連覇を果たした4-3-3のシステム変更を余儀なくされた。今回もフロント主導のマルダの獲得で再びモウリーニョはシステム変更を余儀なくされるだろう。昨シーズンを見ても分る通り、自分が望んだのではなくフロントが望んだ2人をモウリーニョは結果が出なくても使い続けた。マルダの場合も同じで、嫌でも使わなければならないはずだ。ならばマルダを使うだけのシステムとは何なのか。当然それは4-3-3だろう。モウリーニョがチェルシーで使用し連覇を果たしたシステムであり、4-3-3への回帰こそが、フロントがモウリーニョに送った見えないメッセージ“タイトル奪回”であり、また望みでもある。4シーズンぶりにタイトルを奪回した我がユナイテッド。5月中に1年間追い続けたハーグリーブス、ラテンの新星ナニ、アンデルソンを立て続けに獲得した。この3人を獲得するのに費やした総額が120億円なのだから、ただただ驚くしかない。タイトルを獲ったからといって守りに入るのではなく常に攻めの姿勢を忘れない姿こそユナイテッドであり、これで選手層及び未来への投資はかなりの割合で達成されたといえるかもしれない。だがレアル・マドリーのように外から集めた結果、下の世代の選手をローンで放出したまま完全移籍させるようなミスは犯さないほうが懸命だ。昨シーズンは7~8人の選手がローンによって他クラブで活躍したが、以前触れたロッシは買戻しのオプションが含まれているとはいえビジャレアルへ完全移籍で放出した。今では聞こえないが、サラゴサで活躍したピケも「ユナイテッドで出れないならサラゴサにいたい」と以前話していた。いくらテベスの獲得が間近とはいえそれでもFWの層に若干の不安を残し、エインセの去就も未だ不透明であり移籍期限ギリギリの今月末まで長引きそうだ。先日行われた親善試合ダブルヘッダー、対グレントラン戦、対ダンファームリン戦をファーガソン監督は指揮しなかった。理由を問われたファーガソンは「引越しを手伝うよう妻に頼まれた」と答えた。この余裕が仇とならないことを祈りつつ、明日の開幕を楽しみにしたいと思う。ほな、また。
2007.08.10
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グアドループ。これを説明せよ。出来た人は相当の世界地図マニアか、サッカーマニアだろう。Wikipediaによると、グアドループとはカリブ海にある西インド諸島のなかのリーワード諸島の一角をなす島々である。1493年、コロンブスによって発見されたグアドループは、1635年にフランス領有になった。その後イギリス軍によって占領されたものの、フランス軍が奪回し再びフランス領になり、1946年フランスの海外県になった。面積は1780平方km(ちなみに日本で一番面積の少ないのは香川県で1876平方km)。人口は約44万4千人で、マカオとほぼ同じ数である(日本で言えば長崎市とほぼ同じで、日本で一番少ない人口の鳥取県でも61万人)。フランスの海外県ということで、当然「国」としては存在していない。つまり世界的団体にもグアドループという名前を見つけることは出来ないわけだ。サッカーでいう世界的団体、FIFAにも当然名前はないのだが、なぜか別の団体には正式な会員として登録されている。CONCACAFである。CONCACAF。日本語では北中米カリブ海サッカー連盟で、主な所属国はアメリカやメキシコである。本部はニューヨークにあり40のサッカー協会が加盟しているのだが、グアドループのようにFIFA未加盟の協会が5つもある。確かに地図で見ると小さな島々が無数に散らばっており、どこかの国の県扱いであったり、国として認められていない地域もあるのだろう。ヨーロッパにおけるユーロ選手権、アジアにおけるアジアカップのように、CONCACAFにも地域ナンバー1を決める大会は存在する。ゴールドカップという名称で奇数年に開催されており、2007年の今年もアメリカを舞台に6月に開催された。各地域予選を勝ち抜いた12カ国が3つのグループに分かれて予選リーグを行い、上位2カ国と3位の中で成績上位2カ国の計8カ国がトーナメントで優勝を競い合った。最終的には2大勢力ともいえるアメリカとメキシコが決勝に進出しアメリカが優勝したのだが、グアドループは今回の第9回大会にして初めて地域予選を突破した。そしてグループ3位に滑り込みトーナメント進出。準決勝ではメキシコに敗れたものの3位に入り、各国メディアから賞賛の声を集める結果を残した。初出場での3位も驚きなら、国内リーグがアマチュアなのも驚きである。MFのモッカは工場勤務のかたわらリーグ戦を戦っており、なぜ今回このような好成績を急に上げることができたのか不思議に思うところである。だがよく思い出してほしい。グアドループはフランスの海外県である。フランスにはグアドループのほかにも多くの海外県や海外準県があり、植民地時代からの名残が残る島々も数多く存在している。そして今でこそ割合は減ったものの、唯一の制覇となった98年自国開催のワールドカップのフランス代表は、そのほとんどが本土ではなく~~島出身、あるいはルーツを持っている選手だった。アンリ、テュラム、ギャラスなどはグアドループ生まれ、または2世であり、仮にグアドループが国として認められていれば、そしてFIFAに加盟していれば、フランス代表の現在の強さはなかったかもしれないし、グアドループが世界的強豪として認められていたことだろう。それと同時に、世界的選手になる可能性を秘めた原石が輩出されている事実が、たとえ国内リーグがアマチュアであっても国際大会で立派な成績を収める裏づけになっているのである。世界最強の島“国”を1度でいいから見てみたいものだ。ほな、また。
2007.08.08
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ミラン所属のネスタが代表引退を表明した。ワールドカップは98年フランス大会から3大会連続、ユーロは2000年オランダ・ベルギー共催大会から2大会連続で出場したイタリア代表のディフェンスの中心選手だったが、怪我も多く、昨年のドイツ大会ではグループリーグ最初の2試合に出場しただけで、3試合目からはその影響で出場することは出来なかった。「もう代表には行かない。アズーリでの戦いはここで終わる」これによりイタリア代表は、ほんの1週間でトッティとネスタという攻守の中心を失うことになってしまった。監督を務めるドナドーニにとっては頭の痛い話ではあるが、個人が下した決断である以上、それを翻意させる権利はあるものの強制させることはできず、それを尊重するしかない。そして次なる戦いへ向けて前を向く必要がある。先日読んだある雑誌の特集で、各国代表の近況記事が掲載されていた。それによると、来年のユーロで優勝候補に挙げられているポルトガルはコスティーニャ事件を機に生まれ変わったらしい。フィーゴやルイコスタのゴールデンエイジ世代を信頼していたスコラーリ監督は、守備的中盤のコスティーニャを主将に任命し、それは「ピッチ上の私の声」と言わせるほどだった。だがユーロ予選の序盤で躓いたある試合後、コスティーニャは遠征先で外出禁止令が出ているにも関わらず外出し、酔っ払い、挙句には女性と同伴でホテルに戻ってきたようだ。スコラーリはこれに激怒し代表から追放すると共に、ゴールデンエイジからの世代交代という大博打に打って出た。前回のユーロ大会直前に急遽フィーゴを代表に呼ぶなど、この世代に厚い信頼を寄せると同時に、いつかは行わなければならない世代交代のタイミングを窺っていたスコラーリは、自分の信念を貫きつつそれを脅かす存在を切る勇気を示し、ピンチをチャンスに変えて見せた。ロナウドを筆頭にナニやアンデルソン、モウティーニョといった選手が代表に召集され成長を見せているのも、コスティーニャ事件があったからとも言えることだ。当初からの目標は来年のユーロ制覇だったオランダは、ファンバステン監督の下、急激な世代交代が行われようとしていた。ビッグクラブからだけでなく、国内3大クラブ以外に所属する選手も次々と代表に召集し門戸の広さを示していた。だが目標への通過点であったはずのワールドカップでニステルローイ、ファンボメル、ダービッツなどベテラン勢との確執が表面化し、両者の関係は修復不可能な状況にまで陥った。ここでベテランに代わる若手選手が代表に定着出来ていれば全く問題はなかったのだが、ファンバステンが選んだ選手達がことごとく期待を裏切り続け、結局のところワールドカップ、いやファンバステンが監督に就任して以降、オランダ代表に進化の跡がまったく見られていない。これは選手が期待を裏切ったといういうよりは、たかだか1試合の査定ですぐに見切りをつけるファンバステンに問題があり、ワールドカップでのベテランとの確執の原因でもある。現在ファンバステンには、特に関係者から批判が集中しており「考えを改めるべきだ」「一貫性がない」「柔軟性を見せろ」などと厳しい意見が寄せられている。前回ユーロを制したギリシャは、現在もレーハーゲルが監督を務めている。優勝チームを見ても分るように組織を重要視し、何より規律を重んじる監督ではあるが、そんなチームもいつかは世代交代という壁にぶち当たってしまう。同じグループに固執し続け、どんな批判を浴びようとも若手の召集を拒否してきたレーハーゲルにとって幸運だったのは、ザコラキスなどのベテラン勢が相次いで現役を引退したことで、いやでも若手に切り替えなければならなかったことだ。そして偶然とでも言おうか、キルギアコスやサマラスなどの若手の成長・台頭がベテラン勢の引退と同時期に見られたことだ。これによりスムースな世代交代を完成させることが出来、ユーロ予選でも好調をキープしている。こう見ると、一口に世代交代と言っても各国によって状況は異なっており、時期、出来事、選手層など様々な要因が複雑に入り混じって構成されている。だが結局のところそれらの決断を下すのは監督であり、監督の資質が大半を決めているように思う。トッティとネスタが引退したことで穴が開いたイタリア代表と、それを指揮するドナドーニ。前を向く彼らの視線の先には何が見え、ドナドーニはどんな決断を下すのだろう。ほな、また。
2007.08.04
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8月7日に横浜FMと対戦するために日本にやってくるバルセロナ。昨年12月のクラブ・ワールドカップ以来の来日であり、親善試合とはいえ新加入のアンリを含めエトーやロナウジーニョもメンバーに含まれており(メッシは外されたが)、どんなプレーを披露してくれるのか今から楽しみではあった。多くの海外クラブがシーズン前のこの時期にアジアを含むツアーを行うのは、何と言っても知名度のアップと金が目的である。そうでなければ、わざわざシーズン前の大切な時期に十何時間も飛行機に乗ってアジアまで来るはずがない。クラブの知名度を上げることでグッズ販売による収入アップを狙う、自らのスタジアムまで今度は足を運んでもらい収入アップを狙う。つまりこのようなプロジェクトはまず間違いなくクラブ主導で動いており、選手がそこに口を挟むことは出来なかった。なぜなら選手はクラブに雇用されており、クラブのプロジェクトに口を挟むことは、そのままクラブ批判に繋がるからだ。だが数シーズン前から続くアジアを含むツアーの流行はピークを過ぎ、今シーズンは我がユナイテッドが7月中旬に来日しただけで、あとは今回のバルセロナと2クラブのみである。契約を巡ってキャンセルになったバレンシアや、新潟地震の影響でこれまたキャンセルしたカターニャの例こそあるものの、ツアーを行わなずヨーロッパ近辺で合宿を張るクラブが増えてきたのが現状である。それもそのはずで、シーズン前のこの時期は長いシーズンを戦い抜くための体力を蓄える、そして新戦力を含めた選手間の連携や組織の徹底を図る大切な時期なのである。その時期にクラブのために貴重な時間を削ってまでツアーを行うことで、シーズン中のコンディションが整わず思った結果を残せなかったクラブがほとんどであり、シーズンで結果を残すというクラブとしての大前提が崩壊してしまいかねない事態に陥ったのである。実際これまでは不満を覚えつつ、クラブの発展のためにということで我慢してきた選手だが、ついに公にツアー批判とも取れる発言をしたのがザンブロッタである。「ホームでしっかりとシーズン開始に備えた方が良かったと思う。 遠い場所だし、楽な遠征にはならないだろう。 十分に疲れを取る時間があることを願っている」これが選手の本音だろう。あるいはまだ優しい表現なのかもしれない。特に昨シーズンは自分達のミス・不手際でタイトルを逃したバルセロナのザンブロッタとしては、タイトル奪回のために十分な時間を準備に費やしたかったのかもしれない。ましてや大きなタイトルがかかっているわけでもない。ツアーに出ることで自分達が得られるメリットが見た目に分りにくいこともあるだろう。今シーズンは参加するからせめて来シーズン以降は選手の目線で考えてくれよ、というクラブへのプレッシャーを与えているコメントである。プロだからこのまま我慢し続けて良い顔をしてプレーすればいいのか、それともシーズンをメインとして考えて言うべきことはハッキリと言ったほうがいいのか、第3者としては賛否両論あるだろう。だが、これから彼らの試合を見るのを楽しみにしているファンだっているのだ。少なくとも来日前にこのような発言は聞きたくなかったし、仮に来日して魅了するプレーを披露したところで、「でも来るのイヤだったんだろ?」という思いが頭をよぎるのは間違いない。全力でプレーする必要はない。フル出場する必要もない。ただそれらを分った上で楽しみにしているファンが存在する。それだけは分っていてほしい。ほな、また。
2007.08.03
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先日幕を閉じたアジアカップ。3位決定戦で日本を下した韓国代表のピム監督が、日本戦終了後に辞意を表明した。現役時代は母国オランダのスパルタでプレーし、現役引退後はフェイエノールトなど5クラブの監督を歴任したのち、98年から大宮の監督に就任した。大宮退団後は当時韓国代表を率いていたヒディング監督(現ロシア代表監督)に誘われ、韓国代表アシスタントコーチに就任。2002年のワールドカップでは韓国代表の準決勝進出に大いに貢献した。ワールドカップ後もヒディングと行動を共にし、PSVのアシスタントコーチに就任。だが2003年7月、ヒディングの元を離れ京都の監督に就任したが結果が出ず、解任。2006年ワールドカップ終了後、アドフォカート監督の後任として韓国代表監督に就任した。ピム監督は辞任の理由を明らかにしていないが、メディアやファンからの批判が1つにはある。アジアカップでは6試合でわずか3得点。しかも決勝トーナメントに入ってからは無得点で、全てスコアレスドローのままPK戦までもつれこんでいる。結果的に3位となり次回アジアカップの予選免除という課題はクリアしたものの、決定力不足が批判の対象になっているのは明らかだ。プレミアリーグに所属するパク・チソンやソル・ギヒョンなどの主力が怪我などを理由に欠場していたとはいえ、ファンやメディアの間では「ヒディングなら結果は違っていた」と考える人もいるようだ。それほど彼らにとってヒディングという名前は神格化されており、2002年は共にベンチに座っていたことからも比較対象として見てしまうのだろう。加えてヒディングの思考を踏襲しているだろうと踏んで協会も契約したのだろうが、それが逆に「新鮮さがない」「大胆さやカリスマ性がない」と酷評されている。自国開催も相成って思わぬ好成績を残したことから「自分達は強いはず」と思い込み、またファンの目が厳しくなったことで結果を急ぎすぎているのは日本でも同じであるが、力量は別にして、ピムの頭には「俺はヒディングじゃない、ピムだ」「最終目標はアジアカップではない」という思いがあったはずだ。にも関わらず結果を急ぎ批判を浴びせる周囲に嫌気が差したことが、3位決定戦前の「決断している」発言と決定戦後の辞任発言だったのである。だが、ファンやメディアの声とは反対に、選手からは監督擁護の声が挙がっている。イ・チョンスなど主力選手自らが「監督の戦術は浸透しており、それで結果が出せなかった自分(選手)たちの責任」「今こそ彼(監督)を守るべきだ」などコメントしており、現場と外野の声に温度差があるのが見て取れる。韓国に敗れ4位に終わった日本でもこのような温度差があり、先の選挙で大惨敗した安倍首相も同様である。首相は続投を明言しているところがピム監督と違うところではあるが、小泉前首相から続く継続路線、一部の経済界から上がる続投支持の声、NOを突きつける外野等々。一国の長と一代表の長では、やはり責任感の大きさは違う。だが与えられた場所で結果を残すという意味では同じ責任を有しており、その大小は関係ない。ピムは辞し、安倍首相は続投表明をした。日本も韓国も、辞めるにしろ続けるにしろ、小さくない混乱がしばらく続くことだけは間違いない。ほな、また。
2007.08.01
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