目の前にうまいものがあるのに、わざわざ他店のメニューを取り寄せて、しかも高い料理をオーダーする。
マ ルチチャンネル再生に関しては、そんなイメージですな。マルチのSACD/DVDA/DVD/BDソフトは持っているのにステレオ再生だけしているなん て、まさしく目の前のうまい料理を食い逃しているだけ。新しい投資が必要なのはわかるけど、高額ケーブルなんて導入したって、物理的にマルチチャンネル再生の領域になんて到達しないんだから。
マルチチャンネル再生の効用をわかりやすく、かつ的確に表現したのは、オーディオベーシック誌44号 牧野良幸
氏の 「オーディオ小僧の食いのこし」
だと思います。氏は5.0ch再生で(我が家は4.1ch or 4.0ch)、マルチチャンネルを楽しまれているようです。
その一部を引用させていただくと、
一般にサラウンドというと「前後左右から音が飛びだしてくる」と思う人が多い。昔の4チャンネルやDVDのイメージがあるからだろう。
しかし実際にマルチチャンネルを聴いてみると、ポップスはともかく、ジャズやクラシックでは、自然な音場なのだった。
よくマルチチャンネルは「ホールで聴いているような臨場感」と言われる。確かにそうだが、そういう疑似体験みたいなものに魅かれたわけではない。それだったらディズニーランドのアトラクションと同じである。
オー ディオ小僧が魅かれたのは、それがホールでも、スタジオの響きでもかまわないのだが、マルチチャンネルだと楽器の音が残響音を含んで、音が繊細でリアルに なるのは言うまでもなく、楽曲がとても聴きやすくなるということだった。「オーディオとして」ということより「音楽として」自然な響き。音自体も、 SACDでとてもいいのだから、これはハマった。
あと、夜ゆったりと聴くマルチチャンネルの、なんとも心地よいことよ。ボーカル物などがそう。たとえるなら、温泉の湯に入ったあの瞬間だ。
「ふぇ~・・・・・いい・・・・・」
心身ともにそうとうユルくなっているのがわかる。
実践者ならではの、実に的を射た感想だと思います。特に後段の「 「オーディオとして」ということより「音楽として」自然な響き。
」や「 夜ゆったりと聴くマルチチャンネルの、なんとも心地よいことよ。
」 はまさにその通り。会社から帰って聴くマルチチャンネルはすんごいストレス解消になるんですよ。音楽の海に自分が浮いているような感じになるもの。オー ディマニアは分析的すぎて、純粋に音楽を楽しめないところがあるでしょ。それから解放される。特に最近は派手な全周定位のソフトが少なく、より自然です。
それに関しても牧野良幸氏は実に的確な挿絵を描かれていまして、そこのコメントとして、
(鎧を着て)ステレオ再生で聴いている場合。
ううむ、空間の再現性が、奥行き感が・・・・(素っ裸で)サラウンドだと人は無防備になる。
こんな引用より、本当はこの挿絵を実際に見ていただきたい。ホントにこんな感じなんだから (「オーディオ小僧の食いのこし」は単行本化されます)あああ・・・もう音につっこめねーや。だって自然な響きだもん・・・・マルチチャンネルの音の中では、不思議なことに「音楽を聴いてやろう」とか、「オーディオをチェックしてやろう」とか、そういう気負いがまったくなくなるのだ。長年のオーディオ好きの鎧を捨てて、ただ受け入れてしまう自分がいるのである。
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