“Aim in Life”(1982) &“Sugar Bridge”(1983) by The Bluebells
80 年代前半にスコットランドから出てきた新しい音には、単に新鮮さを感じただけではなかった。彼らの歌う歌の中に、それまで溜まっていた何かを吐き出すような、若者の叫びが聞こえるようだった。 「叫び」とはいっても、別に文字通りシャウトしているという意味ではない。言葉を換えれば、「生の声」とでも言おうか。己の魂に逆らわない、ストレートな生の声だ。 このことは、当時僕が飛びついたスコットランドの若者たちを列挙してみれば、わかってもらえそうだ。 aztec camera,Orange Juice,Jesus & Mary Chain,Big Country,Friends Again,The Bluebells... まだありそうだが、とりあえず思いついただけでもこれだけある。 この中では、特に Jesus & Mary Chain と Big Country が、他の4つのアコースティック・バンドとは違う独自の音とスタイルを持っていたと言えるが、当時の僕にとって、スコットランドから出てきた新しいバンドという意味では、共通していたのだ。もちろん、スコットランドだから飛びついたというのではなく、飛びついたら、たまたまスコットランドだったということだったんだけどね。
ブルーベルズ (The Bluebells) には、非常にスコットランドのにおいを強く感じる。 ビッグ・カントリーのようなバグ・パイプを連想させるギター・サウンドを使っているわけでもなく、プロクレイマーズ のようにスコットランド訛で歌っているのでもない。でも、「スコットランドだ」と思わせる何かを持っているのだ。
バンド名の "bluebell" は、「スコットランドの釣鐘草(ツリガネソウ)」のことである。このスコットランドでもっともポピュラーな花を、そのままグループ名にしているのだから、ブルーベルズがスコットランドと結びつくのは、仕方ないことだ。 ところで、『スコットランドの釣鐘草』という歌はご存じだろうか。原題は "The Bluebell of Scotland"。日本語の歌詞が付いて、明治以降我が国でも盛んに歌われたスコットランド民謡の一つで、我々の世代から上の人たちにはとてもおなじみの歌だ。僕が初めてブルーベルズの名前を目にしたとき、真っ先に連想したのはこの歌だった。