相川彰一の Keep Walking ~歩き続けよう~

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カテゴリ: 小説
★毎週土曜日の朝に連載している小説の続きです。

===

 「ところで前田くん」と木村はボクとは正反対の落ち着いた口調で訊いてきた。「小石さんと最近話する?私、前田君と違ってマメじゃないから、どうしてるのかな?と思って」

 小石さんとは、大学時代に教職の授業でお世話になった小石教授の奥さんの名前だった。小石教授には授業の内外でとてもお世話になったが、五年前に癌のため他界した。何回かお見舞いに病院に行ったときに知り合ったのが小石さんだった。その後、ボクは小石さんに木村と押田さんという二人の友人を紹介した。

 「そう言えば、ここずっと連絡が取れてないんだ。確か・・・一番最後に話したのが一ヶ月ほど前だったかな。相変わらず元気で、確かハワイ留学を目指すんだと張り切ってた」
 「小石さんってパワフルな人生送ってるよね。小石さんにも会いたいから、もし連絡を取ることがあったらよろしく伝えといてな」
 「分かった。じゃ、橋本さんの件、よろしく」
 そう言って携帯のスイッチを切った。喜びの余韻にボクはしばらく浸った。そして早速机に向かい、電子メールを立ち上げ、“彼女”にメールを打つ準備をした。いつもは気にならない起動までの時間がとても長く感じた。Windowsのロゴが表示され、様々な設定が機械的になされていく。せかすように何度もキーボードの<メール>のボタンを押すのだが、そんな焦る気持ちをバカにするようにコンピュータは淡々と作業をこなしていった。やっとメールのソフトが起動した。自動的に受信メール数送られてきたが、そんなものには気にも留めず<新規作成>をクリックし、<宛名>に“彼女”のアドレスを入れた。


 こんばんは。その後の調子どうですか?新しい仕事には慣れましたか?橋本さんにぜひ紹介したい友達(女性)がいます。名前は、木村知子さんといいます。大阪の貿易会社で働いて、ボクと同じ大学の出身です。留学経験もあり英語力があると同時に、アフター・ファイブには翻訳の学校に通って勉強している努力家でもあります。橋本さんがチャレンジしている翻訳の良き先輩として、きっと力になってくれると信じています。
 そこで、彼女に橋本さんのメルアドを教えてもいいでしょうか?以下は木村のアドレスになります。
 tomoko_fight!@yahoo.co.jp
 忙しいと思いますが、返事下さい。

(追伸)もし橋本さんが良ければ、三人で会う機会を作りたいと思っています。

 数日後、“彼女”から返事が来た。三人で会えるのを楽しみにしています、との返事だった。歓喜の歌が再び頭の中でこだました。

<続く>





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Last updated  2006年06月03日 06時16分40秒
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