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2016年06月04日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
小説「宣告」で最も印象に残ったのは主人公である死刑囚の母親である。

いよいよ処刑が告知され、最期の時間をともにすごすことが許された時には「こんなに若いのに、私が代わりたい」と泣く。いよいよ朝になると処刑場に向かう護送車の前に飛び出して、車を止めようとする。
この母は小説の人物であるが、実際にもこういうものなのだろう。
死刑が残酷だとしたら、それは死刑囚に対してだけ残酷なのではない。
その親にとっても、やはり残酷な刑罰なのだろう。
*
そういえばオウム事件のある死刑囚の母の記事を読んだことがある。
地元の進学校から公立医科大学に進んで医師になり、学業だけではなく、スポーツマンで友人も多く、ある時期までは申し分のない息子だった。それがオウムに入り、弁護士一家殺人など数々の凶悪事件に関与した。

麻原は医師を志望したがかなわなかった、柔道をやったけど盲人のハンディはあった。それに比べ、この実行犯は晴眼で柔道の有段者で、医師で、暖かい家族、多くの友人、可愛い恋人がいた。そして障害者を対象としたボランティア活動も行なっていたという。たしかに…自分が麻原のような境遇で、そして自分の運命に不条理なものを感じていたとしたら、実行犯のような人間をとことん憎むだろう。泥沼でもがいている人が遠くのお花畑を気持ちよさそうに歩いている人を見た時の憎しみ。人間にはたしかにこんな心理もある。
評論家が口をそろえてひところいっていた「マインドコントロール」なるものはなんの説明にもなっていない。そんな魔法のようなものがあるわけがない。実行犯の犯罪は実行犯の責任ではないか。かれらは恵まれすぎるほどの能力と知能があったのではないか。たしかにそう思うのだが、もしかしたら麻原は実行犯を憎くて、犯罪者に、そして死刑囚にしたのかもしれないという一抹の不気味さはぬぐえない。
実行犯の母の話に戻る。
代われるものなら代わりたいとこの母も言っていた。そして、自分の産んだ子だから、心だけは元に戻してやりたいとも…。最近読んだ報道では今でもニ月に一度は拘置所に面会に行っており、その際には、必ず弁護士一家の墓にもお参りにいくのだという。
小説「宣告」を読みながら、実際の事件でのこの母の話を思い出していた。






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最終更新日  2016年06月05日 10時49分27秒
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