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2025年01月09日
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カテゴリ: 読んだ本



ところが最近同じタイトルのアニメ映画が作られヒットしたのかしなかったのかはよくわからないが、この本が再び話題になったことがあったので、読んでみた。
物語りは主人公のコペル君が叔父さんと二人で銀座のデパートの屋上から街をみおろす場面で始まる。この本が完結したのが昭和12年なので、その頃を念頭に置いた情景だろう。七階建ての屋上から見る街には自動車が後から後から走ってくる。タクシーや業務用車両などの第一次モータリゼーションは既にこの頃始まっていた。日本にも超高層ビルが出現する以前は七階建ても十分に高く、「車がマッチ箱のように見える」というのが、高い建物から街を見下ろした際の常套的な表現になっていた。
コペル君は中学二年生で小柄だが成績優秀な少年。銀行に勤めていた父は二年前に亡くなり、郊外の家でばあやと女中、そして母子の四人で暮らしている。生活に窮している様子がないのは、この時代には地代や家賃などの資産で暮らしている人がかなりいて、母にもそうした資産があったのだろう。法学士の叔父さんがよく家にやってきて、「コペル君を立派な男にする」という父との約束を果たすために、コペル君に自分の考えを書いたノートを渡して考えさせるということで物語がすすむ。
それにしても戦前は格差の厳しい社会であった。コペルが見下ろす東京の街でもコペル君と同じ年代の小僧さんが必死で自転車をこいでいた。当時の中学校進学率は20%かそこらであった。中学校の中でも高輪の高台に住む友人の母親は政財界の有力者の子供と友人になるようにすすめ、一方で豆腐屋の家の友人は家業を手伝わなければならない上、貧乏人の子と虐められていた。もちろん現実には中学校にも通えない家の子供も大勢いた時代である。
コペル君はものごとを社会全体という大きな視野でみることや自分の過ちへの対処の仕方などを、自分なりに、時には叔父の助言も受けて学んでいく。思春期には誰もがとおる道であり、その意味でこの本は今の時代に読んでも古びていない。





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最終更新日  2025年01月09日 06時31分07秒
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