とある田舎の喫茶店

とある田舎の喫茶店

2005年06月05日
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カテゴリ: 自作小説
第十一話


「でもほむら、ホントよくわかったね、自分を討てってこと。」

「ああ、それはな、敵の命中率がおれと変わらなかったからだよ。」

「命中率?」
神無月は首をかしげる

「そう、考えてもみろよ、おれたちの分身は攻撃力も防御力も回避力もおれたちよりも数段高かった。でも命中率だけはおれと変わらなかったんだ。
だからピンときたんだ。
命中率は自分と変わらない、ってことは相手が自分をソッコーで倒すつもりがなかったからなんだって」

「どういうこと?なんでそんなことを?」

神無月は焔の言いたいことがいまいちわからない

「敵はおれたちが謎を解くための時間をあげる必要があったからだよ。いくら攻撃力が高くてもおれたちに当たらなければどうってことはないからな。
かんな、おれたちの分身の回避率が高いってのはどういう意味かわかるか?」

神無月は少し考えて言った。

「えっと・・・攻撃が効かないってことをきづかせないため?」

焔はうなづく

「そう、おれたちは攻撃が効かないことに気づかなければいずれやられていたからな。
それともうひとつ。いつか攻撃が当たって、『避ける必要がないのに避けている』、ってことをおれたちに気づかせるためだったんだ。」

焔の言葉を聞いて神無月はあれっ?と首をかしげる

「・・えっ・・おかしいじゃない!」

「そうだ。これは矛盾しているんだ。
敵は自分を倒さないようにするためと、自分を倒すすべを考えさせるための二つの意味で回避能力が高く設定されていたのさ。
ようはおれたちにヒントをくれていたのさ。一見、おれたちを倒すためにしている行為も裏をかえせば敵は自分を倒させようとしていたってこと。
そこにきづくことがあのイベントの鍵なんだよ
あと回避能力が高かったのは自分より数段回避力が高い相手に一撃をいれられるかっていうこともテストしていたんだと思うよ♪」

「そうなんだ・・・それにしても答えが自分を討つことだったなんてね・・」

「ほんと意地悪なイベントだったぜ。はじめのガイアタートルを倒してレベルが2もあがったのはこれにつながってたんだな。
レベルが2もあがれば普通は自分を討つことにためらいを感じるだろうからな」

神無月は焔の洞察力に感嘆した。

「なるほど・・・ほむらってもしかして、天才?」

「そんなことないさ。戦ってるときはそんなに深く考えなかったし、今のは終わってから気づいたんだよ」

「それでもすごいよ、ほむらは。結果的に答えを出したんだから」

「う~ん、ありがと・・でも今回はホント楽しかったなぁ。まさかクリアできるとは思ってなかったよ。レベルも2個上がったし・・それにしても火猩!はやくつかってみてー!」

神無月ははしゃいでいる焔の姿を見てクスクスと笑った。

「な、なに?」

「いや、ほむら、ホント楽しそうだなーって」

焔はいつのまにか自分が「The World」にのめりこんでいることを自覚して少し照れくさそうに言った。

「あ~・・うん、楽しいよ! 今はかんなと会う前とは比べ物にならないくらいワクワクしてる。これもかんなのおかげかな?(笑)」

「それはお互いさま^^ たしかにおんなおもしろい体験、リアルじゃ絶対できないもんね」

「言えてる^^ リアルもこれくらい楽しかったらな~。」

「リアルじゃできないからいいんじゃない!(笑)」

「そうだな・・・でもな~。学校もこれくらい楽しかったらっておもっちゃうよな~」

「・・・・」
沈黙


「ん? なに?」

「・・・・ほむらって学生なんだ・・・」

「あ・・・」

ほむらは言葉を失った。

「・・やっちゃったよ・・で、でも、なんとなくわかってたでしょ?おれが学生だってこと。」

「うん、まあなんとなくは」

「なら全然オッケ^^」
焔は開き直った。

「ねえ、ほむら?」

「ん?なんだ?」

「私ってリアルだと何歳くらいだと思う?」
神無月はいたずらっぽい笑みを見せた。

「・・・おれと同じ学生だろ?」

「なんでそう思うの?自分で言うのもなんだけど、私みたいな社会人もたくさんいると思うよ?」

「・・いや、この前、宿題がどうとか言ってたし・・・」

神無月は焔の言ったことをすぐには理解できなかった。

「ええっ!そんなこと言ったっけ!!??」

神無月は信じられないといいたそうな顔をしている。

「うん、はじめてあったとき、独り言で。」

「あちゃー、私もやっちゃってたんだー。」
神無月はがくりと頭をたれた。

「そんな落ち込むことじゃないだろ。それにそれを聞いてなくても多分学生だってわかってたよ。お姉さんっぽいところがあっても、なんかおっちょこちょいなところとか無邪気なところとかあったし」

神無月の顔に朱がさす
「なーんだ、バレてたんだ。ほむらの言うとおり。私は学生よ。
お姉さんっぽくしてるのは私の願望ってとこかな? こんな人になりたいっていう。
でも性格はリアルのまんまだけどね。もしかしたらほむらより年下かもよ(笑)」

「そうだったら驚きだな。 かんなはリアルのことは隠すタイプなのか?」

「うんまあ、基本的にはね。 でもバレちゃったら全部言っちゃうよ。そういうほむらは?」

「おれはとくに隠すつもりはないよ。たいしてロールもしてないしね。ま、当然自分から言うことはないけどね♪」

神無月は少しだけ悩んで言った
「じゃあさ、年とか聞いちゃってもいい?」

「ああ、全然かまわないよ。おれは今16歳の高校2年生だ」

「2年生かぁ・・私とおんなじだね♪」

ほむらは目を思いっきり見開いた。
「同い年ぃ!?・・・ひとつかふたつは上だと思ってた・・・っていうか言っちゃって良いのか?」

「さっき言ったでしょ。バレちゃったら全部言うって。それに私が聞いといて私が答えないのはフェアじゃないよ」
笑顔で言う

「そうかなぁ?・・それにしても同い年か・・・けっこうビックリだな・・・」
そこでほむらはあることを疑問に思った。

「・・ちょっと待てよ? かんなは前の『The World』のころからプレイしてるって言ってたよな。
『The World2』がでたのは3年前だろ、んで『The World』と『2』の間には1年空いてる。
ってことは・・・中1のときにはもう『The World』をプレイしてたのか!?」

神無月はたんたんと答える。
「うん、そうだよ。正確には小学校6年生の後期からだけどね」

「小学校・・・かんなってかなりのゲームオタクなんだな」

すると神無月はいやそうな顔をした。
「むっ! なんかその言い方イヤだなぁ。
たしかに小学校のころからやってるけど他のゲームは全然やってなかったんだよ!
やっていたのは『The World』だけ。知り合いの人がやっていて教えてもらったんだ。」

「同じ小学校で『The World』プレイしてるやつなんていたのか?」

「さあ・・・少なくとも同じクラスにはいなかったなあ・・そのころ『The World』ってトラブルつづきでなんか人気落ちてたし・・。何度もクラスの子を誘おうとしたんだけどね、結局誘えなかったんだ。だからずっとソロプレイ。」

「ふ~ん。・・もしかして好きな子だったりして♪」
焔がちゃかすように言った

すると神無月は照れくさそうに言った
「まあね。あのとき誘っとけば私の人生も変わってたかなーって前は思ってたよ。今はもう未練ないけど」

「なんで?」

「は? なんでって・・そりゃほむらと会えたからに決まってるじゃない。」
神無月は当然だと言わんばかりに言う

焔は意表をつかれて言葉に迷う。
「・・・おれはそう言われてどうこたえりゃいい?」

「そりゃこう答えればいいのよ!『おれもかんなと会えたことが今までの人生の中で一番の幸せだよ!』・・って(笑)」

「そんなはずかしいこと言えるか!」

「ほむらったら照れてる~~☆」

「からかうなーー!」
二人は笑いあった。

しばらく笑いあったあと焔が言った。

「まあ、あながち嘘じゃないけどな」

突然のほむらの言葉に神無月は戸惑った。
「な、なに?いきなり」

「おれさ、かんなと会うまでホントに人生がつまらなかったんだよ。もっと刺激がほしかった。だから『The World』をはじめたんだけどね。でもずっとソロプレイですぐに飽き始めてたんだ。・・かんなとあえてホントによかったと思ってるよ、おれは。」

そう言われた神無月は顔を背けた。
「な、なによ。なんだかこっちが照れるじゃない^^」

「気にすんなって。おれってときたまこういう堅苦しいこと言うんだ」

「・・・なんかほむらって私が『The World』に誘えなかった子と似てる気がするのよねぇ。ただの感傷かもしれないけど(笑)」
神無月は苦笑した。

「・・・つらいことを忘れるってことも必要だと思うけど、覚えておくってことも大事なことだと思うよ、おれはね。」

「・・・そうだね」
しばらく沈黙が流れた。

「・・・じゃあ今日はこれで落ちるね。今日は楽しかったよ☆また『The World』をプレイするときは誘ってね。絶対よ!誘ってくれなかったらすねるからね!」

「・・・すねてるかんなも見てみたいな(笑)」

「バカなこと言ってないの!^^それじゃあバイバイ♪」

「うん、おれも楽しかった。バイバイ」

そういって二人はログアウトした。





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最終更新日  2005年06月06日 00時14分31秒
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