近代日本文学史メジャーのマイナー

近代日本文学史メジャーのマイナー

Calendar

Archives

・ 2026.10
・ 2026.09
・ 2026.08
・ 2026.07
・ 2026.06
・ 2026.05
・ 2026.04
・ 2026.03
・ 2026.02
・ 2026.01
全て | カテゴリ未分類 | 明治期・反自然漱石 | 大正期・白樺派 | 明治期・写実主義 | 昭和期・歴史小説 | 平成期・平成期作家 | 昭和期・後半男性 | 昭和期・一次戦後派 | 昭和期・三十年男性 | 昭和期・プロ文学 | 大正期・私小説 | 明治期・耽美主義 | 明治期・明治末期 | 昭和期・内向の世代 | 昭和期・昭和十年代 | 明治期・浪漫主義 | 昭和期・第三の新人 | 大正期・大正期全般 | 昭和期・新感覚派 | 昭和~・評論家 | 昭和期・新戯作派 | 昭和期・二次戦後派 | 昭和期・三十年女性 | 昭和期・後半女性 | 昭和期・中間小説 | 昭和期・新興芸術派 | 昭和期・新心理主義 | 明治期・自然主義 | 昭和期・転向文学 | 昭和期・他の芸術派 | 明治~・詩歌俳人 | 明治期・反自然鴎外 | 明治~・劇作家 | 大正期・新現実主義 | 明治期・開化過渡期 | 令和期・令和期作家
2026.01.10
XML
『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ(集英社)
  『少女は卒業しない』朝井リョウ(集英社)

 今回は2冊まとめて読書報告してみますね。
 2冊まとめてというのは、久しくしませんでしたが、読み終えた今でも、内容が微妙に私の頭の中でこんがらがっているからであります。
 そこで、とりあえず私のこの2冊との出会いを時系列でまとめてみますね。

 私はまず、『少女は卒業しない』の映画を見ました。(監督・中川駿)
 ちょうど少しまとめていわゆる「青春映画」というものを見ていた時期で、(旧い映画も見ましたよ。『若者たち』とか。)その一環としてアマゾンで見たんですね。

 するとこれがけっこう面白くて、かなり感心しました。
 そしてこの面白さはいったいどこから来るのだろうと思いまして、見ると原作は朝井リョウとあります。(私のごく偏っている映画の評価として、やはり原作や脚本がまずしっかりしてないと面白くないんじゃないか、というのがあるんですね。いえ、全く賛同しない方々がいらっしゃることは、それなりに知っていますが。)

 小説家朝井リョウの名前は、一応知っていました。しかしまだ一冊も読んだことはなく、私の知っていたことは、上記の『桐島、部活やめるってよ』という作品が一時話題になっていたという程度でした。

 ベストセラー小説を読むか読まないかというのは、一種の見識であるという意見から、歪んだ選民意識(ナルシズム)であるという意見まで様々ありますが、私はどちらかというとあまり読まない派で、そのために面白い作家を見落とすということは結構あったと思っています。(多分、今回の報告もそんな一例かなと思います。)

 で、図書館に行ったんですね。
 すると、『少女は…』は、借りられているじゃありませんか。仕方がないので、予約をして(予約順は少ない番号でした)、そして、いい機会だからと、この『桐島、…』を借りたんですね。

 そして、読みました。
 とっても、面白かったじゃありませんか。一気読みでした。
 ちょっとびっくりしまして、あれこれ考えているうちに、『少女は…』の本が届いたとお知らせが来て、私は勇んで図書館に行き、わくわくしながら(あー、今からこの本が読めるというわくわく感は、いったいどのくらい久しぶりでしょうか。)読みました。
 ところが……。

 ……えっ? なんか、違う。
 あまり面白くないんですね。いえ、本を放り出すほどの面白くなさ、というわけではありません。一応、先に映画で見ていることもあって、私の側の小説に対する好意的先入観は十分にあったと思うのですが、あ、いえ、ひょっとしたらそれがよくなかったのかも知れません。期待しすぎ、というやつですね。

 とにかく、私はそれなりに本書を読みました。「それなりに」という感覚をまさに持って。で、私は、混乱したわけです。そんなことって、あるだろうかと。
 『少女は』映画→〇、『桐島』小説→〇、しかし、『少女は』小説→……うーん。
 ……こういうことも、あるのかなぁ……と。

 で、私が次にしたことは、想像がつくと思いますが、『桐島』の映画を見ることでした。(監督・吉田大八)
 で、見ました。2回見ました。(2回見たのは、映画は複数回見たほうがよくなるという「持論」に従ったからです。)
 で、その感想ですが、これもあれこれ迷いましたが、もー、ざっくりまとめると、『桐島』については、小説と映画は別物である、という我が(偏見的)理解でありました。

 そもそもメディアが違うのですから、小説と映画の内容が若干異なっていても、それはそういうものだろうということくらいは私も知っているつもりであります。
 でも、今回の2作品は、これは究極的に別物だろうと、私は思わざるを得ませんでした。いえ、だからどちらかが劣っているということではないつもりです。
 それが合うのかわからないながら、日本古典文学的マニアックな例えでいいますと、この二者の関係は、紫式部『源氏物語』と江戸期の柳亭種彦『偽紫田舎源氏』の関係(って、よくわかりませんよねー)みたい、かな、と。
 少なくとも、紫式部の古典原文と例えば瀬戸内寂聴現代語訳『源氏物語』との関係と同種のものではない、と。

 というわけで、今回の読書報告は、「読書報告」というにも羊頭狗肉感のあるものではありました。
 しかし、ごくごくシンプルに私の読後感想を述べますと、とにかく小説『桐島』は、活きの良さ、新鮮感全開という感じでした。

 斬新なタイトルと、「桐島」存在についての意表を突く展開、青春小説の諸要素(友情・恋愛・家族・未来・不安等)をすべて含みつつ、私が何より素晴らしいと思ったのは二つです。

 一つ目は、微妙に未熟さも含みつつ、丁寧としっかり書き込んでいる感性的な文体。
 二つ目は、19歳の筆者の意気込みをひしひしと感じることのできるデビュー作に独特の気迫。

 私はこの二点にとても魅力的なものを感じました。
 そして逆に言えば、この二点の不足こそが、そのまま『少女は』について私が感じたやや不満足な思いの原因でもあったように思います。(デビュー作独特のものうんぬんはもちろん無理筋ではありますが。)

 ともあれ私は、リアルタイムでのこの筆者の活躍ぶりについては全く知りませんが、大いに興味深いものと感じる次第であります。
​

​​よろしければ、こちらでお休み下さい。↓ 
   ​ にほんブログ村 本ブログ 読書日記





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2026.01.10 12:49:46
コメント(0) | コメントを書く
[平成期・平成期作家] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Favorite Blog

映画の時間 深田晃… New! シマクマ君さん

やっぱり読書 おい… ばあチャルさん

Comments

analog純文 @ Re:「バイブス」「ペニー」「キャパい」「ガンダ」(08/08)  シマクマ君さん、コメントありがとうご…
シマクマ君 @ Re:「バイブス」「ペニー」「キャパい」「ガンダ」(08/08)  ボクも読みました。結構素直な作品とい…
analog純文@ Re:主人公の心情がよくわからない(06/14)  シマクマさん、コメントありがとうござ…
シマクマ君 @ Re:主人公の心情がよくわからない(06/14)  昔、この作品が出たころ読んで面白かっ…
シマクマ君 @ Re:思っていたよりも「重く」ない(02/21) 純文さんへ  あたたかいお返事ありがとう…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: