本の虫の読書ノート

本の虫の読書ノート

2023.09.19
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カテゴリ: 時代小説

山本周五郎の名前は知っていましたが、作品を読むのは初めてです。




天保五年正月6日の夜半、「むさし屋喜兵衛」の別宅で火事があった。
むさし屋は日本橋にある薬種屋で、隣で油屋も兼業している資産家だった。

焼け跡から3人の死体が見つかり、男女の見分けがつかないほど焼けていた。

亀戸天神に近い白河端に「むさし屋喜兵衛」の別宅があり、
普段は妻のおそのが住んでいた。

喜兵衛は婿養子で、妻のおそのは喜兵衛を疎んじて若い男と遊び惚けていて、
父親を思う娘のおしのは、次第に母親に嫌悪を抱いて、母親を嫌っていた。

3年前から喜兵衛は労咳(肺結核)を患っていて、大晦日の日に倒れてしまう。
最後の日を父親の傍にいて欲しい、と懇願する娘に母親は拒否する。

最後の日、喜兵衛は「おそのの所に連れて行って欲しい。言いたいことがある。」
立ち上がれないほど弱ってしまった身体なのに、そう何度も言い続けていた。

戸板に乗せても連れて行って欲しいと繰り返す父親に負けて、
おしのは共を連れて別宅へ行くが母親は留守だった。

喜兵衛は、別宅へ着く前に亡くなってしまった。

そして、父が死んでしまってから若い男と帰ってきた母親に怒りをぶつける娘。
その娘に、あんたは喜兵衛の子ではないと告げた母親。

その夜は、喜兵衛と妻と娘の3人しかいなかったという証言から、
焼け後の3人の死体は、喜兵衛、おその、おしのと判定した。


それからのち、男が殺され椿の花弁がひとつ残されるという事件が相次いだ。
どの男も女にだらしのない無責任な男ばかりだった。

ネタバレになるのでこの辺で。


山本周五郎さんの文体は柔らかく読みやすいですね。
江戸時代の描写も生き生きしていて、楽しめました。

多分、若い頃だったら時代物らしい呼び名に退屈して
投げ出していたかもしれません。


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Last updated  2023.09.19 11:52:19
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