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2011.01.14
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 運び込んだアンタレスの顔をひと目見るなり、ケンタウロスは顔を曇らせて、首を横に振った。


 そして、ケンタウロスの言葉どおり、リュキア神殿にアンタレスを連れて行くと、礼拝堂の隅に横たえたアンタレスを見下ろしながら、神官は、こともなげに言った。
 「この方のお体は、私たちの祈りが一切届かないような、特別な毒に冒されています。 もっとも、まだ毒は全身に回っておりませんから、今なら解毒剤を用いれば毒を消すことができますが、お薬は少々お高うございます」

 神官の告げた金額は、レグルスたちのような一介の戦士風情には、とても払える金額ではなかった。 レグルスは驚くより先にあきれて、その神官の顔を、穴のあくほどまじまじと見た。
 「・・・冗談を言ってるのか? 国家予算の話をしてるんじゃないんだぞ。 そんな大金、我々に払えるはずがないだろう」

 神官はけろりとして答えた。
 「冗談ではございません。 もちろん、あなたさまに限らずどのような方にとりましても、これだけの金額を御用意なさるのは容易ではないこと、よく承知しております。 たくさんのお友達や御先達など、多くの方々のお力にすがらなければ、とうてい達成かないますまい。 ただ、毒が全身に回るのを遅らせることは可能。 その処置はすぐにいたしますから、あわてることはありません。 どうか今一度、ゆっくりとお考えくださいませ。 この方がもとどおりお元気になられることが、あなたさまにとりましてそれほど重要なことなのか、あなたさまの周りで、それほど多くの方が、この方の御回復をお望みになっているものかどうか。 それがこの金額の意味するところでございます。 どうかよくよくお考えになったうえで、またこちらにおいでくださいませ。 それまで、この方のご身体は、このままの状態で、こちらで責任を持って保護させていただきます」

 気遣わしげにアンタレスに付き添うベテルギウスが、苦渋の表情でつぶやいた。

 立ち上がったベテルギウスが、神官にたずねる。
 「金は、必ず用意します。 時間はどのくらいありますか? ・・・つまり、貴殿ができる限りの延命処置をしてくれたとして、アンタレスの命は、どのくらいもちますか?」

 横たわるアンタレスの全身を見下ろした神官が、フードの下で、かすかに笑った気がした。
 「それは、このかたの生命力によりますが、見たところ、ずいぶんお強い生命力をお持ちのようですよ」

 神殿を出ようとしたとき、玄関のところで神官がまた、二人を呼び止めた。
 「ちょっとお待ちください。 先ほどから気になっていたのですが、実はお二人とも、お体に妙な邪気が憑いているのです。 そのままではいけません。 祓って差し上げますから、ほんの1分、その場にちょっとお膝をついて、お二人のおつむに触らせてください」

 言われるままに膝をついた二人の前に、神官が、小さなトゲのたくさんある、草の実のようなものを見せて言った。
 「これはお祓いのための種。 これを頭の上に乗せておけばあらゆる邪気が払えます」

 二人の髪の毛にその実を押しつけると、神官がたずねた。
 「アンタレス、って、誰ですか?」

 一瞬、くらりとめまいがしたような気がした。


 それが『忘却の種』という呪術であることを、レグルスもベテルギウスも知らなかった。





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最終更新日  2011.01.14 21:08:57
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