突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

お気に入りブログ

神の祝福 第1話 千菊丸2151さん

小説 「scene clipp… マトリックスAさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん
ゆっくりね ラブドルフィンさん

コメント新着

風とケーナ @ ご完結おめでとうございます.:*・☆ ふろぷしーさま、こんばんは♪ この度は、…
ふろぷしーもぷしー @ 千菊丸さま☆゚・*:.。. いつもありがとうございます☆ わずか一、…
2011.01.14
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 運び込んだアンタレスの顔をひと目見るなり、ケンタウロスは顔を曇らせて、首を横に振った。
 「これはだめだ。 毒針に刺されたな。 しかもこれは、対ジャムルビーのための猛毒。 標的の血管に入ると、ゆっくりとその全身をめぐって心臓の動きを止め、その後は、ジャムルビー神殿の切り札である、復活の秘法も使えなくなってしまうのだ。 無理にその秘法を用いて生き返らせようとすれば、死体は灰と化し、永久に失われてしまう。 息のあるうちに神殿に連れて行けば、あるいはジャムルビーの解毒薬を調合処方してもらえるかもしれないが、それには、目の玉の飛び出るような金額を要求されるだろう。 ともかく、指に刺さったこの毒針だけは抜いてやるが、それ以上のことは、私にもどうしようもない」

 そして、ケンタウロスの言葉どおり、リュキア神殿にアンタレスを連れて行くと、礼拝堂の隅に横たえたアンタレスを見下ろしながら、神官は、こともなげに言った。
 「この方のお体は、私たちの祈りが一切届かないような、特別な毒に冒されています。 もっとも、まだ毒は全身に回っておりませんから、今なら解毒剤を用いれば毒を消すことができますが、お薬は少々お高うございます」

 神官の告げた金額は、レグルスたちのような一介の戦士風情には、とても払える金額ではなかった。 レグルスは驚くより先にあきれて、その神官の顔を、穴のあくほどまじまじと見た。
 「・・・冗談を言ってるのか? 国家予算の話をしてるんじゃないんだぞ。 そんな大金、我々に払えるはずがないだろう」

 神官はけろりとして答えた。
 「冗談ではございません。 もちろん、あなたさまに限らずどのような方にとりましても、これだけの金額を御用意なさるのは容易ではないこと、よく承知しております。 たくさんのお友達や御先達など、多くの方々のお力にすがらなければ、とうてい達成かないますまい。 ただ、毒が全身に回るのを遅らせることは可能。 その処置はすぐにいたしますから、あわてることはありません。 どうか今一度、ゆっくりとお考えくださいませ。 この方がもとどおりお元気になられることが、あなたさまにとりましてそれほど重要なことなのか、あなたさまの周りで、それほど多くの方が、この方の御回復をお望みになっているものかどうか。 それがこの金額の意味するところでございます。 どうかよくよくお考えになったうえで、またこちらにおいでくださいませ。 それまで、この方のご身体は、このままの状態で、こちらで責任を持って保護させていただきます」

 気遣わしげにアンタレスに付き添うベテルギウスが、苦渋の表情でつぶやいた。

 立ち上がったベテルギウスが、神官にたずねる。
 「金は、必ず用意します。 時間はどのくらいありますか? ・・・つまり、貴殿ができる限りの延命処置をしてくれたとして、アンタレスの命は、どのくらいもちますか?」

 横たわるアンタレスの全身を見下ろした神官が、フードの下で、かすかに笑った気がした。
 「それは、このかたの生命力によりますが、見たところ、ずいぶんお強い生命力をお持ちのようですよ」

 神殿を出ようとしたとき、玄関のところで神官がまた、二人を呼び止めた。
 「ちょっとお待ちください。 先ほどから気になっていたのですが、実はお二人とも、お体に妙な邪気が憑いているのです。 そのままではいけません。 祓って差し上げますから、ほんの1分、その場にちょっとお膝をついて、お二人のおつむに触らせてください」

 言われるままに膝をついた二人の前に、神官が、小さなトゲのたくさんある、草の実のようなものを見せて言った。
 「これはお祓いのための種。 これを頭の上に乗せておけばあらゆる邪気が払えます」

 二人の髪の毛にその実を押しつけると、神官がたずねた。
 「アンタレス、って、誰ですか?」

 一瞬、くらりとめまいがしたような気がした。


 それが『忘却の種』という呪術であることを、レグルスもベテルギウスも知らなかった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.01.14 21:08:57
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


ななななに~★☆★  
風とケーナ  さん
このイカサマ神官――いえ、イカサマじゃないにしても、
おどろおどろしいオーラを放つコヤツ、
もしやアヤツではなかろうな?!(▼▼メ)

でも、もうこうなったら、どんな形でもいいです、
アンタレスの命が救われるのなら!<(_”_。)>

いつもふろぷしーさんを困らせてばかりの、
超我が侭な読者で本当に申し訳ありませんm(_ _。)m
でも、やっぱり信じています!
必ずアンタレスが元気になってくれる時が来るって…!!
ミラのためにも、絶対!!(。’へ’。)。

(2011.01.14 21:33:46)

なんだあの神官・・  
千菊丸2151  さん
神に仕えるのに何故かケーナさまがおっしゃるように邪悪なオーラを纏っているよぉ~!
アンタレス、助かってくれぇ~!
にしても神官が胡散臭過ぎ・・。 (2011.01.15 13:55:58)

ケーナさま、ありがとうございます!  
そそそそ、イカサマですよねーこいつ!
神官のくせに平気な顔で大嘘ついて、
二人の頭からアンタレスの記憶を盗みやがりました!
おかげで、
アンタレスが毒針に倒れて神殿に担ぎ込まれたことは、
神官たち以外誰も知らない、という事態になっちゃいました。

>でも、もうこうなったら、どんな形でもいいです、
>アンタレスの命が救われるのなら!<(_”_。)>

  ありがとうございます!
  アンタレスも、さぞ心強く感じていることと思います!
  アンタレス、もちろん回復しますよー♪

でも、その前に、
実は、このレグルスの章の前に、
もう一章あったのに気がつきました(´゚。゚`;)ウヘッ!
一章まるっと抜けてたんですわー(+。+)マヌケ!

次回から、それ書きます。(+。+)アチャー。

したがって、
またアンタレス出てきますが、それは、
レグルスと出会う以前のアンタレスです。m(_ _)m ゴメンナサイ・・・


>いつもふろぷしーさんを困らせてばかりの、
>超我が侭な読者で本当に申し訳ありませんm(_ _。)m

  ととととんでもありません!
  困るどころか、ケーナさんには
  いつも大きなパワーをいただいています!
  ほんとうに、ありがとうございます☆.: *:・

(2011.01.15 20:06:46)

千菊丸さま、ありがとうございます!!  
ほんとうにまあ、いけしゃあしゃあと・・・!
コヤツの鉄面皮ぶりには私も開いた口がふさがりませんわよ。

神殿に伝わる預言の書によれば、
生まれ変わったリュキア王(レグルス)は、
自分たちの身内(神官の誰か)を王妃として迎え、
この国を統治することになっているので、
実質的にこの国を支配したい派の神官たちにとっては大切な人(道具?)です。

一方、アンタレスは、
前世で、リュキア王を殺したゴルギアスが、
ボディガードとして飼っていた黒ヒョウの、化身。
常にゴルギアスのそばにいた、しかも凶暴な獣です。
いつ本性に目覚めて王に刃を向けるか、わかったものではないので、
レグルスからはできるだけ遠ざけておきたいのです。

そこで、こういうえげつない手段に出るやつが登場します。

コヤツとか、
アヤツとか、
あ、アイツもそうだ!ヽ(`ε´〃)ノプンプン!!

(2011.01.15 20:41:17)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: