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ふろぷしーもぷしー
突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました。
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神の祝福 第１話
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2011.01.27
カテゴリ： カテゴリ未分類
けれどアルデバランは、ずらりと並んだ品物をよく見もせずに、そのうちの一本をひょいと取り上げ、嬉しそうに頬を紅潮させてアルクトゥールスを振り返った。
アルクトゥールスは、ちょっと驚いて、短刀ではなく、弟の顔をまじまじと見つめた。
おや、こいつめ、こんなにたくさんの短刀の中から、これほどすばやく一本だけ選び出すとは、さては、もうずっと前からこの短刀に目をつけていたんだな。
アルデバランの欲しかったものは、どれでもいい普通の短刀というもの、ではなくて、この、特別な一本、だったのだ。
そう思うと、また、喜びがこみ上げてきた。
アルデバランのやつ、まだ戦ったこともないうちから、たった一つの武器にこれほどの執着を示すとは、戦士としてなかなかの素質を備えているのかもしれないぞ。 アンタレスだって、自分のあの剣に、ダイダロスラームとかいう名前をつけて、心底ほれ込んでいるじゃないか。 戦う者にとって、武器とは自分の手足なのだ。
マルシリオの店の、あの大きな一枚ガラスの扉に、ぺたりと顔をくっつけるようにしてこの棚の上のこの短刀に、熱い視線を注いでいるアルデバランの姿が目に浮かぶような気がして、アルクトゥールスは思わず忍び笑いをもらし、それからようやく、アルデバランの手の、生涯の友となるかもしれない短刀に視線を移した。
――― が、ひと目見るなり、がっかりした。
勇ましい盗賊団の頭領にふさわしいものとは、お世辞にもいえない。
すっかり失望して、アルクトゥールスはため息まじりに弟に言い聞かせた。
「・・・アルデバラン、金に糸目はつけねえ、と言っただろ？ こんなのじゃなくて、一番値のはる立派なやつを選べよ。 おまえの将来を決める大事な買い物なんだぞ。 おかしな遠慮をするんじゃねえよ」
アルデバランが、ぷるぷる、と首を横に振った。
「とんでもない、兄ちゃん！ 俺、遠慮なんかしていないよ。 これ、飛び切り高いんだぞ。 ほら！」
アルデバランの指し示した値札を見ると、なるほど、たしかにその短刀は、ずらりと並んだ外の短刀と比べれば、倍以上の値段がついていた。 が、それにしたって、アルデバランの未来を買う値としては安すぎる。 こんなものなら、アルクトゥールスが張り切って用意してきた金があれば10本も買える。
アルクトゥールスはもう一度、アルデバランの手の短刀を眺めおろし、眉をひそめた。
いやはや、どう見たってみすぼらしい。 これじゃ、懐からぎらりと抜き出して相手を脅しつけようにも、誰も驚かない。
アルクトゥールスの後ろから、肩越しにその短刀を覗き込んだマルシリオが、目を細めて言った。
「ああ、これはいいじゃないか！ これなら、アルデバランにぴったりだよ！」
かちん、ときた。
「なんだと？ マルシリオ、おまえ、俺の弟をなめてやがんのか？ こんな、ちゃちな、安っぽい、しょぼい短刀の、どこがアルデバランにぴったりなんだよ？ ふざけんな、ぶん殴るぞ！」
アルクトゥールスは、ちょっと驚いて、短刀ではなく、弟の顔をまじまじと見つめた。
おや、こいつめ、こんなにたくさんの短刀の中から、これほどすばやく一本だけ選び出すとは、さては、もうずっと前からこの短刀に目をつけていたんだな。
アルデバランの欲しかったものは、どれでもいい普通の短刀というもの、ではなくて、この、特別な一本、だったのだ。
そう思うと、また、喜びがこみ上げてきた。
アルデバランのやつ、まだ戦ったこともないうちから、たった一つの武器にこれほどの執着を示すとは、戦士としてなかなかの素質を備えているのかもしれないぞ。 アンタレスだって、自分のあの剣に、ダイダロスラームとかいう名前をつけて、心底ほれ込んでいるじゃないか。 戦う者にとって、武器とは自分の手足なのだ。
マルシリオの店の、あの大きな一枚ガラスの扉に、ぺたりと顔をくっつけるようにしてこの棚の上のこの短刀に、熱い視線を注いでいるアルデバランの姿が目に浮かぶような気がして、アルクトゥールスは思わず忍び笑いをもらし、それからようやく、アルデバランの手の、生涯の友となるかもしれない短刀に視線を移した。
――― が、ひと目見るなり、がっかりした。
勇ましい盗賊団の頭領にふさわしいものとは、お世辞にもいえない。
すっかり失望して、アルクトゥールスはため息まじりに弟に言い聞かせた。
「・・・アルデバラン、金に糸目はつけねえ、と言っただろ？ こんなのじゃなくて、一番値のはる立派なやつを選べよ。 おまえの将来を決める大事な買い物なんだぞ。 おかしな遠慮をするんじゃねえよ」
アルデバランが、ぷるぷる、と首を横に振った。
「とんでもない、兄ちゃん！ 俺、遠慮なんかしていないよ。 これ、飛び切り高いんだぞ。 ほら！」
アルデバランの指し示した値札を見ると、なるほど、たしかにその短刀は、ずらりと並んだ外の短刀と比べれば、倍以上の値段がついていた。 が、それにしたって、アルデバランの未来を買う値としては安すぎる。 こんなものなら、アルクトゥールスが張り切って用意してきた金があれば10本も買える。
アルクトゥールスはもう一度、アルデバランの手の短刀を眺めおろし、眉をひそめた。
いやはや、どう見たってみすぼらしい。 これじゃ、懐からぎらりと抜き出して相手を脅しつけようにも、誰も驚かない。
アルクトゥールスの後ろから、肩越しにその短刀を覗き込んだマルシリオが、目を細めて言った。
「ああ、これはいいじゃないか！ これなら、アルデバランにぴったりだよ！」
かちん、ときた。
「なんだと？ マルシリオ、おまえ、俺の弟をなめてやがんのか？ こんな、ちゃちな、安っぽい、しょぼい短刀の、どこがアルデバランにぴったりなんだよ？ ふざけんな、ぶん殴るぞ！」
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