突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.02.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アルデバランの友達がパピトの居住区のどのあたりに住んでいるのか、アルクトゥールスは知らなかったが、とりあえずパピトの広場へ行ってみた。 いつかアルデバランが、『俺が近所のバルドーラの店で買い物をせずに、わざわざパピトの広場まで買い物に行くのは、そこに行くと必ず友達の誰かに会えるからだ』と笑っていたのを思い出したからだ。

 夜中のこととて広場は閑散としていたが、こんな時間にも、広場の隅のほうでパピトの子どもたちが3人、大声で冗談を言い合い、ふざけあっていた。
 まっすぐそこへ飛んで行ってたずねてみると、3人は不審げに顔を見合わせ、そのうちの1人が、アルデバランなんていう名前は聞いたこともない、と答えた。 がっかりしてその場を立ち去ろうとすると、別の一人が、ぽんと手を打ってアルクトゥールスを呼び止めた。
 「そうだ! 思い出したぞ! 教えてやるから、小遣いくれよ」
 わらにもすがる思いで小銭を一枚握らせると、子どもはそれを嬉しそうにふところにしまいこんで言った。
 「ずっと前に聞いたことがあるよ。 アルデバランっていうのは、あのスナフィ組をバルドーラ警備隊にタレこんで解散させた、トートスの飼い犬野郎だって!」
 すると別の子どももこの話に割り込んできて、アルクトゥールスの顔の前ににゅっと手の平を差し出した。
 「俺も思い出したよ! 間抜けなアルデバランの密告のおかげで、フーターのくれる食べ物をみんなで分け合うことができなくなった、って、いつかミンクス兄さんが言ってた」
 アルクトゥールスは、ものも言わずにその子どもの手の平をぴしゃりとひとつひっぱたいて、その場を離れた。


 アルデバランの友達なら、もっと年が上のはずだ。
 だが、今の子どもの口にした、スナフィという名前には、かすかに聞き覚えがあるような気がした。 アルデバランのことは、そのスナフィというのをさがして聞いてみたほうが早いかもしれない、と思った。

 そこで、広場を出てさらに南へ、『かっぱらい横丁』というけちな名前のついた、ごみごみした街並みへと入っていくと、アルクトゥールスは、さっそくすれ違った若者に、アルデバランというやつを知らないかとたずねてみた。
 すると、アルデバランとほぼ同じ年ごろと思える、その体の大きな若者は、アルデバラン、という名前を耳にしたとたん、血相を変えてアルクトゥールスに殴りかかってきた。
 「アルデバランだと? おまえはアルデバランの仲間か? アルデバランの居所を知ってるなら教えろ! あの野郎、ぶち殺してやる! ロロの仇だ、生かしちゃおけねえ!」

 もちろんアルクトゥールスはいたちのようなすばやさで、このちょっとイカレた若者の手をかいくぐって逃げ出し、その後も、かっぱらい横丁の、迷路のような街並みをあてどなく歩き回り、出会う人ごとに、アルデバランの消息をたずねてみた。
 が、意外にもこの界隈でのアルデバランの評判はたいそう悪く、たいていの者が、アルデバランの名を聞いただけで眉をひそめ、あるいは肩をすくめて、そんなやつは知らねえよ、とか、とっとと失せろ、と怒り出すばかりで、何も教えてはくれないのだった。

 アルクトゥールスは、アルデバランの仲間はろくでなしばかりだという自分の考えの正しかったことを身にしみて感じ、そしてアルデバランもまた、今頃どこかで、自分と同じ目にあっているに違いないことを、嘆かずにはいられなかった。

 疲労困憊して、それでもアルクトゥールスは、もしやアルデバランが戻っていはしないかと淡い望みを抱いて家に帰ったのだったが、やはり、アルデバランは帰っていなかった。
 家の中は、アルクトゥールスが飛び出していった時のまま、乱雑に散らかり、ランプもつけっぱなし、戸締りすらしていなかった。
 アルクトゥールスは深く失望し、ベッドに倒れこむとそのままうとうと浅い眠りに落ちた。





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最終更新日  2011.02.13 21:12:13
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