突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.04.30
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 エリダヌスは次の日もやってきた。
 この日、エリダヌスは、正門ではなく北辰館から訓練場に出てきた。 
 そのわけはすぐに気がついた。
 エリダヌスの手には、数珠でも祈祷書でもなく、錫杖という武器 ――― おそらく神兵の誰かから借りてきたと思われる ――― があったのだ。

 おやおや、あいつめ、何を考えているんだ。
 その、どうにもさまにならない姿に、レグルスは、驚くより先に、つい吹きだしながら、エリダヌスが来るのを待ち構えて声をかけた。
 「おお、誰かと思ったら、エリダヌスではないか! あまり勇ましい格好をしているので、わからなかったぞ! 布教師は辞めて、神兵に転向することにしたか?」
 また、あのおどおどした様子で、いいえ、と首を振るのかと思ったら、さにあらず、エリダヌスは、固い決意を秘めたように一歩前に進み出て、こう言った。
 「レグルスさま、私に、武芸をお教えくださいませんか?!」



 「な、何を言い出すのかと思ったら! エリダヌス、おまえは布教師であろう? 神兵にでもなるつもりならともかく、布教という任務をおったおまえが、我々に交じって訓練に参加しようとは、思い違いもはなはだしい! 」

 エリダヌスは、レグルスの剣幕に震え上がりながらもなお、頑として食い下がってきた。
 「お願いでございます、レグルスさま! 昨日皆さまの訓練を拝見させていただき、よく考えた末の結論でございます。 私のお勤めは、こちらの皆さまに神さまの教えを説くことでございますが、そのためには、もっと皆さまのおそばに寄り添い、そのお気持ちを理解しなければならないと思い至りました。 フォーマルハウト神官にも、怖がらず戦士の皆さまと同じことをやって、皆さまの中に溶け込まなければ布教はかないませんよ、と、もっともな御助言をいただきました。 訓練に参加させていただくことにつきましては、プルートスさまにもよく御相談した上、正式な訓練時間外の、昼休みの自由訓練だけなら、ということで御許可いただきまして、こうして、神兵さまから錫杖を・・・」
 「ならんっ! プルートス大佐殿がなんとおっしゃろうと、我々の昼休みの自主訓練は、正式な訓練同様に重要なものである。 おまえの遊び相手をしている余裕はない。 私の 訓練の邪魔をしてはならぬとあれほど言ったのに、まだわからぬのか! それとも、おまえの望みは、自ら怪我をしてわたしの任務の遂行を妨げることか!」

 「めっそうもありません! たとえ私が怪我をしても、それは私自身が望んだこと。 誓って、レグルスさまに御迷惑をおかけするようなことは口にいたしません。 どうか、私に、武芸訓練のお許しを・・・」
 「ならぬといったらならぬ! たわごとはもうやめよ! 錫杖なんか返してこい!」

 エリダヌスの手から錫杖を取り上げようと伸ばしたレグルスの腕を、横合いからひょいとつかまえたのは、チェリーだった。
 「軍曹殿、そんなにむきにならなくてもいいじゃないすか。 今は自由時間なんだし、10分や20分相手してやったって、どうってことないでしょ? エリダヌスさんだって、荒っぽい訓練場に布教に来るからには、護身用の錫杖くらい、ちゃんと扱えたほうが心強いんですよ」

 そう言ったチェリーの、いつになく真剣な顔を見ると、レグルスも、これ以上意地を張ることはできなくなって、しぶしぶ手を引っ込めた。
 「ならばチェリー、おまえが相手をしてやるがいい。 だが、エリダヌスに怪我はさせるな。 エリダヌスが怪我をすれば私の落ち度となる」

 チェリーが、ぱっと顔を輝かせた。


 ありがとうございます! いやあ、なんの、となごやかに微笑み合うふたりに、レグルスは憮然として背を向け、訓練場に整列した戦士たちのほうに向かって駆け出した。





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最終更新日  2011.04.30 19:44:40
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