突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

お気に入りブログ

神の祝福 第1話 千菊丸2151さん

小説 「scene clipp… マトリックスAさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん
ゆっくりね ラブドルフィンさん

コメント新着

風とケーナ @ ご完結おめでとうございます.:*・☆ ふろぷしーさま、こんばんは♪ この度は、…
ふろぷしーもぷしー @ 千菊丸さま☆゚・*:.。. いつもありがとうございます☆ わずか一、…
2011.04.30
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類





 エリダヌスは次の日もやってきた。
 この日、エリダヌスは、正門ではなく北辰館から訓練場に出てきた。 
 そのわけはすぐに気がついた。
 エリダヌスの手には、数珠でも祈祷書でもなく、錫杖という武器 ――― おそらく神兵の誰かから借りてきたと思われる ――― があったのだ。

 おやおや、あいつめ、何を考えているんだ。
 その、どうにもさまにならない姿に、レグルスは、驚くより先に、つい吹きだしながら、エリダヌスが来るのを待ち構えて声をかけた。
 「おお、誰かと思ったら、エリダヌスではないか! あまり勇ましい格好をしているので、わからなかったぞ! 布教師は辞めて、神兵に転向することにしたか?」
 また、あのおどおどした様子で、いいえ、と首を振るのかと思ったら、さにあらず、エリダヌスは、固い決意を秘めたように一歩前に進み出て、こう言った。
 「レグルスさま、私に、武芸をお教えくださいませんか?!」



 「な、何を言い出すのかと思ったら! エリダヌス、おまえは布教師であろう? 神兵にでもなるつもりならともかく、布教という任務をおったおまえが、我々に交じって訓練に参加しようとは、思い違いもはなはだしい! 」

 エリダヌスは、レグルスの剣幕に震え上がりながらもなお、頑として食い下がってきた。
 「お願いでございます、レグルスさま! 昨日皆さまの訓練を拝見させていただき、よく考えた末の結論でございます。 私のお勤めは、こちらの皆さまに神さまの教えを説くことでございますが、そのためには、もっと皆さまのおそばに寄り添い、そのお気持ちを理解しなければならないと思い至りました。 フォーマルハウト神官にも、怖がらず戦士の皆さまと同じことをやって、皆さまの中に溶け込まなければ布教はかないませんよ、と、もっともな御助言をいただきました。 訓練に参加させていただくことにつきましては、プルートスさまにもよく御相談した上、正式な訓練時間外の、昼休みの自由訓練だけなら、ということで御許可いただきまして、こうして、神兵さまから錫杖を・・・」
 「ならんっ! プルートス大佐殿がなんとおっしゃろうと、我々の昼休みの自主訓練は、正式な訓練同様に重要なものである。 おまえの遊び相手をしている余裕はない。 私の 訓練の邪魔をしてはならぬとあれほど言ったのに、まだわからぬのか! それとも、おまえの望みは、自ら怪我をしてわたしの任務の遂行を妨げることか!」

 「めっそうもありません! たとえ私が怪我をしても、それは私自身が望んだこと。 誓って、レグルスさまに御迷惑をおかけするようなことは口にいたしません。 どうか、私に、武芸訓練のお許しを・・・」
 「ならぬといったらならぬ! たわごとはもうやめよ! 錫杖なんか返してこい!」

 エリダヌスの手から錫杖を取り上げようと伸ばしたレグルスの腕を、横合いからひょいとつかまえたのは、チェリーだった。
 「軍曹殿、そんなにむきにならなくてもいいじゃないすか。 今は自由時間なんだし、10分や20分相手してやったって、どうってことないでしょ? エリダヌスさんだって、荒っぽい訓練場に布教に来るからには、護身用の錫杖くらい、ちゃんと扱えたほうが心強いんですよ」

 そう言ったチェリーの、いつになく真剣な顔を見ると、レグルスも、これ以上意地を張ることはできなくなって、しぶしぶ手を引っ込めた。
 「ならばチェリー、おまえが相手をしてやるがいい。 だが、エリダヌスに怪我はさせるな。 エリダヌスが怪我をすれば私の落ち度となる」

 チェリーが、ぱっと顔を輝かせた。


 ありがとうございます! いやあ、なんの、となごやかに微笑み合うふたりに、レグルスは憮然として背を向け、訓練場に整列した戦士たちのほうに向かって駆け出した。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.04.30 19:44:40
コメント(3) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


相互リンク  
くーる31  さん
突然のコメント、失礼いたします。
私はこちら⇒http://blju.net/
で無料オンラインゲームサイトをやっているfarrといいます。
色々なサイトをみて勉強させていただいています。
もしよろしかったら相互リンクをお願いできないでしょうか?
「やってもいいよ」という方はメールを送ってくだされば、
私もリンクさせていただきます。
よろしくお願いします^^ (2011.04.30 19:56:31)

『風樹の家』、拝読させて頂きました.:*・☆  
風とケーナ  さん
勇ましい錫杖姿で現われ、
キッパリとレグルス様に食い下がられたエリダヌスちゃん、
思わず拳を握り締めてエールを送ってしまった野次馬ケーナですp(*^-^*)q☆:゜*

また、昨日のコメントにも、
大変温かいお返事を頂戴いたしまして、感激しております!!.:*・☆


今、『風樹の家』を御完結部まで拝読させて頂きました。
拝読させて頂いている最中、
幾度と無く激しい感情に突き動かされ、翻弄され、
そして、天界の光の中にいるかのような芳しい至福感に包まれ――
完読させて頂きました今も、
とても言葉では言い尽くせぬ深い余韻に恍惚となっています。

しばらく訪れることができず、
今、31話から一気に読ませて頂きましたが、
あまりに圧巻で――!!!
カノープスの祈りによってランソスが天界に旅立つ場面は、
まるで目の前でそのシーンが展開しているかのような激しい感覚にとらわれ、
気持ちを落ち着けてから、
再度、ふろぷしーさんの綴られた文章を
一文字づつ追い直してみたほどでした。

また、ラストシーンでは、
『リュキア伝説』に通じる三人の交流に心温められ、
光を与えられ、深い癒しを得た思いでした。

『風樹の家』に出逢えて、なんて幸いなことかと思います!
拝読させて頂けます機会を与えてくださいまして、
本当にありがとうございました!!

(2011.04.30 22:33:52)

ケーナさま、ありがとうございます☆.: *:・  
『風樹の家』
読んでくださったなんて、感激です!

と同時に、ものすごく、恥ずかしい・・・!
読むも不快な描写がたくさんあったと思いますm(_ _)m ゴメンナサイ…

こそこそと書いて、
読まれるのハズカシイでも誰か読んで!
ンな複雑な気持ちで書いたシロモノ。

>『風樹の家』に出逢えて、なんて幸いなことかと思います!

こんなふうに言っていただけると、
ほんとうに、もったいなく、ありがたく、
冷や汗 出ます。

ケーナさんの壮大なインカの物語を
愛読させていただくにつけても、
いつも自分の力量不足を思い知らされるふろぷしーです。

私の稚拙で子どもじみた物語に
このように過分な、幸せすぎるお言葉をいただいて、
天にも舞い上がるほどに嬉しく、大きく力づけられました。

ありがとうございました☆.: *:・

(2011.05.01 11:33:11)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: