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2024.08.15
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カテゴリ: I experienced
執刀医が交代したことを知り、撃沈された虫けらは、
意気消沈して無表情になっていたようだ。

手術台傍の看護師がしきりに
「大丈夫ですか?」
と声をかけてくる。

「途中でいらっしゃるようです」

!!!

怖い主治医が手術途中で手術室に来てくれるという。

これを光明にしよう。

きっと指導したり、代わったりしてくれるだろう。


「ちょっとチクっとしますよ〜」
と若い男の声。

左手の前腕部中央あたりに注射針が入ってきた。

術中の点滴のためだろう。

い、痛い。

虫けらは注射の痛さにとても強い。

しかし…これは痛い。

痛い。

痛い。

探っているな。



虫けら「大変痛いです」

「あ、痛いですよね。…抜きます」

この病院の外科は注射がすこぶる下手だ。

内科は上手だった。
痛みもなければ失敗もなかった。


人がチェンジし、3回目も危なっかしかったが、
虫「前(内科)はここに刺しておられました」
と指示し、ようやく入ったという経緯がある。

結局前腕部で場所を見つけることができず
(虫けらが、以前はここに打ったと言ったが、
採用されず)、
手の甲の血管に打たれた。
ここは皮膚が薄く、痛い上に点滴液が入りにくい。
実は、長い人生でこんなところに打たれたのは初めてだ。
虫けらの血管は体表に出ている上、とても太い。
これまでの看護師さんは、
「打ちやすいわ」と言っていた。
なぜこの病院の外科はこんなに下手なのか。

先行きを暗示するようで、さらに意気消沈するのであった。

執刀医「ベッド、ちょっとずらそか」
全員でガサガサと作業。
執「エコー、こっちに置こか」
看護師がガサガサと作業。
執「ここにあれ持って来て」
助手的担当医がガサガサと作業。

こういう、術前にしておくべきことを30分近く。

虫けらは鯉のまま手術台の上でさらに意気消沈。
こういう、段取りの悪い医師が上手なオペをするわけがない。

不安や焦りというより、体がペラペラになるような感覚。
何というか…感情を失い、生命体としての厚みを失い、
手術台に張り付く薄い物体になった感じだ。


かくしてオペが始まる。
消毒作業、エコーで切開部の確認、
器具の準備、と進んでいくが、
もう一切信用できない気分。

何をされても疑心暗鬼になる。

部分麻酔。
痛い。
場所を変えて何度も刺す。
痛い。

首の切開は、痛くはなかったが、
しばしば何をどうしたらそんなに痛いのかという激痛が襲う。
首の皮膚が引っ張られて、麻酔の効いていない
皮膚の内部が痛い。
どんな手術をしているのだろう。
見てみたいが、顔には布がかかっているので、
何がなんだかわからない。

虫けらは痛みには強い。
これまで、一度も「痛い」と声をあげたことがなかった。
痛いという感覚があっても、我慢できたのだ。

しかし今回、辛抱できなかった。

これまでと何が違ったのか。

「信頼」だと思う。

この先生なら、きっと変なことはしていないだろう。
このくらいの痛みは当たり前なのだろう。
痛いと訴えても、作業が進まなくなるだけで、
こちらにはメリットはない。
先生がやりやすいなら、我慢しよう。

と思えたのだ。

が、今回はそんな気持ちにはなれなかった。

ここで口を開かないと、無茶苦茶にされるのではないか、
ひどい傷口にされてしまうのではないか、
そう思ってしまった。
と同時に、「早く来てください」と
怖い主治医が来るのを願った。

しかし、相当の痛みに耐えた後、
もう辛抱できないと口をついて出た言葉が

虫「痛すぎます」

執「麻酔足します」

なんだ、もっと早く言えばよかった。
このやりとりが何度か続いた。
麻酔注射も相当痛い。
首や鎖骨下という、人間の体の中では敏感な部分に
グイーッと麻酔薬が入って来る痛みは相当なものだ。

10回ほど追加麻酔をされたとき、
虫「全身麻酔にしてください」
と言った。
もちろん冗談である。
この手術は局所麻酔と決まっている。
だが、こうでも言うしかないほどの苦痛だったのだ。

そう言いながらも、目を閉じたら痛みが増すような気がして
ずっと目を開いていた。
すると、痛みのせいか、手術室の空気が乾いているせいか
自然と涙が出た。
下にしている左目からずっと涙が流れていた。

さまざまな痛さの間に、執刀医の軽すぎる言葉が
懸念や不安を増長させた。

執「あ、そういう感じっすかね」
執「いいんじゃないっすか」
執「もうちょっと足しとこか。別にええけど」
執「ズバッといく人もいるけどな」

言葉から想像されることを脳裏で図にすると、
自分が傷ついたり、ぞんざいに扱われたりしているのが
まざまざと理解できるのだ。

1時間の阿鼻叫喚地獄だった。

虫「顎がち切れるー!」
虫「尋常じゃない痛みです」
虫「こんな痛みあります?」

何度か痛みを訴えたが、麻酔の追加以外、何ら対処してもらった気がしない。

結局、怖い主治医が来ることなく手術は終了した。

大変不安だったのは、縫合しているだろう箇所が多いことだ。

怖い主治医は首に一箇所わずかに傷が残るくらいだろう、
コンシーラーで隠せるくらいだ、と言っていたが、
少なくとも4箇所縫合しているのがわかる。

これはきっと、怖い主治医がする手術とは全く違うものなのだろう。

この若い執刀医が独自に考えたものか、
経験不足、技術不足のためなのか
よくわからないが、少なくとも
一般的な女性が耐えられる代物ではないのは確かだ。

現代医療で、こんなに痛い思いをする世界があるとは。

生き地獄が1時間。

想像を絶するものだった。

術後、いつもの虫けらなら、執刀医に質問的な言葉遣いながら、
不満や愚痴を言うのだが、
今回はとてもそんな気力さえ残っていなかった。

虫「ありがとうございました」

と言って、手術室を後にした。


                 さらにつづく





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Last updated  2024.08.15 13:50:54
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