地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2007.05.16
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カテゴリ: レムリア
「シャングリラ」
茂堂 久 2005/8 近代文芸社

 この本も、借り出したはいいが、あ、しまった、と思った一冊。実はこれ小説だった。エッセーとか研究書だったら、まだしも、小説は苦手なんだよなぁ、と、数日放っておいた。だけど表紙 になっている
岡野亮介 絵もなかなか素晴らしい。気を取り直して、ちょっとだけ読み始めてみた。

シャングリラとは、地上の楽園のことで、ジェームズ・ヒルトンの小説「失われた地平線」(1933)の中にでてくる架空の名である。最近は、マンション、キャバレーの名前やミュージカル、サーカスの主題などにも使われて、かなり耳なれした名前になっているが、一般的には長寿国を意味する。世界の長寿国として、グルジア共和国(旧ソ連)のコーカサス山系にあるアブハジャ地方、パキスタン北西のカラコルム山脈のフンザ地方、およびエクアドル共和国のビルカバンガ地方が有名である。 p7

 と、滑り出しが良かったので、ついつい読んでいくと・・・

この物語にでてくるシャングリラとは、そのような大げさなものではない。ささやかな現世の、ある小さな地域に住む人々の、ほんの少しの希望の願望である。 p8

 なんじゃ、こりゃ。いつもの性癖で、小説だろうがなんだろうが、どんな本でも、奥付けや結論を先に読んでしまう習慣が私にはある。わかった。これは、三谷川町という田舎町の丘のうえに建った老人福祉施設 『健康と福祉のシャングリラ』 のお話だった。ガーン、わたしゃ、やられたよ。わしゃ、忙しい。と、あと、ついつい2.3ページめくったのが運のつきだった。

 なんと、この田舎町とは、架空ではあるが、途中まで実在のJR線や駅名がある。しかもそれは私の住む県内の話だった。なんだか、ありそうな話だなぁ、と読み始めてみると、この著者は、現役のお医者さんであることがわかった。しかも、このお医者さん、私が20代の頃に余命半年の宣言を受けたことのある「県立がんセンター」の総長も歴任されたとのことである。なんだか、この辺までわかってしまうと、ついついストーリーに引き込まれてしまっていた。

 著者の本名は久道茂、ペンネームの茂堂久は、そのもじりだろう。この小説は2001年3月から翌6月まで、医療・福祉の総合情報誌「Japan Medical Society」に連載されたものであり、単行本用に加筆修正したとのことである。主人公と目される都会育ちの25歳の若者が福祉の学位を治めて赴任した、田舎町における医療行政や病院事情などを克明に目撃し、ついには、福祉の町として全国に名を馳せる行政に一役を買う、という物語だ。

 読み進めていくうちに、知っている市町村名や大学の名前、通りの名前など、フィクションとばかりは片付けられないようなことどももが次々でてくる。「ピンピンコロリ」を願う老人の団体が、群馬県は伊香保温泉に泊まり、防癌寺という癌封じのお寺をお参りするあたりは、なんだか、こちらの行動まで見られていたような気分さえなってきた。防癌寺こそお参りはしなかったが、ほんの数ヶ月前、私も伊香保温泉に泊まり、親戚と慰労の楽しいひとときを過ごしたばっかりであったからだ。

 なんとも、へんてこなシンクロニシティーに引かれながら、ついつい、最後まで読んでしまった。内容もともかくとして、ここまで読ませてしまうのだから、これは著者の筆力以外のなにものでもない。小説がこれだけ面白いなら、もっと読んでもいいかな、と、ついつい大きな気分になってしまった(笑)。著者 には、
「アンデスの神々」 とか、 「天空の柄杓」 とか 、いう小説(?)があるらしい。なんだか、タイトルを見ている限り、これらにも引っ掛かりそうだなぁ、と思いつつ、この著者になら、引っ掛けられててもいいかな、とつい思った。

 いずれにせよだ。私はこの小説を読み終わって考えた。そうだなぁ。現実逃避のファンタジーも悪くはないが、こうして足元の現実の中で、日々、目に見える小さなシャングリラを建設していく、これが大切だなぁ。いや、大切どころではなく、それこそが最も大切なことであり、そのような現実まで降りてこれないファンタジーやビジョンなど、すこし片輪なのだ。少しも教訓めいたところのないこの小説だが、心打つところ、大きいものがあった。





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Last updated  2009.02.11 17:49:02
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