地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2007.05.17
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カテゴリ: レムリア
「ミラレパの足跡」 チベットの聖なる谷へ 伊藤健司 2000/3 地湧社

 チベットの峰々は高く聳え、連なる谷は遥かに深い。コタツに座りながらパソコンのキーボードを打つだけのチベット探訪ではあるが、かなりの奥地まで足を進めてきたような爽快感さえある。700年前のチベットの少年・多火手を訪ねる旅は、ミラレパを訪ねる旅でもあった。

 おおえまさのりの
「チベットの死者の書99の謎」 を読んでいて、思った。

ふと気づいてみれば、どんどん押し流され、引き寄せられて、行きつ戻りつして、辿り着いているところは、チベットの至宝、ミラレパなのではないか、と思うようになってきた。そして、わが書棚を見ると、おおえまさのりが1976年に出した特別装丁版「チベットの偉大なヨギー ミラレパ」(横尾忠則装丁)と、1983年にでた、こちらも特別装丁版「ミラレパの十万歌」があることに気がついた。

 そして、この伊藤健司の「ミラレパの足跡」は、まさに、チベットの峰々に、その谷の中に、「チベットの偉大なヨギー ミラレパ」、「ミラレパの十万歌」を訪ねる旅であった。1961年生まれの著者、最初の旅はインド、21歳の時だというから1982年か。その後、ずっとそのスタイルを保っているようだから、40代の中ば、どんな暮らしの中にいるのか、好奇心をかきたてられる。いずれにせよ、チベット民衆にもっとも愛されている詩人ミラレパの足跡を辿ろうとする旅は、このブログでは初めてだった。いや、私にとってもとてもグッド・タイミングだった。ミラレパの大冊を、しかも二冊を一気に読むことはできない。のんびりじっくりと読もうと覚悟はしていたのだが、こうして、伊藤健司が読み下してくれると、助かる。いや、ここに、ひとりのミラレパが生まれ変わっている。

天安門事件が勃発したのは、中国本土からたまたま香港へ中国ビザを取り直しに出ているときだった。緊急事態発生のニュースを、ぼくは”香港の銀座”チムサチョイの雑居ビルにある安宿で知った。
「あ、やりましたね。
 いっしょに自炊していた日本山妙法寺のお坊さんが、レセプションに一台だけあるテレビを見つめながらつぶやいた。
p22

 日本山妙法寺のお坊さんとは、旅をしていると、よく会う。私もお世話になった。南無妙法蓮華経。

ぼくは、その聖者を生んだチベットで「ミラレパの伝記」を読み、自分でも不思議なくらい感動した。ミラレパは、本物の蒸発者だ。それは、ぼくのもっていた聖者のイメージそのものだったし、それでいてその物語には聖者伝にありがちな偽善っぽさがなく、限りなく人間くさいのだった。 p31

花や木の葉や森は
 大地より自ら生じ
 大地へと消え去る

 思考や執着や欲望は
 心の蔵より自ら生じ
 心の蔵へと消え去る   
ミラレパ

大地の肥沃さと
 青い空のまたらす雨
 このふたつは
 すべてを益するために交わる
 そしてこの交わりは
 聖なるダルマの中にある
 ミラレパ p148

ふと左手の川原にマニ石の堆積があった。チベット文字で、妙法蓮華をたたえる六文字”オーム・マニ・ペメ・フーム”が彫られている。堀り口がかなり風化している。数百年前、あるいは千年くらい昔のものかもしれない。赤子の頭大の丸石ばかりが集められ、これまでチベット高原で見てきたマニ石とはあきらかにに違う。 p163

ミラレパはいまではカギュ派の聖者とされているが、彼自身は派閥というものには属していなかった。ミラレパにしろブッタにしろキリストにしろ、彼らには新しい宗教を創始しようというつもりは毛頭なく、聖者をカリスマとするのは後の人間のすることだ。ミラレパ本人は何かを祀りあげて信仰する類いの宗教からは最も遠いところにいた。 p175

成就を終えたミラレパにとって、あらゆる教義は道具にすぎなかった。ミラレパはのちにカギュ派の聖者とされるに至ったが、カギュとは”師から弟子への口伝”という意味で、ミラレパ自身に宗派意識はまったくなかった。 p285

 たしかにその通り。このブログにおいては、今後、このような何派かに派という考え方は、できるだけしないでいこう。少なくとも700年前は、そんなものなかったのだから。

「伝記」や「十万歌」を書物で読む限り、このへんのところは見えてこなかったが、ぼくはその舞台にやってきて、はじめてミラレパがここで何をしていたのか、その一端に触れることができた気がする。
 ミラレパがこの場所で瞑想していたのは”闇”だった。そして”光”はそのなかでこそ輝きを帯びる。
p234

 著者には、他に
「ホーリー・ヒマラヤ」 「ネーコル:チベット巡礼」 などがある。

オーム・ ニ・ メ・ フーム

南無





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Last updated  2008.11.07 20:05:22
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