「メビウスの帯」
クリフォード・A.ピックオーヴァー /吉田三知世 日経BP社 /日経BP出版センター 2007/04 単行本 318p
★★★☆☆
思えば、身の回りに何台ものシャープのノートPC「メビウス」があった。エッシャーのだまし絵とともに、メビウスの輪は、ことあるごとに話題になっては、小さく凝り固まろうとする世界観に風穴を開けていく。この本は、そのメビウスの輪(帯)一点に集中して、話題を展開する一冊。
わたしがこれまで出版した本がすべてそうであったように、本書も「スモーガスボード」の形式、つまり、いろいろな話題を寄せ集めたものなので、読者のみなさんは、興味を引かれた話題を選んで、好きな順序で読んでいただきたい。面白そうな章を拾い読みしても内容がわかていただけるように、ひとつの言葉の定義を何度も繰り返して記載している。
p16
有り体に言えば、スモーガズボードとは、日本ホテル朝食のバイキングスタイルのようなもので、組み合わせ自由な食事形態といえるだろう。卑近な例でいえば、「めしの半田屋」のスタイルであり、このお店を知っているということは、私とローカル性を共有していることになる。
考えてみれば、単行本はセットメニューの定食やおすすめコース方式であり、ブログはまさにこのバイキング方式・スモーガスボード形式であるといえるだろう。わがブログもそのように展開している。
ここで幾何学に関心をもつということは、当然、 ドランヴァロ・メルキゼデクの
古代神聖幾何学
への関心に連なるところ大なのだが、ドランヴァロの世界が、どこか先を急いでいて、
小さな世界
に終焉しようと試みているかのように見えるのに対して
、この本は、未知なるものを未知なるまま、不可知なるものを不可知なまま放置する図太さが感じられる。
幾何学は歴史的に錬金術とも深い関係があり、ピタゴラスなどの歴史上の数学者たちも、心霊科学に通じていたことはよく知られている。Oshoがピタゴラス を題材にした
「永久の哲学」
などと合わせて読んだら面白いかも知れない。
映画
「マトリックス」
のヴァーチャル
な異空間に通じるとところもあり、LSD使用のサイコデリックな世界とのつながりもでてくるだろうし、ということは 、
スタニスロフ・グロフ
の
ホロトロピック・セラピーなどににさえつながっていく芽があるということだろう。
ヘルマン・ヘッセが
「ガラス玉戯曲」
で暗示したものともつながり得るだろうし、3Dバーチャル仮想空間
セカンドライフ
なら、これらの幻
視を共有する空間を作りえるかもしれない。
円周率を「3」と割り切ってしまうのか、無限大に「割り切れないまま」を受け入れるのかは、科学や数学の世界が芸術や意識の世界と、どのようにつながりえるのかを考える時、重いテーマとして、私達の前途に横たわっている。
ヘッセの水彩画 2007.11.04
ヘルマン・ヘッセ 雲 2007.11.04
わが心の故郷 アルプス南麓の村 2007.11.04
PR
Freepage List
Category
Comments