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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2009.02.27
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カテゴリ: 文芸
『M8』 から6年後の物語。
 瀬戸口誠二は日本防災研究センターの地震研究部長、
 松浦真一郎は陸上自衛隊の一等陸尉、
 河本亜紀子は防災担当副大臣として活躍している。

 そして、新たなキャラクターとして、黒田慎介が登場。
 大浜市役所防災課職員で、
 太平洋沿岸地域の市町村防災課職員に呼びかけて、
 独自の地震、津波ハザードマップを作っている。


瀬戸口の研究を手伝っていた時期があるという設定。
黒田の活動は、物語序盤では、あまり注目してもらえていないが、
最後のクライマックスシーンでは、彼の活動が大きな役割を果たすことになる。
また、黒田の彼女は美智というサーファー。
物語終盤で、ある大物人物の娘であることが判明する。

   ***

東海・東南海・南海の三つの海溝型地震が起こると、
日本列島の半分を飲み込んでしまう大津波が発生する。
『M8』による平成大震災の時、都知事として、瀬戸口たちと大活躍した漆原が、
今度は、総理大臣として、この危機に立ち向かう。

『M8』に比べると、地震・津波発生後の危機に瀕した

そんな中で、特に目を引くのは、
米軍ニミッツ級原子力空母に乗船していた松浦と、
大浜原子力発電所四号機、第二班の当直長・三戸崎俊一の活躍。

そして、私が個人的に、本著の中で最も心に残った部分は、
名古屋で地震が発生し、大きな被害が出ているにも関わらず、

多くの若者たちが、続々と押し寄せ、騒いでいるのを、
黒田が、苦々しく見つめている場面。

  <神戸から大阪に向かう電車で、ふと武庫川の河川敷を見ると野球をやってるんだ。
   中学生くらいの子どもたちだった。
   川を渡るとテニスコートが見えて、のんびりテニスをしている。
   ほんの十数分前の光景はビルが倒れ、家が崩れ、瓦礫の山が続き、
   焼け野原が広がっていた。
   その中にすべてを失った被災者が立っている。
   瓦礫の中にはまだ遺体があるかも知れないんだ。
   これが同じ時間、同じ空間で同時に起こっている。
   なんだか、嘘みたいな気分だった>
  昔、聞いた、阪神・淡路大震災の話を思い出した。
  これは誰から聞いたのか-。瀬戸口先生だ。(p.312)

実際、この通りだった。
ただし、武庫川あたりなら、まだ多少なりとも、震災の空気というものを感じることが出来た。
しかし、さらに東進し、大阪まで行ってしまうと、本当に別世界だった。
人々の動きも、表情も、何もかもが、以前と何も変わっていない。
神戸が、そして、淡路や芦屋・伊丹・宝塚・西宮等がすっかり変わってしまったというのに……。
それらが連続した空間であることが、私にはとても信じられなかったことを思い出した。

   ***

エンディングでの瀬戸口と河本亜紀子の会話、
そして、瀬戸口の黒田の会話だけは、本当に余分だった。
そこまでの盛り上がった気分、感情の昂ぶりが、一瞬にして冷めてしまった。
災害三部作最終作『ジェミニの方舟』を読むのを、躊躇してしまう。





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Last updated  2009.02.27 23:27:56 コメントを書く


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