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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2011.12.11
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カテゴリ: 社会・政治・時事
『下流志向』
 以降、先生の著作を読み続けているわけですが、
 本著は、その『下流志向』直後に刊行されたものであり、
 当時のタイトルは『狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論』というものでした。

 私は、その書物の存在は、もちろん知っていましたが、
 機会を得ないまま時を過ごすうち、タイトルが変わり、文庫化されました。
 それゆえ、内容は現在の内田先生に比べ、かなり若々しく尖っている感じです。
 その分、インパクトはかなり強烈。


それは、有名進学校に通っていた高校生の時代から、
学生運動に身を投じていた大学生の頃、
さらに、大学に勤務し始めた時期から、現在に至るまでについてです。

大学に勤務し始めてからも、内田先生には大きな変化があったといいます。
それは「文庫版あとがき」で、次のように語られています。

  それは大学教育についての自分の意見がこの十年間でずいぶん変わったということです。
  本著にはいちばん古い日付のもので二〇〇〇年のものが収録されています。
  その頃僕は大学の自己評価委員長になったところで、FD活動を推進する立場にありました。
  大学の自己評価活動の強化について、
  文科省からも大学基準協会からも強い要請があった時期です。
  もちろん、言われるまでもなく、僕自身も自己評価の必要を信じていました。

  相当にいら立っていたからです。
  貴重な資源はできるだけアクティビティの高い教員やセクションに集中して配分したい。
  申し訳ないけれど、仕事をしない教員にはそれなりのペナルティが科されるべきではないか、
  そう思っていました。(p.338)

そして、内田先生は教授会で猛反発を受けながらも、

ところが、システム導入1年にして、その決断が拙速であったことに気づくのです。
その理由については、次のように述べられています。

  ひとつは「評価コスト」を過小評価していたこと。
  ひとつは教員を「給料分働かせる」ためのシステムは、
  「給料以上のオーバーアチーブしている教員たち」の活動を少しも支援せず、
  むしろ妨害すること、この二点です。(中略)
  評価はそれだけ単独に眺めれば「よいこと」です。
  けれども、実際に評価活動に従事しているのは、生身の教員たちです。(中略)
  評価活動の作業負荷を増やせば、本務にしわ寄せが来るのは当たり前のことです。(中略)
  「自分がちゃんと仕事をしていることを証明する」ためのペーパーワークと会議が
  彼らの研究時間をいちじるしく蚕食してしまっていた。(p.338)

そして、その後に続く言葉こそ、
今、私たちがしっかりと受け止め、これから生かしていかねばならないものだと思います。

  二〇〇五年前後の評価活動の旗振り時代と、現在では
  ずいぶんこの点については考え方が変わっております。
  ですから、『街場の教育論』以後の僕の書きものしか読まれていない方は、
  この本の中の「ビジネスマインド」礼賛に近い主張に驚かれるかも知れません。
  でも、人間は成功からよりはむしろ失敗から学ぶことの方が多いのです。
  ですから、今読むと「それはちょっと違うんじゃないかな」
  と思うようなこともそのまま残さずに残してあります。(p.342)





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Last updated  2011.12.11 12:06:06 コメントを書く
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