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一人でアメリカへ旅立った私。
知り合いはアメリカ人のビジネスパートナー2名、私的には職場の上司の友人夫婦のみ。
それ以外は友人・知人もなく、日中は新しい仕事に追われ、夜はとても豪華なアパートに一人、
大きな空間を持て余していました。
当時はというと、個人用パソコンは普及する前、 メールやスカイプ、MSN など、
現代の 『遠距離恋愛の3 種の神器』 などの必須アイテムはもちろんありません。
電話・FAX がせいぜいでした。
初めて自宅に電話を引いたとき、迷わず彼に国際電話を掛けました。 (初めて国際電話が繋がったときって、感動ですよね!)
私の場所が昼ならば、日本は夜。 8000km距離もなんのその。
電話にFAX、互いに忙しいながらも、順調に続けていきました・・・。
ところが・・・、
半年が経過した頃でしょうか?
日本に居た頃は、時差のない同じ時間帯、仕事場での電話を含め、その日にあったことをリアルタイムに報告できたのに・・・。
「話したいときに、すぐに話せない。一緒に笑えない。励ましてあげられない・・・。」
次第に 「時差」 に戸惑いを感じるようになってゆきました。
それに追い討ちをかけるように、仕事がどんどん忙しくなり、日本にいた頃はだいたい夜11時前後、仕事が終わるとお互いに電話を掛け合っていたのに、その時間は私が出勤する時間。。。
「もしもし、俺。 今、話せる?」
「ごめん、今から出勤しなきゃ」
というすれ違いが増えていきました。
今までのペースが掴めない・・・。
国内遠距離との違い 、 「 今」 という時間を共有できないのが、 海外遠距離だと痛感・・・。
そのすれ違いはやがて、互いの気持ちをも遠ざける原因となり、さらに 周囲に身近な相談相手がいない私は、 徐々に彼を嫉妬するようになりました。
「週末はどこに行くのか?」 という追及、そして時差があることを利用し、週末の日本時間深夜に電話を掛けるなど、寂しい分だけ、彼の行動を干渉し・・・
対する彼もまた、 アメリカで私が外国人の彼氏を作るのでは? という嫉妬に苛まれ、口を突くのは嫌味ばかり・・・。
話すたび、お互いに嫌な空気が流れたまま、電話を切ることが増えていきました。
やがて、 1年が経過。
ようやく一時帰国し、話し合う機会を持ちましたが、なんとなく互いの関係はギクシャクしたまま。
日本での滞在期間は短く、中途半端な話し合いのまま、再び渡米。 と同時に、彼は再び 転勤 が決まりました。 彼に新しい環境があるにもかかわらず、アメリカにいる私にはその変化が見えない。
かかってくる電話、届くFAX。
以前と違う場所から彼は連絡しているだろうに・・・。見えない現実がもどかしく、海を越えた関係が辛くなる一方。彼の新しい生活が3ヶ月を経過した頃だったでしょうか?
彼からの連絡は徐々に減っていき・・・こちらが電話・FAXをしても返信は2~3日後というのが、増えてきました。
「何だかおかしい・・・」
浮気 なのでは・・・?
最初は信じたくなかったけれど、それを疑い干渉するほど、ますます彼からの連絡頻度は低くなる。
( 今となって分かるのは、そこまで彼を追い詰めてしまったということです。)
浮気を確かめる術はなく、 自暴自棄 に陥った私・・・。 寂しさのあまり、こちらでの知人とバーを飲み歩く、男性を紹介してもらうなど、徐々に自身の生活も変化・・・。
でも・・・、いつも心の中は
「何をどうすれば、彼との関係を元どおりにできるのか?」
その自問自答を繰り返し、 どんなに悩んでも、彼を忘れて新たな一歩を踏み出そうとしても、そこに帰着する私がいました。
某年3月1日。 無事、任務を終え、日本へ帰国。
私の配属先は、以前と同じ場所に決定。 ・・・日本国内でも、再び 国内遠距離 に。
帰国して迷わず、お互いに会おうと決めていた矢先、偶然にも数日後、彼が出張でこちらへ来ることになりました。
「会議のあと、会って話せる?」
「あぁ、いいよ。」 約束し、待ち合わせ場所に向かいました。
すると・・・
彼は男性の同僚を連れてきたのです
「はっ?! どういうこと?」
「一緒に飲みたいって。」
「別に今日でなくてもいいでしょ?」
でも、その同僚には私達の関係を知られていなかったため、それ以上、拒むことは出来ませんでした。
久しぶりの時間なのに、 3人 。 話したいことも話せず、ただ他愛もない話は続き・・・
相当な量のお酒を飲みました。
そこへ・・・
ひょっこり、女性の後輩が出現。
彼女は、彼を見つけるなり 、「あっ!△△先輩!」 隣でピタッと寄り添い、片時も傍を離れませんでした。
やがて彼女も酔いが回り 、
「△△先輩(彼の名前)、私、先輩が大好きなんですーー」
「!!」
彼の肩に手を回し、 Kiss をせがむ。
もう見ていられませんでした。
「ごめん。私、そろそろ引き揚げるね。」
そう言って、その場を後にしようとすると、 怒った私に周囲は一瞬、凍りつきました。
…が、
はじめ、彼は途中まで走ってきたものの、怒る私を嗜めるだけ。 それ以上は、追ってきませんでした・・・。
その翌日。
女性の後輩は、やけに嬉しそう・・・。
私と彼との関係をハッキリと知らない彼女に、こう聞きました。
「昨日、あれからどうしたの?かなり酔っていたみたいだけど・・・」
彼女によると、
結局、彼は終電を逃し、宿泊先ホテルに戻ることができず・・・
彼女の家に 一泊 。
「本当に幸せでした。すごくよかった。」
「って、どういうこと? ってこと?」
「はい。そういうことです」
それは、明らかに 「彼を奪ってやった」 という、勝ち誇った笑みでした。
その後のことは、あまりよく覚えていません。
その日は仕事にならず、家に帰って、ただ、ただ、泣きました。
帰国して間もないのに、目の前に起こっていることが何なのか、訳が分からなくなりました。
でも、悲しいかな、彼は離れた場所に住んでいるとしても、同じ職場ゆえ彼女とは毎日、顔を合わすほかなかった。 それが何よりも苦しかった。
私は、彼に 別離の気持ちを伝える必要など、当然ない! と判断し、そのまま彼への気持ちを一旦、 封印 しました。
でも・・・、その後も彼とは 「職場仲間」 としての関係を続けなくてはならず・・・
さらに、まだこれに懲りない私と彼がいたのです・・・。
(つづく)
国際遠距離電話 -最後のコール- Apr 13, 2008
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