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2017年12月29日
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テーマ: 本日の1冊(3755)
カテゴリ: 読書
墓田桂著「難民問題」(中公新書)について、フランス文学者の野崎歓氏が11月20日の東京新聞に、次のような書評を書いている;




 現実主義はしばしば、理想を欠いた計算高さとして否定的に捉えられる。しかし理想ばかり優先させることに致命的な落とし穴が潜む場合もありうる。現在、EUの国々が直面しているのがそうした事態だ。 その根幹には西欧の誇る人道主義があり、 多文化主義を是とする姿勢があることを、本書は鮮やかにあぶり出す。貴い理念を掲げて自縄自縛になったとき、社会は危険にさらされることとなる。百万人規模の難民の到来と、凶悪なテロ事件の続発以後、フランスやドイツは「優等生のいたわしい姿」を示している。





 その姿から日本は何を学ぶべきか。安易な感情論に流されない慎重な判断が求められると著者はいう。寛容や共生よりも拒絶、排斥を選ぶべき局面もある。善意のみで問題が解決するはずはない。難民受け入れ数の少なさを恥じるより「国益」を真剣に考えるべきではないか。

 現政権に追随するような結論はあまりに保守的だろうか。だが、問題を見極めようとする筆致は冷静沈着で説得力がある。現実主義の上にこそ理想を、という切なる思いも伝わってくる。世界の今日と明日を考えるために必読の一冊だ。
(評者野崎歓=フランス文学者)


墓田桂著「難民問題」(中公新書・929円)
はかた・けい 1970年生まれ。成蹊大教授。著書『国内避難民の国際的保護』。


2016年11月20日 東京新聞朝刊 9ページ「読む人-人道主義の落とし穴」から引用

 この記事は、まるでうっかり難民を受け入れるとドイツのようにとんだ被害を被ることにもなりかねないと言っているようで、文学者にあるまじき浅はかな主張だと思いましたが、それにもまして問題なのは「西欧の誇る人道主義」という表現です。ヨーロッパの白人が人道主義を自分たちの「誇りだ」などと考えているのかという疑問もありますが、歴史の事実として、アメリカ大陸のカナダからアルゼンチンの果てまで、西欧起源の言語が公用語になっている事実は、かつて西欧の白人が侵略し支配し収奪した痕跡を示している。また、今日中東で紛争が絶えないのも、西欧帝国主義の結果であり、キリスト教ヒューマニズムなどというものは、そのような行き過ぎに対する反動で少数の宗教者が唱えているもので、それに共鳴する政治家は実際に行政のトップにありながらも尚、大企業経営者の既得権益には遠慮せざるを得ず、貧富の差の拡大に歯止めを掛けられずにいるのが実態だ。





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最終更新日  2017年12月29日 19時48分48秒


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