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2017年12月30日
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テーマ: 本日の1冊(3755)
カテゴリ: 読書
ジャーナリストの武田徹氏は、臼井隆一郎著「アウシュビッツのコーヒー」(石風社刊)について、ブック・アサヒ・コムに次のように書評を書いている;




 本書はイスラームとユダヤの間に「コーヒー」という補助線を引く。コーヒーはイスラームをルーツとし、ヨーロッパに伝播(でんぱ)した後、中毒的に広まる。その中で新興ドイツはインドネシア産コーヒーをオランダから買うしかなく、輸入超過に悩んだフリードリヒ大王は 植物原料の代用コーヒー開発を国内化学産業に求めていた。 そんなドイツが1883年、念願の植民地をアフリカに持つ。 コーヒー栽培で原住民と接触したドイツ人は「働く者」を生かし、「働かざる者」を殺す活殺自在の論理を育む。

 その行き着いた先がアウシュビッツだった。収容所では「シャワーのあとにはコーヒーを出す」からと騙(だま)してユダヤ人をガス室に送った。 毒ガスは代用コーヒー作りで発展した化学産業が製造したものだった。





 ちなみにアウシュビッツ以前のドイツにはコーヒーばかり飲んでいると回教徒になると歌う「コーヒー・カノン」が広く愛唱されていたという。食欲抑制や抗眠作用に期待してコーヒーを愛用していたイスラームの故事を踏まえ、コーヒー過剰摂取で神経を病み、体調を悪化させた人を「回教徒」と揶揄(やゆ)する習慣は既にあったのだが、それを収容所のユダヤ人にまで適用したのが、瘦せこけた囚人たちへの憐憫(れんびん)の情からであろうはずもない。たかが呼称だが、そこには 近代社会が育んだ自民族支配、他民族差別のイデオロギー が影を落としている。

 アウシュビッツへの軌跡を軸とする本書は前著『コーヒーが廻り 世界が廻る』(中公新書)より苦味が効いている。加えて積年のコーヒー史研究の集大成としてアフリカ、南アメリカ、極東に及ぶ知識も存分に披露され、複雑な陰影を湛(たた)えたコーヒーのような深い味わいの一冊となった。
        ◇
うすい・りゅういちろう 46年生まれ。東京大学名誉教授。専門は文化学など。『「苦海浄土」論』など多数。


ブック・アサヒ・コム
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016112000006.html

 フリードリヒ大王と言えば日本は江戸時代の頃と思われますが、そういう昔に開発された代用コーヒーとは如何なるシロモノだったのか、興味があります。そのような背景から、その後アウシュビッツで消費された毒ガスを製造する技術が生まれたというのは説得力のある話ですが、それにも増してドイツ人が育んだという「活殺自在の論理」は衝撃的です。





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最終更新日  2017年12月30日 20時47分37秒


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