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2017年12月31日
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テーマ: 本日の1冊(3755)
カテゴリ: 読書
今年、高文研から「日中戦争全史」を出版した中国近現代史家・笠原十九司氏は、現代から振り返る日中戦争の本質について、「しんぶん赤旗」のインタビューに応えて次のように述べている;


「日本軍が中国戦場で何をやったのかを日本国民はもっと知らないといけない」 と語る笠原さん。新著に込めた思いを聞きました。
神田晴雄記者


 「満州事変」(1931年)の前夜から説き起こし、日中戦争の勃発(1937年)、その全面化、そして日本敗戦までを詳述しています。その叙述は、現地の人に会う、現場の状況の中に史料を読み込むことをモットーに、”足で歩く歴史研究”を自任する笠原さんならではです。

◆バスで地方回る

 1965年以来今年まで訪中した回数は「数え切れません」。

 地方史研究が盛んな中国では雑誌が多く発行されています。日本軍の動向を調べた研究が載っている雑誌を探して買ってくるのも笠原さんの訪中の楽しみの一つです。

 「中国ではバスで地方を回りました。その方が気候・風土や地理、距離感がつかめますから。戦争被害者の多くは農民です。戦争体験を向き合って聞いていると、苦しかった体験を聞いてくれる日本人だという共感をもってくれます。私は中国語の標準語ならわかりますので、一人でフィールドワークをやってきました。日程も自分で組み立て、行きたいところへ行き、いろいろ見て聞いて、資料を見せてもらいました。中国は方言が多いので、その場合は通訳をたのみます」

 笠原さんの歴史叙述は「迫力がある」といわれます。

 「たとえば大陸打通作戦(1944年4月~45年2月、約51万人)で湖北から湖南へ進軍した日本軍は食料がなかったため、農家や畑から農作物を略奪しました。村を襲い刈り取った稲を略奪する日本軍を農民は遠巻きにしていました。日本兵がいなくなると農民は戻って来ますが食べるものがない。飢えて栄養失調状態の日本兵の苦労と、農作物を取られた側の農民の悲惨な声の両方を聞いて描くので、リアルで鋭得力があると感じてもらえるのかもしれません」

 中国の戦場で日本軍がおこなった残虐行為・戦争犯罪の数々・・・。南京事件、731部隊、毒ガス戦、重慶無差別爆撃、強制連行・強制労働、日本軍「慰安婦」などを、日中戦争の展開の中に位置づけて解き明かしているのも本書の特徴です。それらをなかったことにしようとする歴史修正主義への事実に基づいた反撃です。

 その際、日本兵たちは中国侵略戦争における加害者であると同時に、無謀な作戦の犠牲者だという視点を欠かしません。

 「大陸打通作戦も、おびただしい病死や栄養失調死を出したインパール作戦も合理性を欠いた作戦でした。それによって日本軍兵士はみじめな状態に陥った。戦争指導者たちの責任は重大です」

◆「抗日」から反ファシズムへ

 下巻に珍しい写真があります。米中の航空兵たちが肩を並べて笑顔で写っている一枚です。説明に「米中連合航空部隊」とあります。

 「中国が単独でたたかってきた抗日戦争の性格が1942年から変わります。この年の1月に連合国26カ国によって『連合国共同宣言』が調印され、 中国の抗日戦争が反ファシズム戦争の一翼に組み込まれることになった からです。日中戦争はアジア太平洋戦争に包摂されます。ルーズベルト米大統領はアジア太平洋戦争において『中国戦区』を設けて、蒋介石をその総司令官に推薦します。 そのため中国空軍は米軍と連合航空部隊を組んで日本軍を攻撃できるようになりました。 写真はその時のものです」

 日中戦争の性格が変わったことは、戦後の日本人の戦争観に影響を与えたと笠原さんは見ています。

 「日本にとって敗戦ショックは大きいわけですが、だれに負けたかと聞かれるとアメリカという人が多い。玉砕という悲劇も、アメリカに対する敗北という意識を植え付けました。歴史書や歴史教科書からも真珠湾攻撃以降の太平洋戦争の記述に中国戦場の動向が少ないのも一因です。しかし 中国戦場では45年になると、日本軍は中国軍に追撃されるようになりました

 日本人の中国べっ視も、中国がアジア太平洋戦争の戦勝国だという認識のなさが関係していると言います。

◆「前史」と「前夜」

 戦争には「前史」と「前夜」があり、「前史」のうちに戦争の芽を摘み取らなければならない、「前夜」になってからでは偶発事件や謀略事件をきっかけに簡単に戦闘が始まってしまうと警告します。

 本書でも、日本国民が日中戦争から学ぶべきことは、「前史」から「前夜」にいつ転換したかを知ることだと書いています。

 「安倍政権のもとで日本はいま戦争の前史です。共謀罪、安保法制、秘密保護法などの危険な動きに気づいてほ心い。戦争反対を言えなくなってからでは遅い」


かさはら・とくし=1944年群馬県生まれ。都留文科大学名誉教授。主な著書に『南京事件』『日本軍の治安戦』『海軍の日中戦争一アジア太平洋戦争への自守成のシナリオ』など


2017年9月17日 「しんぶん赤旗」日曜版 32ページ「足でつかんだリアルな歴史」から引用

 この記事も今年の日記に貼り付けておく価値がある記事です。わが国の報道も歴史教育も、日本はアメリカに敗れたかのように教えられたような気がしますが、中国が反ファシズム戦争を戦っている立場から連合国軍に組み込まれたという事実からしても、また実際に戦場でも45年になると日本軍は中国軍に追撃されるようになった事実からも、中国が戦勝国の一つであることは明らかです。さらに、私たちが歴史を教訓とする上で重要なことは、現在の政権が着々と戦争準備をしているということであり、これが「戦争前夜」に転換する前に戦争準備を止めさせる必要があるということです。





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最終更新日  2017年12月31日 19時30分10秒


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