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2023年07月06日
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テーマ: ニュース(96853)
カテゴリ: ニュース
国から支給される科学研究費で「慰安婦問題」を研究する学者を「国の予算を不正に使っている」などと誹謗中傷したことが「名誉毀損」に当たるという、衆院議員・杉田水脈に対する大阪高裁判決が確定したことについて、6月18日の「しんぶん赤旗」は原告である牟田和恵氏へのインタビュー記事を掲載している;




 自民党の杉田水脈(みお)衆院議員を名誉毀損(きそん)等で提訴したフェミ科研費裁判の控訴審判決が5月30日、大阪高裁でありました。昨年5月、原告の請求を全面棄却した京都地裁判決を一部覆し、杉田氏に33万円の賠償を命じる逆転勝訴判決が出され、確定しました。原告のひとりで、高裁判決で杉田氏による名誉毀損が認められた牟田和恵さんに聞きました。
(党学術・文化委員会 朝岡晶子)


――高裁判決は、牟田さんらの科研費研究には、杉田氏が言うような科研費の不正使用・ずさんな経理はなかったとし、地裁判決を一部見直しました。

【牟田】  高裁判決は、地裁判決を覆す画期的な判断だったと思います。

 杉田氏は、私たちが科研費研究の助成期間終了後に作成したショートムービー「『慰安婦』問題は#MeTooだ!」に対して、助成期間終了後に経費を支出していてずさんな経理だなど、私たちが科研費を不正使用したかのような発言をしてきました。

 しかし、 助成期間終了後に研究成果をまとめて発表することはしばしばあることですし、そもそも終了後に科研費を使えるわけがありません。

 それにもかかわらず一審では、「研究期間終了までに動画が完成していなかったのは事実」であり、「被告がずさんと述べたのは、原告の牟田であるか、所属大学であるのか明らかではない」と、杉田氏の発言になかった判断までされて驚きました。

 二審は、助成期間終了後に科研費が使用されたとは認められず、牟田の「名誉を毀損する違法なもの」として杉田氏に慰謝料の支払いを命じました。

 これは、 国会議員が科研費をはじめとした公金の支出について、何の根拠もなく好き放題に発言することへの歯止めにもなる重要な判断だ と思います。この判断は、私たちの科研費研究にとどまらず、「反日研究に公金を使うな」などと言った科研費たたきや、東京都の若年被害女性支援事業の委託を受けて活動してきたColaboたたきの問題にもつながるものだと考えます。


―― 一方、「慰安婦」研究に対し、杉田氏が「ねつ造」だとした発言については、「立場・見解の相違」であるとし、名誉毀損にあたらないとされました。

【牟田】  二審が、「慰安婦」問題については、私たちの研究と杉田氏に意見の違いがあるのは周知の事柄であり、杉田氏が「ねつ造」と言ったのは、「慰安婦」には強制はなかった、性奴隷制は事実に反する「ねつ造」であるとする立場・見解から述べたのであって、私たちの研究について言ったわけではないとして判断を回避したのは、一審に続いて残念なことでした。

 このように、裁判所が歴史修正主義に肩入れしているように思えるのは残念です。しかしこれは裁判所の問題というより、 安倍晋三氏の官房長官時代以降、国家権力が主張してきた歴史修正主義に問題があると思っています。

 今日、日本政府は、「慰安婦」には強制性があったとした1993年の「河野談話」ではなく、2016年、女性差別撤廃条約政府報告審査で杉山晋輔外務審議官(当時)が行った「強制連行は確認できなかった」という発言を政府見解としています。 本来、三権分立に基づいて独立した判断をすべき司法が、行政・立法とむしろ歩調を合わせていることを確認する結果となりました。


――2019年2月の提訴から4年3カ月。この裁判にはどのような意味があったとお考えでしょうか。

【牟田】  杉田氏を提訴する以前、私たちの研究を理解してくださっている方からも、「杉田氏が差別的な発言をくり返す人物なのはわかっているのだから、裁判などしなくてもいいのではないか」と言われました。

しかし私は、杉田氏の発言を放置しておくことが、今後、科研費や学問の自由、そしてフェミニズムへの攻撃がされたときに、“あのとき私たちが放置していたからではないか”と思うかもしれないと考えると、いたたまれませんでした。 私自身の学問的立場・社会的立場の責任からしても、ここではっきりとノーと言っておかなければならないと思ったのです。

 実際、私たちが提訴した翌年の10月、菅義偉首相(当時)による日本学術会議会員任命拒否問題が起きたように、学問・研究への政治介入はいっそう強まっています。そのようななかで、 高裁判決は、多少なりとも、国会議員が学問・研究に口出しするなということをアピールすることになったのではないかと思っています。


――フェミニズム・ジェンダー研究や運動との関係ではどうでしょうか。

【牟田】  杉田氏が科研費バッシングをしはじめた当初は、私たちの研究ではなく、科研費の助成額がより高額である別の研究を批判していました。しかし、途中から私たちの科研費研究に焦点を絞ってきた。

 それは私たちの研究が、「慰安婦」や性暴力、セクシュアリティーを扱っている研究だったため、バッシングしやすかったのでしょう。加えて、この研究グループの全員が女性研究者であったということも関係していると思います。

 そして残念ながら、京都地裁、大阪高裁の裁判官にも、それに近い認識があったのではないかと思わざるを得ません。 杉田氏が私たちの研究にたいして「ねつ造」、「とんでもない研究」であると言い放ったことは、研究者の社会的評価をおとしめるばかりか、研究者生命にもかかわる重大な発言です。しかしこの問題について裁判所には理解されませんでした。

 一方、ジャーナリストの伊藤詩織さんの裁判や選択的夫婦別姓裁判などがそうであるように、女性たちが黙らなくなってきました。そしてそれらが一定の支持を得るようになってきた。女性たちが声をあげることをよしとしない人たちは、それに対しての危機感をもっているのでしょう。ですからそれをつぶしたいと考えている。

 裁判では、毎回たくさんの市民―なかでも女性たち―が傍聴席を埋めてくださり、多くの研究者がひとごとではないと受け止めて支援してくださったことも大きな力になりました。

 引き続き、こうしたみなさんとともに、 杉田氏のような歴史修正主義者が大手を振っているような社会状況に対して声をあげていきたい と思っています。


<むた・かずえ> 1956年生まれ。大阪大学名誉教授。2023年1月までグラスゴーカレドニアン大学客員教授。『ジェンダー家族を超えて―近現代の生/性の政治とフェミニズム』(新曜社)、『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社新書)ほか


2023年6月18日 「しんぶん赤旗」 3ページ 「焦点・論点-フェミ科研費裁判 杉田水脈氏に賠償命令確定」から引用

 記事の中で牟田氏が訴えているように、歴史修正主義者の杉田水脈に言わせっぱなしにしないで裁判に訴えたことは良かったと思います。勝訴の判決は高等裁判所から出たので、もし被告側に「自分は間違っていない」という信念があれば最高裁に訴えるという「道」もあったのですが、さすがの杉田議員も高裁の判決内容と己のしでかした事を仔細に比較検討した結果、この高裁判決を最高裁で覆すことは不可能と判断したわけで、それだけの「判断力」を持ちながら、なぜ歴史修正主義の言動を改めようとしないのか、不思議な人だなと思いました。





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最終更新日  2023年07月06日 01時00分06秒


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