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<田中倫夫記者>
今回は、これまでの 「政治とカネ」の問題とは位相が異なっていると思います。
◆ロッキードなど今までとは違う
ロッキード事件では首相に5億円の賄賂が渡ったとされ、リクルート事件では未公開株が政界にもばらまかれました。ただ、厳密に言えば、それに直接かかわったのは自民党でも一部でした。
しかし今回の政治資金パーティーを巡る裏金問題は、自民党で最大派閥の安倍派(清和政策研究会)をはじめ主要派閥すべてに及んでいます。まさに党全体が問われる”構造汚職”であり、特に悪質性が高い安倍派を中心に数十人の議員が東京地検特搜部の聴取対象になっているといわれています。
派閥の政治資金パーティーをめぐり、 売り上げの一部を所属議員にキックバックし、それをすべて裏金化するなどという手口は、誰が考えたって「これはマズい」「いずれバレる」とわかるはずです。
それを最大派閥などが半ば堂々と組織ぐるみで長年続けていた。政治資金規正法が「ザル法」なのはその通りですし、強化が必要なのは明らかですが、今回の問題はそれ以前の話であって、 政党や政治家として倫理の底が抜けた「言語道断の所業」です。
◆「安倍政治」のなれの果て
今回の問題をみていると、「平家物語」の有名な一説「驕(おご)れる人も久しからず」を思い起こします。 各派閥のなかでも安倍派の悪質性が際立っているのは偶然ではありません。権力を独善的かつ放埒(ほうらつ)に振るい続けた長期「一強」政権のおごりが常識はずれの腐敗をまん延させたとみるべきです。
安倍政権下では、幹部官僚人事まで官邸が支配し、霞が関には忖度(そんたく)や萎縮が広がり、財務省では公文書改ざんまで引き起こされました。
そればかりか 日銀や内閣法制局、さらには司法や検察、メディアや学術界といった、時の政治権力から独立して意見を表明し、チェック機能を果たすべき存在までを強権や圧力でつぶそうとしてきました。
一方で岸田首相は今回、安倍派だけを切り捨てて乗り切ろうと必死です。 しかし、たとえば「赤旗」日曜版(12月10日号)が「麻生派も裏金」「派閥の例会でキックバック」「現金が詰まった茶封筒を渡された」と報じたように、問われているのは自民党全体です。そもそも安倍政冶を引き継ぐと称して政権に就き、安倍派におもねり続けてきたのか岸田首相でした。
◆検察追随報道の体たらく
今回の問題の端緒を報じたのは昨年11月6曰号の日曜版でした。この時点で主要派閥の不記載2500万円を独自に調べあげた。非常に重要で見事な調査報道でした。実際、これを受けて上脇博之・神戸学院大教授がさらに独自調査を加えて刑事告発し、今回の検察捜査につながったわけです。
しかし、日曜版の調査報遣以降、大手メディアはまったく追随しませんでした。最近になって連日大きく報じているのは、特捜部が捜査に動きはじめたからです。
もちろん僕は、検察や警察といった捜査機関の動きを報ずることは否定しません。これを機に安倍政権や自民党政治のありようを根本から捉え直し、政治資金規正法の強化といった各種課題に取り砠む必要もあります。
ただ、当局が捜査に勦きだすと突然大きく報じはじめるような、捜査機関追随型の報道ばかりで、メディアは権力監視の責任を果たせるのか。検察や警察だって数々の悪弊を抱える権力機関であり、今回の問題だって日曜版の報道や上脇教授の告発がなければ、検察は動きださなかったかもしれない。
かつて大手の通信社の記者だった自省も込めて言えば、こうしたメディアの体質の根源には、大手メディア各社が官公庁などの「記者クラブ」情報に依存している問題もあります。そうではなく、メディアが自らの取材と責任で調べ、報じる「調査報道」にもっと力を入れるべきです。
◆パー券・企業献金禁止を
特搜部による刑事責任の追及と合わせ、国会での真相解明が必要です。関係者の証人喚問などはもちろん、「ザル法」の政治資金規正法強化は喫緊の課題でしょう。
そもそも1994年に政党助成金制度が導入されたのは、企業・団体献金に代わる”健全な政治資金”の確保が目的だったはずです。なのに現状は政党や政党支部ならば企業・団体献金が許され、今回のようなパーティー券購入なら事実上野放図になっている。根本から改めるべきです。
さらに必須なのは政権交代です。政治腐敗が横行するのは、政権交代がないためなのも大きい。いずれ政権交代で暴かれると思えば、これほど組織的な悪事を当然のように続けることなどできないのですから。
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