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2024年01月15日
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テーマ: ニュース(96857)
カテゴリ: ニュース
安倍政権と菅政権で日本の民主主義はどのように歪められたか、ジャーナリストの青木理氏は12月29日の朝日新聞に、次のように書いている;




第2次安倍政権と菅(すが)政権は、戦後例のない「警察政権」でした。 各省庁を差配する事務担当の官房副長官には一貫して元警察官僚の杉田和博氏が座り、幹部官僚人事を牛耳る内閣人事局が新設されると、間もなくその局長も兼務。また、外交防衛政策を企画立案する国家安全保障局長にも、警察官僚の北村滋氏が起用されました。いずれも、警察組織のうち警備公安部門の要職を歴任した人物です。

 これには歴史的背景があります。

 公安警察は戦後長らく、「反共産主義」をレーゾンデートル(存在意義)として肥大化してきました。警察内部でも公安部門は中枢でありエリートでした。しかし1990年代に潮目が変わります。冷戦崩壊で共産諸国が倒れ、国内の新左翼も衰退。そこへ戦後最大級の組織犯罪であるオウム真理教事件が起きますが、捜査を委ねられた事件で失態も続き、逆風下で人員も減らされていきます。

ところが01年に9・11米同時多発テロが起きると、公安は「国際テロ対策」、さらには「安全保障」を新たな存在意義として見いだします。 警察庁警備局と、最大の実動部隊である警視庁公安部の外事部門が拡充され、他方で、政治権力中枢に急接近して密接な関係を築いていきます。その極致が第2次安倍政権でした。この下で、特定秘密保護法や共謀罪法といった、警察に強力な武器を与える「治安法」が次々と成立します。

◆強引な捜査の背景に「経済安保」

 20年の大川原化工機事件では、軍事転用が可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして、社長ら3人が外為法違反などの疑いで警視庁公安部に逮捕されました。これに刑事司法のゆがみも伴って勾留は11カ月にも及び、1人は病の治療を迅速に受けられず、保釈も認められぬまま他界します。

初公判直前に検察が起訴を取り消すという異例の経過をたどりますが、無理筋の立件は、外事部門の存在感を内外に誇示する思惑があったのは間違いありません。 当時「最も総理に面会した男」と呼ばれた北村局長の下、国家安全保障局に経済班が新設され、「経済安保」が声高に叫ばれていたことも、明らかに「背景」にあります。

 公安警察は特異な組織です。日本は自治体警察を建前としていますが、公安部門の活動費は国庫から支弁され、全国の公安警察は事実上、警察庁警備局の直轄下にあります。時には都道府県公安委員会はおろか県警本部長の頭越しに指示や命令が発せられます。

 刑事警察の任務は、犯罪捜査と容疑者の検挙ですが、公安警察の活動はこれにとどまらない。全国津々浦々の警察網を駆使して情報を集め、個人や団体の動向を日常的に監視するのが最大の任務です。 事件解決を目指すというより、時には別件や微罪を理由とする捜査によって、対象団体などが「反社会的」で「危険」であるというメッセージを世に発信すること自体を目的としている。 いわば「掣肘(せいちゅう)」を加え、それが治安維持につながるという発想が染みついているわけです。公安警察官は組織内で「治安の守護者」としての自負と選民意識をたたき込まれます。

これが政治と一体化するといかに危険か。 「時の体制に従わぬ者は許さない」という思想警察的存在へと容易に転化します。 その一つの例が、19年の参院選で、街頭演説する安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民を北海道警の警察官が排除した問題です。

◆民主的な統制のあり方、議論を

 警察は軍事組織と同様、国家の巨大な「暴力装置」です。この統制のため、戦後日本は、民間人を主とする公安委員会を設け、政治が警察に直接介入したり、逆に警察が政治に干渉したりするのを排除する仕組みを整えました。この建前すらなくなったかのような、政治と警察の危うい蜜月がここ10年、続いています。杉田氏の後任の栗生俊一・官房副長官も、公安畑ではないですが警察官僚です。

 政治家の側は、場合によっては自らに「暴力」の牙が向けられるかもしれないという想像力と緊張感を欠き、警察の側も、仕えるべきは政権ではなく国家なのだという意識が希薄になっている。それが表れた一例が、加計学園問題が沸騰していた17年の前川喜平・元文部科学事務次官の「出会い系バー通い」報道だと思います。

 前川氏はその前年から2度にわたり、当時の杉田官房副長官から出会い系バーのことを指摘され「気をつけるように」などと言われたと証言しています。あの情報源は公安警察だと私は考えています。というのは、共同通信時代以来の取材先によれば、公安は省庁の局長級以上や基幹産業の幹部のプライバシーまで調べるからです。

 日本学術会議の会員任命拒否問題も、公安警察的発想が色濃くにじんでいます。 時の政権に逆らうとこういう目に遭うぞ、というメッセージを送り、学術界に疑心暗鬼と萎縮を広げる。 世の人には「学術会議には改革の必要がある」という印象を植えつける。その目的が達せられれば、それだけでも十分に「効果的」だった――そういう発想です。

 政治も警察もかつての一線を踏み越えている。明らかに「一強政権」の弊害だと思います。

 今年TBS系で放送され話題となったドラマ「VIVANT」は、存在がうわさされてきた自衛隊の秘密情報部隊「別班」とともに、公安警察が重要なモチーフでした。どちらも、政治やメディアが常に監視し民主的コントロールの下に置くべき危険な存在です。にもかかわらず、あまりにも能天気でヒロイックな描き方でした。フィクションに目くじらを立てる気はないですが、欧米では「007」シリーズがある一方でオリバー・ストーン監督の社会派作品があったり、韓国でも「光州事件」に踏み込んだ映画が大ヒットしたりと、娯楽でありながらシリアスな題材を扱い暗部に切り込んだものが少なくない。残念ながら、日本のエンタメ界の限界を痛感したのも事実です。
(聞き手・石川智也)


<あおき・おさむ> 1966年生まれ。共同通信で94~96年に警視庁公安担当を務め、ソウル特派員などを経て06年にフリーに。著書に「日本の公安警察」「安倍三代」「日本会議の正体」「情報隠蔽国家」など多数。


2023年12月29日 朝日新聞朝刊 13版S 11ページ 「耕論・公安警察 暴走の背景-政治権力との危うい蜜月」から引用

 安倍政権は警察官僚を内閣府職員に採用して官僚を恫喝し、政権の意向に沿った行動を強要するという民主主義を捻じ曲げる政治を行って、世の中を支配したつもりだったのかも知れません。普段から安倍晋三をよいしょする記事を書いて懇意になった山口某という男は、女性ジャーナリストと会食中に飲み物に薬物を混入して、本人が人事不省になったところをタクシーに乗せてホテルに連れ込むという悪行が、ホテルの防犯カメラの映像に残っていたため、女性の訴えを受けた警察官が「これは立証できる」と考えて裁判所から逮捕状を取り付けたところ、山口某が安倍晋三の友人であることを知った警察官僚が現場の警察官に「逮捕状の執行中止」を命令したという「事件」があったが、その逮捕状執行中止を命令した官僚はその後警察庁長官に出世するという事態になったのであった。このようにして、安倍政権下では、警察を巻き込んだ不正が何度も繰り返され、上の記事に書かれている大川原化工機事件なども、現場の検察官が一読して「これは冤罪だろう」と察しがつくようなお粗末な訴状で、こんなことでありもしない事件をでっちあげないと存在意義を疑われるような組織は、もはや廃止の方向で検討するべきと思います。





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最終更新日  2024年01月15日 01時00分07秒


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