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2026年1月3日、米国は南米ベネズエラの首都カラカスに対して軍事行動を行い、同国大統領のマドゥロ大統領を拘束したと発表した。かねてマドゥロ政権が「麻薬テロ組織」に関与していると主張してきた米国のトランプ大統領であるが、一国の首都を直接攻撃し、その首脳を強制的に排除する蛮行に世界に衝撃が走った。
確かにマドゥロ氏は、長年にわたり人権や民主主義を抑圧し、多くの移民流出を招いた指導者である。 かつて南米において安定した民主主義国を誇ったベネズエラは、今や見る影もない。大統領の周辺に権力が集中し、不安定な政治・経済運営によって混乱が助長されている。ベネズエラにおける民主主義の回復が急務であることは間違いない。
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とはいえ、マドゥロ氏が麻薬密売などの罪で米国において起訴されたことを理由に、他の主権国家を攻撃することは、国際法上の根拠が乏しいと言わざるをえない。あたかもベネズエラを自国の内部のように扱うトランプ政権は、横車を押しても押し切れるという傲慢さばかりが目立つ。
まして今回の攻撃では、民間人を含む、少なくとも100人の死者が発生している。世界のルールメーキングを担うと自任してきた米国が、今や自ら世界の無法状態を生み出す存在になってしまったことは、歴史の流れの大きな転換点を感じさせる。力こそがすべてであるかのように振る舞う米国にはまさに帝国主義という言葉が合う。
ここに来てキーワードになっているのが。「モンロー主義」である。米国の第5代大統領ジェームズ・モンローは、欧州諸国と南北アメリカ大陸の相互不干渉を主張したが、この考えは長く米国の外交政策を規定することになった。米国が民主主義を掲げて国際政治に深く関与するようになったのは、20世紀の第1次・第2次世界大戦を待たなければならなかった。
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このようなモンロー主義をもじって、トランプ氏は「ドンロー主義」と呼んでいるようだ。しかし、注意すべきことが二つある。
第一は、モンロー主義には深い理想があったことである。欧州の権力政治から距離を取るという理念は、初代のワシントン大統領の退任演説においてすでに見られた。それは国際政治上の知恵であると同時に、 自らを権力政治より上に置こうとする新生共和国の潔癖な理想主義であった。現在の「ドンロー主義」に、わずかでも道徳的理想があるのだろうか。
第二は、米国の欧州に対する孤立主義が、中南米諸国に対する介入主義とセットだったことである。西半球こそは自らの勢力圏であるという帝国主義的発想については、トランプ氏は見事にその継承者となっている。とはいえ、明確なベネズエラの復興プランを持たないように見えるトランプ氏は、肝心の勢力圏を内側から崩すばかりだろう。
東半球にあって、日本はますます自国の置かれた状況を考えざるをえない。「ドンロー主義」に沈む米国をわずかでも立ち止まらせる力が、日本にまだ残っていると信じたい。
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