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2026年01月30日
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テーマ: ニュース(96857)
カテゴリ: ニュース
平山周吉著「天皇機関説タイフーン」(講談社刊)について、戦史研究家の山崎雅弘氏は、11日の神奈川新聞に次のような書評を書いている;




 天皇機関説とは、当時日本固有の神的存在とされた天皇を、近代国家の社会システムに整合させるために考案された憲法学説で、「天皇は国家の最高機関であり憲法の枠内で権能を有する」という、立憲君主国の原則に準ずるものだった。

 だが、天皇を絶対的権威と見なす思想家の蓑田胸喜や、菊池武夫ら軍人出身の政治家、右翼の活動家は、この学説に「天皇への不敬と国体の破壊」と言いがかりをつけ、機関説提唱の憲法学者で貴族院議員の美濃部達吉を「学匪(がくひ)」「国賊」と激しく罵倒して社会から排撃することに成功する。

 本書は、この異様な政治闘争の進展を臨場感あふれる膨大なディテールで描き出す大作である。

 美濃部や蓑田の人となりにさまざまな角度から光が当てられ、宮沢俊義ら憲法学者の立ち回り、機関説攻撃の背後にあったとされる一木喜徳郎枢密院議長の失脚をもくろむ策略、 侍従には「機関説支持」を伝えながら美濃部擁護の行動をとらず事態を事実上傍観した昭和天皇の態度など、重層的な描写で当時の空気感が生々しく描かれる。 一連の出来事についての、当時東京帝大生だった丸山真男や、三島由紀夫の言動も興味深い。

 同時代の新聞記者や庶民は、重大な社会の地殻変動が起きているという認識が薄かったが、 天皇機関説事件は、理性が感情に、道理が誹謗(ひぼう)中傷に敗北し、主観的な天皇崇拝の大義名分が際限なく肥大化するきっかけとなった。 「国体」という2文字を居丈高に振りかざす言いがかりの標的となった者は、沈黙と萎縮を強いられた。この事件以降、日本国民は不穏な空気に包まれながら、戦乱の時代へと突き進んでいくことになる。
(戦史研究家・山崎雅弘)

◆平山周吉著「天皇機関説タイフーン」(講談社刊)¥3,080.-


2026年1月11日 神奈川新聞朝刊 10ページ 「読書-異様な政治闘争を描く」から引用

 美濃部達吉が提唱した「天皇機関説」は、天皇を最高指導者として国家を運営するシステムについて、当時の社会学的な立場から客観的に分析し表現した学説であったから、多少とも学問の心得があった昭和天皇にしてみれば「天皇機関説」は国家の姿を学問的に表現したものと、正しく理解が出来ていたもののようです。ところが、そのような学識の無かった軍人や蓑田胸喜のような者は「天皇は神の子孫」でなければならない、という「空想」を「現実」と混同して生活していたもののようで、そういうレベルの者が大きな顔をして世の中をリードした結果、大日本帝国は敗戦する以外に道はなかった、というのが80年前の日本でした。そして、敗戦を機会に日本は民主主義の国として再スタートしたのでしたが、そのスタート時に平和憲法を制定して陸軍省、海軍省を廃止して陸海軍を無くしたのは良かったのに、陸軍外軍が共同管理していた靖国神社は、これを廃止することなく一般宗教法人として存続を許したのが、GHQの唯一の失政でした。「天皇は神の子孫」との主張は戦後80年の間、靖国神社に集う人々によって細々と受け継がれ、80年目にして政治の表舞台に飛び出し、参政党などと称して国会に議席を得るまでになっています。これからの日本人が、「天皇は神の子孫」などというデタラメに再び騙されて隣国と戦争を始めるような「愚行」を繰り返すのか、その危険性は決して小さいとは言えません。





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最終更新日  2026年01月30日 19時02分56秒


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