
中国政府がとうとう改革に着手、中国が抱える爆弾「戸籍問題」って何?
都市戸籍を取れない「農民工」の生活 成長する中国の裏側
中国政府は7月末、これまで都市と農村で別々であった戸籍を統一する方針を発表しました。中国では出身地によって戸籍の種類が異なっており、両者には大きな格差があります。都市戸籍の所有者は移動に制限がなく好きなところに住むことができ、年金や医療などの社会保障サービスも充実しています。しかし農村戸籍の所有者 は、国から農地を配分されますが、転居や教育、年金などで実質的な制限を受けており、都市戸籍所有者と同じようなサービスを受けることができません。
中国は革命で出来た国であり、建国当初はたいへん貧しい状況でした。圧倒的多数を占める貧しい農民を土地に縛り付け、革命政権に対する不満を表面化させないために導入されたのがこの戸籍制度です。
しかし中国が驚異的な経済発展を遂げるようになると、都市部の生活水準と地方の格差がさらに拡大してきました。このため、戸籍上、不利益があって も、地方から都市部に流入して肉体労働などに従事する人が急激に増加してきたわけです。都市部に住むこうした農村戸籍の人たちのことを中国では「農民工」 と呼んでいますが、彼等の不満は爆発寸前といわれています。農民工の問題は、最近の中国における重要な政治課題となっているのです。
中国ではもともと都市住民と農村住民とで戸籍上の扱いを区別し、人口移動を厳しく制限してきた。一方、80年代以降の経済成長は、沿海地域を中心に都市部の工場が多くの労働力を必要としたため、農村戸籍のまま都市部に滞在する出稼ぎ者が増加。メード・イン・チャイナの担い手となった。都市の発展は、サービス産業での農民工の働き口も増やすこととなった。一時的な出稼ぎではなく、家族を連れて都市部に定着する者も少なくない。この場合、制度上は都市民扱いされず、子供の初等教育などの行政サービスを受けられないという問題が生じている。
現実には、硬直的な戸籍制度はすでに機能しておらず、再開発に際して土地を提供する代わりに都市戸籍を付与するといった措置があちこちで行われており、都市戸籍取得者は徐々に増えてきています。現在、中国は約14億人の人口を抱えていますが、都市戸籍の保有者は約5億人、農村戸籍の保有者は約9億人といわれています。中国政府では2020年までの間に、あらたに1億人が都市戸籍保有者になるとしています。
戸籍問題の解決策は、単純に都市戸籍を増やせば済むというものではありません。都市戸籍を急に増やしてしまうと、ただでさえ深刻な都市部への人口 流入がさらに激しくなり、治安の問題、インフラの不足など様々な問題を引き起こします。中国政府では、500万人以上の大都市における人口規制を段階的に 撤廃し、混乱のない形で戸籍問題の解決を図ろうしています。
最終的に戸籍が都市戸籍に統一されれば、党幹部など一部の特権階級による富の独占という図式は変わらないものの、一般国民における格差はかなり解消されることになるでしょう。この改革は、中国共産党が今後も安定的に統治できるかの重要な試金石となりそうです。
(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)
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