2016/01/27
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 「台湾は中国の島」という幻想を砕いた蔡英文の「血」 
=NewsWeek、2016年1月22日(金)楊海英(本誌コラムニスト); 新総統を生み出したのは、中国離れと歴史的な台湾人意識

蔡英文-1



 男尊女卑という儒教文化の伝統が根強く残る中華世界における快挙だとか、民主化の産物だとか言われている。そうした諸要素も否定はできないが、私はむしろ台湾独自の歴史が蔡総統を生む力になったとみている。

 私は選挙期間中に2度、台湾に渡った。国民党候補を20ポイントも引き離す高支持率を維持してきた蔡を支える力はどこから来るのか。島を一周しながらさまざまな人たちに話を聞いた。

 蔡を背後から守っているのは「台湾人意識」だ。 彼女は祖母が台湾の先住民、父親は客家(ハッカ)人で、もともと台湾に住んでいた本省人が陣営を固めていた。

 台湾の先住民は中国の少数民族と異なり、古代から中華文化とさほど関わりを持たない。台湾先住民の諸言語は南洋のオーストロネシア語族に属する。島の各地に残る新石器時代以降の遺跡からはポリネシアやインドネシア、フィリピンの諸民族と共通の出土品が発掘されている。

南洋系の先住民の国
 太古の時代に南洋の人々がカヌーをこいで北上してきた、というのが定説だ。南下した「中華民族が祖国に編入した島」ではない。客家など漢人の渡来の歴史は浅く、300~400年前のこと。台湾は何よりも南洋系の先住民の国なのだ。

 漢人は台湾で生活するようになっても、実質的に近代まで統治者になったことはない。17世紀にオランダ人が植民政府を設置し、スペイン人も進出を試みた。オランダ人を追い出した武将、鄭成功も漢人というよりも、日本人と明国人のハーフだ。

 鄭は台湾で中華的統治システムを確立しようとしたのではない。むしろ、故郷である九州の平戸から南洋への貿易路の打開をもくろんだ中継地の開拓と みたほうがいい。その意味で、西洋人から「美麗島(フォルモサ)」と称された台湾は、大航海時代にいち早く国際社会に加わった東アジアの国だ。中国と結び 付けて語るのには、無理がある。

 その後、鄭家を破った満州人の清朝は台湾を「化外(未開)の地」と見なし統治に不熱心で、実効支配は島西部平地の漢人地域にしか及ばなかった。

蔡英文-2

 第二次大戦後、統治権は日本から国民党に移る。49年、国共内戦で中国共産党に追われた国民党は約250万人の難民を伴って台湾に渡ってきた。

本省人からすれば、オランダ人とスペイン人、鄭成功と日本に次ぐ外来政権だ。外来者であっても寛大な心で受け入れるのが台湾人(先住民と客家などの本省人) の精神である。すべては世界情勢に従った、自然の潮流だと理解してきた。

台湾人を悲しませた国民党
 しかし、国民党政権はこれまでの征服者と異なって、強権的な政治を行う。47年春には「2・28事件」と呼ばれる大量虐殺を働き、87年まで40 年間にわたって戒厳令を敷いた。国民党の政治的な手法は好敵手の中国共産党とさほど変わらなかったので、台湾人を徹底的に悲しませてしまった。


昨年11月には馬英九(マー・インチウ)総統と中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が華僑国家のシンガポールで会談。非公開で共同会見すらない「密 会」で、92年に中台双方が「中国は1つ」と認め合ったとされる「幻のコンセンサス」を再確認し合った。

 だが文書もなく解釈も曖昧な合意の存在を蔡の民進党は依然として認めず、国民党は台湾人の中国からの遠心力を食い止めることができなかった。

 新総統は事実上の「フォルモサ共和国」をどういう方向へリードしていくのか。虎視眈々と彼らをのみ込もうとする大陸中国とどんな関係を構築するの か。南シナ海や東シナ海において、台湾と同様な危機に直面している日本はいかに同国に関与していくべきなのか。すべてがこれから問われる。

蔡英文-3

古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2016/01/27 05:37:50 PMコメント(0) | コメントを書く


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