2019/01/24
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人手不足は「労働条件が酷い」会社の泣き言だ(2/3) / 移民受け入れの前に「賃上げ」を断行せよ
=東洋経済Online 2019/01/18 / デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長):日本論 


「人手不足」は「悪い労働条件」の結果でしかない
人手不足が深刻になっているのは、いわゆる3K(危険、汚い、キツイ)業種だと言われています。人手不足がひどいと言われている多くの業種には、ある共通の特徴が存在します。それは労働条件が過酷であることです。特に、非正規労働者が多く、賃金水準が非常に低い業種ほど人手不足が目立ちます。

今後はさらに人口が減るので、日本ではこのような過酷な条件でも働きたいと考える人はどんどん減っていきます。労働市場がタイトになれば、よりよい条件で仕事が見つかりやすくなるので、今のような過酷な条件で働かなくてはいけない人が減るからです。

その裏付けは、直近の求人倍率を見ると確認できます。たしかにここ数年、日本では求人倍率は上昇傾向が続いています。それをいいことと評価する人がいますが、求人倍率は決して健全な形で上がっているわけではありません。
求人倍率のデータを精査すると、企業の規模が小さいほど求人倍率が高くなっている一方で、規模の大きい企業の求人倍率はあまり改善していないのがわかります。

たとえば社員数300人未満の企業の大卒求人倍率は、2013年の3.27から2019年には9.91まで上がっています。一方、社員数5000人以上の大企業では、同じ期間に0.60倍から0.37倍へと、むしろ下がっているのです(リクルート調べ)。

企業の規模が小さくなればなるほど給与水準が低くなるのは、日本だけではなく世界中で共通してみられる傾向です。つまり、求人倍率が上昇しているのは、日本人労働者が給料水準の低い企業から、次第にいなくなっているという現象の表れなのです。



不足しているのは「人手」ではなく「経営者の能力」
「それこそ人手不足ではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、一概にそうとは言い切れません。
たしかに、規模の小さい企業の経営者は今の状況を人手不足だと感じるかもしれません。たとえば、今までは10人で仕事をこなしていたある会社で、人口が減ってしまったため、8人しか集められなくなると、その会社の経営者にしてみれば2人分の人手不足が起こっているように見えることでしょう。

しかし、それは今までの仕事のやり方を変えず、そのまま継続しようするから、そう見えるだけです。その企業のビジネスモデルを変えることによって、10人でやっていた仕事を8人でやれるようにすればいいだけです。
安い賃金でたくさんの人を雇えた状況が変わった今こそ、これまで導入する必要がなかった技術を導入するべきです。今まで10人でやっていた仕事のうち、技術を導入すれば8人でやれるケースは多いはずです。行政や銀行などの無駄な書類、ネットで対応できるのにいまだにアナログでやっている仕事も含めてです。

現在、日本の生産性は世界28位という極めて低い水準にあります。現在の水準が低いということは、伸びしろが大きいという見方もできます。

現段階では生産性が低い企業でも、生産性を高めるために設備投資をしたり、仕事の付加価値を高めるなどの経営努力によって、無駄をなくし、より高い給料で人を雇うことが可能になるので、人手不足の問題も緩和することができるはずです。

たとえば観光戦略を見ても、団体客対応のためにできた施設をそのままにして、安くても泊まりたい客が減る一方の宿泊施設も多いです。こういった宿泊施設は時代遅れなので、どんなに頑張っても、いつまでたっても需要は戻りません。

だから、従業員の給与を安く押えないと存続できないけれども、そこで働きたい人はいない。これを「人手不足」と定義していいでしょうか。私にはそうは思えません。高齢化に伴って需要の中身が変わったのであれば、それに対応する努力をすべきです。



もちろん、こういう努力を怠り、ただ単に今まで通りのやり方を継続したい、生産性向上なんかしたくないというのであれば、人口減少によって大変な人手不足の問題に悩まされることでしょう。
言い方を変えれば、人手不足を問題視し、政府に対策を求める姿勢こそが、多かれ少なかれ日本の経営者の無責任さを物語っているのです。

「低すぎる賃金」が日本企業の「無駄」を助長した
今までの日本では、企業経営者たちは優秀な人材を数多く、しかも世界的に見ると異常なまでに安い賃金で調達することが可能でした。その水準はまさに異常です。

例として、日本とイギリスを比較してみましょう。日本人の生産性はイギリス人の98%です。一方、日本の最低賃金はイギリスの3分の2です。そして、この異常に安い最低賃金で働いている日本人が、今も増えているという悲しい現実が存在します。

逆の見方をすると、日本企業は数多くの優秀な人材を安く調達することができたからこそ、生産性が低くなってしまったとも言えるでしょう。

この発想を持って、今までの日本的な問題と言われてきた特徴を再検証する価値は高いです。たとえば、何人も何人もの人間が雁首そろえて長々と話しても、何も決まらない会議。経営者にしてみれば、労働者の時間単価が安いから、どんなに会議が長くて無駄が生じても、気にもならないのでしょう。いっそのこと、賃金を倍にしてみたらどうでしょうか。

女性の活躍が日本でなかなか進まないのも、原因は同じところにあります。世界的に見ても、最低賃金で最も多く雇われているのは女性です。日本の最低賃金で女性を雇って、年間2000時間働いてもらっても、年間の賃金は200万円にもなりません。

大した給料を払っていないから、客観的に見てあまり必要がない仕事でも頼みます。給料が安いので、技術を導入する必要もないし、会社のあり方を変える必要もありません。逆に給料が安いから、仮にその人が優秀であっても、能力なりの仕事を頼みづらい。・・・・・・・つづく



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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