2019/01/25
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人手不足は「労働条件が酷い」会社の泣き言だ(3/3) / 移民受け入れの前に「賃上げ」を断行せよ
=東洋経済Online 2019/01/18 / デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長):日本論

日本の最低賃金で女性を雇って、年間2000時間働いてもらっても、年間の賃金は200万円にもなりません。大した給料を払っていないから、客観的に見てあまり必要がない仕事でも頼みます。給料が安いので、技術を導入する必要もないし、会社のあり方を変える必要もありません。逆に給料が安いから、仮にその人が優秀であっても、能力なりの仕事を頼みづらい。

つまりは、安い給料で人材の調達が可能だから、無駄が蔓延してしまっているのです。仮に女性社員の賃金が今の3倍だったら、社長も女性社員にもっと活躍してほしくなるはずです。

安い賃金で人を雇い、その人の能力以下の仕事しかさせないのは、無駄以外の何物でもありません。ただ、経営者としては、無駄かどうかはあくまでも給料とのバランスで決まります。年間150万円しか払っていない人にお茶を入れてもらったり、銀行に行ってもらったりすることは無駄に感じませんが、その人に300万円を払わないといけないなら、やってもらう仕事の内容をもっと考えます。

このように「無駄に使ってきた日本人労働者が減るから人手不足だ」と考えるのは、あまりにも短絡的だと言わざるをえません。なぜなら、仕事を効率化して、より生産性の高い仕事に変えるという選択肢もあるからです。生産性向上による緩和策を打てば、その分だけ人手不足は解消されます。
当然、完全には解消されませんが、それでも今言われているほどには、人手不足が深刻にならないのは確実です。



「外国人労働者受け入れ」の裏にある経営者の甘え
このように人手不足を解消するためにやるべきことは山積しているのですが、一方で、最も安易で危険な外国人労働者の受け入れ枠の拡大が実現しようとしています。
政策を実行に移すにあたって、政府は自分たちの意図だけではなく、企業の経営者がどのようにこの新しい制度を使うか、キチンと想定しておかなくてはいけません。

今回の場合、なぜ企業は人手不足を理由に、外国人労働者の受け入れ枠の拡大をいきなり訴えてきたのか、政府はしっかりと認識しておかなくてはいけません。

先述したように、日本企業の多く、特に規模の小さい零細企業は優秀な人材を安い賃金で雇うことを企業存続の原動力にしてきました。生産性の水準を考えると、もったいないくらい優秀な人材を、安く雇うことができたから、普通であれば存続することが困難な企業でも生き残ることが可能だったのです。

日本の社長たちは、この恩恵を長い間受け続けてきました。このような背景があるためか、会社を支えてきた安く使える優秀な人材が減ってしまうにもかかわらず、生産性向上の努力をする気のない経営者が少なくありません。

こういう経営者なら、少なくなる日本人に代わって、低賃金でも過酷な労働条件で働いてくれる外国人の受け入れを求めてきても、不思議ではありません。
より高い生産性を達成するのが難しい、小さい規模の会社の社長たちは特にそう考えるはずです。
こうした企業経営者の声に呼応するように、先日、外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改正案が国会を通過しました。

ですので、政府の意図はともかく、経営者の意図は、多かれ少なかれ、人口減少によって労働者の立場が強くなり、賃上げの圧力が強くなっているのを緩和したい。その賃上げ圧力を緩和することによって、改革を先送りすることができると意図しているのでしょう 。



途上国からの受け入れは明らかに「低賃金」狙い
政府は受け入れの対象者を技能者などに限ると言っていますが、受け入れの対象としている国はミャンマー、フィリピン、ベトナムなどの、いわゆる途上国にしていることにポイントがあります。
もちろん、これらの国々の出身者を見下すつもりは毛頭ありませんが、途上国なので、これらの国々に高い技能を持つ労働者が多くいるはずもありません。

これらの途上国からやってくる外国人労働者を、日本人以上に安く雇うことができるから、今までのやり方を変える必要もなく、経営者たちは既得権を温存できます。一方で、今でさえ世界一厳しい状況にある企業間の過当競争が激化して、デフレをさらに深刻にするでしょう。

安い賃金で働く人が増えれば増えるほど、経済全体にとっては、生産性を抑制することにもつながり、高生産性・高所得経済への移行は夢に終わってしまいます。

たしかに外国人の受け入れを増やせば、需要者が増えるという意味で、人口が減ることによる経済への悪影響は多少緩和されます。しかし、一方で、日本で働く労働者全体の所得レベルの低下を招くことも十分に考えられます。

ある一定期間の滞在の後に、外国人労働者が皆帰国してくれればいいのですが、その後も日本に住み続けることになれば、所得の水準の低い人が増える分だけ、今まで以上に社会保障の健全性が棄損する結果につながります。

極めて短期的に考えれば、外国人労働者の受け入れ拡大は、日本経済にとっての特効薬に見えるかもしれません。しかし、実際にふたを開けた途端、歴史に残る大間違いに終わる可能性は極めて大きいと懸念せざるをえません。

やはり、外国人を簡単に受け入れる前に、もっと真剣に生産性向上に取り組むべきです。ほかにもやるべきことはいくらでもあるはずです。同時に、労働者は安く雇って無駄に使うのが当たり前だという、世界的に見て非常識な日本企業の経営者のマインドを変えることも必須だと感じます。



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2019/01/25 05:50:05 AM
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