2019/03/20
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「ハゲタカファンドは人さえ殺している」
= ニューズウィーク日本版ウェブ編集部 2019年3月7日, 3月8日 & 3月9日


ハゲタカファンドって聞いたことがあるけれど、正確にはどういうものなの? だって、おじいちゃんと会うたびにその話をしてもらっていたから......。
――さっき話した通り、発展途上国の大半は対外債務に押しつぶされそうになっている。定期的に、一部の国は返済不能になって、債権側の大銀行に利息も減価償却分も払えなくなるのだね。その時点で、破産寸前になった国はこう言う。「わが国はもう払えません。

債務を減額する相談に乗ってください」とね。銀行側がそれに応じることがある。彼らの理論は、1銭ももらわないより、全体の30パーセントでも40パーセントでももらったほうがいいというものだ。そこで債務国は、債券と呼ばれる、当初の金額より70パーセントから60パーセント減額した新たな有価証券を発行する。

しかし、元の債券証書はそのまま市場に出回っている。ときを見計らって、タックス・へイヴンのバハマやキュラソー島、ジャージー島に本社を置く投資ファンドはそれらを非常な安値で買いたたき、次にニューヨークやロンドン、その他の国の裁判所に提訴して、原本の債務の100パーセントの返済を求める。そして、たいていの場合、ハゲタカが勝訴する! まさに死んだ動物や瀕死(ひんし)の動物を餌えさにするハゲタカのようにね。

エーッ! ちょっと難しい!
――例をあげよう。1979年、ザンビアはルーマニアから農業用の装備品を3000万ドルで輸入した。しかし1984年、国は支払いができなくなった。このときとばかり、ヴァージン諸島にあるファンドの一社がルーマニアの債券証書を300万ドルで買った。そしてその会社はそのあと、元の3000万ドルの支払いを求めてロンドンの法廷に提訴した。



勝訴した会社はついで、世界じゅうに輸出されているザンビアの銅や、ロンドンにあるザンビア政府の不動産、南アフリカに入国するザンビアのトラック......などを差し押さえた。結局、ザンビア政府は譲歩し、このハゲタカファンドに1550万ドルを支払うことにした。

2017年現在、26社のハゲタカファンドが債務国32か国に対して48か所の裁判所に提訴しており、その訴訟手続きが227件も係争中だ。ハゲタカファンドが勝訴する割合は、2005年から2015年のあいだで77パーセントにのぼっている。この期間に彼らが手にした利益は33 パーセントから1600パーセントとさまざまだ。

こんな冷酷なことが行われているなんて! 貧しい人たちはハゲタカファンドからいっさい守られていないということね。法律を変えて、こんな卑劣な行為を禁止することはできないの? 法律を新しくするべきではないの?
――貧しい人たちは実際、何からも守られていない。いくつかのケースでは、ハゲタカファンドは人さえ殺しているのだよ。アフリカ南東部にある小さな農業国マラウイの例をあげよう。

この国の国民の主食はトウモロコシで、飢饉が頻繁に起きることから、政府はその対策としてトウモロコシを貯蔵していた。貯蔵庫を管轄していたのは食糧貯蔵庁で、2000年には4万トンのトウモロコシが貯蔵されていた。2002年、激しい干ばつによって収穫の大部分が被害を受け、人口1100万人のうち700万人が飢饉に見舞われた......。

ところが、政府には国民を救援するための貯蔵がもうなかった。貯蔵庫は空っぽだったのだ。じつはその数か月前、イギリスの裁判所が食糧貯蔵庁に4万トンのトウモロコシを世界市場に売るよう判決を下していたのだね。それは、あるハゲタカファンドに同額を外貨で払うためだった。

こうしてマラウイでは、数十万人の子どもも含めた老若男女が飢えで死んでしまったのだ。



それはおかしいわ、おじいちゃん。債務の減額交渉に応じた銀行側は、ハゲタカファンドのやり方に反対しないの?
――もっと悪い! 銀行側は口をはさまないだけでなく、多くは2つの態度を使い分けている。ハゲタカファンドによって生まれる利潤はけた外れで、大銀行の多くはこれらハゲタカファンドの大株主でもある......。

でも、どうしてそんなことが可能なの?
――とても単純な話だ。最初に債務の減額交渉が行われるとき、債権を持つ大銀行のトップが交渉テーブルにつき、債務国の財務大臣と向かい合う。交渉成立後、銀行のトップはニューヨークやパリ、ロンドン、フランクフルト、チューリッヒにあるそれぞれのオフィスに帰り......そして、ハゲタカファンドに法外な信用貸付けを行うというわけだ。

こんなダブルスタンダードのようなやり方を誰も告発しないの?
――国連の人権理事会で、アフリカ諸国に支援されたラテンアメリカの国が集団で、ハゲタカファンドを禁止する新しい国際協定の策定を提案したことがあった。しかし、当のハゲタカファンドのロビー活動があったのは明らかで、先進国の多く――フランス、ドイツ、アメリカ......など――はこの提案を骨抜きにしたのだ。

こうして、ハゲタカは誰からも罰せられず、のうのうと生き延びているのだよ。



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2019/03/20 05:50:06 AM
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