2020/06/21
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限界超えた米中「新冷戦」、コロナ後の和解は考えられない  (その2/4)​
= NewsWeek_Column 2020年6月15日 ビル・パウエル(本誌シニアライター)


核の優位より非対称の優位
米ソの緊張は、核兵器を中心とする軍備拡張競争と切っても切り離せなかったが、中国は核の優位ではなく、最新技術を駆使した非対称の優位を確立しようとしている。

中国は既に「空母キラー」の異名を取る極超音速ミサイルを手に入れている。低高度で飛び、レーダーで捕捉しにくいこのミサイルは、太平洋上にいる米空母の中国本土接近を阻止できる。これは中国が米軍による陸と空からの攻撃を阻止する戦略「接近阻止・領域拒否(A2AD)」で大きな役割を果たすだろう。
仮に中国が台湾を武力で制圧しても、極超音速ミサイルがあれば、米空母は台湾の応援に駆け付けることができなくなる。

アメリカとの経済摩擦の根底にあるのは、量子コンピューターや人工知能(AI)をはじめとするさまざまな技術分野で優位に立とうとする中国の野心だ。しかし一方で、こうした技術は軍事的にも大きな意味を持つ。

1990年代を迎えて、湾岸戦争におけるアメリカの電撃的な勝利に衝撃を受けて以来、中国軍は差し迫った戦略的目標(例えば台湾)を念頭に置いた戦闘能力の構築を進めるとともに、軍事技術面での能力を磨いてきた。いつの日かアメリカを追い抜くために。

「その日」は近づいているのかもしれない。量子コンピューターがいい例だ。戦争のほぼあらゆる側面をデジタルネットワークが支えている時代には「量子が全てを支配する」と、新米国安全保障センターのエルサ・カニア上級研究員は言う。



サイバー戦においては、敵のネットワークを攪乱する能力を維持するとともに自軍のネットワークを敵から守る能力を備える必要がある。量子ネットワークはサイバースパイの被害を非常に受けにくいが、カニアは「(中国の)量子コンピューター能力は将来的にアメリカのサイバー能力を凌駕する可能性がある」とみている。

また中国は、アメリカが誇るステルス技術でも歯が立たないような、量子技術に基づくレーダーシステムの研究開発を進めている。「情報時代の戦争におけるアメリカの技術的優位、情報機関や衛星、通信ネットワークの安全性やステルス技術の土台が、こうした破壊力のある技術によって崩される可能性も否めない」と、カニアは言う。

量子テクノロジー開発への注力は、従来の中国の特徴だった「非対称的」な軍事アプローチよりも「はるかに大きな影響をもたらし得るかもしれない」とカニアは指摘する。だからこそ、中国の量子コンピューター研究の父と呼ばれる潘建偉(パン・チエンウェイ)は、中国が目指しているのは「量子覇権」だと述べたのだ。

アメリカの安全保障関係者の間で広く読まれている本がある。デービッド・キルカランの『竜と蛇──非西側諸国はいかに西側との戦い方を学んだか』だ。キルカランはオーストラリア軍の元将校で、イラク駐留米軍の司令官だったデービッド・ペトレアスの特別顧問を務めた経歴を持つ。

キルカランはこう説く。「重要な技術分野において、敵はわれわれに追い付いているか追い越している。もしくは戦争の概念を、われわれの伝統的なアプローチを行使し得る狭い範囲を超えて広げている。敵は(時代の変化に)順応しており、同じように順応しなければわれわれの没落は時間の問題だ」

  中国との地政学的な対立の最も大きな特徴は、相手が経済大国で先進国とも途上国とも深くつながっているという点だ。これに対し旧ソ連は、通商は東側諸国との間に限られ、経済的な孤立が目立っていた。また中国は「中国製造2025」という国家目標の下、量子コンピューターやAIにとどまらず、バイオテクノロジーや通信技術、グリーンエネルギーといった幅広い分野で優位に立つことを目指している。



強まるデカップリング論
現在、アメリカをはじめとする世界の国々は問題を抱えている。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、防護具や医薬品の供給網を中国に置くことの危険性が明らかになったのだ。もし中国が医薬品やその原材料の輸出を禁止したなら、アメリカの医療機関はすぐに機能しなくなるだろうと、『中国への対処法』の著者ローズマリー・ギブソンは言う。

将来、多くの産業を支配しようとする中国のあからさまな野心は、中国市場に魅せられて多額の投資を行った世界各国の多国籍企業にとっては厄介な問題だ。中国の急速な技術的進歩が今後も続くなら、アメリカなどの諸外国の多国籍企業はそのうち、中国市場から完全に追い出されてしまうだろう。

「中国製造2025とは要するに、アメリカ企業を追い払い、アメリカ企業が売っているあらゆる価値ある製品をわが物にするということだ」と、『中国、通商および権力──西側の経済的働き掛けはなぜ失敗したか』の著者であるスチュワート・パターソンは言う。

トランプが課した追加関税と中国の野心を前に、アメリカの多国籍企業やアメリカの政策立案に関わる人々はある問いを胸に抱くようになった。アメリカは経済的に中国と距離を置くべきなのではないか?
そこに新型コロナウイルスの感染拡大と中国の対応が追い打ちをかけた。

トランプの貿易戦争は経済的「デカップリング(切り離し)」へのゆっくりとした動きのきっかけをつくった。つまりそれほど高度な技術を必要としない利幅の小さい製品を扱う産業では、高関税を嫌って生産拠点を中国から移す動きが出ているのだ。繊維製品や靴、家具などを製造する企業においては中国離れの動きが特に目立つ。 ・・・・・・明日に続く・・・・

【参考記事】「切り離してはならない」米中デカップリングに第2次大戦の教訓
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/post-93634.php



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2020/06/21 05:40:05 AM
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