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「辻邦生の初期作品全集6巻」を読むと宣言して、第3巻の短編をいくつか読んだところで、作風ゆえ四角四面の真面目さに息苦しくなり、というよりもさすがに飽きてきて、前の記事のようにクリスティーの再読になったのだった。まあ、一気読みするくらい夢中になれたのでよしとするのだが。前は「面白い本はないか」とネットや本屋を見て回っていたのが、老い先短き故手持ちの本の処理になってしまっているのは、どーなのか?ネットなどのの感想や新聞雑誌の記事はあまり参考にせず、ひたすら自分の感性に重きを置いているわたくし、それには何の根拠もありませんけど、それで今まではよかったので。どーもわたしは人の意見を聞かない。相談するということをしない。本の選択ならばそれでも周りからヒンシュクを買ってはいないと思うが、日常生活や社会的にはどーうなんだろう、と。実は先日娘のライン(今、娘は孫娘にてこずっている)あれこれ愚痴をこぼす中、孫娘に「生れなけれなよかった」と暴言され、娘が「わたしも同じような昔を思い出して辛くなった」と。おい、おい、それってわたしの子育て中のできごとかい?しかも、たまたま読み終わった『春にして君を離れ』にヒロインが夫ばかりではなく、子供たちにもいわゆる「浮いている」状態が面々と描写してあったのだ!いやいやいや、娘のラインは単なる「吐きどころ」なのだろうよ(と思いたい)読む本をカンで選んで自分の状況に合わせるなんざ、いただけない。
2023年09月07日
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辻邦生作品 全六巻20年ほど前の七夕祭りのブログ笹飾りもなく、短冊も書かない、お祭り。いや、お祭り気分の日だった。朝8時30分、不在者投票に夫と連れ立って行く。ついでにクリーニングも出して、取って来て。10時。神田免許センターに運転免許の更新に行く。この頃運転してないし、ばあチャルの年齢から、もうどうしようかなと思った。が、せっかく一生懸命取った免許、もう一回は(ゴールドなので)更新しておこう。11時半に無事終わる。ひさしぶりで神保町古本屋街へ出る。また今日はやけに蒸し暑いのよね。なのに美味しい天ぷらそばを食べて大汗かいてしまった。お腹か出来たら、さあ古本屋めぐり。と思ったら、一番始めのお店でほしい本に出会ってしまった。「辻邦生作品集全6巻」その時は括ってあったのでわからないが、ちょっと古そう、でも6冊で2,200円は安い。心を残して他のお店をぐるぐる。中学の時からおなじみの三省堂で欲しかった文庫(これは新しいもの)2冊を購入、1,827円を支払う。(昨今の文庫本はお高いのだ)「死の散歩者」キャロリン・G・ハート 900円「プレイヤー・ピアノ」カート・ヴォネガット・ジュニア 840円「むむっ!!」最初の古本屋さんに取って返して、「辻邦生作品集全6巻」を見せてもらう。1972年発行。モスグリーンの布張り、箱も擦れてはいるが渋い色に、白抜きの繊細な西洋画がある。あの、豪華な全集モノが流行っていた時代!私は知ってるよ!思わず「下さい!」って言ってしまった自分がいた。それがお祭り、たいしたことないんですけどね。でも、6冊の豪華本は重かった。よる年波の私には応えたね。手豆ができてしまった!日ざしは暑いし。「辻邦生作品集全6巻」は処女作「城」から初期中短編の作品の数々、読んでいないものばかり、楽しみだ。「回廊にて」「夏の砦」「北の岬」「見知らぬ町にて」「嵯峨野明月記」「安土往還記」「パリ日記」などなど。お陰様で買うはずの中古文庫本は今度の機会に。新中古文庫本「萩原朔太郎詩集」300円も購入。たぶんこのあと昼寝よ。こんな風に無邪気に喜んだのに(昔のブログはこんな風に牧歌的)、なんという怠慢か、永らく本棚を飾っていたこの作品集を読み始めた。コメントでも話題にしたが、もう後がない年齢になったので。けど、読んでみて処分せずに残しておいてよかった‼と思う読書感想だから正解だった。ところで、このブログの自動車免許返納の話題は早すぎるよね、その時わたしは63歳になったばかりだから。今(82歳)から思うと、はやくから自分を老人に見立てたのですね。そんなふうにわたしの世代は早く大人になりたい、「ろうたけたい」願望が強いのでもあります。もう後がないといいながら、しぶとく生きている。
2023年07月18日
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大昔(1971年)に読んだ野坂昭如著『欣求穢土』作品の内容は忘れたが、その中に出てきた昭和の作家たちの名前を見ても、当時はあまりわからなからなかった。ましてその作家たちの作品も読んでいなかったので、気になりノートしてあったものがある。その後の読む作家選びに影響があったのだから、役に立っている。そのノートを処分するのでここにアップしておく。野坂さんはこういう業界ものが得意なのか、それも私小説のうちなのか、のちに読んだ作品『文壇』もそうだった。メモ(カッコ内はその後、読んだ作品)松本清張(もちろん知っていた『ゼロの焦点』など、大好きな作家)司馬遼太郎(当時は敬遠していたが『明治という国家』など多く読む)梶山季之柴田錬三郎(『御家人斬九郎』『幽霊進士・異常物語』)山岡荘八五味康介川上宗薫近藤啓太郎山口瞳(サントリーですね)立原正秋(いっときハマった『剣ケ崎』『残りの雪』など)源氏慶太(『定年退職』など)陳舜臣(『阿片戦争』)山田風太郎(『甲賀忍法帖』『戦中派不戦日記』など)遠藤周作(『沈黙』『イエスの生涯』など)吉行淳之介(『技巧的生活』など)笹沢佐保五木寛之(ベストセラー作家に、多く読まされた『青春の門』『風に吹かれて』が良かった)生島治郎(『片翼だけの天使』)渡辺淳一(『無影灯』など)戸川昌子黒岩重吉北原武夫石堂淑朗(1932~長部日出男(1934~井上光晴(詩人、井上荒野さんのお父様ですね)揚野浩(プロレタリア文学)安部公房(『他人の顔』)今だに知らないというか、興味がわかない作家さんもあるが(笑)このノートを処分した
2020年05月05日
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ある方のブログ・レスに、こういうふうにありました。>今のブログの● 一人語り● 自分が発信するだけそういう双方向性の無い状況が非常につらく、耐えられないのですわたくしも耐えられないほどではなくても、アップした記事にコメントがないと「寂しいなあ」とは思っております。わたくしがブログを始めた2003年ころは、好きな本のことをいくらでも語れて、しかも「おんなじ考えだ」と思った方や「私はこう思う」方々がコメントをしてくださいました。そんなにたくさんの方ではなかったのですが、おひとり、おひとり誠実で実に内容のある、こちらにとっては目を開かれる思いのコメントをいただきました。わたくしもますます読書に燃えて、文芸書や世界文学的な傾向だった読書が、今読まれている本を数多く読むようになったのも本当でした。あれから15年・・・読書状況の変化だけではない、ネット状況の変化だけでもない、世界状況の変遷だけでもない、しかし確実に何か変わってきていると思われるのです。これを「年齢のせいで世の中についていけない」としたら悲しいですよ、淋しいですよ、なさけないですよ。わたしの好きな読書に限って言えば、そこに何があるか、今年は研究、というのはおおげさ、嫌がらないで現代の作家や話題作も読んで「何かわかるかもしれない」とそんな風に思っているこのごろです。
2019年01月05日
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伊藤整の『文学入門』で取り上げてある近代小説のうちのこの本を読んだ20歳のころは未読で、そのうちに読みたいと思ってメモした書名田山花袋『蒲団』(1907年)トルストイ『イワン・イリイチの死』(1886年)ドストエフスキー『罪と罰』フランツ・カフカ『変身』二葉亭四迷『浮雲』D・H・ロレンス『チャタレー夫人の恋人』谷崎潤一郎『痴人の愛』『卍』『武州公秘話』夏目漱石『明暗』『こころ』『則天去私』森鷗外『渋江抽斎』(1916年)『伊沢蘭軒』(1917年)宮本百合子『播州平野』(1946年)『道標』(1947年)志賀直哉『城崎にて』堀辰雄『風立ちぬ』(1936年)尾崎一雄『虫のいろいろ』(1948年)梶井基次郎『ある崖上の感情』(1928年)島木健作『赤蛙』(1946年)徳田秋声『仮装人物』(1935年)横光利一『機械』(1930年)佐藤春夫『のんしゃらん記録』(1929年)川端康成『禽獣』(1933年)長い年月をかけて緑色が読了本になったが、もう一度『文学入門』を読む前にその他未読本をなくしたい。こうしてみてみるとわたしの近代文学を読む動機がわかってくる。*****実は18歳から始めた簡単な「読書ノート」その赤いタータンチェック表紙のノート一冊目がもうボロボロ、バラバラ。散逸する前に自分用にブログにしといてもいいかなと思って。見開き左ページに縦罫線を引き、「書名・作者・読了日」と簡単に記録右ページは余白にして、その時々の読本に関係したことを記してきた。感想はほとんどないけど、それをしていたら76歳まで続けられないからね。去年の11月19日のブログ世界近代小説五十選(桑原武夫)と11月28日のブログ『キュリー夫人伝』もそのメモを基にしたもの。
2018年01月31日
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土曜日の日経新聞文化欄(11月12日付)のこんな記事が目に留まった。戦後文学「第三の新人」再び安岡章太郎・遠藤周作などのイベント県立神奈川近代文学館の展示物紹介記事である。「第三の・・・」って、戦後文学にそんなこまかい分類があったのかい?どこまでが戦後文学かも定かでないのでは、と興味そそられた。だいたい今日この頃、そういうものは「昭和文学」とひとからげにしている雰囲気なのである。でも、それも荒っぽい分け方でもあるよ、昭和どっぷりのわたしは思う。昭和といっても昭和20年代、30年代、40年代、50年代、分け方や戦後混乱期、戦後復興期、高度経済成長期、バブル期、バブル崩壊など非常に長い時代だから、文学にだっていろいろ反映しているわけだし、文学評論家がいろいろに分類しているのは当然なのである。で、「戦後文学の作家は誰?いつまでの作家?」となる。この記事によると第一次戦後は野間宏、武田泰淳第二次戦後は大岡昇平、三島由紀夫そして第三次が安岡章太郎、遠藤周作、庄野潤三、吉行淳之介、小島信夫、小沼丹、阿川弘之、三浦朱門ら、で「日常の実感を重視した作風が特徴」。ふむふむ。わたし、同時代に読者としていたのだけれど、安岡章太郎、遠藤周作、吉行淳之介さんら、の作品くらいしか知らない、最近になって読んだのもあるし。「昭和も遠くなりにけり」だけれども、とても懐かしい。おいおい読んでいきたいなあと思ってる。
2016年11月15日
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文芸雑誌をあまり買わないから文芸情報はネットと新聞新聞と言っても日経だからあまり記事がのってないけどもその新聞のお正月版には文学欄が必ずある今年、注目したのは『世界の「今」に迫る10冊』まとめると、こういう風な記事「世界文学」という言葉を最初に使ったのはゲーテだそう古典となった「世界文学」は翻訳されて外国の人々に読まれそこに描かれている人間のこころは世界共通の経験なのであると共感するから世界文学名作に連なるということだそして「今も世界各地で文学作品は次々に生み出されている」今の世界を知るには近々書かれたまだ世界文学名作には連なっていない作品を読むのもいいと、10冊の本を紹介してあるおもしろいのは文学の中心が欧米だけではなくなったこと世界中の言葉で語られているということ、舞台が各国に散ったということ紹介されている何冊かは読みたい、とここにメモしておこうフランス=『服従』ミッシェル・ウエルベック(大塚桃訳・河出書房)2022年のフランス イスラム政党から大統領が誕生し社会が急激にイスラム化するウクライナ=『チェルノブイリの祈り』S・アレクシェービッチ(松本妙子訳・岩波現代文庫)放射能と生き抜く 原発事故に生きる人々のルポ(ノーベル賞作家)トルコ=『雪』オルハン・パムク(宮下遼訳・ハヤカワepi文庫)政治と宗教の衝突 主人公の詩人が出会った少女殺人事件には(ノーベル賞作家)南アフリカ=『マイケル・K』J・M・クッツェー(くぼたのぞみ訳・岩波文庫)内戦からの逃避行 ケープタウンから自由を求めて母を連れて逃げ出す(ノーベル賞作家)インド=『シャンタラム』G・D・ロバーツ(田口俊樹訳・新潮文庫)スラム街に生きる 脱獄強盗犯がインドスラム街とアフガニスタンの戦争を経験する北朝鮮=『リナ』姜英淑(古河凪訳・現代企画室)「脱北」少女の苦難 韓国の作家が悪漢小説の体裁を取りながら鋭い筆致で描写中国=『蛙鳴』莫言(吉田富夫訳・中央公論社)一人っ子政策の闇 奇想天外なイメージとすさまじい物語(ノーベル賞作家)米国=『フリーダム』J・フランセン(森慎一郎訳・早川書房)ある家族の崩壊と混迷する米国の政治と社会をシニカルにみつめる ドミニカ共和国=『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』ジュノ・ディアス(田中浩二ほか訳・新潮社)ドミニカの「呪い」 サブカルチャーと魔術的リアリズムを融合した作風ペルー=『悪い娘の悪戯』M・パルガス・リョサ(八重樫克彦ほか訳・作品社)南米発「恋の大河」 悪女に恋、翻弄され続ける40年(ノーベル賞作家)
2016年01月06日
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いま、ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』日影丈吉訳を読んでいる知っているようで映画か演劇で観たのであって、原作は初めてこの日影さんの訳がおもしろい、というか昔の翻訳調がたりが、この謎多き物語を陰影深くして印象付けていると思うわたしはそういう訳の調べに酔ってしまうのだもちろん日影丈吉さんは古い人に属するので「ホンヤクチョウ」になるのかもしれないがこの本は1985年に新訳決定版となっていて(でも30年前か~)比較的新しい(笑つまり何を言いたいかと言えばそういう翻訳調がなつかしく、昔はみんなこれだったしかも、日本語の小説まで「ホンヤクチョウ」になってるのがあったなぜ昔は小難しく、もってまわったように訳をつけたのだろうかそれはひとつに漢文の素読の素養があったからでは?漢文に返り点や一~三をふって読む例えば中国語の杜甫の絶句(詩)こうみどりにして鳥はいよいよ白く=江碧鳥逾白山は青くして花はもえんと欲す=山青花欲然(以下略)のように日本語読みにする方法を昔の人が考案していたのよそのなごりかなあ、英語やフランス語訳でも持って回った言い方や難しい漢字を使っているしねほんと、小難しい小説でなくても例えば大久保康雄さんの『風と共に去りぬ』だって村岡花子さんの『赤毛のアン』(改版される前)も難しい漢字の訳語が多々あったいちいち辞書で調べたものだ、それも勉強にはなったのだけれどストーリーを追っている身にはもどかしかったもの新訳ブームで「わかりやすく」「現代語に近づけて」がもてはやされわたしも興味を持って読むのだが、昔読んだ者には「はずされた感」もなくはないあ、この「なくはない」も漢語調か?
2015年08月18日
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『間宮林蔵』を読了し、今『赤い人』を読書中資料を集めて調べ、史実、事実に近いことがらを創作を加えてあるだろうが硬質な文章で書かれたものこのような小説をあまり読んでこなかったので圧倒されている『間宮林蔵』は樺太が半島ではなく島であることを照明した人物間宮海峡として教科書で知っている程度であった林蔵という人物江戸時代も半ば農民から下級武士にはいあがれる程の才能の持ち主どのように過酷な人生だったかは興味深いことではあるがそれにもまして未開の地であった北海道を林蔵が探索する描写必ず登場するアイヌ人丸木舟の操縦、荷物運び、道案内のなどのために雇って協力を得たと淡々と描かれている、その背景に衝撃を受けるそれってもともとアイヌ人が蝦夷(北海道)に住んで居たってこと少数民族になってしまっているアイヌ人の悔しさや嘆きを思う日本人もこのようにある民族と闘い、力ずくで取って今があるのだ人間は食うか食われるかなのであるそして『赤い人』北海道の原野が開拓されたには囚人たちの過酷な働きがあったという小説何人もの何人もの命が埋められているあの広々とした牧場をなんとぼんやり見ていたのだろうかいつものことだけれども知ることが多いしかし、このごろは疲れる
2013年01月21日
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「ピン~、ポン~」 はんこ、はんこは、っと。 「お世話様!」 チョキチョキ、ガサゴソ、ビリビリ。 ああっ、おおっ、ひさしぶりに味わったこの興奮! 購入本の到着♪ ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』 と桐野夏生の『女神記』。 コンラッドは新訳。桐野は書き下ろし。 うーん『戦争と平和』をどうしよう。それに『闇の奥』 のまえに『ロード・ジム 』も読みたいし。うれしい困りよう。いやーん、暮れだし…(なに、ぶりっこしてるんだか)
2008年12月06日
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最近新聞などで目にとまって興味がわいた本たちを書いておこう。精霊の守り人 (上橋菜穂子)作者の専門分野が文化人類学というのがおもしろそうだ。きれぎれ (町田康)なぜか読みたくなった(理由にならないね)。今日買ってきた。黄昏の百合の骨 (恩田陸)『三月は深き紅の淵に』『麦の海に沈む果実』の続編。これらを読んだのに忘れそうだから早く読もう(笑)。
2007年10月30日
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クリーニング屋、本屋、銀行、和菓子屋、本屋、スーパーの順に。8,134歩。良い天気。朝、貫井徳郎の「プリズム」読了。「女性教師の死が生んだ犯人捜しの迷宮」(帯)という推理ゲームがおもしろかった。しかし、その死体となってしまった小学校の女性教師の生前の個性が妙に印象に残る。きっと、もうそれは個性ではなく、現代の一般女性の感性のような…。で、貫井徳郎に魅せられて『崩れる』(集英社文庫)を購入。ついでにおとといの新聞(日経)に柴門ふみが紹介していたジョン・アーヴィングの『未亡人の一年』(新潮文庫)と 江國香織の『ホテル カクタス』(集英社文庫)も購入。
2007年02月16日
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いまさらこんなばばがであるが、料理に凝ってきた感。年賀状を取りに東京に行った帰り、オアゾの丸善にて『向田邦子の手料理』監修と料理製作向田和子(講談社)を購入、電車の中で読了(見終わる)。作りたいもののヒントをもらった。去年『おいしい和食』藤野嘉子(永岡書店)を買ってみた。とてもわかりやすいが基本の基本で私には不向き、娘に下げ渡してしまい、何か和食のいい本がないかと探しているので…。いろんなシリーズで食傷気味の向田とは月並みと思いつつ、やはり参考になったよ(笑)むむむ。ついでに文庫の棚も見て、『ゴリオ爺さん』バルザック(岩波文庫)も購入。じつは『ゴリオ爺さん』だけは読んでいないの(恥)これでバルザックは完璧!?という初本屋であった。
2007年01月02日
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今朝の日経文化欄に、宮城谷昌光氏と佐藤賢一氏の歴史小説について記事があった。それぞれ「中国史」(宮城谷)と「西洋史」(佐藤)をモチーフにしていた両作家が、斬新な目を持って日本の戦国時代を題材にとって小説を書いているという。宮城谷の家臣(部下)の目から観た歴史というのもおもしろいが、佐藤の「両性具有の信長」というテーマにもいたく興をひかれる。その題名もずばり「女信長」。両性具有といえばヴァージニア・ウルフの「オーランドー」、白洲正子の「両性具有の美」しか読んでいないが、なにがなし興深い気持ちがする。性の思想的部分について言えば、若い時はやはり恋愛感情にゆれる、歳経ると遠のくのは必定、しかし枯れるのではない。遠くから見るのであるから、遠景が全体を見通せるようにわかってくるものがある。新奇をねらうのではない、人間の奥深さがにじみ出るような気がする。しかし、佐藤氏の「女信長」は近来の「女の時代」に即した歴史観でもあるらしい。読みたい。
2006年12月23日
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さきほど”BOOK・OFF”より帰館。105円本6冊ゲット。『サンタクロスのせいにしよう』若竹七海(集英社文庫)『閉鎖病棟』帚木蓬生(新潮文庫)『カシスの舞』帚木蓬生(新潮文庫)『白い夏の墓標』帚木蓬生(新潮文庫)『錦繍』宮本輝(新潮文庫)『ヴァレンタイン・デイの殺人』キャロリン・G・ハート(ハヤカワ文庫)迷っていた丸谷才一訳を新本で購入してしまった。早速読みたい。『ブライトン・ロック』グレアム・グリーン(ハヤカワepi文庫)畑のある家の近くにも(バスに乗ってだけど)新中古本屋”BOOK1”があるのだ。105円本。『Puzzle パズル』恩田陸(祥伝社文庫)『深夜特急1』沢木耕太郎(新潮文庫)『深夜特急2』沢木耕太郎(新潮文庫) 『日影丈吉集』日影丈吉(ちくま文庫)私が集めている日影丈吉。唯一の発刊本。『ららら科学の子』矢作俊彦(文春文庫)文庫化されたので…、ところでいつ読むの?(と自分でつっこむ)
2006年11月30日
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東京にもどる電車も大風でのろのろ運転、遅れぎみだったし、街は異常に寒かった。拠りどころを求めるように本屋に寄ってしまった。このところ「打ちのめされるようなすごい本」に酔っているから、見るべき本がいっぱいあって迷って、いろいろ楽しんでトマス・H・クックの『夜の記憶』と奥田英朗の『イン・ザ・プール』を買う。米原万理の書評に『夜の記憶』は打ちのめされるようなすごい小説と米原さんが友人に薦められて読み、二作目を読んだらもっとすごいのを思い出したというから。もっとすごいのは丸谷才一の「笹まくら」だそう。なおも家に着いてから斎藤美奈子の本『読者は踊る』と『趣味は読書。』 を図書館に予約してしまった。これも「打ちのめされるようなすごい」の影響。読めるか知らん。ううう、それにしても寒い。
2006年10月24日
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『打ちのめされるようなすごい本』米原万理(文藝春秋)読子さんのお知らせもあって注目していたこの本。米原万理は『不実な美女か、貞淑な醜女』しか読んでいないが、ユーモアにつつまれた雄雄しいきっぱり感が嬉しくて、著書を全部読みたくなった作家。特に書評は如何に?と思っていたのだ。10月15日の発売を待って、2,400円という値段に多少躊躇したものの購入に踏み切り(おおげさ)、私が読み知っている本についてなんて書いてあるかと、パラパラとめくっていたらこれがとまらない。第一部は週刊文春に連載されていた「私の読書日記」。第二部は1995年から2005年までの時々の書評全部が網羅されているという。帯の「最初で最後の書評集」がしんみりする。500ページの部厚い本だし、こま切れの書評が一気に読めるとは普通続かないのだけれど、歯切れのよさ、ユーモアに次は、つぎは?と読んでしまう。本職がロシア語の通訳なのでロシア関係の本も多いが、猫好き動物好き、旺盛な好奇心によって選ばれる本の数々、ジャンルの豊富さにはものすごく刺激を受けた。あのエッセイの面白さはこの知識欲の塊から来たものなのね、と納得。でも、多い書評の骨頂はかもされる面白さ。「む、ぐ、ふふふふ」と笑い出したくなる文章のセンスがいいのが好き。「私の読書日記」の最後のほうは、やはりガン関係の本が多く哀切をよぶが、泣き言はなく冷静さを失っていないところがらしいので、安堵する。井上ひさしの解説に「書評は常に試されている。まずその書物を書いた著者によって、その書評に誘惑されて書物を買った読者によって試されている。誉めれば甘いと叱られ、辛口にすればたぶん一生恨まれ、ほどほどにしておけば毒にも薬にもならない役立たずと軽んじられる。…」という仕事を、こんなに嬉々とされていた米原万理、ばんざい!!まだ全部は読んでいないが、途中でこの感想を書きたくなった。私が読みたくなった作家がまた増えた。その名は斉藤美奈子、奥田英朗。まだまだ出てくるかもしれない。
2006年10月22日
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昨日、楽天ブックスから届いた。『戦中派不戦日記新装版』山田風太郎(講談社文庫)『戦中派焼け跡日記』山田風太郎(小学館) 『戦中派闇市日記』山田風太郎(小学館) 土曜に注文して月曜に届く、便利でありがたい。その中の『戦中派不戦日記』を読み始めた。あの痛快読み物の山田風太郎が1945年(太平洋戦争、終戦の年)の年頭から大晦日まで、本当に記していた日記を本にしたものである。物語性があるわけではないが、個人の記録とも違う普遍性の濃いなかなかのものであるとの評。やはり一言一句心に響く。いつ爆撃されて命を落とすかもしれない極限状態での日常生活の日記。24歳の医学生の冷静で冷徹な目で見た心と外の様子。物語作家の才能を髣髴させる、描写力とユーモア。なぜ読みたいか。私の幼い頃の日常と歴史を知りたいという気持ちもある。私の母も当時25歳であった。田舎に居たので聞いてる話は牧歌的で現実とはかけ離れていたようだ。それを知りたい。こうして匿名でブログを書くようになって、今、現実歴史が動いている中で率直に物事を考え、率直に表現するとは?という疑問が少しでも解けるように、励みになるように読みたい。余談だが、せっかく楽天ブックスで購入したことだし、アフィリエイトでアピールしてみたが、かなり時間がかかって(技術力が不足か)めんどくさく、本を読む時間が減った感じ(笑)
2006年07月11日
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ただの本好きじゃけに、文学研究者でもないんだしと思いつつ、これと思った作家にのめりこんで、その作家の作品本が大幅に絶版となると、捜してみたくなる、物好き、オタクと何でも言ってくれ!とひらきなおり、今日も今日とて目録作り、古本屋通いに精を出す(今日じゃないけど)同感の人も多いのでは?と言う、私の目下、目録作成中の作家「倉橋由美子」読了のリスト夢の浮橋(借)パルタイ、非人、貝のなか、蛇、密告大人のための残酷童話交歓倉橋由美子の怪奇掌篇偏愛文学館星の王子さま(訳)持ってるけど読んでいないよもつひらさか往還シュンポシオン聖少女さがしているヴァージニア城の中の城婚約、鷲になった少年、どこにもない場所(図書館で借りてる)暗い旅妖女のように夢の浮橋夢の通い路老人のための残酷童話アマノン国往還記スミヤキストQの冒険ポポイあたりまえのこと作者解説や古い文庫本の作品目録をみたりして作品をリストアップした程度。どうすりゃ、調べられるのかをさがすのも楽しい。勿論、去年亡くなったばかり(ほんとに残念)なので、全集か何か出るかもしれないんだけれど。
2006年05月04日
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『追跡のクリスマス・イヴ』メアリー・H・クラーク(新潮文庫)を読んだ。あいかわらずクラークのサスペンスと温かみある叙情がいい。クリスマスが近づいた頃に読めば、もっとよかったかもしれない。これも、昨日UPした『古本屋五十年』も図書館で借りた。後、『オーランドー』ヴァージニア・ウルフと倉橋由美子の短編集『婚約』を借りている。GWに向けてと言いたいところだが、私にはあまり関係ない。どうも図書館も癖になるらしく、返しに行くと借りてきてしまう。ちょっとよしあし。なぜなら今月も積読本が怒涛の増殖だから。以下に成果!?を神田で一冊100円。『O・ヘンリ 短編集(一)(二)(三)』O・ヘンリ(新潮文庫)Bookoffの105円本。『泥棒は図書室で推理する』ローレンス・ブロック(早川書房)『八百万の死にざま』ローレンス・ブロック(ハヤカワ文庫)『百万ドルをとり返せ」ジェフリー・アーチャー(新潮文庫)『サキ短編集』サキ(新潮文庫)『季陵・山月記』中島敦(新潮文庫)『墨東綺譚』永井荷風(新潮文庫)『車輪の下』ヘッセ(新潮文庫)『続若草物語』オルコット(角川文庫)『聖域』篠田節子(講談社文庫)ちょっと寄った本屋さんで。『日輪・春は馬車に乗って』 横光利一(岩波文庫)『青の時代』三島由紀夫(新潮文庫)Bookoff105円のハードカバー。『うわの空で』スザンナ・タマーロ(草思社)『大地の息づかいがきこえる』スザンナ・タマーロ(草思社)スザンナ・タマーロは『心のおもむくままに』が忘れられないほど印象的だったので、「やった!」と思ったね。
2006年04月28日
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これは最近の積読本の話ではない。また、ネットブログなどの情報からでもない。昔々からの未読本、ノートの端切れに書いたり、頭の隅にひっかかっているのである。例えば、今読んでいる『倉橋由美子の偏愛文学館』のような、感銘を受けた文学案内や読書感想録を読んで気になり、書き留めたメモが、延々と残ってしまっているものや、挑戦したけれど挫折して、なお、諦めきれない本の数々。挫折本を読破しよう!『戦争と平和』トルストイ『失われた時を求めて』プルースト『源氏物語』紫式部『魔の山』トーマス・マン『人間の条件』五味川純平ちゃんと読みたい、読むべきだった気になる名作!『ドンキホーテ』セルバンテス『ガリバー旅行記』スイフト『トム・ジョーンズ』フィールディング『アイヴァンホー』スコット『黄金宝壺』ホフマン『緑のハインリヒ』ケラー『人間の条件』マルロー『愛と死』ヤコブセン『アルネ』ピョルセン『現代の英雄』レールモントフ『静かなるドン』ショーロホフいまや名作でもなんでもなく、絶版になっているのもあるだろう。いつか読もうと買ってあるのもあるにはある…。だから積読本にもなっているのだけれど、ちょっと、普通の積読本とは思い入れが違うのだよ。
2006年04月04日
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今年を振り返って雑誌新聞各紙でいろいろ企画、掲載されていると思う。昨日の日経読書欄「回顧2005年」に批評家、評論家、作家などのベスト3「私の3冊」が載っていた。17名の方がそれぞれ3冊挙げられているうちで、私が気になった書名をひろってみると『いつかパラソルの下で』森絵都(角川書店)『凸凹テイズ』山本幸久(文芸春秋)『ナラタージュ』島本理生(角川書店)『ハイドゥナン』藤崎慎吾(早川書房)上下巻『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン(河出書房新社)『夜市』恒川光太郎(角川書店)『下流社会』三浦展(光文社新書)『水滸伝』北方謙三(集英社)29巻『蛇の王』東郷隆(集英社)『だいこん』山本一力(光文社)『魂萌え!』桐野夏生(毎日新聞社)『魔王』伊坂幸太郎(講談社)『となり町戦争』三崎亜記(集英社)『蜂起』森巣博(金曜日)『半島を出よ』村上龍(幻冬舎)上下巻 『告白』町田康(中央公論社)『河岸忘日抄』堀江敏幸(新潮社)である。誰がどれということは直接新聞を見ていただきたいが、『魂萌え!』と『半島を出よ』がダブっていた。文芸評論家の清水良典さんが別枠で個人的に興奮したのが島尾敏雄の『死の棘日記』と倉橋由美子の『偏愛文学館』だそうだ。私はこの中で『魂萌え!』しか読んでいない。皆様のブログで見かけたものも多い。なるほどなー。私として『半島を出よ』は来年ぜひ読みたい。今度はわたしの偏ったベストテンも作ってみよう。
2005年12月26日
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初夏のころ、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」を読み悩んでいた。読破はしたが「何度も読む本」の印をつけたくないほど疲れたのが本音。それをパティさんは「あらすじで楽しむ」作業をしていらっしゃる、ときどき拝見してはその根気と努力に感心している。終了も間近。本日の日経文化欄、『ドストエフスキー 今を射抜く』に注目した。『現代作家が注目』『閉じこもる若者・心の闇』『テーマ、色あせず』ドストエフスキーの現代性、普遍性に着目、作家の小説、研究者の作品研究が絶えない、とあった。コミュニケーションの希薄は現代病、人間の奥深い心理は闇だ。現代の小説を読むほどに思う。19世紀の先駆的作家の明察は今も生きているのであろう。いや、生きていくのであろうということである。作家、研究者が今も掘りつくしてやまないドストエフスキーは、人間という生き物について洞察が深かった、ちょっと異様な病的な人間性というものに早くから気がついていた。との評価が深まってきたと記事は結んである。それほど現代は、異様な思いもかけない人間性を剥き出しにした人間達が多くなってきたということか、恐ろしい!(TV、新聞のニュースを知れば知るほど)この記事による作家、作品メモを書いておこう。中村文則(28)…卒論で『犯罪者の心理は「不可解」の一言で片付けてしまいがちだが、ドストエフスキーはその奥にあるものを捉えようとしている、と延べ時代を超えた普遍性を見る』作品は芥川賞の「悪意の手記」(新潮社)<難病で死の恐怖おびえる15歳の少年が、奇跡的に回復。しかし、その後あるはずみで同級生を殺してしまったその過去の罪を意識して悩む>「罪と罰」を下敷き。平野啓一(30)…芥川賞作家。悪意あるネットの文章などで虚無主義に陥る人間像、克服するには「ニヒリズムが蔓延していた時代」のドストエフスキーの作品にヒントがあるという見方。「滴り落ちる時計たちの波紋」(文芸春秋)の一遍「最後の変身」<会社を辞めて引きこもりになったしまった主人公がインターネットで「自分探し」をするも、社会と直接の関係をもたず妄想の世界にいる。>→「カフカの「変身」+「地下室の記」追記(とほほ)読み返さずアップして畑に専念していた。文途中要らない文章「本名岡田尊司での現代性、」が混入、記事を読んだ方はお判りと思う。今読み返してびっくり、訂正した。私もこの文章を書くのにあれこれ考えたのだった。
2005年10月01日
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「5巻目も読んでしまったよ」「この前、買った藤原緋沙子の『隅田川御用帳』シリーズかな」「うん」「どう。揃える?」「うーん」「やっぱり物足りない?」「そーだなー」「女性の書く時代物と男性の書く時代物はあきらかに違うのでしょ」「うん」「たぶん、男性作家は時代に登場人物をあてはめるが、女性は登場人物の周りに時代が巡っていると思う」「うまいこというね、司馬遼太郎があまり女性に好かれないらしいね」「そうよね、私も数冊でストップだもの。じゃぁ、池波正太郎のまだ読んでいないものあったでしょ。それでも読んでなさい」「うん」夫は時代物が好きだ。夏休みとて読みふけっているのは嬉しいが、あっという間に読んでしまい補充が追いつかない。夫だって本は買えるだろうが、巻数をきちんと把握してそろえる手間が惜しいらしい。ダブってよく買ってきたり、本屋さんで読んだかどうか迷うらしいのでおせっかいをしている。その夫との会話だ。そこでふと、私も不思議に感じていたことを思い出す。宮部みゆきの、平岩弓枝の時代物がどうも物足りないのだ。しかし、山本周五郎や藤沢周平もどちらかというと人物の周りに時代が…の分類、それも夫は物足りなく思うらしいが、私は好きだし感動する。だから夫(男性)が物足りなくても、私には味わいがよければいい。えらそうなこといっても宮部みゆきの時代物は一冊しか読んでいないのに結論は早い。もう一度読み直してみる必要があるなーと思った。藤原緋沙子も読もう、本があるのだから。と、読む本がひたすら増えるのであった。どうしよう。
2005年08月03日
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お名前は知っていたが作品は読んでいない。昨夜BSハイビジョンで「山田風太郎が見た日本」を観た。若い時(戦前)からずーっと日記をつけ続けていらしたらしい。続けていたことも尊敬するが、その内容がまたすばらしく、感心してしまった。戦争をはさんで戦後の激動の時代だから、時勢を察知して感想を正直の書くのには、明敏な洞察力がなければ翻弄される。それが一本の筋を通して書かれているのに感動した。今回初公表されたのは1950年から43年にわたる日記。戦後日本の歴史を見つめた山田風太郎。平明にさりげなく書かれた日記には現在を予見しているものが多い。例えば、オイルショックでトイレットペーパーの買い置き騒ぎ(1973年だったか)があった時の日記に「将来何もせずに権利は保持できない、出兵せずばなるまい。」と書き、すでにイラク戦争における現在の日本の立場(つまり自衛隊などを出さないと石油の配分がない)を予想した感想になっているのだ。ベストセラー作家として名声を博して、長者番付に乗った。素敵な家もつくり、書庫も3部屋あるらしい。なるほどお庭には滝のある壁も映り、花壇もすばらしく、書斎の窓からは桜の花が満開だったのが印象的。人気作家ならこうあろうという映像だったが、日記の文面からは真摯な姿が垣間見られ、好もしい。家庭を大事にし、子供に愛情をそそぎ、かつ自分を保って、作家業に励む様子が淡々と書かれている。作品に向かう構えも「私は身辺雑事を書いて小説は作らない。物語として面白いものを書きたい。」とその当時は純文学といえば私小説風のものが多かった時代に、なかなかの発言と思った。いまならさぞかしエンターテイメントとして持て囃されるだろう。当時、「くの一忍法…」はちょっと思った人も多かったのだろう。そういう私も私の読む本ではないと思ったのだ。これは是非読んで見なければと認識あらたにした。ほとんど見ないTV、なにげなく見始め消せなくなってしまった番組である。風太郎と同年代の俳優三国連太郎のナレーションと演技もよろしかった。本屋さんがこのTV番組を知ったら、平積みするだろうか?
2005年08月02日
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先日読んだ「このミステリーがすごい!傑作選」の話題でこの作家を思い出し、書いておく。行方不明の原稿というミステリーもどきが話題だった。ああ、知っている人もいるのだと感慨があった。日影丈吉さんの「夕潮」の原稿が『幻影城』廃刊のあおりで一度失われ、11年後に発見されて1996年に創元推理文庫の短編集「夕潮」として出版となった。当時、「夕潮」を持ち焦がれるようにして読んだのでこのことは知っていた。なぜ待ち焦がれていたのかというと、昔(1977年ころ)友人に借りた「孤独の罠」を読んでその不思議な魅力にひかれ、他作品もと探したが寡作作家らしく見つからなかった。(古本屋という発想がなかったので)ようやく1986年に「夢の播種(はんしゅ)」(早川書房)が出版された。もちろん買って読んだ。その後、松本清張さんに「或る『小倉日記』伝」のころ、推理小説を書くように勧めた方が日影さんと知り、ますます好感を持った。日影丈吉…1991年に亡くなられているが、作品は時間が止まったかのように生き生きとしてしゃれた魅力があると私は思う。「孤独の罠」をもう一度読みたい。探してみよう。今、未読の日影丈吉「名探偵 WHO'S WHO」(朝日新聞社)を読み始めたが、古めのミステリーいや、推理探偵小説に郷愁を感じてきたよ。困ったなー、ますます読みたいのが増える。
2005年03月27日
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本日は読み物ではない。画集。それもとびっきりの…。水彩画が描けなくなって久しい。このBOXをひも解いて情熱をもらおうと。ほんと、BOXのよう…。15cm四方の厚さ2.5cmの小さくてぎゅっと詰まった岩崎ちひろの絵の数々、280点。没後30年記念のメモリアルブックのためにたくさんの方々が選んだとか。一般の方々も有名人も。安野光雅さん、江國香織さん、紺野美沙子さん、さくらももこさん、椎名誠さん、俵万智さん...いっぱい。江國香織さんは「かんらんしゃ」という絵をお選らびになって、それはきっとひとつの物語が飛び出してくるような絵で、お見せ出来ないのが残念。でも、どなたもちひろさんの水彩画は知っているよね。そうそう、「窓ぎわのトットちゃん」そしてひとつひとつの絵にみんなの思い出が書いてあって、280点。ちひろの挿絵の絵本の情報、ちひろの年譜も。いろいろの楽しみな情報のいっぱいつまったおとくな画集。癒されています!↓楽天Bookの「ちひろBOX」 ちひろ美術館のHP
2005年03月08日
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古本屋さん(Book of)の利用にはまった次は、図書館の利用にもはまり、たくさんの購入した積読本をどうしようかと悩むようになったのだが。はまった理由のひとつめは新刊本コーナーの楽しみ。私のところは土曜日が入れ替えなので、土曜日にはなかなか行けないのだけれど、それでも掘り出し物があるということがわかった。今回は文庫本「現代語訳・樋口一葉 たけくらべ」(河出文庫)、こういうのは残っている。新進作家が現代語に、それが面白い。明治時代の小説なんだから原文でもいいのだろうが、これがあるのとないのとでは俄然、趣が違う。持っている「にごりえ・たけくらべ」樋口一葉(新潮文庫)と読み比べている。ふたつめ。次々と皆様の読書日記で紹介されて面白いなーと思う本、探すのも購入するのも大変な労力。それを図書館でリクエストすると届いたら電話してしてくれるサービス。なかなかのものと今頃感心している。とっくに皆知っているよね。そして、電話がきた。「文学賞メッタ斬り」。期限のある図書館本がどうしても優先順位だ。
2005年02月27日
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リンク友のmaoさんのコメントにも書いたのだけれど、桐野さんのミロシリーズはハードボイルド。私なぜか好きだし、あこがれる。ある文芸欄に(といっても私はいつも日経になってしまう、笑 )「ここでは女同士の息づまる死闘が描かれる。男女雇用機会均等法ができてから女性が社会にで生き生きと活躍するようになったが、こうした状況はハードボイルドにも映し出されている。」と、うがったような?評論があったが、そんなことは意識せず合うんだもん。第五作「ダーク」(講談社)では38歳になっていて義父を殺して追われる身となり、外国に…。本格ハードボイルドらしい。ショック!「義父を殺す」さもありなん、しかし…。本屋さんでさっそくその本を手に取り、その値段もさることながら、ぶ、部厚い!びっくり。このところ古本屋さんに日参しているが、これは出ることはないだろうし、図書館もきっと順番が遅いよねーと、購入モード。(2月に入ったしね 笑 )その評論によると、男性作家の作ったキャラクター、逢坂剛の「百舌(もず)シリーズ」のヒロイン「倉木美希」も魅力的らしい。一度読みたい。そのうえ、maoさんのお薦めは柴田よしきの「RIKOシリーズ」の「リコ」さんもあるらしい。忙しいこった!ハードボイルドな私だった、ちっとも茹だっていないのだ。(なにいってんだか、これがわかりたい人はここ。
2005年02月01日
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今年の手帳の表紙は赤にした!大好きなノンフィクション・ライターの千葉敦子さんが「ニュー・ウーマン」に書いていらっしる。「忙しく働く女性はスケジュールや約束をたがえては致命的、手帳活用を徹底的に、大切な手帳は赤い表紙にしよう。もし紛失しても目立つから良いのである。」で、その赤い手帳を片手に本屋へ。なぜって、買いたい本が沢山あり過ぎ、覚えきれないからメモしてあるという情けない理由。赤い手帳を持って本屋をうろうろしているおばさんを見つけたら、それは私である(笑)本日の買い物は「ターン」北村薫(新潮文庫)「リセット」北村薫(新潮文庫)「説き伏せられて」ジェーン・オースティン(岩波文庫)北村さんは「スキップ」を読めば読まずにいられないセットの2冊。ジェーン・オースティンは「高慢と偏見」「エマ」しか読んでいない。作品はかなりあるのがわかっているのになかなか翻訳本がないと思っていたので「あった!」と驚喜して。オースティンの何気ない日常(イギリスのちょっと前の時代だけど)のウイットに富んだ描写がなんとも好もしいので、常々探していたのだ。本は出逢い。(信兵衛さんの読書手帳に詳しい、拝見して、いつも参考にさせて頂いている。)今日は風が冷たくてめちゃくちゃ寒かった東京。
2005年01月12日
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動機はともあれ本好きはいつもアンテナ張っているから、新聞、雑誌、広告から情報をキャッチしているよね。しかし、最近は新しい作家を試みる機会と言ったら、ネットのおかげが一番多いかな。で、今年は飛躍的な年だった。読書量が増えたことでも。一番印象が強いのは恩田陸さん(6冊)、私の硬質な気質とロマンス好みが微妙に満足させられる読み物なのだ。ファンタジーと一言でくくれない、何かがある。それがわからないから読み続けたくなる。桐野夏生さん(6冊)は日経新聞の折込広告新聞で おしゃれしたカラー写真を拝見、「ええぇ!こんな方が作家さん」とびっくり、さっそく本(ローズ・ガーデン)を読んで日記に読後感を書いたら、反響支持があって確認するとともに、その硬質、冷静な文章に惹かれていったのだカート・ヴォネガット・ジュニア氏。2冊しか読んでいないが、「プレーヤー・ピアノ」で気に入った。1960年代当時私が気づかなかったのが惜しい。山本文緒さん(3冊)「プラナリア」の短編で独特の感性のどっぷりとつかり、不思議な魅力が惹きつけられて。浅田次郎さん(2冊)は「ぽっぽや」で泣きに泣いた印象が抜けきれない。島田宗司さん(1冊)一冊で終わりにしたくない作家。私の知らないミステリー作家で魅力的な人が多いことが分かったのも今年なんだよなー。ミステリーの世界も広いから…きりが無いんだけど。そうして去年から魅力に捕らえられ、引きずっている作家さんがいる。辻邦生(3冊)唯川恵(4冊)篠田節子(3冊)江國香織(3冊)若竹七海(5冊)さんら。それぞれ、リンク友に教唆され(嬉しくて言ってるのよ)、激励をいただいた結果なり。ありがとう!だが、こう新しい作家に取り組んでいたら、私の計画「死ぬまでに日本の古典的名作といわれてるやつを全部読みたい!あわよくば世界の古典的文学作品をもう一度読みたい!」が達成されないのではないかという危惧が起こるよ。
2004年12月28日
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先日「IN★POCKET」という月刊[文庫情報誌](講談社)10月号を購入した。へー、文庫本情報誌なんてあるんだ。とびっくりしつつ、そういえばいつか、どこかで「出版社を超えての文庫新刊情報誌!」創刊という記事を読んだことを思い出す。浅田次郎さんの「蒼穹の昴」文庫化に当たっての対談を読みたくて手に取ったのだが。浅田さんの文庫化された出版社を超えた他の作品郡も網羅されていて、便利♪でも「蒼穹の昴」は講談社さんだよね(笑)もうひとつ、「酒井順子VS.オス負け犬 特別座談会」なんてあって興味(個人的に、息子がいるから)があってね。そして、そして10月の新刊文庫総目録も面白い。あるわ、あるわ、知らない文庫出版社。(失礼!)月刊文芸誌と同じく有名作家さんの連載小説も数々。で、それにに連載されている恩田さんのエッセイ(それも珍しいらしいらしい!)「『恐怖の報酬』日記」が最終回だった。それをまとめて2005年1月には講談社より刊行とのことと広告もあった。これが情報。恩田さん通の柊さんならきっとご存知よねと思いつつ。だいたい私は連載の最終回なんて読みたくなかったのだけど「IN★POCKET」なるもの知らなかったから、つい興味に駆られて読んでしまった。その内容がぴたりときた。ヨーロッパ帰りのうんざりと恐怖の長旅!私もそう、それがなかったらもっと嬉しいのに、もっと行きたいと思うのにってこと。『日本は遠い極東の国』(恩田さん)という感覚。最終回のこの文章から察するに、どうもイギリスにいらして、パブとかアインリッシュ・シチューとかテート・ギャラリーやゴシックを経験されたたらしい。ゴシックロマンも?小説の構想も練られてイメージが沸々とやら、「水野理瀬」が登場する、物語~!?このエッセイ出たら読みたいー!その小説も書いてくださーい!ってもう出版されてるの?さて、ところで、「IN★POCKET」にはまりそう。これ以上情報が増えてどうするのと言いながら、11月号も買ってしまった。15日発売、200円なり。
2004年11月21日
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