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2013.02.01
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カテゴリ: 映画/時代劇
【火天の城】
20130201

「お屋形様、天主に吹き抜けなどあらば、その吹き抜けは炎の道となりまする。お屋形様は天主にお住まいになられると申されました。さればお屋形様のお命をお守りするお城を作ることが、我ら番匠の務めにござりまする。炎の道など我が身に代えましても作ることはできませぬ。ご容赦くださりませ」
「又右衛門の天主なら落城するにしても・・・ゆるりと舞を楽しむ暇があるのう・・・」


このところの歴史ブームを背景に、昨今は空前の城郭ブームのようである。
牽引するのは「女子」だそうだ。
時代を振り返り、歴史に秘められたロマンを探るのも一興であろう。
本作「火天の城」も、時代は織田信長が天下統一に意欲を燃やしている真っ只中である。

だが、主人公は歴史上著名な人物でなければ武将でもない。
宮大工の岡部又右衛門というしがない職人である。
実在の人物であるか否かは定かではないが、要は、職人として一つのことを命を賭してやり遂げることの素晴らしさ、言わば揺るぎない魂を表現しているのだ。
作品冒頭部の、鉋で木材を薄く削り上げるシーンは見事なものである。
紙のように削られた木屑が宙を舞うところなど、幻想的であった。


天正4年、織田信長は国土のちょうど中央に位置する安土の地に、五重の天主、西洋の吹き抜けの構造を持つ城の建立を決意した。
城の設計に関しては、金閣寺を建立した京の池上家、奈良の大仏殿建造を担った中井一門、そして熱田の宮大工・岡部又右衛門の三者にて争わせることとなった。
そんな中、又右衛門のみの設計は、信長の意思を無視した吹き抜けのない図面であった。

五層七階の楼閣安土城が、もしや現代に奇跡的にも残されていれば、間違いなく世界遺産に認定されていたに違いない。
歴史的価値やその壮大なスケールから言っても、姫路城の比ではなかったであろう。
主人公の岡部又右衛門役に扮した西田敏行は、実に味のある役者さんで、安心して観ることが出来た。
様々な代表作に彩られ、どの映画・テレビドラマにおいてもハズレがない。
演技に奥行の感じられる素晴らしい役者さんなのだ。
本作においても、しがない宮大工としての職人の役を、堂々としていて意固地にならず、それでいて謙虚な物腰のキャラクターに仕上げている。
匠であることの誇りと存在感を表現した作品なのだ。

2009年公開

【出演】西田敏行、大竹しのぶ、椎名桔平

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最終更新日  2013.02.01 07:58:36
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