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2014.05.01
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カテゴリ: 映画/時代劇
【山桜】
20120517

「お母さま・・・房叔母さまは本当はおしあわせだったのかもしれませんね。きっと、その方のことをずっと慕っていらっしゃったのですね。私とは・・・違うのですね。」
「いいえ、あなたはほんの少し回り道をしているだけなのですよ。」


時代小説とは思えない純文学の世界観をかもし出す作品である。
原作者の藤沢周平は、若かりしころ結核を患い、右肺の切除手術を受けサナトリウム生活を余儀なくされるという経験の持ち主だ。
また、療養後にはめでたく結婚しているが、妻が長女を出産後まもなく急逝している。

そういったことが藤沢作品に暗く影を落としたのかどうか、とにかく初期のころは暗く、陰鬱な作風である。
藤沢周平は山形県鶴岡市出身ということもあり、作品の舞台は専ら庄内藩をモチーフにした小説が多いことで有名だ。
この「山桜」においても、海坂藩という東北地方の架空の藩を舞台にしたストーリー展開になっている。

海坂藩の下級武士、磯村庄左衛門の妻・野枝は、叔母の墓参りのため久しぶりに嫁ぎ先から外出を許された。
野枝が墓参りを済ませ実家に立ち寄る途中、見事な山桜が咲き誇っているのを目にする。

思わず背伸びをして山桜を一枝手折ろうとするが、もう少しのところで手が届かず断念。


実は弥一郎は、野枝にとって磯村との縁談がある以前に申し込みのあった相手だった。

「山桜」は、とても静かで上品な作風であった。
東北ののどかな田園風景と、風光明媚な山並みが実に美しく優雅に映し出されていた。

元少年隊の東山紀之も、舞台で鍛えた明朗な発声と演技力で好演。
行間に味わいのある藤沢作品を、甘美で清貧な映画に仕上げていた。

2008年公開
【監督】篠原哲雄
【原作】藤沢周平
【出演】田中麗奈、東山紀之

※名句『山櫻』は コチラ から。

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.05.01 05:47:00
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