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2014.08.24
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【サイド・エフェクト】
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「患者にはこう言ってやるんだ。“未来の行動は予見できる”とね。“過去の行動で分かる”と」
「でもあなたにもう患者はいないわね」
「君も病気の女と手を組むのは大変だな。なかなか治らないし。ファザコンの美人は特にね」
「残念だけど、あなたの言うことなんて信じられないわ」


ハリウッドが得意とするのは、派手なアクションやドンパチ殺戮・破壊するシーン、さらには本物と見紛うようなCGであろう。
それはそれで娯楽としての映画を堪能させてもらえるものであり、見ごたえのある作品に違いない。
だが、今回私が鑑賞したのは、その手の定番活劇ではない。
主人公が極度の心理的ストレスにさらされ、どうしようもない状況にまで追い詰められながらも、「いや待てよ、これは何かがおかしい」と、自力で真相を解明していくというストーリー展開である。
このサイコ・スリラーがたまらないのだ。

『サイド・エフェクト』は、申し分なく質の高いスリラー映画であった。
メガホンを取ったのはスティーヴン・ソダーバーグ監督その人で、さすがに非の打ちどころがない。
ヒッチコック作品を彷彿とさせるような、静かで、だけど恐怖の崖っぷちに立たせられる心理的圧迫感を堪能することができる。
主役の精神科医に扮するのは、ジュード・ロウ。

スタイリッシュでクール、取り乱すことはないけれど、内心フツフツと怒り心頭に発する表情など、演出とは思えない迫力。お見事。

ストーリーはこうだ。
インサイダー取引で服役中のマーティンが、4年経ってやっと釈放された。
妻のエミリーは、マーティンとともに新たな一歩を踏み出そうとしていた。
マーティンが出所したことで、明るく幸せな家庭を築き上げるはずだったのに、エミリーの心は塞いでいた。
異変は、エミリーが地下駐車場から車を出そうとした時に起こった。
正面のコンクリート壁に、思い切り車を衝突させたのだ。
病院で診察を担当したのは、精神科医のバンクス医師だった。
事故現場にブレーキ痕がないことから、自殺を図ったおそれがあると推測されたからだ。
結果、エミリーは鬱病を再発させていた。
その後もエミリーは、地下鉄のホームで自殺しようとしたところを駅員に阻止され、未遂で済んだ。

エミリーの鬱状態は、一時的には改善されたように思えたものの、ある日、とんでもないことが起きてしまった。
薬の副作用のせいで、エミリーは夢遊病となり、脳が眠ったままの状態で身体が勝手に反応し、夫であるマーティンをナイフで刺し殺してしまうのだった。
新薬を処方したバンクス医師は、世間から激しく糾弾され、しだいに追い詰められていく。

この脚本は素晴らしい!
精神科を受診することや、抗鬱剤などの薬を服用することが一般的になっているアメリカならではの、社会派サスペンス。

シーバート医師役に扮した、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。
この女優さんは、ソダーバーグ監督のお気に入りなのか、『オーシャンズ12』その他にも出演。
『サイド・エフェクト』では、ジュード・ロウを陥れていく女医として好演。

ソダーバーグ監督作品の何がいいかって、それはもうやっぱりラストでしょう!
何とも言えないカタルシスを味わえるからだ。
世間から糾弾され、医者としての名誉を半ば失いつつ、家庭さえ崩壊してしまったバンクス医師が、調査を重ね、謎解きをし、やがてシーバート医師とエミリーに逆襲していくプロセスは、大いに盛り上がる。
これぞ本物のサイコ・スリラーだと言いたい。
物語に深みがあって、質の高い作品なだけに、ぜひとも多くの方々におすすめしたい作品である。

2013年公開
【監督】スティーヴン・ソダーバーグ
【出演】ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ



20140819
コチラ から



20130124aisatsu





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最終更新日  2014.08.24 05:55:10
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