
11月から3月までは、生ハムの代わりにスモークサーモンです。私が手作りにこだわるのは、美味しいものが売っていないから、、、。市販のスモークサーモンの多くは、燻製ではなく燻液というスモーク臭のついたマリネ液で漬けただけのものだ。本当の燻製というのは、もちろん煙でいぶしたものなのだから、いぶしてないのにスモークサーモンと名乗るのはおかしいのだが、日本の法律では規制がないらしい。詳しくは知らないが、フランスなどではいぶしてないのに燻製を名乗ることはできないのではないかと思う。

1本で、5~6キロあると脂が乗っていて美味しい。これを卸して、、、

塩漬けにします。最近イタリアのシチリア産の美味しい荒塩を見つけたのでそれをたっぷり使います。一匹漬けるのに2キロくらいは塩が必要で、それに2割くらい三温糖と荒挽きの黒コショウ少しとハーブ(バジル、タイム、オレガノ、エストラゴン、ローズマリー)も混ぜて、サーモンに布団をかぶせるくらいの感じで、たっぷりと塩をかぶせます。これは直塩という方法。たくさん作るときには、ソミュールといってハーブの香りなどをつけた濃い塩水で漬けこみます。市販のサーモンはこのソミュールにスモーク臭をつけてあって、漬けこんで終わりというわけですね。
漬けこむ時間は、30から48時間くらい。水分の出方や身のしまり具合、脂ののり方などで時間が変わります。これは長年の勘です。程よく漬かったら水洗いします。このときの塩の落とし具合も微妙です。水分をよく取って、ラップをせずに冷蔵庫に一晩置いて表面を軽く乾燥させる。水気があるといぶした時に煙がつかないのだ。
翌日、桜のチップで5~6時間いぶします。冷燻です。燻製には温度帯が3種類ありまして、、、冷燻(30度以下)、温燻(60度前後)、熱燻(100度以上)となります。冷燻は、材料に全く火を通さないように冷たい煙でいぶすので、水分が保持されしっとり仕上がります。サーモンはこの温度帯です。温燻は、ハムやソーセージなどたんぱく質凝固温度付近での燻製。つまりしっとり火を通しながらいぶすやり方で、一番一般的なやり方。熱燻は、ローストしながらいぶすというやり方でかなり特殊です。代表的なのが北京ダック。
そういうわけで、燻製はちゃんと作ると手間と時間がかかります。サンク・オ・ピエのサーモンも最低4日はかかるわけです。だから安いスモークサーモンは、半日でできる燻液タイプになってしまうわけですね。コストの問題。市販のもので、美味しいなぁと思える手作り製のサーモンだと、キロ¥6000とか¥8000とかします。フォアグラ並みの単価。これじゃぁ、お客さまに安く出せません。だから作ることになるんですね。
同じような理由で、手作りでスモークハムや生ベーコンもやってます。これは添加物や着色料を使ってない美味しいハムはないものかといろいろ探した末に、結局見つからず、じゃあ作るしかないということでやっているんですね。だからうちのハムとベーコンは豚肉と塩だけでできてます。ハーブやスパイスすら使ってません。スモークサーモンや手作りハムは、いまやサンク・オ・ピエの人気メニューです。
サーモンは寒い時期だけの限定メニュー!11月から3月ごろまでです。
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