
仔牛レバーのローストです。この料理のことを語るのに最近のパリのレストラン事情をお話したい。
パリも東京ほどではないが、土地の高騰や人件費の高騰、食材やワインの値上がりなどが原因で、三ツ星クラスのレストランで食事をしてちょっと良いワインでも飲めば一人当たり10万円を超えることも珍しくなくなった。さすがにこんな値段では、なかなか三ツ星なんていけないですよね。なぜ三ツ星の店がこんなに高いのかと言うと、たとえば従業員の多さがある。高級店では、ホテルのフロントのような予約の電話などに対応する事務系の人や上着や手荷物を預かるクローク係もいるし、もちろん料理人やソムリエ、サービスのギャルソン、などなどが合わせて席数と同程度の人数いることが普通だ。つまり、夫婦二人でやっているサンク・オ・ピエなら、あと12~13人従業員を入れることになるわけ。そんなにスタッフがいたら、サンク・オ・ピエじゃあ狭くてお客が入りません(笑)まあ、それくらい三ツ星は夢のような空間なわけですが、最後にお会計で奈落の底に、、、なんてことになるわけです。(笑)
そこで近年、それら三ツ星などの一流店で修業した料理人が独立して、ネオビストロとかビストロ・シックとかビストロノミーなど言われる業態のレストランを作りだしてきました。今までのフランス料理界には、高級料理と庶民的料理の間のレンジがなかったんですね。食材や調理のレベルは三ツ星並み、でも高価な食器や複雑な盛り付けは避けて、ワインも一流シャトーものやトップドメーヌものは置かないけど、シェフやソムリエが選んだ有名ではないけど高価ではなく飲んでおいしいワインを置き、サービススタッフも少数精鋭主義というスタイル。もちろん三ツ星みたいにお客もドレスアップしていく必要もないし、Tシャツにジーンズでも大丈夫!というお店です。
そんな店が今までパリになかったなんて意外と思う方も多いでしょうが、一昔前の三ツ星レストランなら、一般庶民でも「たまには行ってみようか?」と言えるくらいの値段だったんですから、ネオビストロなどのニーズがそれほどなかったのと、一流料理人になるには、三ツ星クラスでの修業が必要でその料理人がまた三ツ星クラスのレストランを作るという図式があって、、、。第二次大戦後は、ポール・ボキューズをはじめとしたスターシェフの時代でした。料理人が経営者となり三ツ星に上り詰めスターシェフになるとうパターンが20世紀のフランス料理界でした。アラン・シャペル、ジャンとピエールのトロワグロ兄弟、アラン・サンドランス、ピエール・ガニエール、ジョエル・ロブション、アラン・デュカスなどなどスターシェフは枚挙にいとまがない。
三ツ星がゴージャスさを求めるあまり、非現実的な世界になり、むしろフランス人は三ツ星離れを始めていて、三ツ星の客が外国人ばかりということになってきているらしい。そういう流れの中から修業は一流で腕も一流だが、お店はカジュアルというスタイルが満を持して出現してきたというわけ。普通のビストロのように毎日のように通えるほど安いわけではないが、ちょっとご馳走と言う時に予約して出かけると、いつも期待にこたえてくれる美味しい店というわけです。
そんな中で、今パリで人気のレストラン「カメレオン」は、星付きレストランを何軒も作ってきた有名支配人であるジャン・ポール・アラビアンの店。一流店仕込みの腕の確かな若手シェフを雇い、ビストロ・シック(粋な居酒屋)を提唱している。その店の超人気メニューがこの仔牛レバーのロースト。なんでも、パリではカルト的な人気メニューなのだとか、、、そのレシピを手に入れたので、再現してみました。ものすごく美味しいと思います!
PR
Keyword Search
Calendar
Comments