幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Dec 23, 2016
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カテゴリ: シェフの雑記帳



 ほぼクリスマス恒例となっているエゾ鹿のコンソメです。コンソメで煮びたしにしたポルチーニとトリュフのスライスが入っています。
 コンソメというのは逆算の料理なんです。まず仕上がりのイメージを決めてから、それに見合った材料の配合や、仕上がりの煮詰まり加減をイメージした火加減など、、ゴールに向けて何を使いどのように進んでいくかを決めるわけです。
 今年のコンソメは肉らしさをある程度強調しつつ焦がし玉ねぎや焦がしニンニクと焦がし長ネギも使って香ばしさを出してポルチーニやトリュフの風味を生かしたいというイメージ。



 まず、20日に下地のブイヨンを取りました。鶏ガラ5キロと牛筋を4キロをブランシールします。つまり、一度茹でこぼします。鶏ガラも牛筋も鍋もきれいに洗ってまた水から煮だしていきます。肉の風味を強調したいのであえてハーブや香味野菜などは一切無し。その代わり肉の臭みはいらないので、ブランシールはごく丁寧にやることと徹底したアク取りが肝心です。野菜やハーブで臭みをごまかすのではなく、いらないものはきっちり取り除き、欲しい味わいと風味だけを残すわけです。7時間ほど煮てきれいに濾して、この日は終わり。
 翌日、鹿の赤身肉をミンチしたものを6キロと玉ねぎ、ニンジ、セロリとトマトの缶詰などに卵白を加えてよく混ぜ、そこに昨日のブイヨンを加えてかき回しながら強火にかけます。最初は生のひき肉とブイヨンをかき回しているわけですから、赤黒いドロドロの状態で、、これがきれいなコンソメになるなんて何度やっても不思議なくらいです。鍋の中で対流が始まるくらいの温度に達したらかき回すのをやめて、しばらくすると卵白が肉や野菜をアクと一緒に固めて分厚い蓋のように固まってきます。火加減を調節しながら、その蓋の真ん中辺に穴をあけてそこからスープが静かに湧き上がってくるように調節します。この段階でスープはほとんど透明に澄んでいます。状態が安定してきたら、焦がした玉ねぎや長ネギとニンニクを入れて6時間ほど煮ていきます。焦がした野菜がスープに香ばしさと琥珀色をつけてくれるんですが、その焦がし野菜を今回はちょっと多めにしたことと、香味野菜はいつもより少なめにして、下地のブイヨンに牛筋を使ったことでコラーゲン多めの感じになりました。スープは冷蔵庫の中ゆるりと固まっているくらいの感じです。イメージ通りの仕上がりでした。これには、、



 ドメーヌ・ルオー コート・カタラン テット ブラン 2014 ルーションにしかないカリニャン・ブランとロゼで造られる凝縮感のある辛口白ワインです。CAVE相川のこのワインは、これまた珍しいブドウ品種ですね。スープを一口の後にこのワインを飲むとコンソメの余韻がふわりと盛り上がってから消えていきます。それで、次のスープがほしくなり、、というループですね。スプーン1杯の中に肉の味が1杯半くらい入っているコンソメですから、いわば飲む肉料理です。このワインが、液体の肉にマリアージュします。





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Last updated  Dec 23, 2016 10:33:31 AM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
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