幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Feb 25, 2025
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カテゴリ: シェフの雑記帳




 ステーキというと、ジュージュー、バチバチと強火で焼いて、熱々の鉄板にのせて、、なんていうイメージがあるかもしれませんが、、、実際、TVのCMなどにもよくそんなシーンを見ますね。
 私の場合、かなりの弱火で焼きます。鉄の鋳物のフライパンを使うのですが、音はしません。鍋肌が100℃からせいぜい120℃くらい、何度もひっくり返しながら、100g程度の肉でも15分以上かけて焼きます。というか、これはもう焼いてないですね。肉を中までゆっくりと温めるという感じです。最後に300℃くらいの超強火で表面だけをこんがりさせます。これは風味付けですね。
 いまだに、「肉の表面を最初に強火で焼き付けて旨味を閉じ込める」なんて非科学的なことをドヤ顔でいう料理人がいますがねぇ、、。
 イメージしてみてください。例えば牛のモモ肉の塊を一辺5㎝くらいのサイコロ状に切ったとしましょう。サイコロですからその6面を強火で焼きます。焼くと肉は縮みますよね。6面全部縮むと表面積が縮むので、外だけ縮むのですから内部に対して圧力が生じて肉汁が出てきますよね。だから強火はだめなんです。弱い火でゆっくりと、面を変えて何度も向きを変えながら、中までゆっくり温めるということが正しいやり方。真空調理だと、真空パックに入れた肉を湯煎にかけてお湯の温度と肉の温度が同化するまで待つわけですが、真空調理には香ばしさがないですね。たとえ低温でも焼いたほうが美味いでしょ!これが私のステーキです。
 赤ワインを良く煮詰めて、Jus de vinanndesジュ・ド・ヴィアンド(仔牛の骨と鶏ガラをこんがり焼いて取った茶色い肉のだし汁)を加えてちょっと煮詰めてバターでモンテして塩で仕上げます。赤ワインと肉汁だけのシンプルなソースです。
 赤ワインソースというとsauce bordelaiseソース・ボルドレーズ、ボルドー産の赤ワイン1本を大匙2杯までに詰めて、、、なんてド級のソースもありますがそれは昔の話。そんな濃いソース作ってる人は今はいないでしょうね、、。それに肉よりソースのほうがはるかに高くなってしまいます。(笑)
 肉と赤ワインと肉汁と少しのバター、構成がシンプルなので赤ワインなら濃いのでも軽いのでも何でも合うと思います。





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Last updated  Feb 26, 2025 11:13:17 AM


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ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
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