《櫻井ジャーナル》

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2012.06.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、そしてリビアへアメリカ軍は先制攻撃を仕掛けたが、いずれの場合も事前に偽情報を流し、軍事介入しないと大変なことになると宣伝していた。そして現在、シリアの体制転覆を目指し、配下のメディアを使ってプロパガンダを展開、事実を覆い隠そうとしている。

 日本の場合、事実を直視しないという点で「右」と「左」、あるいは「体制」と「反体制」の間に大差はない。カネに目が眩むのか、イデオロギーに囚われているのか、教義に取り憑かれているのか、恐怖で「思考停止」しているのか、ともかく妄想の世界、内輪の論理にドップリ浸かっている人が多い。

 アメリカは「自由と民主主義の国」であり、アメリカの支配層に従えば安泰だと思っている日本人もそうした類の人びとであり、原子力発電の「安全神話」を信奉している人びとも同類だ。

 昨年3月11日に東北地方の太平洋側で巨大地震が発生、東電の福島第一原発は「過酷事故」を起こした。地震の揺れで配管などに大きなダメージがあった可能性が高く、41分後に押し寄せた津波で原子炉は全ての電源を失い、燃料棒を冷却できなくなったと考えられている。

 冷却できなくなれば、約半日でメルトダウンが起こることは専門家の常識だそうで、だからこそ東電は「原子力災害対策特別措置法第10条」に基づいて「特定事象」が発生したと経済産業大臣らに通報したのだろう。早い話、逃げる準備。

 事故は隠すという電力業界の性癖を考えるならば、この段階で原子炉は制御不能の状態になっていることが予測でき、実際、そう考えた人は少なくなかっただろう。が、当事者である政府や東電がそうしたことを発表したとは言えない。

 枝野幸男官房長官(当時)は「炉心が溶けているのは大前提で対応していた」と主張しているが、呆れるばかり。炉心が溶融しているにもかかわらず、住民を速やかに避難させなかったとするならば、犯罪である。

 事故当日の夜から原子力安全・保安院が、12日の未明からは文科省が「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」で放射性物質の環境への拡散を予測、14日にはアメリカ軍へ試算結果を伝えていた。が、地元住民の避難に役立てることはなく、勿論、日本国民に知らされることもなかった。

 こうした政府や東電、そしてマスコミの姿勢は今でも基本的に変化していない。福島第一原発では現在でも危機的な状況が続いているのだが、まるで全て解決、何も心配することがないかのような雰囲気が日本列島を覆っている。が、実態は違う。



 そして現在。 元国連職員の松村昭雄氏 は概略、次のようにまとめている。

1) 1、2、3号機では完璧に炉心が溶融、日本の当局も認めているように、核燃料が圧力容器の底を抜けてメルトスルーしている可能性があり、意図せざる再臨界、あるいは水蒸気爆発が起こるかもしれない。

2) 1号機と3号機から強烈な放射能が発生、近寄れない状態にあるため、事故が発生して以来、いまだに補強工事は行なわれていないので、強い余震に襲われたなら倒壊する恐れがある。

3) 瓦礫や破片の間を縫うようにして設置した冷却水の管は防護されていないため、核燃料の過熱させる冷却システムの停止、さらなる放射性物質の放出を伴う核燃料の損傷、新たな水素爆発、ジルコニウム火災、使用済み核燃料プールにおける溶融に至る出来事が発生する可能性がある。

4.建屋および骨格は重大な損傷を受けている4号機の使用済み核燃料プールが倒壊したり何らかの事情で水が抜けたなら、強烈な放射能の照射で原発敷地の全域が立ち入りできなくなり、チェルノブイリ原発の85倍というセシウム137が環境に出てしまう可能性がある。

 松村氏の友人、ロバート・アルバレズ氏によると、チェルノブイリ原発の85倍の放出量になるという推定は少なく見積もってのことだが、それでも4号機が倒壊すれば、セシウム137が引き鉄となって日本の国土の全域は避難ゾーンと化し、その強烈な放射能は東アジアや北米に及び、放射性降下物は今後、数百年にわたって滞留し続けることになるという。

 こんな状況の中、原発を再稼働するとしているのが日本政府であり、電力業界であり、大企業であり、マスコミである。正気ではない。





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最終更新日  2012.06.16 03:32:28


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