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イランへの攻撃が10日以上続いてきたが、そうした中、アメリカ軍がイランに地上部隊を侵攻させるという話が伝えられていた。ところがそうした動きは見られない。ドナルド・トランプ政権がイランに対し、交渉再開を働きかけていると推測する人もいる。 地上戦でアメリカ軍が勝てる可能性はほとんどなく、全滅しても不思議ではない。統合参謀本部はイランでの地上戦には反対、ドナルド・トランプ大統領にもそうしたことを説明しているだろう。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はトランプ大統領を戦争へと駆り立てているようだが、イスラエル軍はイラン軍と戦うつもりはないようだ。 ウクライナにおける対ロシア戦争と同じように、対イラン戦争でもパランティア・テクノロジーズなる会社が戦争の遂行に協力している。この会社はアメリカやイスラエルの情報機関と関係が深く、軍や対テロ分析担当者が使用する情報分析ツールも開発、AIや顔認識システムを利用した監視システムにも関係している。最近ではAIを搭載したドローンの開発だけでなく、作戦の作成にも関与しているようだが、対ロシア戦争でも対イラン戦争でも結果は良くない。 対イラン戦争をアメリカ軍とイスラエル軍は斬首攻撃で開始、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害することには成功したが、その後は彼らの思惑通りには進んでいない。イラン国内は団結、アメリカやイスラエルに立ち向かう姿勢を鮮明にしている。同じことがロシアでも起こっている。 西アジアのアメリカ軍基地やイスラエルの主要施設は壊滅的な打撃を受けている。アメリカ軍の攻撃はホルムズ海峡の封鎖を招き、原油や天然ガスのほか肥料などの供給も途絶えさせてしまう。紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡も封鎖される可能性が出てきた。しかもイランのIRGC(イスラム革命防衛隊)が保有するミサイルやドローンには余裕がある反面、アメリカやイスラエルは余裕がない。 トランプ大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は8月までに枯渇する見通し。アメリカ軍のイランに対する攻撃によってホルムズ海峡は封鎖状態だが、それだけでなく、イエメンのアンサール・アッラーはサウジアラビアに対する報復で、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を通過しようとしたサウジアラビアの石油タンカー2隻を破壊した。さらにサウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃される可能性があり、そうなるとサウジアラビア産原油は止まる。 そうした事態を避けたいなら、アメリカ政府はイランの要求を呑まなければならない。敗北を認めるということだが、それをイスラエルやシオニストは容認しないだろう。アメリカを含むNATO諸国はウクライナでも負けている。そうした敗北を認められないとして戦争をエスカレートさせたなら、状況はさらに悪化する。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.27
ロシア軍は黒海で石油タンカーや穀物を輸送する貨物船に対する攻撃を激化させている。ウクライナ政府は7月14日、アゾフ海でロシアの船舶11隻をドローンで攻撃、過去9日間では116隻の船舶に打撃を与えたと発表、そうした行為に対する報復だ。ウクライナ/NATOが仕掛けた攻撃が裏目に出た。 ロシア側はアゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航も停止したが、それだけでなくオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃、ヨーロッパの大手海運会社は自社の船舶を黒海へ入れないとしている。ウクライナの黒海に面した港は封鎖された。その結果、ロシアとの戦争を推進しているヨーロッパ諸国の食糧事情が悪化すると予想されている。 ウクライナ軍はドローンによる民間ターゲットに対する攻撃に力を入れている。ロシア国内にある民間の石油関連施設や倉庫などを目標にしてきた。数百機のうち数機は防空システムを突破、それなりの映像を撮影、それを宣伝してきた。 ウクライナ政府や後ろ盾の西側諸国はそうして作り上げた印象を利用し、戦争の勢いは変わり、戦況はウクライナが優勢だと宣伝すると同時にロシア社会を揺さぶろうとしたのだろう。ところが精油所も急ピッチで修復され、ロシアの燃料状況は回復、防衛態勢は強化された。そのためか、陸上の施設に対するウクライナ軍のドローン攻撃は聞かなくなっている。 ウクライナを舞台としたロシアとNATOの戦況はロシアが圧倒的に有利で、死傷が膨らんで兵士不足は深刻。そこでウクライナ国内では街角だけでなく室内から男性を強制徴兵担当者が拉致する状況だ。それでもバンザイ突撃を繰り返していたオレクサンドル・シルスキー軍総司令官は7月21日に解任され、ネオ・ナチミハイロ・ドラパティが後任に決まった。 ウクライナ国内での拉致では不足を賄えないため、ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相は7月18日、ベルト・アム・ゾンターク紙のインタビューで、EUに滞在する若いウクライナ人男性を戦地へ送還することは正当であるとの見解を表明した。 ドローンも兵員不足を補うために重視されているが、その戦術を西側で推進しているのはパランティア・テクノロジーズであり、同社のアレックス・カープCEOが目をつけて国防大臣に据えた男がミハイロ・フェドロフだった。このフェドロフは7月16日に解任されている。 パランティアはCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって2003年に創設された。創設者のひとりで会長を務めるピーター・ティールは決済サービス企業PayPalの創業者。ドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとして知られている。パランティアが雇用した人物の中にはイギリスの対外情報機関MI6で長官を務めた人物も含まれる。 ティールは緊急通報システムで知られるカービンの重役でもあるが、カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校。同社の出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれ、バラクは同社の会長に就任している。ジェフリー・エプスタインはカービンの主要な資金源のひとりだった。 パランティアはウクライナやイランを大規模なAI(人工知能)戦の実験場にしている。アレックス・カープCEOによると、同社のソフトウェアがウクライナにおいて「ターゲット設定のほとんど」を実行していると公言、ウクライナ国防省は同社が戦場データを迎撃ドローンのAIへ供給するプラットフォームのブレイブ1・データルームを構築するとしていた。このプラットフォームはウクライナのデジタル変革省、国防省、軍参謀本部、国家安全保障・国防会議、戦略産業省、そして経済省によって設立されたという。 ウクライナ側は戦争をロシア領土に移すと主張、西側メディアはウクライナ軍の驚くべき成功を盛んに報じていたが、戦況がウクライナ有利になった事実はない。ドローンを利用したパランティアの戦術をキエフへ持ち込んだフェドロフが解任されたのはそのためだろう。アメリカ、イスラエル、ヨーロッパ諸国などは苦境に追い込まれている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.26

アメリカ軍がイランを攻撃し、イランからアメリカ軍基地が報復されるという展開が再開されたが、アメリカに勝てる見込みはない。イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)が保有するミサイルやドローンには余裕がある反面、アメリカやイスラエルは余裕がなく、アメリカ軍の攻撃はホルムズ海峡の封鎖を招き、原油や天然ガスのほか肥料などの供給も途絶えさせてしまう。ドナルド・トランプ米大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は遅くとも8月には枯渇する。正確な情報がトランプ大統領のところまで伝えられているのかどうか不明だが、彼の政策は彼自身だけでなく世界を破滅へと導いている。トランプは正気を失ったのか、あるいは目的があるのだろうか? 西アジアの戦乱はアメリカ軍とイスラエ軍による2月28日のイランに対する奇襲攻撃から始まったが、アメリカやイスラエルがイランを攻撃しても勝利できず、大惨事になると言われていた。イランの地形や戦力を考えるならば、アメリカが地上軍を投入した場合、壊滅的な敗北を喫すると見通されていた。 そこで、トランプ政権はイランを攻撃しないだろうと考える人が少なくなかったのだが、攻撃した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に騙されたのか、脅されたのか、あるいはパランティア・テクノロジーズのAIを信じたのか不明だが、ともかく彼は破滅へ向かい始めた。 すでにイランは西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などを破壊、またイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も破壊。そして予想された通りホルムズ海峡が封鎖された。 そこでトランプ大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は6月17日、戦争終結に向けての話し合いを進めるためだとして合意文書(MoU)に署名した。イラン側の要求を呑む内容で、トランプ政権はこれを守る気がないだろうと少なからぬ人は予想していた。実際、トランプはMoUを無視してイランを攻撃、イランが報復するというパターンに戻ったが、変化がないわけではない。 先日、サウジアラビアはイエメンのサナア国際空港へイランの旅客機が着陸した際、滑走路を空爆した。事前にアメリカから承認されていただろうが、サウジアラビアは「イエメン政府」の承認を得ているとしている。 この政府とはアデンを臨時の首都にしている大統領指導会議を指しているのだろうが、このメンバーはサウジアラビアのリヤドにある高級ホテルを拠点にしている。事実上、アンサール・アッラー(フーシ派)がイエメン政府だ。 イエメンのアンサール・アッラーはサウジアラビアに対して報復すると発表、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を通過しようとしたサウジアラビアの石油タンカー2隻を破壊した。バブ・エル・マンデブ海峡が封鎖される可能性が高まったが、サウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃されると覚悟すべきだろう。そうなった場合、サウジアラビアは石油を輸出することが困難になる。 昨年末にアンサール・アッラーの治安部隊は「高度なスパイ網」を摘発したと発表したが、それはサウジアラビアの情報機関、CIA、モサドの工作員が配置されたリヤドを拠点とする合同作戦室と繋がったネットワークで、イエメンの指導部を排除し、軍事作戦を継続する能力を奪おうとしていた。昨年8月にイスラエル軍は空爆でアンサール・アッラーのアフメド・ガレブ・ナセル・ラハウィ首相を含む9人の閣僚や軍参謀長を殺害したが、これにもこの合同作戦室が中心的な役割を果たした。ハマス、ビズボラ、イランでも行われた一種の斬首作戦だが、結局、失敗に終わった。 ホルムズ海峡の閉鎖によって世界の原油供給量が約20%減少し、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少。この海峡を通過する石油の買い手は約80%が中国、インド、日本、韓国などのアジア諸国であり、LNG(液化天然ガス)はそれ以上の比率で同じ国々が輸入しているのだが、当然、トランプ政権もこの事実を認識しているだろう。バブ・エル・マンデブ海峡の閉鎖もこうした国々にダメージを与える。 バラク・オバマ政権のウクライナでのクーデターはロシアとヨーロッパ諸国の経済を破壊、ロシアを攻撃する態勢を整えることにあった。台湾で軍事的な緊張を高めたのは中国だけでなく、日本を含む東アジア諸国を破壊することが目的だったのだろう。そして西アジアを支配する上で残された最大の障害、イランの体制を転覆させようとしている。ウクライナやイランにおける状況を見ながらトランプ大統領の背後にいる人びとはほくそ笑んでいるかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.25

すでに世界の多くに人は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を拒否しているようだが、この問題は終わっていない。終わらないまま隠蔽工作が進んでいる。COVID-19騒動の象徴的な人物であるアンソニー・ファウチは1984年11月から2022年12月までNIAID(国立アレルギー・感染症研究所)の所長を務めたが、騒動の黒幕とは言えない。黒幕はファウチに責任を押し付け、逃げようとしているように見える。 この「COVID-19ワクチン」は人間の細胞へLNP(脂質ナノ粒子)に包まれたmRNAを送り込み、ウイルスのスパイク・タンパクを作らせるのだが、人間の免疫システムはスパイク・タンパクを病原体だと判断、攻撃するため、自己免疫疾患を引き起こす。 そこで「COVID-19ワクチン」には免疫を下げる仕組みが組み込まれているのだが、それだけでなく免疫抑制能力があるIgG4抗体が誘導される。つまりAIDS状態になり、通常なら問題のない微生物でも病気になり、癌も増える。 また、LNPは人体に有害であり、DNAやグラフェン誘導体の混入も報告されている。発癌性のあるDNAウイルス、SV40も混入していることが発見された。ファイザー社のmRNA製剤や多くの「遺伝子編集」カクテルの中に入っているのだが、遺伝子治療に使われるSV40は合成化学物質だという。SV40やその構成要素を意図的に合成し、遺伝子治療の主要成分として組み込むことは許されている。 このCOVID-19騒動は2019年12月の終わりに中国の武漢の病院で肺炎患者9名ほどが見つかったところから始まる。翌年の2月4日、横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で患者が発見され、3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミック宣言、「重症の肺炎患者が街にあふれ、死者が急増する」というイメージが作られ、人びとを恐怖させ流ことになった。 別のクルーズ船「グランド・プリンセス」でも患者が発見され、3000人以上が拘束された。拘束された人びとは「無症状の致死性疾患」なる話を吹き込まれ、訴追の脅迫を受け、アメリカ空軍の基地にある軍事刑務所(隔離キャンプ)に収容されたという。 しかし、WHOがパンデミック宣言する直前の2020年2月28日、ファウチを含む3名の研究者はCOVID-19の致死率が1%未満かもしれないと発表している。つまり季節性インフルエンザ並みだというのだ。当初、ファウチはCOVID-19騒動を仕掛ける側ではなかった。その後、騒動を煽る側に入ったのだ。 深刻な副作用を引き起こす「COVID-19ワクチン」を開発したファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は75年の間封印しようとしたのだが、アメリカでは一部の専門家は情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開が命令された。 長年、医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワは公開された文書を分析、その結果、「COVID-19ワクチン」はアメリカ国防総省のプロジェクトだと2022年に発表する。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということ。そうした企業は情報を公開する必要がない。国防総省のプロジェクトだということは軍事作戦だということを意味し、軍事作戦は免責だ。 病原体だとされたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は武漢の研究所で作られたとする話が広まっているが、このウイルスに感染した動物は中国でなく、北アメリカで見つかっている。ジム・ハスラムによると、北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) COVID-19騒動を煽るためにWHOはパンデミックを宣言したが、そのために死亡者数を水増しする必要があった。そこでWHOやCDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら死因をCOVID-19として処理して良いとする通達を出している。つまり患者を水増しするように指示しているのだ。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は2020年4月8日、その通達についてFOXニュースの番組で話している。病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話しているのだ。アメリカの場合、COVID-19に感染している患者を治療すると病院が受け取れる金額が多くなり、人工呼吸器をつけるとその額は3倍に膨らんだともいう。医療関係者を買収したと言われても仕方がない。 パンデミック宣言を正当化するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査も利用された。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する分析のための技術だが、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎず、ウイルス自体を見つけることはできない。 増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、偽陽性も増える。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。ちなみに、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だ。 Ct値をこうした数値に設定したならPCR検査は無意味だが、結果だけは出るので人びとを騙す材料には使える。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスもPCRを診断に使ってはならないと語っていた。 こうした危険な薬物を日本政府は国民に接種させるため、大規模な宣伝が展開された。通常の国は危険性に気づき、2回程度で止め手いるのだが、日本は何度も接種させた。接種推進のためにマスコミが果たした役割は重い。 この薬物によって少なからぬ犠牲者が出ているのは間違いない。その理由を医薬品メーカーの強欲さに求め、ファウチのような人物に責任を押し付ける意見もあるが、その背後にはアメリカの国防総省が存在している。つまりCOVID-19騒動はアメリカ国防総省の軍事作戦であり、医薬品メーカーは「国家安全保障」という壁に守られている。 サーシャ・ラティポワが早い段階から指摘していたように、COVID-19騒動は国防総省のプロジェクトだ。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至った。 国防総省のDARPAは2001年9月11日の後にワクチン開発の促進、新ウイルスの発見、医薬品製造の迅速化などの技術を開発するために投資するようになった。そうした中、空軍のダン・ワッテンドルフが迅速なパンデミック対応をDARPAの優先事項のトップに押し上げたという。 ワッテンドルフはDARPAでプログラム・マネージャーを務め、診断学、哺乳類細胞合成生物学、RNAワクチン、モノクローナル抗体の迅速な発見、遺伝子導入による免疫予防、人工赤血球などのプログラムを立ち上げたという。DARPAは2013年にモデルナへ最高2500万ドルを助成金として提供することに決め、16年にワッテンドルフはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団へ移籍した。 2005年8月に国防総省はウクライナ政府と契約を結び、同国にある生物研究施設をアメリカ政府が管理することになる。そしてアメリカはウクライナで生物化学兵器の研究開発を開始する。 COVID-19騒動が軍事作戦だとしても、国防総省と契約している医薬品会社にとってはビジネスである。リビアの指導者だったムアンマル・アル・カダフィは2009年、国連で次のように演説した。「将来、多くのウイルスが発生するだろう。企業はそれらを開発するために懸命に取り組んでいる。」ウイルスが世界に蔓延すれば、「ワクチン接種で莫大な利益を得ることができる」というわけだ。そして「ワクチンが無料になれば、こうした未知のウイルスの多くは出現も蔓延もしなくなるだろう」とカダフィは予測している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.24

ウクライナ軍参謀総長がアンドリー・フナトフからイーホル・スクィビュクへ、また軍総司令官がオレクサンドル・シルスキーからミハイロ・ドラパティへ交代した。ドラパティは軍事的に無能だが、記者を買収して自分に都合のいい話を流させることには長けていると言われている。 ドラパティは2014年、クーデターで誕生したクーデター軍の第72機械化旅団第2大隊司令官としてネオ・ナチで編成された親衛隊とマリウポリへ突入、警察署を襲撃し、抵抗する非武装の市民を射殺したり装甲車で轢き殺したりしている。その様子は市民によって撮影され、世界に発信された。NATOを後ろ盾とするクーデター派は事実と違う話を流していたが、実際に映像を見れば西側の嘘は明白だ。(クーデター軍に市民が射殺される映像もいくつかあるが、本ブログでは掲載しない) その後、マリウポリは占領されて地下要塞が築かれ、市民は地下に人質として拘束された。解放されたのは2022年2月にロシア軍がウクライナ軍に対する攻撃を開始した後だ。解放された市民の証言は現地に入っていたジャーナリストによって伝えられた。西側からきたジャーナリストも少なくなかったが、事実を伝えたということで後に母国から制裁を受けた人もいる。 国防大臣に続いて参謀総長や総司令官が交代になる理由はNATO/ウクライナ軍がロシア軍に追い詰められているからだろう。ロシア軍はキエフ、スミ、オデッサなどの主要都市で重要施設に対する攻撃を激化させ、オデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃し、黒海へのルートを断ち切った。 戦場では兵士の不足が深刻。キエフ政権は強制徴兵担当者を利用して路上で男性を拉致してきたが、家族や通行人から抵抗される様子が撮影され、世界へ伝えられている。ロシア文化圏の東部や南部と違い、反ロシア感情の強い西部のリビウでも強制徴兵に対する怒りは高まり、7月8日には担当者の自動車が市民に襲われ、破壊された。 戦場でも戦闘から離脱しようとするウクライナ兵の存在が以前から指摘されていた。そうした脱走兵を射殺するためのドローンも徘徊しているようだが、逃げ出す将兵はここにきて増加、ロシア側によると、ウクライナ軍から離脱してロシア軍へ合流、NATO/ウクライナ軍と数万人が戦っているという。ウクライナ人の半数以上がロシアに親戚がいると言われ、戦争中でも連絡を取り合っているとされている。そうしたルートを通じてロシア軍と連絡をとっているとも言われている。 その一方、ウクライナ政府はマイクロソフト、グーグル、アマゾン、そしてパランティア・テクノロジーズと深く結びついている。国防大臣を7月16日付で解任されたミハイロ・フェドロフはパランティアのアレックス・カープCEOが目をつたという。 フェドロフが国防大臣に就任した直後、パランティアは同国の国防省などと共同で、ドローンにAI機能を搭載するための「データルーム」を構築する支援をしている。ウクライナで実際の戦闘を通じてデータを集積、AIに分析させて今後の戦争に役立てようということでもある。同社はガザでの破壊と虐殺のプランも作成してきたようだ。 パランティアは2003年、CIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社。イスラエルの情報機関とも関係が深く、パランティアの共同創設者である現在会長のピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとしても知られている。 昨日も書いたように、イスラエルは2001年からジョージアの将兵を訓練するだけでなく、ドローン、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどを提供していた。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) そして2008年8月にジョージアは南オセチアを奇襲攻撃。これはロシア軍の反撃でジョージア軍が完敗するが、イスラエルによる訓練と兵器の供給がなければ軍事侵攻することはできなかったはずだ。この攻撃にはアメリカも支援していたが、イスラエルは少なくとも当時からロシアの敵だと言える。 ウクライナに対し、イスラエルは2022年から自国製の兵器、情報、そして傭兵を送り続けてきたと伝えられている。電子機器のほか高解像度の衛星画像、対戦車兵器「MATADOR」もウクライナに提供、ウクライナは実戦で得た対ドローン防衛戦術も知らせていた。 そのほかイスラエルはパトリオット・システムや早期警戒レーダー・システム「レッド・アラート」も提供、イスラエル人のみで構成される部隊がウクライナ軍の情報機関の下で活動している。 ネオ・ナチを中心に編成されたウクライナのアゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)に所属するメンバーが2022年12月にイスラエルを訪問し、イスラエル軍の予備役らと会談した。これも両者の関係が深いことを示している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.23

ロシア軍の攻撃によりオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶の航行が遮断され、ウクライナは黒海へのルートを断ち切られた。地上ではキエフ、スミ、オデッサなどが激しく攻撃されている。明らかに攻撃の強度が高まった。「特別軍事作戦」から戦争へステージが進んだと言える。ウクライナ/NATO軍は迎撃システムが脆弱な民間施設を狙ってきたが、ここにきてロシアの石油タンカーや穀物輸送船に対する攻撃が激化、それがロシア側の姿勢を変えたわけだ。 キエフ政権は混乱、街頭では反ウォロディミル・ゼレンスキーのデモが始まっている。ファシズム体制下、思想、言論、言語が統制され、野党の存在も許されない国でこうした運動が起こっているのだ。抗議活動はミハイル・フェドロフ国防相の解任に対する抗議として始まったが、これは不満を噴出させる切っ掛けにすぎない。 フェドロフに目をつけたのはパランティア・テクノロジーズのアレックス・カープCEO。彼は「防衛およびAI分野での協力」を確立するため、2022年にキエフを訪れている。 パランティアは2003年、CIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社。イスラエルの情報機関とも関係が深く、パランティアの共同創設者である現在会長のピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとしても知られている。 同社はイスラエルを積極的に支援、イスラエル軍によるガザでの住民虐殺に絡んで軍事監視や航法システムを開発した。アメリカ軍は対イラン攻撃でパランティアのメイブン・スマート・システムを使用した。このシステムの導入を自衛隊も検討している。 メイブンはデータ中心型のプラットフォームで、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合して指揮官らの判断を支援する。 このAIがロシアに対するドローン攻撃を立案したのだろう。戦場ではロシア軍が圧倒しているが、それに対してウクライナ/NATO軍はロシア領内にあるエネルギー関連の民間施設を激しく攻撃するようになり、ロシア人を怒らせることになったが、この攻撃もAIの命令なのだろう。パランティアのAIは無能だ。 しかし、そうしたウクライナ/NATO軍の攻撃に対する報復でウクライナの主要都市は壊滅状態。ウクライナが使っているパトリオット防空システムの迎撃率は数%と言われているが、このところパトリオットからミサイルが発射されていない。 ウクライナ軍、正確に言うならばキエフのクーデター軍の兵士不足は2023年の段階で深刻。その年の8月31日までイギリスの国防大臣を務めていたベン・ウォレスが同年10月1日にテレグラフ紙へ寄稿した論稿の中で、ウクライナ兵の平均年齢はすでに40歳を超えているとしていた。 その後、状況が改善されているはずはなく、強制徴兵担当者が街を歩いている男性を拉致、数週間の訓練で最前線へ送り込み、殺している。すでにヨーロッパ諸国で傭兵の募集に応じる人は見当たらず、目立つのはコロンビア人だ。 ウクライナ西部のリビウでは7月8日、強制徴兵担当者の自動車が市民に襲われ、破壊された。ウクライナの街頭では男性が拉致され、最近ではその家族や通行人と担当者が乱闘になる様子を撮影した映像が発信されてきた。南オセチアへの奇襲攻撃は対露戦争の一環 ロシアや中国の征服を目指す戦略をアングロ・サクソンは19世紀から立てているが、最近の動きとしては2008年8月のジョージアを利用した南オセチアへの軍事侵攻がある。これは北京オリンピックの開催に合わせて実行された。 この軍事侵攻を仕掛けたジョージアのミヘイル・サーカシビリ大統領は西側にとって都合の悪い政権を倒すため、2003年11月に実行された「バラ革命」を経て登場してきた人物。2002年5月から05年8月にかけてジョージア駐在アメリカ大使を務めていたのはクーデターの仕掛け人とも言われているリチャード・マイルズ。トビリシの大使館で彼はサーカシビリ陣営をコーチしていた。(Guardian, November 26, 2004) 2003年の選挙前、CIAの工作資金を扱っているUSAIDは選挙の信頼度を上げるためだとして投票のコンピュータ化を求め、150万ドルを提供。コンピュータ化によって投票数の操作が容易になることはいうまでもない。コンピュータ化を求めたのはアメリカが不正選挙を目論んでいたからだと推測する人もいる。 サーカシビリは1992年に国立キエフ大学を卒業しているが、そこでペトロ・ポロシェンコなる人物と親しくなっている。2014年2月にウクライナではアメリカ主導のクーデターがあったが、その後にポロシェンコはウクライナ大統領に就任した。 サーカシビリは1994年にアメリカのコロンビア・ロー・スクール(法科大学院)で学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通っている。その後、彼はニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたという。 ジョージアが南オセチアを奇襲攻撃する約8時間前、サーカシビリ大統領はロシアとの関係強化を求める南オセチアの分離独立派に対話を訴え、油断させていた。奇襲攻撃の開始は23時35分だ。(The Times, August 8, 2008) その当時、南オセチアに駐留していた平和維持部隊は軍事的な能力は低く、アメリカやイスラエルの軍事訓練を受けているジョージア軍の前になす術がなかった。そこでロシア軍は戦闘車両150両を送り込むなど即座に反撃、ジョージア軍に対する空爆も開始。ロシア軍はイスラエル軍に貸されていたふたつの基地も攻撃、航空機を着陸させてジョージア軍を攻撃したと言われている。イスラエル軍を含めてロシア軍は粉砕してしまった。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Progressive Press, 2019) この奇襲攻撃の背後にアメリカ政府がいたことをうかがわせる出来事もある。攻撃の約1カ月前の7月10日にアメリカの国務長官を務めていたコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問していた。奇襲攻撃の直後、8月15日にもライスはジョージアを訪問、サーカシビリと会談している。 また、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズは元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣、「アフガニスタンに派遣される部隊」を訓練しているが、それ以上に重要な役割を演じたのはイスラエルだ。 イスラエル軍のガル・ヒルシュ予備役准将が経営する「防衛の盾」は2001年から予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士を教官としてジョージアへ送り込み、ロシアとの戦争に備えて武器を提供、それと同時に軍事訓練を行った。軍事訓練の責任者はヒルシュのほか、イスラエル軍の退役将軍イースラエル・ジブ。イスラエルは「イラクでNATO軍を助けるため」に訓練していることになっていたのだが、実際はオセチアやアブハアーズへ派遣される兵士だった。(Ynet, August 16, 2008) アメリカのタイム誌によると、訓練だけでなくイスラエルから無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどの提供を受けている。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) 当時、ジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたり含まれていた。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣で元イスラエル人のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりはテムル・ヤコバシビリだ。 米英の対ロシア戦争にはイスラエルが深く関与している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.22

アメリカ軍はイランを壊滅させることができず、イラン国内を反アメリカで団結させた。その一方でイラン軍はイスラエルやペルシャ湾岸周辺のアメリカ軍基地を破壊している。アメリカ/イスラエル軍が保有するミサイルは枯渇し、イランには余裕があり、時間はイランの味方だ。イランのカゼム・ガリブアバディ外務次官はアメリカが単に覚書に違反しただけではなく海上封鎖を宣言したことをもって覚書は完全に破棄されたと宣言している。 イスラム革命防衛隊(IRGC)が7月13日に発表した声明によると、2隻の超大型タンカーが航法システムを停止させた上、ホルムズ海峡安全管理センターから発せられた度重なる警告を無視して航行、そこで攻撃して航行不能にしたという。IRGCは7月12日、海峡を「追って通知があるまで」封鎖すると宣言、いかなる船舶の通過も許可しないと警告していた。 その後、IRGCはバーレーン、クウェート、ヨルダンにあるアメリカ軍の標的に対する攻撃を継続、バーレーン、ヨルダン、カタールの被害状況を示す高解像度衛星画像を公開、アメリカ側の公式発表とは違い、大きなダメージを受けている。 バーレーンにあるアメリカ海軍の第5艦隊司令部ではパトリオット・ミサイル用レーダー、艦隊の航空管制レーダー、C-RAM用早期警戒レーダー、衛星通信センターや兵器支援倉庫、そしてAI搭載型指揮統制センターが破壊されたようだ。 ヨルダンのムワファク・サルティ空軍基地の画像には損傷または破壊された航空機格納庫と複数のアメリカ製ブラックホークヘリコプターが駐機していた区域が写っている。アメリカ中央軍(CENTCOM)はヨルダンでの攻撃でアメリカ兵2人が死亡、数人が負傷、1人が行方不明になっていることを確認した。IRGCの地上部隊による攻撃を受けたとも言われている。 クウェートにあるアメリカ軍の主要な支援拠点である「クウェート・アンド・ガルフ・リンク・ホールディング・カンパニー(KGL)」の倉庫が破壊された。 そのほか、カタールのアル・ウデイド空軍基地にあるCENTCOMの中央兵站拠点を攻撃したともイラン側は主張している。 パトリオット防空システムのミサイルが枯渇、イランの攻撃を防げないとされているが、パトリオットの迎撃確率はせいぜい数%にすぎず、ミサイルがあっても意味はない。 イラン軍のミサイルがアメリカ軍やイスラエル軍の防空システムを簡単に突破できている理由のひとつは、衛星測位システムをGPSから中国の北斗(BDS)へ切り替え、ジャミング(妨害電波)やスプーフィング(なりすまし信号による欺瞞)の妨害を受けなくなったからだという。 戦争の継続が自分たち立場を悪くすることが明白であるにもかかわらず、アメリカ政府は戦争を継続させようとしている。これは対ロシアでも対イランでも同じだ。ビル・クリントンであろうと、ジョージ・W・ブッシュであろうと、バラク・オバマであろうと、ジョー・バイデンであろうと、そしてドナルド・トランプであろうと、政権を動かしている勢力はロシア、中国、イランを屈服させ、ユーラシア大陸を征服するつもりだった。この計画は簡単に実現すると考えていたようだ。そこでルビコンを渡ったのだが、彼らの思惑通りにはならなかった。賭けに負けたのだが、それでも一発逆転のギャンブルを仕掛けようとしている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.21
ウクライナで国防大臣を今年1月から務めていたミハイロ・フェドロフが先日、解任された。この人物は「改革派」とされ、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官をはじめとする軍幹部と対立していたとも言われている。街頭でフェドロフ支持のデモが行われているのはそのためだ。 しかし、フェドロフが清廉潔白というわけではない。どの国であろうと、そうした類の人間が組織の幹部になることは至難の業だ。フェドロフの場合、アメリカのハイテク企業が背後にいる。 ウクライナ政府はマイクロソフト、グーグル、アマゾンと関係しているが、特に深く結びついているのはパランティア・テクノロジーズ。同社のアレックス・カープCEOが目をつけたと言われている。カープは2022年にキエフを訪れ、「防衛およびAI分野での協力」を確立しようとしていた。 フェドロフは国防大臣に就任して早々、パランティアが同国の国防省などと共同で、ドローンにAI機能を搭載するための「データルーム」を構築する支援をしていると語っていた。ウクライナで実際の戦闘を通じてデータを集積、AIに分析させて今後の戦争に役立てようということでもある。 ウクライナ/NATO軍がロシア軍と直接戦っている戦場ではロシア軍が圧倒しているが、それに対してウクライナ/NATO軍はロシア領内にあるエネルギー関連の民間施設を激しく攻撃するようになったのもAIの命令なのだろう。軍事関連の施設は防御が固く、破壊することが困難なのだが、民間施設はそれほどでない。 ウクライナ/NATOの軍や情報機関は攻撃の「映え」を意識、ドローンに燃焼物を詰み、派手な炎を演出。最近、ウクライナの情報機関はロシアでガソリンスタンドなどへのテロ活動を実行するため、「匿名・流動型犯罪」方式で若者を使おうとしている。 地上の石油関連施設や倉庫だけでなく、ここにきて石油タンカーや穀物輸送船に対する攻撃も激化、グローバル・サウスと呼ばれる国々への影響が大きくなっている。 国連のアントニオ・グテーレス事務総長とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の仲介でロシアとウクライナが2022年7月に調印した「黒海穀物イニシアティブ(BSGI)」、そしてロシアと締結された覚書(MoU)が締結された。この件について、元CIA分析官のラリー・ジョンソンが説明している。 これらの合意によって黒海を経由したウクライナからの穀物輸出が再開され、ロシア産食料品や肥料の世界市場への輸出を円滑化するよう支援することが約束されたのだが、このMoUを国連は守らず、ロシア政府から抗議。ロシアは2023年7月にBSGIから離脱、黒海における安全保証の無効を宣言した。 それでもロシアはオデッサを全面封鎖せず、港に出入りする穀物輸送船を日常的に攻撃することもなかったのだが、ここにきてウクライナ/NATO軍によるロシアの石油タンカーや穀物輸送船に対する攻撃が激化したことからロシア側の態度は一変する。「特別軍事作戦」から戦争へステージが進んだと考えられている。 7月18日から19日にかけてロシア軍はキエフやオデッサなどに対し、ミサイルやドローンで大規模な攻撃を実施した。ミサイルの中には40発以上の弾道ミサイルが含まれていると言われている。その弾道ミサイルとして核弾頭を搭載することが可能なイスカンデルMや極超音速巡航ミサイルのジルコンも使われた可能性がある。 すでに欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はロシアを攻撃するための戦闘用ドローンの生産を統合する「歴史的な協定」をウクライナと締結、ロシアとの戦争に向かって驀進中だ。ロシアによる報復攻撃の脅威にさらされない「安全な」場所で、ヨーロッパ諸国がウクライナ向けの軍需品を生産するというのだが、すでにロシアは次の段階へ進んでいる。ヨーロッパ諸国は安全でない。 日本も対ロシア戦争におけるドローン戦略に巻き込まれている。その中核をなすとされているのは「日本ウクライナドローンクラスター」。これは日本の企業とウクライナの軍事会社による連携で、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加するという。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表されている。またアメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。台湾もウクライナにおけるドローンの生産に協力している。 ウクライナが始めた民間の施設や船舶に対する攻撃によってロシアは攻撃のレベルを「特別軍事作戦」から戦争へアップさせ、NATO諸国領内への攻撃も視野に入ってきた。中国やロシアは西アジアでアメリカやイスラエルに対する攻撃に加わるとも言われている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.20
ウクライナ/NATO軍はロシア領内への攻撃を激化させ、しかも非戦闘員を意図的に攻撃するようになった。地上の石油関連施設や倉庫、海上では石油タンカーだけでなく穀物を輸送する貨物船に対する攻撃も激化、グローバル・サウスと呼ばれる国々への影響が大きくなっている。 グローバル・サウスは欧米諸国の植民地だった国々で、今でもそうした国々に収奪されている。ウクライナ/NATO軍はエネルギー資源だけでなく食糧の流通システムも破壊しようとしているわけだ。 NATO諸国は2014年2月から22年2月にかけてキエフ体制軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施す一方、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を中心とする要塞線を築き、ドンバス(ドネツクとルガンスク)に対する軍事攻勢の準備をしていた。ドンバスへロシア軍を誘い込み、足止めさせている間に別動隊でクリミアを制圧する計画だったと見られている。 要塞線はウクライナ/NATO軍の作戦にとって重要な意味を持っていたのだが、2022年にマリウポリとソレダルが、また23年にはマリーインカとアブディフカがそれぞれ陥落し、ここに来て残された要塞線の要であり、戦略的に重要なコスティアンティニフカも制圧され、掃討が完了した。戦場ではロシア軍がウクライナ/NATO軍を圧倒している。 そこで彼らはロシア領内の民間施設に対する攻撃に力を入れるようになり、石油タンカーや穀物輸送船を攻撃するようになった。軍事施設より防空能力が劣るということもあるだろうが、それでも大半は撃墜されている。これは攻撃されたとされる場所にいた人の証言でもある。そこでウクライナ/NATO軍は「映え」を意識、ドローンに燃焼物を詰み、派手な炎を演出しているようだ。 しかし、それでも都市部における燃料供給システムがダメージを受けていることは事実のようで、イランの国営通信社であるIRNAはロシアに対し、ミサイルやドローンによる攻撃の対象をウクライナ領内に限るべきではないと主張している。もしロシア政府がアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ルーマニア、ポーランドの領土にある産業施設や軍事施設への攻撃をはじめなければ、ロシアに対するドローン攻撃やミサイル攻撃の数は増える一方だというわけだ。 そうした意見はロシア軍を含め、ロシア全体で高まっている。核戦争へエスカレートすることを避けようとしているのか、ウラジミル・プーチン露大統領はこれまでNATO諸国に対する攻撃を極力避けてきた。 ウクライナ/NATO軍はロシア政府に自分たちと直接戦う度胸はないと高を括り、押し切れるのではないかと考えているのかもしれないが、ここにきてロシア軍の攻撃が激しくなり、FAB-3000に続いてFAB-9000が投下されたようだ。 先日、リンゼー・グラハム米上院議員は急死する直前にウクライナのドローン製造工場を訪問していたが、ロシア軍の激しい攻撃でそうした軍事施設は破壊されている。グラハムが訪問していた工場も破壊された可能性がある。 兵士の数だけでなく兵器の製造能力でもロシアがウクライナ/NATOを圧倒しているのだが、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ロシアを攻撃するための戦闘用ドローンの生産を統合する「歴史的な協定」をウクライナと締結した。この協定には弾道ミサイルの共同生産も盛り込まれているという。 フォン・デア・ライエンの構想とは、ロシアに攻撃さらされない「安全な」場所で、ヨーロッパ諸国がウクライナ向けの軍需品を生産するというもの。ウクライナ国内はロシア軍の攻撃で破壊され、ドローンやミサイルを製造することができなくなっていることを彼女は告白しているわけだ。ヨーロッパ諸国はロシアとの戦争に参加しているが、ロシアはヨーロッパ諸国を攻撃できないという前提での構想。ヨーロッパ諸国で製造したドローンでロシア国内の石油関連施設などを攻撃し、ロシアを疲弊させるというのだ。 こうした狂気の構想を打ち出したフォン・デア・ライエンの一族は貴族の家系で、ヒトラーの第三帝国との緊密な協力関係から工業的富の多くを獲得したと言われている。 彼女の父エルンスト・アルブレヒトは1930年生まれで、78年から90年までドイツのニーダーザクセン州で首相を務めていた。その際、ナチズムの信奉者を政権に迎え入れ、左翼赤軍派の信用を失墜させることを目的とした黒旗テロ作戦を実行しる。 エルンストは選挙戦略のため、ネオ・ナチのDRP(ドイツ帝国党)をCDU(キリスト教民主同盟)に取り込み、ハンス・プフォーゲルを法務大臣に据えるのだが、この人物は1934年にナチ党の突撃隊に入隊していた。 フォン・デア・ライエンの一族はナチだけでなく奴隷売買でも富を築いたが、こうした富や人脈が彼女の出世を支えている。アンゲラ・メルケル首相は2005年に教育家族高齢者女性青少年大臣に、また09年には労働社会大臣に据えた。そして2013年には国防大臣となり、好戦的な政策を推し進める。欧州委員会の委員長に就任したのは2019年のことだ。 対ロシア戦争で使われるドローンの製造には日本も参加しようとしている。日本とウクライナは「日本ウクライナドローンクラスター」を中心にしてドローン戦略を展開しようとしている。この戦略では日本の企業とウクライナの軍事会社が連携、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加する。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表されている。 またアメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。開発能力や生産能力が衰えてきた欧米が日本に目をつけるのは必然だろう。 高市早苗政権は4月21日に「防衛装備移転三原則」と「運用指針」を改訂、全ての防衛装備品の移転を可能にした。武器輸出の制限を緩和している。 1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンに従い、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、ロシアや中国との戦争へ乗り出した。日本は戦時体制にある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.19

ドナルド・トランプ米大統領が7月16日、自身が敗北した2020年のアメリカ大統領選挙へ干渉した疑惑があるとして中国を非難した。2016年の選挙で敗北したヒラリー・クリントンが所属する民主党がCIAやFBIと手を組んで展開した「ロシアゲート」キャンペーンと似たような話だが、いずれも戯言だ。 アメリカを含む西側諸国では政府が変わっても政策、特に軍事や外交の分野は基本的に変化しない。実際に政策を決めている勢力は背後にいて表には出てこないからだ。つまり選挙は民主主義を装うための茶番劇にすぎず、そのようなものに中国やロシアが介入してくるとは考えられない。 米英の支配システムを知るには、19世紀のイギリスがどのようになっていたかを調べる必要がある。 1868年2月から同年12月、74年2月から80年4月まで2度にわたってイギリスの首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは小説家としても知られ、1844年に発表した『コニングスビー』では、「(ジョン・)ハムデン(=オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(=名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネツィア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」と書いている。 実際、イギリスは名誉革命以降、寡占体制になり、それは西ヨーロッパ全域に広がった。1855年2月から58年2月、59年6月から65年10月、2度首相を務めた反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)は実際に権力を握っていた人物で、ビクトリア女王に対してアヘン戦争を指示したのもこの人物。パーマスト卿が外務大臣を務めていた1840年にアヘン戦争は勃発、第2次アヘン戦争は首相時代の1856年に始まっている。現在、ウクライナで戦われている対ロシア戦争や日本が準備を進めている対中国戦争はパーマスト卿の戦略だとも言える。 アヘン戦争に投入されたイギリス軍は5000人にすぎず、7000人のインド人兵士が参加。第2次アヘン戦争でイギリス軍は兵士の数を増やしたものの、それでも1万3127人。フランスから7000人ほどが参加している。圧倒的に不足している戦力を補うため、イギリスが目をつけたのが日本にほかならない。 その後、日清戦争で投入された日本軍は24万人。盧溝橋事件があり、日中の全面戦争が始まった1937年には中国の国民党軍が170万人、共産党軍が64万人、それに対して日本軍は60万人で、日本は侵略戦争を始められる状態ではなかった。1945年の段階では国民党軍570万人、共産党軍120万人、対する日本軍は112万人強と傀儡政権軍が約100万人。侵略軍の戦力は相手の数倍は必要だと言われているが、日本軍は圧倒的に足りない。それでも戦争へ突き進めたのは、大本営の侵略反対派を黙らせることのできる存在が侵略推進派にいたからだろう。 パーマストン子爵の後、イギリスの政策を決めたのは1891年2月にセシル・ローズの発案で創設された「選民秘密協会」だと言われている。そのグループにはローズのほか、ナサニエル・ド・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)、サリスバリー卿(ロバート・ガスコン-セシル)、ローズベリー卿(アーチボルド・プリムローズ)たちが含まれていた。そのうちローズ、ロスチャイルド、ブレット、ステッドの4人が協会の指導者になったとされている。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、『信仰告白』を書いているのだが、その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張、そのアングロ・サクソンが「住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」としている。 また、「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土はアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」としている。 現在、アメリカやイギリスをはじめとする西側諸国はロシアと中国のほか、西アジアでも侵略戦争を進めている。そのキーワードはシオニズムだ。 「シオニズム」という用語を1893年に初めて使用したのはウィーン生まれのナータン・ビルンバウムであり、「近代シオニズム」の創設者とされている人物は1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツル。1838年にイギリス政府はエルサレムに領事館を建設、イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは75年にスエズ運河運河を買収。その買収資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだった。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめる。 イギリスはオスマン帝国の解体を目指し、第1次世界大戦の最中にフランスと「サイクス・ピコ協定」を締結。この秘密協定はロシアの十月革命で成立したボルシェビキ政権によって明るみに出された。 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署にはトーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」も所属していた。その当時、イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。これがいわゆる「バルフォア宣言」だ。 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起。アラブ大反乱だ。 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。 委任政府は外出禁止令を出し、文書を検閲、建物を占拠、弁護人を受ける権利を停止する一方、裁判なしで個人を逮捕、投獄、国外追放している。この政策はイスラエル政府の政策につながる。 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃、1948年当時、イスラエルの「建国」を宣言したシオニストの武装組織に対して無防備な状態となっていた。 歴史とは因果の連鎖であり、連続した流れとして理解しなければならない。現在、世界を揺るがしている戦争へ続く流れの中心にはイギリスとその後継国であるアメリカが存在している。その中にはユダヤ教徒も含まれているが、その集団自体を「ユダヤ」で括るべきではない。 19世紀にイギリスは帝国主義国として侵略を始めたが、そうした状況を生み出したのは海賊で富を築いていたエリザベス1世の時代。その時代はオカルトが盛んでもあった。 16世紀のイギリスでは自分たちを古代イスラエルの「失われた十支族」の後継者だと信じる人が現れた。そのひとりがスチュワート朝のジェームズ6世で、自分はイスラエルの王だと信じていたという。そのジェームズ6世の息子、チャールズ1世は「ピューリタン革命(17世紀半ば)」で処刑されたが、その「革命」で重要な役割を果たした人物がオリヴァー・クロムウェル。その私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考えていた。クロムウェルはキリストの再臨を信じ、「道徳的純粋さ」を達成しようと考え、ユダヤ人は離散した後にパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建すると考えていたという。この信仰は今でも生きている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.18
ウクライナ政府は7月14日、アゾフ海でロシアの船舶11隻をドローンで攻撃、過去9日間では116隻の船舶に打撃を与えたと発表した。海賊行為からテロへとステージが進んだと言える。ロシア側は当面の間、アゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航も停止。この海峡はアゾフ海から黒海、さらにその先へ船舶が出ていくためのルートであるため、アゾフ海沿岸にある大規模な穀物輸出港からの出荷も滞ることになる。NATO諸国は石油だけでなく穀物の供給も止めようとしている。 ロシアは世界最大の小麦輸出国で、世界全体の25%を占める。ロシアの小麦輸出量のうち約30%から40%はアゾフ海から黒海に至る航路が使われ、ここでの輸送が停止するということは、世界の小麦輸出全体の約10%が止まることを意味する。 こうしたウクライナの攻撃に対し、ロシアはオデッサ周辺にある貨物船が攻撃された。ユジュヌイ港、チョルノモルスク港、そしてオデッサ港が標的になったとされている。 ロシア産小麦の主な輸出先はアフリカ、アジア、中東の国々。アフリカを歴訪中のロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はチャド外相と会談した後、アゾフ海や黒海におけるウクライナの行動について「もはや海賊行為ですらなく、純粋なテロリズムに当たる」としたうえで、ロシアは「アフリカの友人たちに対する食料供給の義務を、商業契約に基づくものであれ人道支援の一環であれ、彼らの要望に従い、いかなる状況下でも引き続き履行していくつもりだ」と述べた。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランの主要都市を奇襲攻撃して同国の最高指導者を務めていたアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む要人を殺害した。この「斬首作戦」をドナルド・トランプ米大統領はイスラエルやシオニストから早く攻撃を開始するよう強い圧力を受け、実行したと言われている。イスラエル単独でイランを攻撃することはできない。 トランプはこの斬首攻撃でイランの体制を簡単に転覆させられると考えていたのかもしれないが、軍事に関する知識が多少でもあれば、この作戦が失敗し、イランから報復され、ホルムズ海峡が封鎖される可能性が高いことを見通していたはずで、世界の原油供給量が約20%減少、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少することも理解していたはず。その結果、世界経済が大混乱に陥り、恐慌へ突入する恐れがあることも予想できただろう。 タンカーを含む船舶は保険契約なしに航行することはないのだが、その保険は最終的にロンドンの保険市場、ロイズが引き受ける。原油の供給を金融が左右するとも言えるだろう。 西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯を狙っているが、2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。 カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。 イギリスの強大な私的権力はソ連消滅後、ロシアの石油利権も狙っていた。その中心にいたのはジェイコブ・ロスチャイルドだ。ボリス・エリツィン時代のロシアでオリガルヒとして同国の資産を略奪していたミハイル・ホドルコフスキーによると、彼が所有していたロシアの石油会社ユーコスの支配権はジェイコブ・ロスチャイルドに渡ったという。 ウクライナの場合、資金の動きをコントロールしているのは巨大金融機関のブラックロックやJPモルガン。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。 なお、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物だ。 アングロ・サクソン系の強大な私的権力は19世紀以来、世界制覇を目指す長期戦略に基づいてい動いてきたが、短期的にみると、ウクライナやイランでの戦争は穀物やエネルギー資源の略奪、あるいは制御された投機バブルの崩壊を目指しているようだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.17

ロシア軍のウクライナに対する攻撃が激しくなっている。これまでウラジミル・プーチン露大統領はドナルド・トランプ米大統領との話し合いで戦争を終結させることを諦めたようだ。 ここにきてロシア軍はキエフなどでUMPK(統合滑空補正モジュール)を装着したFAB-3000を使ったという。この爆弾には高性能炸薬が充填され、強固な陣地や地下壕の破壊、厳重に防衛された地域への攻撃などで使われる。ここにきてロシア軍はNATOの将兵がいる司令部なども攻撃するようになった。 ウクライナでロシア軍が戦っている相手はNATO軍にほかならないのだが、その始まりは1991年1月20日にクリミアでクリミア自治ソビエト社会主義共和国再建の是非を問う住民投票だと言えるだろう。その投票では94.3%が賛成、承認された。ところがそれを西側諸国は無視するのだが、その半年後にウクライナの最高会議で独立宣言法が採択されると承認したのだ。 ロシアに親戚がいるウクライナ国民は多く、独立に合理性はなかったのだが、欧米諸国はウクライナを欲しがった。西側の私的権力に操られていたボリス・エリツィン大統領は1991年12月8日、ゲンナジー・ブルブリス、ウクライナのウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ビトルド・フォキン首相、ベラルーシのソビエト最高会議で議長を務めていたスタニスラフ・シュシケビッチとバツァスラフ・ケビッチ首相をベロベーシの森に集めて秘密会議を開いた。そこで彼らは国民に諮ることなくソ連からの離脱を決め、ソ連は消滅する。ロシアとウクライナは行政区画の問題ではなく、国の問題になった。 独立してもウクライナの東部や南部に多いロシア系住民は西側への従属に反対、彼らに支持されたビクトル・ヤヌコビッチは2004年の大統領選挙で勝利、大統領に就任しそうになる。それを妨害するため、西側が仕掛けたのが「オレンジ革命」だ。その結果、新自由主義者 ネオコンはウクライナでビクトル・ヤヌコビッチが大統領に就任することを阻止するため、2004から05年にかけて「オレンジ革命」を仕掛け、金融界出身でIMFなどから支援されていたビクトル・ユシチェンコを大統領に据える。彼が推進した新自由主義的な政策は国民の大半を貧困化させ、人気は急速に低下した。 そのため、2010年の大統領選挙ではヤヌコビッチが勝利、その政権を倒すためにバラク・オバマ政権は2014年2月にキエフでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を暴力的に倒したのだが、ロシア文化圏である東部や南部の住民はクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まった。この時にプーチン政権が動かなかったことを批判する人が西側にもいる。 オバマ大統領はロシアとの関係を悪化させる政策を進め、2016年のアメリカ大統領選挙でヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに敗れると、外交官を含むロシア人35名を追放した。その一方で、民主党全国委員会(DNC)はCIAやFBIと共同でロシア政府がアメリカの大統領に介入したとするロシアゲート事件をでっち上げ、反トランプ宣伝を開始した。 その宣伝もあり、次の選挙でトランプはオバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデンに敗れるのだが、このバイデンは大統領に就任するとプーチン大統領を人殺し呼ばわりし、ロシアとの戦争へ向かう。そうした政策に少なからぬアメリカ国民が反発、次の選挙でトランプが勝利するのだが、第2期目のトランプはロシアとの戦争を継続、イスラエルの命令に従ってイランを攻撃している。 ソ連消滅後、西側を支配する私的権力は存在意義がなくなったずのNATOを東へ拡大させるが、これは本ブログで繰り返し書いてきたように新たなバルバロッサ作戦にほかならない。 ナチに支配されたドイツがバルバロッサ作戦を実行した頃にウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官を務めたヘイスティングス・イスメイ第2次世界大戦後、初代NATO事務総長に就任、NATO創設の目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。ソ連消滅後、NATOはイギリスで19世紀に作られた長期戦略に従い、ロシア征服を目指す。 西側を支配する私的権力の中心はシティとウォール街、つまり米英金融資本だが、その米英金融資本はナチのスポンサーだったことが明らかになっている。彼らは1932年のアメリカ大統領選挙でニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトが当選すると、ニューディール派を排除するためにクーデターを計画している。この計画の前に立ちはだかり、潰したのはスメドリー・バトラー退役海兵隊少将だ。この金融資本は明治維新以降、日本の政治経済にも大きな影響力を持っている。 バルバロッサ作戦でソ連へ攻め込んだドイツ軍は西側が手薄になっていたのだが、そこでドイツ軍と戦っていたのは事実上、レジスタンスだけ。後にフランス大統領になるシャルル・ド・ゴールはレジスタンスの一員だった。 アメリカの情報機関でCIAの前身であるOSSはイギリスのSOE(特殊作戦執行部)と共同で、レジスタンスを抑え込むためにゲリラ戦部隊のジェドバラを1944年に編成した。なお、SOEは第2次世界大戦後、対外情報機関MI6と一体化する。アメリカでは大戦後、そのメンバーが破壊工作組織OPC(のちにCIAの秘密工作部門)や軍の特殊部隊へ入った。 また、NATO内部に組織された破壊工作部隊ネットワークにもジェドバラ人脈が入っている。そのネットワークの中で最も活発に活動したグラディオはイタリアの組織。NATOが誕生するとネットワークはその中へ入り込み、1951年からCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになる。1957年にはCPCの下部組織としてACC(連合軍秘密委員会)が創設された。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) 1961年に反ド・ゴール派で組織されたフランスのOAS(秘密軍事機構)もジェドバラ人脈と関係していた。この軍事機構はアルジェリアの独立に反対、フランスの情報機関SDECEや第11ショック・パラシュート大隊と結びついていた。 OASは1961年4月12日にスペインのマドリッドで秘密会議を開き、アルジェリアでのクーデター計画について討議。会議にはCIAの人間も参加していた。その計画とは、アルジェリアの主要都市、アルジェ、オラン、そしてコンスタンチンの支配を宣言した後でパリを制圧するというもの。計画の中心には1960年6月から61年2月まで中央欧州連合軍司令官(CINCENT)を務めていたモーリス・シャレをはじめとする4名の将軍がいた。 1961年4月22日にクーデターは実行に移されるのだが、その直前、アメリカではCIAと軍の好戦派が主導してキューバ侵攻作戦を実行していた。そうした中、ジョン・F・ケネディ大統領はジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じている。アルジェリアにいるクーデター軍がパリへ侵攻してきたならアメリカ軍を投入するということを意味していると理解された。アメリカの好戦派はケネディ大統領をコントロールできず、クーデターは4日間で崩壊した。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) フランスの治安機関は1961年から犯罪組織のメンバーをスパイとしてOASへ潜入させ、62年1月にはこの機構の幹部が逮捕され、その5カ月後にOASは休戦を宣言する。(Henrik Kruger, “The Great Heroin Coup (2nd),” Trine Day, 2015) しかし、この決定に従わないグループも存在した。ジャン-マリー・バスチャン-チリー大佐に率いられた一派で、1962年8月22日にパリでド・ゴール大統領の暗殺を試み、失敗。暗殺計画に加わった人間は9月にパリで逮捕され、全員に死刑判決が言い渡されたが、実際に処刑されたのはバスチャン-チリー大佐だけだった。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) ド・ゴール大統領はポール・グロッシンSDECE長官を解任、第11ショック・パラシュート大隊を解散させたが、グロッシンはOPCの初代局長でアレン・ダレスの側近、つまり破壊工作人脈の中心的な存在だったフランク・ウィズナーと親しい。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) アレン・ダレスCIA長官を解任したケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。ド・ゴール大統領暗殺未遂とケネディ暗殺の背後にはパーミンデックスなる会社が存在、ケネディ大統領暗殺を捜査していたニューオリンズのジム・ギャリソンは、同社の理事を務めていたクレイ・ショーを逮捕している。その逮捕に対する反発は凄まじかった。 ド・ゴール大統領は1966年にフランス軍をNATOの軍事機構から離脱させ、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出す。SHAPEはベルギーのモンス近郊へ移動した。ド・ゴールはNATOの危険性を認識していた。フランスがNATOへ復帰するのはニコラ・サルコジの時代になってからだ。そのNATOは現在、ロシアと戦争状態にある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.16
ドナルド・トランプ米大統領は石油供給量の減少をSPR(戦略石油備蓄)の放出でカバーしてきたが、その備蓄原油は7月、遅くとも8月には枯渇する。しかもトマホーク巡航ミサイルやJASSM(統合空対地スタンドオフ・ミサイル)、あるいはHIMARS(高機動ロケット砲システム)用ミサイル(ATACMSかPrSMとみられている)は補充ができていないため、1カ月は持たないとみられている。イラン軍の攻撃能力を低下させるために必要な兵器をアメリカ軍は保有していないということである。そうした状況の中、同大統領はイランに対する攻撃を再開した。トランプ大統領がそうした無謀なことをするほど衝撃的な出来事があったのかもしれない。アメリカ軍は部隊の配備も混乱しているようだ。 ペルシャ湾海峡局(PGSA)は7月12日、ホルムズ海峡は閉鎖されたと宣言、イスラム革命防衛隊(IRGC)が7月13日に発表した声明によると、2隻の超大型タンカーが航法システムを停止させた上、ホルムズ海峡安全管理センターから発せられた度重なる警告を無視して航行、そこで攻撃して航行不能にしたという。アメリカの駆逐艦がタンカーの護衛を試みたようだが、阻止できなかった。 IRGCはアメリカ軍が拠点をにしているヨルダンのプリンス・ハッサン空軍基地、カタールのアル・ウデイド空軍基地、オマーンのドゥクム港にある海軍艦艇の兵站支援センターおよびアメリカ空母の給油プラットフォームのほか、クウェートやバーレーンも攻撃された。またホルムズ海峡を通らないルートとしてUAE(アラブ首長国連邦)のフジャイラ港を利用する動きもあるが、イランは同港の機能を停止するとも示唆している。トランプ政権は攻撃でイラン政府が屈服するとでも思ったのかもしれないが、反撃されて窮地に陥りつつある。 今回の交戦ではアデン湾から紅海への通り道であるバブ・エル・マンデブ海峡の閉鎖も懸念されている。イエメンの空港へイランの旅客機が着陸した際、サウジアラビアが滑走路を爆撃しようと試みたのだ。イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はサウジアラビアに対して報復すると発表した。サウジアラビアは自らを苦しい状況に追い込んだ。 サウジアラビアの行動はアメリカから事前に承認されていたと思われるが、アンサール・アッラー側は、もしアメリカがイエメンに対するサウジアラビアの措置を支援し続ければ、危機はバブ・エル・マンデブ海峡に及ぶとしているが、サウジアラビアの石油積出港である紅海に面したヤンブー港も攻撃される可能性があり、そうなった場合、スエズ運河を利用することが困難になる。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.15

リンゼー・グラハム米上院議員が7月11日夜、「短期間の急な病気」によって死亡したという。同議員は10日にキエフでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーと会談、帰国したとされているのだが、元CIA分析官のラリー・ジョンソンは公式発表には矛盾があるとしている。 公式発表によると、議会議事堂の近くにあるグラハムの自宅から午後8時30分(東部時間)に心停止の疑いがあるとの通報があり、救急隊が駆けつけたのだが、彼は「自宅で死亡した」とされている。そこに至るまで彼がどのように動いたかをジョンソンは分析、矛盾があるとしているのだ。 グラハムは7月9日にダレス国際空港からポーランドのワルシャワへ向かい、同日18時15分(現地時間)に列車でワルシャワを出発、7月10日の9時45分から10時45分の間にキエフに到着。18時15分の列車に間に合わせるためには、ダラス空港を7時頃には出発する必要がある。ダレスからワルシャワまでの飛行時間は9時間だからだ。キエフでグラハムはゼレンスキーと会談、スカイフォール社のドローン工場を視察した。 キエフからワルシャワへ戻る最も早い列車は11日の午前7時40分から8時頃にキエフ・パサジルスキー駅を出発し、17時から18時頃にプシェムィシル・グウォブヌィ駅に到着する。所要時間は少なくとも9時間。その時点でワシントンD.C.は午前11時頃だ。 そこから空港への移動に1時間かかり、ポーランドを19時に離陸すると仮定すると、西へ向かうフライトには10時間必要なので、飛行機がダレスに到着し得るのは最も早くて11日の深夜ということになる。グラハムが自宅で死亡したとされる時刻には間に合わない。そこで暗殺説や爆死説が出てくるわけだ。 ポーランドで生まれたマルクス主義の理論家で活動家でもあったローザ・ルクセンブルクはドイツ共産党を創設したが、1919年1月に逮捕され、虐殺された。彼女は生前、反対者を「シャボス・ゴイ(安息日の非ユダヤ教徒」と呼んでいたという。シャボス・ゴイとはユダヤ教徒の僕を意味する。安息日に労働が禁じられているユダヤ教徒を助ける非ユダヤ教徒が必要で、その非ユダヤ教徒を指している。ルクセンブルクの発言には、主人の代わりに国を統治するという意味が含まれているのだろう。 イスラエルの通信社JTAによると、エルビス・プレスリー、バラク・オバマ、アル・ゴア、ハリー・トルーマン、マリオ・クオモ、コリン・パウエル、サーグッド・マーシャルが含まれているのだが、リンゼー・グラハムもそうだという話がある。 グラハムはロシアや西アジアだけでなく、あらゆる戦争を扇動していた。勿論、自分は戦地に赴かなかったが、今回、キエフにあるドローンの製造工場を訪れた直後に急死してしまった。死亡したのは工場を訪問した数時間後だとも伝えられている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.14

キプロス船籍のコンテナ船「GFSギャラクシー号」が7月11日にイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)からの攻撃を受け、船内で火災が発生し、乗組員1名が行方不明になった。同船はアメリカ軍が管理しているオマーン寄りのコースを航行していたとされている。IRGCの発表によると、トランスポンダー(船舶自動識別装置)の電源を切り、警告を無視していたようだ。 ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領が6月17日に署名した合意文書(MoU)の第5項によると、「イラン・イスラム共和国は、商船がペルシャ湾からオマーン海へ(およびその逆方向へ)安全に通過できるよう、最善の努力を払って手配を行うものとする。なお、通過料は最初の60日間に限り無料とする。」つまり、アメリカやオマーンではなくイランがホルムズ海峡の航行を管理するというわけだ。 IRGCは全ての船舶がホルムズ海峡を航行することを許可しないと表明、その直後にアメリカ中央軍(CENTCOM)はペルシャ湾に面したイランの沿岸地域を攻撃した。ミサイルやドローンの発射拠点、弾薬庫、レーダー施設など約140カ所が標的になったという。アメリカ軍は高機動ロケット砲システム(HIMARS)でバーレーンとクウェートからイランを攻撃したとも伝えられている。 それに対し、IRGCはアメリカ軍の拠点を報復攻撃した。その中にはヨルダンのプリンス・ハッサン空軍基地にある弾道ミサイルによって指揮統制センター、MQ-9ドローンの格納庫、カタールのアル・ウデイド空軍基地の戦闘機整備センターや指揮統制センター、「オマーンのドゥクム港にある海軍艦艇の兵站支援センターおよびアメリカ空母の給油プラットフォーム」も含まれている。さらにクウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)も攻撃されたという。イランは数週間前、カタールやアラブ首長国連邦のアブダビと凍結されたイランの資金を返還するという条件で両国を攻撃しないと保証していたようだが、この合意は崩れたようだ。 アメリカ/イスラエルのイランに対する攻撃にはレバノンやパレスチナでイスラエル軍が実行している大量虐殺の問題も関係している。MoUの中でもその点は指摘されているのだが、イスラエルは虐殺と破壊を続けているのだが、イスラエルはイランからの攻撃で疲弊している。 そこで登場してきたのがシリアを支配しているアーメド・フセイン・アル-シャラー(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)。この人物はダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国などとも表記)を創設したアブ・バクル・アル-バグダディの副官を務めていた人物で、アル-バグダディの命令でシリアへ入り、アル-ヌスラ戦線を結成している。アル-ヌスラはAQI(イラクのアル・カイダ)の後進で、後にHTS(ハヤト・タハリール・アル・シャム)へ改名した。 イギリスの外相を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックが05年7月に指摘した通り、「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リスト。プロジェクトが決まると、そのリストから戦闘員を選ぶ。これはCIAが作った仕組みだが、HTSを雇っていたのはトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアンだった。 バシャール・アル・アサド時代のシリアではウクライナ軍の特殊部隊員がドローンの操作法などをアル・カイダ系武装集団に教えていた。ジハード傭兵は顔を布で隠しているため、ウクライナの特殊部隊員が戦闘に参加してもわからない。アル-シャラー配下の戦闘員も非シリア人が多く、シリア人は弾圧されている。 現在、そのアル-シャラー配下の戦闘員をレバノンで戦っているヒズボラとの戦闘に投入しようという動きがある。イスラエル軍が疲弊しているためだろう。そこでトランプ政権はトルコのエルドアン大統領に話をつける必要が生じ、F-35の売却という話た出てきたと推測する人もいる。もしアル-シャラー配下の戦闘員がヒズボラと戦うということになると、エルドアンはパレスチナやレバノンでイスラエルが続けてきた民族浄化の片棒を担ぐことになり、イスラムの裏切り者と言われる可能性がある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.13

ウクライナ西部のリビウでは7月8日、強制徴兵担当者の自動車が市民に襲われ、破壊された。ウクライナの街頭では男性が拉致され、最近ではその家族や通行人と担当者が乱闘になる様子を撮影した映像が発信されてきた。 拉致された人びとは十分に軍事訓練しないまま最前線へ送られ、数週間で戦死すると言われている。NATOはウクライナ人を対ロシア戦争における「バンザイ突撃」に利用している。反ロシア感情の強いリビウで徴兵担当者が襲われたと言うことは、そうした怒りの感情がウクライナ全域に広がっていると考えて良いだろう。 ウクライナではロシアとの戦争が繰り広げられているが、ウクライナ人の多数はロシアとの戦争をやめるように願っている。2019年の大統領選挙で勝利したウォロディミル・ゼレンスキーはロシアとの関係修復を訴え、支持されたのだが、今ではロシアとの戦争を継続させようと必死だ。 ウクライナの背後にはNATOが存在しているが、ゼレンスキーにはイギリスの対外情報機関MI6がついている。彼は2020年10月にイギリスを公式訪問したが、その際、MI6の長官だったリチャード・ムーアを非公式に訪問している。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はムーアMI6長官だと推測されている。ゼレンスキーの周囲で警護している要員はイギリス人だとも言われている。 ウクライナでの戦争は2013年11月から14年2月にかけてのバラク・オバマ政権が仕掛けたクーデターで始まった。2014年2月に大統領の座から引き摺り下ろされたビクトル・ヤヌコビッチは東部や南部が地盤。そうした地域の住民はクーデターを拒否、南部のクリミアはロシアと一体化し、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では武装抵抗が始まる。ウクライナの軍や治安機関ではメンバーの約7割がネオ・ナチ政権を拒否して離脱、一部はドンバスの反クーデター軍に合流したいう。そこでNATOはクーデター政権の戦力を増強するため、時間を稼ぐ必要があった。そのためにロシアを停戦合意へ導いた。2014年のミンスク1と15年のミンスク2だ。 そして2022年2月24日、ロシア軍はドンバス周辺に終結していたウクライナ軍や軍事基地、あるいは生物兵器の研究開発施設をミサイルなどで攻撃した。ロシア外務省によると、その時にロシア軍が回収したウクライナ側の機密文書には、ウクライナ国家親衛隊のニコライ・バラン司令官が署名した2022年1月22日付秘密命令が含まれていた。 ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将によると、「この文書は、国家親衛隊第4作戦旅団大隊戦術集団の組織と人員構成、包括的支援の組織、そしてウクライナ第80独立空挺旅団への再配置を承認するもの」で、この部隊は2016年からアメリカとイギリスの教官によって訓練を受けていたという。 NATO側は8年かけ、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いていた。ウクライナの軍や親衛隊はドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を誘い出して要塞線の内側に封じ込め、その間に別働隊でクリミアを攻撃するという計画だったのではないかと推測されている。 マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍は制圧、最近、残された要塞線の要であり、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカを制圧、掃討を完了した。 戦場ではドローンが飛び交っているが、ロシア軍は新型の対ドローンシステム「Redut-UR」を配備、スターリンク衛星を妨害するために電子戦システム「ボルナ・クポル・ガラント」も使っている。 ドナルド・トランプ政権はイランを奇襲攻撃する前、昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを演出した。そのデモをコントロールするため、アメリカは約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。 スターリンクのシステムを使い、アメリカやイスラエルの情報機関は反政府デモの指導者たちに対し、イランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、どのように動くべきかを指示していた。そのスターリンクをイラン政府は遮断することに成功したと言われている。スターリンクが遮断されたことでデモは沈静化した。この時、ボルナ・クポル・ガラントが使われた可能性もある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.12

アメリカ空軍は7月9日、イラン北部のゴレスタン州にあるアク・テケ・ハーン鉄橋を爆撃した。イランとトルクメニスタンを結ぶ鉄道の橋だ。ロシアは2025年11月からこのルートを利用してイランへ貨物を輸送している。 イラン、中国、ロシアはアメリカが支配する海路を避け、陸路で物資や人を輸送しようとしてきた。そうしたプロジェクトの一環として建設された鉄橋だと言えるだろう。ホルムズ海峡やマラッカ海峡を回避するため、中国はユーラシア大陸を横断する鉄道を建設したのだ。 鉄道を使うとテヘランから上海まで15日、つまり海上ルートの半分で移動できる。イランと中露を結ぶ重要な輸送手段であり、そこをアメリカ軍やイスラエル軍が攻撃するであろうことは予想されていた。復旧作業は困難でないだろうが、この攻撃はロシアや中国に対する挑発である。この攻撃がどこから行われたのかも興味深い。 ドナルド・トランプ米大統領は7月7日、NATOの首脳会合が開かれていたアンカラでイランとの合意(MoU)は終わったと宣言、「もう彼らとは関わりたくない」と述べていた。その直前、ウクライナ/NATO軍はモスクワやクリミアを含む都市を固定翼ドローンやミサイル500機以上で攻撃、ロシア国防省によると、その大半を撃墜している。 アメリカとイスラエルによる騙し討ち攻撃で殺された最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師やその家族の葬儀は参加するためにテヘランの通りには市民数百万人が集まり、イラクでも葬儀のために200万人以上が参加、「アメリカに死を」、「トランプに死を」と叫んでいる。テヘラン、ゴム、ナジャフ、カルバラ、マシュハドの街路は数千万人で埋め尽くされたという。シーア派の人びとを屈服させるどころか団結させてしまった。トランプはイラン人を「クズ」「病んだ人間」と呼んだが、火に油を注ぐ発言だ。 イランを屈服させられないことを認識したトランプ大統領は攻撃を再開したと見る人もいるが、別の理由があるとする人もいる。 トランプ大統領はアンカラで「日本・イスラム共和国」がアメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」へ111機の対艦ミサイルを発射したのだが、艦船には命中しなかったと発言した。勿論、トランプはイラン軍がミサイルを発射したと言いたかったのだ。 アメリカの空母にミサイルは命中しなかったとトランプは主張したのだが、実際は数発が命中、ダメージを受けたのではないかとも言われている。そこで、戦争再開がアメリカを経済的に厳しい状況に追い込む報復を実行せざるをえなくなったというのだ。 もっとも、MoUは早晩崩壊すると言われていた。戦争を終結させる条件としてイランが求めている項目は一貫、トランプ大統領は停戦を実現するためにその要求を呑まざるをえなかった。ホルムズ海峡が封鎖されて原油などの供給が減少、それを補うためにアメリカ政府は保有している戦略石油備蓄(SPR)から石油を放出、残りが急速に減少していたからだ。停戦の実現で減少は止まったものの、回復ていない。 イランは戦争を終結させる条件として、ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定を策定、イランが被った損害を全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイラン資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することなどを求めていたが、これをアメリカが呑むとは思えない。 それにも関わらずアメリカがイランの条件を呑んだのは、それだけ厳しい状況だからだが、状況が改善されれば合意を破棄することは自明のことだった。トランプ大統領は状況が改善されない段階で合意を破棄してしまった。すでにホルムズ海峡を通過する船舶の数が急減している。通過している船舶も大半はイランが指定した航路を使っている。 イランはアメリカに対し、ガザでの「ジェノサイド(集団殺害)」をやめるように求めていたが、虐殺、破壊、占領、つまり民族浄化をイスラエルは継続している。かつて、アングロ・サクソン系の人びとがアメリカやオーストラリアで行ったように、先住民を殲滅して自分たちに都合の良い移民に入れ替えるつもりだろう。イスラエルはすでにガザにおける支配地域を53%から70%へ拡大したという。 その大量虐殺には欧米の少なからぬ富豪が参加しているが、その中にはシェルドン・アデルソンや妻のミリアム・アデルソンも含まれている。アデルソン夫妻は日本にも影響力を持っている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.11

TVドラマの制作現場でトラブルがあったとする週刊誌の記事に少なからぬ人の関心が集まり、高市早苗政権が断行している日本を破滅へと導く政策を忘れてしまった人もいるようだ。「火事と喧嘩は江戸の花」と言われてきたが、確かに喧嘩は好きなのだろう。 高市政権は「右翼」を演出してきたようだが、その政策はアメリカの軍事と外交を動かしてきたネオコンの計画に基づく。アメリカ大統領に抱きつくような人物が「右翼」を装うのは滑稽であり、その演出を喜ぶ人の気がしれない。 1991年12月にソ連が消滅した直後、ネオコンはアメリカが冷戦に勝利、唯一の超大国になったと認識し、誰に気兼ねすることなく侵略戦争を実行できる時代が到来したと考えた。その考えに基づき、国防次官を務めていたネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になり、国防総省のDPG(国防計画指針)草案が1992年2月に作成された。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、日本がそのネオコンのプロジェクトを受け入れたのは1995年のこと。2001年4月に発足した小泉純一郎政権以降、日本は戦争へ向かって爆進している。その流れを止めようとした鳩山由紀夫政権を大手メディアと検察によって粉砕された。 アメリカではビル・クリントン政権が1999年3月にユーゴスラビアを空爆、2000年にネオコンのシンクタンクであるPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)はDPGに基づいて「アメリカ国防の再構築」というタイトルの報告書を作成した。(PNAC, “Rebuilding America’s Defenses,” PNAC, September 2000) ジョージ・W・ブッシュ(H・Wの息子)政権はその報告書に従って政策を進めるが、2001年9月11日にこの報告書を始動させる出来事が引き起こされる。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのだ。いわゆる9/11だ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(NATO作戦連合軍)最高司令官によると、9/11から10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(3月、10月)。 2001年10月にアフガニスタンを攻撃、03年3月にアメリカ主導軍はリストに載っていたイラクを先制攻撃したが、計画通りには進まない。そこで2009年1月からアメリカ大統領を務めたバラク・オバマは自国軍ではなくムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵、いわゆるアル・カイダを使うことにする。そして始まったのが「アラブの春」であり、2011年春にはリビアに続いてシリアへの侵略戦争が始まる。 イギリスの外相を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックは2005年7月、「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストを意味すると書いている。そのムジャヒディンの供給源はムスリム同胞団やサラフィ主義者にほかならない。このシステムを作り上げたのはオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーだ。 2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が倒されるとアメリカなど侵略勢力は傭兵と兵器をシリアに集中させた。この段階でNATOとアル・カイダ系武装集団が連携していることが発覚している。 そうしたオバマ政権の政策を危険だと判断、2012年8月にそれを警告する報告書を政府へ提出したのがアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)。当時、そのDIAを指揮していたのがマイケル・フリンだった。 DIAの報告書によると、外部勢力が編成した反シリア政府軍の主力はAQI(イラクのアル・カイダ)であり、その集団の中心はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告している。 この警告通り2014年には新たな武装集団ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)が登場する。この武装集団はこの年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧。その際にトヨタ製の真新しい小型トラック、ハイラックスを連ねてパレードし、その後、首を切り落とすなど残虐さをアピールし、NATO軍の介入を誘った。 こうした戦闘集団を率いていた人物が現在、シリアを支配しているのだが、そのメンバーの大半は非シリア人。その占領勢力を指揮しているアーメド・フセイン・アル-シャラー(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)はダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国などとも表記)を創設したアブ・バクル・アル-バグダディの副官を務めていた人物で、アル-バグダディの命令でシリアへ入り、アル-ヌスラ戦線を結成している。アル-ヌスラの前身はAQI(イラクのアル・カイダ)だ。現在、シリア人は虐殺の対象になっている。 ネオコンはシオニストの一派だが、シオニズムはエリザベス1世の時代(1593年から1603年)にイングランドで現れた「ブリティッシュ・イスラエル主義」。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと彼らは信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。 その妄想が19世紀に具体化する。侵略戦争を指揮したのは反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。ロシアだけでなく中国(清)も侵略のターゲットになった。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。 イギリス首相だったベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収し、1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開く。いわゆる「バルフォア宣言」だ。シオニズムと帝国主義によってイギリスは世界を侵略していく。 小説家でもあったディズレーリは『コニングスビー』という作品を書いている。その中に、「(ジョン・)ハムデン(オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」 「ベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国」とは寡頭制にほかならず、現在のイギリスはそのプランに従って築かれた。王室も政府も飾りにすぎず、実際に支配しているのは国境の拘束されていないオリガーキー。その支配者が拠点にしているのがシティであり、そこからスピンオフした場所がウォール街だ。その下にEUはある。 つまり、ロシアやイランは欧米と話し合いで問題を解決できない。いうまでもなく、中国も同じだ。西側のオリガーキーは世界をアメリカやオーストラリアのように先住民を殲滅し、「移民」によって自分たちが所有しようとしている。 ドナルド・トランプ大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と共同でイランの体制を転覆させようとしている。アメリカ政府は昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを誘発させ、2月28日にアメリカ軍とイスラエル軍がイランを奇襲攻撃したが、失敗した。 そこで停戦合意だが、言うまでもなく、これはイランを再攻撃するための時間稼ぎだ。そのことを熟知しているイランはアメリカの思惑通りには動かない。騙されないと言うことだ。戦争の再開は不可避だと多くの人が考えているだろう。 ロシア国民の大多数はアメリカの欺瞞を認識、決着は戦場でつけざるをえないと考えているが、クレムリンの経済部門には今でも西側から離れられない人たちがいるようだ。そうした姿勢を批判する声は高まっている。 すでにロシア軍はウクライナの地下司令部を破壊することでNATO軍の将校を殺害するようになった。このところ、死傷者を運ぶ航空機がウクライナからポーランドへ盛んに飛んでいるとも言われている。早晩、ロシア政府はNATO加盟国への攻撃を決断せざるをえなくなると見られている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.10

西アジアとウクライナで攻撃の応酬があった。西アジアではアメリカ軍とイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)、ウクライナではウクライナ/NATO軍とロシア軍だ。 西アジアではイランの「ペルシャ湾海峡管理当局(PGSA)」がイスラマバード覚書(MoU)の規定に従って正規の手順を踏まずに航行したタンカー3隻を攻撃した。MoUに定められたイラン側のルートではなく、アメリカ軍が管理しているオマーン寄りのコースを航行していたようだ。オマーン寄りの航路は国際海事機関(IMO)が調整していたものだが、IRGCは6月25日、このルートについて警告を発していた。 この攻撃を受け、アメリカ中央軍(CENTCOM)はイランの防空システム、指揮所、ミサイル発射拠点、60隻以上の小型ボートを含む80以上の標的を攻撃した。「60隻以上の小型ボート」は民間の漁船だが、アメリカはIRGCの高速艇だとしている。 その報復としてIRGCはサウジアラビアのサルマン港、バーレーンにある第5艦隊基地、クウェートのアリ・アル・サレム空軍基地を含むアメリカ軍の主要施設85カ所を標的とした報復攻撃を実施したという。 こうした戦闘の後、イランとの停戦や覚書が終わったのかと問われたドナルド・トランプ米大統領は終わったと答えた。その発言が何を意味しているのか、彼は理解しているのだろうか? アメリカとイスラエルによる騙し討ち攻撃で殺された最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の葬儀に参加するため、テヘランの通りには市民数百万人が集まっている。イラクでも葬儀のために200万人以上が参加した。イランとイラクの連帯を象徴する光景を作り出しているのだ。そうした中でアメリカ軍はイランを攻撃したのだが、また逆効果になりそうだ。 トルコのアンカラではNATOの首脳会合が7月7日から8日にかけて開催されているが、その直前、ウクライナ/NATO軍はモスクワやクリミアを含む都市を固定翼ドローンやミサイル500機以上で攻撃、ロシア国防省によると、その大半を撃墜した。 それに対し、ロシア軍は7月6日にキエフ周辺やハリコフをミサイルとドローンで攻撃、その激しい攻撃の様子はソーシャルメディアで伝えられているのだが、その中には巨大なキノコ雲も映っている。劣化ウラン(DU)弾やクラスター弾が保管されている倉庫が爆撃され、大規模な二次爆発が発生したとウクライナの元国会議員、イゴール・モシチュクは主張している。 ウクライナ/NATO軍がロシアの市民をターゲットにした「映え」の良いターゲットを攻撃する中、ロシア軍は戦略的に重要な場所を着実に制圧しつつある。最近では、戦略的に重要な都市のコスティアンティニフカをロシア軍は制圧、掃討を完了したようだ。この都市には防衛戦が築かれていて、約150キロメートルに及ぶ塹壕や地雷原があった。 NATO側は2014年から8年かけキエフ体制の戦力を増強するため、キエフのクーデター体制の戦力を増強するため、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いたが、マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍が制圧、ウクライナ/NATO軍の劣勢は決定的になった。そして現在、残された要塞線の要であり、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカを制圧、掃討を完了した。 NATO諸国は2014年2月のクーデター後、キエフ体制の戦力を増強するため、ロシア政府に停戦を持ちかけた。そして締結されたのが2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。その間、兵器を供与して兵士を育成、訓練、要塞線を構築した。 特に重要だったのはドンバス(ドネツクとルガンスク)を取り囲むように地下要塞をマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルに建設、それを軸に要塞戦を築いたのだ。コスティアンティニフカも要塞として機能していた。 しかし、マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍はそれぞれ制圧、そしてウクライナ/NATO軍に残された最後の砦とも言うべきコスティアンティニフカも押さえたわけだ。 今年第1四半期の時点でウクライナの対外債務総額は2367億ドルを突破している。ウクライナ/NATO軍が勝利すればウクライナやロシアの資産、資源、耕作地を奪うことができ、大儲けできたはずだが、ロシアの勝利は決定的な状況だ。 日本政府は明治維新からイギリスやアメリカに返済できないような多額の借金をしていた。コツコツ真面目に働いて返せるような借金ではないのだが、第2次世界大戦に敗れた後、いつの間にか返済していた。 今から89年前の7月7日に引き起こされた「盧溝橋事件」を切っ掛けにして日本軍は侵略戦争を本格化、同年12月に南京を制圧する。中支那方面軍司令官は松井石根だったが、南京攻略戦を指揮したのは上海派遣軍司令官になったばかりの朝香宮鳩彦王だった。この人物は昭和天皇の叔父にあたる。 この攻撃で日本兵は住民を虐殺するなど残虐行為を働いたと報告されている。当時、南京周辺で活動していた特務機関員も虐殺があったことは間違いないと語っていた。その南京攻略戦の際、日本軍は組織的な財宝の略奪作戦「金の百合」を始めた。指揮したのは秩父宮雍仁、その補佐役は竹田宮恒徳だ。 その後も略奪作戦は続き、財宝はフィリピンに一旦集めた後、日本へ運ばれる仕組みが作られたのだが、途中で戦局が悪化して輸送が困難になり、相当部分がフィリピンに隠された。運び出しに成功した金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) 日本が降伏すると、アメリカ軍のエドワード・ランズデール大尉(当時)は1945年10月中旬、財宝の隠し場所を日本軍の捕虜から聞き出すことに成功する。当時、ランズデールはアメリカ軍のG2(情報部)に所属、その部のトップはチャールズ・ウィロビー少将だった。 そのランズデールの下にいた情報将校のセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナも日本軍が隠した財宝に関する情報を持っていたが、その愛人がイメルダ・ロムアルデス。ロマーナはこの女性をフェルディナンド・マルコスに紹介、ふたりは結婚した。 回収した金塊をフィリピンから国外の銀行へ移す作業はDNPエンタープライズが中心になって行われ、そのネットワークの中にはウォーレス・グローブスも含まれていた。 グローブスが所有するカジノを経営していたのはユダヤ系ギャングでCIAと手を組んでいたメイヤー・ランスキー。このギャングはイタリア系のラッキー・ルチアーノと少年時代からの友人で、このふたりはユダヤ系ギャングのアーノルド・ロステインの配下に入っていた。 ランズデールは財宝に関する情報を東京のダグラス・マッカーサー元帥、ウィロビー少将、そしてGS(民政局)のコートニー・ホイットニー准将に報告、さらにワシントンDCへ行き、ジョン・マグルーダー准将に説明している。ランズデールをフィリピンへ行かせたのはこのマグルーダーにほかならない。 マグルーダー准将はウィリアム・ドノバンOSS長官の部下。マグルーダー准将の指示で、ランズデールはハリー・トルーマン大統領の国家安全保障を担当していたスタッフにも会っている。 金の百合の回収が進められていた頃、ヨーロッパでは「ナチ・ゴールド」が回収されていた。ジョン・ロフタスとマーク・アーロンズによると、ナチがヨーロッパで略奪した資金はドノバンのWCC(世界通商)でロンダリングされ、戦後にタイへ運ばれたという証言もある。(John Loftus & Mark Aarons, “The Secret War against the Jews”, St. Martin’s Press, 1994) 米英金融機関からの借金を返済するため、日本政府がこうした略奪財宝を使った可能性はある。キエフ政権はロシア軍に負けたとしても、資産、資源、耕作地などを奪うことができれば「任務完了」ということになる。すでにマネーロンダリングや生物化学兵器の研究開発という役割も果たした。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.09

ウクライナにおける戦争でロシア軍に勝てないNATO軍はロシア深奥部にあるエネルギー関連施設を攻撃しているが、それに対してロシア軍はキエフを含む都市を激しく攻撃し開始、それに対してウクライナ軍の迎撃システムは機能しなかった。NATOの軍人や情報機関員にも犠牲者が出ていると伝えられている。 7月6日にもキエフ周辺はミサイルとドローンで攻撃され、その激しい攻撃の様子はソーシャルメディアで伝えられた。この攻撃はウクライナ軍がモスクワやサンクトペテルブルクに対して行った攻撃への報復だとされている。 こうした攻撃がロシア国民の間に厭戦気分を広めるとNATOは考えているようだが、厳しい報復を求める声が強まっている。イラン人と同じように、ロシア人は脅されても屈しない。これまで戦争がエスカレートすることを避けようとしてきたウラジミル・プーチン露大統領も厳しい姿勢を見せざるをえなくなった。 NATO側は2014年から8年かけ、キエフのクーデター体制の戦力を増強するため、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いたが、マリウポリとソレダルは2022年、マリーインカとアブディフカは23年までにロシア軍が制圧、ウクライナ/NATO軍の劣勢は決定的になった。そして現在、残された要塞線の要であり、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカを制圧、掃討を完了した。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、ドンバス(ドネツクとルガンスク)を含む東部やクリミアを含む南部はロシア語を話し、ロシア正教を信仰、住民の多くはロシア文化の中で生活、ロシア領内に親戚がいて、自分たちをロシア人だと考えている。だからこそロシア軍は住民の犠牲を極力少なくしようとしているが、逆にキエフのクーデター体制は東部や南部で住民を虐殺してきた。ロシア軍にとってウクライナの東部や南部はホームである。コスティアンティニフカの陥落でドンバスの全域をロシア軍が制圧するのは時間の問題になった。 それに対し、キエフ/NATO軍は長距離を飛行できるドローンやミサイルでロシアの深奥部を攻撃、ロシア軍と対等に戦っているかのように見せようとしているが、戦況をウォッチしている人にとってロシア軍が戦場で圧倒していることは明白だ。 長距離を飛行できるミサイルやドローンを飛ばすためには衛星や地上で収集される軍事情報、そうした飛翔体を誘導するシステムが必要なわけで、どこから離陸したかに関係なく、NATO軍がロシア領内の目標を攻撃していることになる。 ロシア領空へ侵入する飛翔体の中にはエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国から飛来するものも少なくないようだ。E3、つまりイギリス、ドイツ、フランスがロシア領への攻撃で中心になっているようだ。ロシア政府は自国領への攻撃に関連する意思決定センター、ドローン発射基地、生産施設などを追跡しているとしたうえでバルト三国も侵略者とみなしていると警告、バルト三国に対する攻撃が迫っていると考える人は少なくない。 ロシアへの攻撃に自国領土や領空を使用することをウクライナに許可していないとリトアニア、ラトビア、エストニアは主張しているが、状況証拠はバルト三国の関与を示している。勿論、実際に攻撃しているのはE3とアメリカだ。アメリカはともかく、イギリス、ドイツ、フランスの都市が攻撃されても不思議ではない。 ウクライナ/NATO側が劣勢なるにつれ、当初は同じ反ロシア国として親密な関係にあったポーランドと対立し始めている。ウクライナの体制派データベースのミロトボレツはポーランドのズビグニェフ・ボグツキ大統領府長官を「反ウクライナのプロパガンダ工作員」としてブラックリストに登録、これに対してボグツキ長官は自分自身を「バンデラ主義」やキエフによる「歴史的虚偽」の敵だと表現している。この対立が高まる切っ掛けは、5月にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーがある特殊部隊に対して「ウクライナ反乱軍(UPA)」にちなんだ名誉称号を授与したことにある。 UPAは1943年春にOUN-B(ウクライナ民族主義者組織-ステパン・バンデラ派)から誕生、ユダヤ人やポーランド人を虐殺し始めた。その殺害方法は残虐で、妊婦の腹を引き裂いて胎児や内蔵を取り出し、脅しのために灌木に引っかけるといったことさえしたという。1943年から45年の間にOUN-BとUPAが殺したポーランド人は7万人から10万人と言われている。1943年11月には「反ボルシェビキ戦線」になった。(Grzegorz Rossolinski-Liebe, “Stepan Bandera,” ibidem-Verlag, 2014) 反ボルシェビキ戦線は1946年4月にABN(反ボルシェビキ国家連合)へ名称を変更、1966年にABNはAPACL(アジア人民反共連盟、後のアジア太平洋反共連盟)と合体してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になった。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) APACLは1954年、台湾の蒋介石政権や韓国の情報機関によって創設されたが、その背後にはアメリカの情報機関が存在していた。日本からは児玉誉士夫や笹川良一が参加している。日本支部を設置する際には岸信介が推進役になった。1954年には統一教会が設立されている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.08
NATOの首脳会合が7月7日から8日にかけてトルコのアンカラで開催される。その直前、ロシア国防省によると、ロシア軍はモスクワやクリミアを含む都市に飛来したウクライナの固定翼ドローンやミサイル519機を撃墜。その一方、7月6日にはキエフ周辺がミサイルとドローンによる複合攻撃を受けた。激しい攻撃の様子はソーシャルメディアで伝えられている。 狙われたウクライナの施設は、ドローンの製造企業、ギュルザM型砲艇を製造する造船所、装甲車両の製造/供給企業、ミサイル製造工場、対空ミサイル・システムの修理工場、燃料貯蔵施設などだが、ロシア国内では対ロシア戦争を主導しているNATO諸国を攻撃するよう求める声が高まっている。 現在のE3、つまりイギリス、ドイツ、フランス、あるいはバルト三国はロシアと直接的な戦争を主張、2030年までに準備を整えるとしている。ロシアを挑発してNATO諸国を攻撃させればアメリカが出てくると信じているようだ。E3がこれだけ好戦的になったのは2014年2月のキエフにおけるクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功してからである。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は以前から、戦争が不可避ならば先に攻撃すると宣言している。1941年6月、ナチス時代のドイツはソ連を奇襲攻撃した。「バルバロッサ作戦」だ。この時、ソ連はドイツ軍に攻め込まれるまで動かず、大きな被害を受けた。同じ間違いを犯さないというわけだが、これまでプーチン大統領はリスクを冒そうとせず、反応は鈍かった。 ソ連は1991年12月に消滅、その後にアメリカをはじめとするNATO諸国はこの軍事同盟を東へ拡大させていく。ミハイル・ゴルバチョフが1990年に東西ドイツの統一を認めた際、NATOを東へ拡大させないという条件がついていたのだが、その約束を西側諸国は守らない。当時のソ連政府に外交のプロはいなかったと言えるだろう。 その条件の存在を国務長官だったジェームズ・ベイカーは否定していたが、ドイツのシュピーゲル誌によると、アメリカはロシアに約束したとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っている。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) また、ドイツの外務大臣だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年2月にエドゥアルド・シェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009) それ以外にも、例えばゴルバチョフ大統領やシェワルナゼ外務大臣に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないとベイカー米国務長官が1990年2月9日に語ったとする記録をジョージ・ワシントン大学のナショナル・セキュリティー・アーカイブが2017年12月に公開している。 NATOの東への拡大は新たな「バルバロッサ作戦」にほかならず、ウクライナのNATO加盟はロシアにとって絶対に認められないことのはずだが、プーチンは動かなかった。 キエフでクーデターを仕掛けたネオコンは1990年から91年にかけての湾岸戦争でソ連軍が出てこなかったこともあり、アメリカが軍事力を行使してもロシア軍は出てこないと信じているのだが、それはソ連が消滅する寸前だったからで、プーチンが立て直した後のロシアには当てはまらない考え。ところがネオコンは今でも「脅せば屈する」と信じている。 イギリスをはじめとするアングロ・サクソンの支配層は遅くとも19世紀からオスマン帝国を解体し、ロシアや中国を征服する長期戦略を立てていた。その中心にいたのがヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。イギリスの首相や外相を務めた政治家。1840年にアヘン戦争を始めたのも彼であり、ロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなしていた。「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てている。 また、パーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を始めたが、陸軍が弱体なイギリスは征服できない。そこで明治維新を仕掛けることになった。 クーデターを成功させた後もオバマ大統領はロシアに対する挑発を続けるが、2016年のアメリカ大統領選挙でオバマと同じ反ロシア派のヒラリー・クリントンがドナルド・トランプに敗れると、オバマ大統領は外交官を始めとするロシア人35名を追放してロシアとの関係を悪化させた。その際、民主党全国委員会(DNC)だけでなくCIAやFBIはロシア政府がアメリカの大統領に介入したとするロシアゲート事件をでっち上げ、ロシアとアメリカの関係が良くならないように活動し続けた。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、ウクライナの東部と南部はロシア文化圏で、クーデターを拒否、ドンバスでは武装抵抗が始まる。クーデター後、ウクライナの軍や治安機関からメンバーの約7割が離脱し、その一部は抵抗軍に合流したと言われている。 そのため反クーデター軍は強く、キエフのクーデター軍は劣勢になった。そこでNATO諸国はクーデター体制の戦力を強化するための時間が必要になり、ドイツやフランスが仲介する形で停戦合意を成立させた。それが2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。この停戦がクーデター政権の戦力を増強する時間稼ぎにすぎなかったことを、のちにアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。 その間、ロシア軍は合意内容を守ったものの、ウクライナ側は合意を守らない。NATOは兵器を供給、兵士を訓練、地下要塞を含む要塞線を築いて戦争に備えた。そして2022年になるとドンバスの反クーデター派に対する砲撃を激化させ始め、2月24日にロシア軍はドンバス周辺に終結していたウクライナ軍や軍事基地、あるいは生物兵器の研究開発施設を攻撃しはじめた。 ロシア外務省によると、その時にロシア軍が回収したウクライナ側の機密文書には、ウクライナ国家親衛隊のニコライ・バラン司令官が署名した2022年1月22日付秘密命令が含まれていた。これにはドンバスにおける合同作戦に向けた部隊の準備内容が詳述されていた。 ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将によると、「この文書は、国家親衛隊第4作戦旅団大隊戦術集団の組織と人員構成、包括的支援の組織、そしてウクライナ第80独立空挺旅団への再配置を承認するもの」で、この部隊は2016年からアメリカとイギリスの教官によって訓練を受けていたという。 NATO側は8年かけ、兵器の供与や兵士を育成するだけでなく、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバスに築いていた。ウクライナの軍や親衛隊はドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を誘い出して要塞線の内側に封じ込め、その間に別働隊でクリミアを攻撃するという計画だったのではないかと推測されている。 2022年4月9日にイギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、ロシアとの停戦交渉を止めるように命令(ココやココ)する。イギリスを含む西側は簡単にロシアを打ち破れると考えていたようだが、現実は違った。地下要塞が陥落した段階でロシアの勝利は決定的だった。 マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルはすでに陥落、残された要塞線もここにきて制圧されようとしている。つまりウクライナ軍の敗北は決定的な状況だ。西側の大手メディアはこうした事実を隠蔽するため、ロシアは劣勢であり、敗北すると宣伝しているが、事実をチェックすれば、嘘はすぐにバレる。 ヨーロッパのNATO諸国がロシアを挑発しているのはNATO軍が前面に出てロシアを脅すしかないと考えているのだろうが、ロシアに脅しは通じない。ロシア政府はNATO軍との直接的な戦争に備え、軍備を増強している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.07

日本はアメリカの戦略に従い、中国やロシアと戦争する準備をしてきた。その一環として自衛隊は2016年、与那国島にミサイル発射施設を建設、それに続いて19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させている。そして現在、フェルディナンド・”ボンボン”・マルコス・ジュニアはアメリカの手先として、日本と手を組み、中国と戦争する準備を進めている。 アメリカ国防総省系の「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、与那国島を除く3島へASCM(地上配備型対艦巡航ミサイル)部隊とSAM(地上配備型地対空ミサイル)部隊の配備が重要。アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているのだ。ロシアの周辺やイランの周辺にミサイルを配備しているのと同じことである。 15世紀から17世紀にかけての「大航海時代」、スペインやポルトガルは地球全域で押し込み強盗を働き、そうした国々が略奪品を運ぶ船をイギリスは海賊に奪わせた。 ヨーロッパの富はこの時に築かれたと言われているが、特にラテン・アメリカでの稼ぎが大きかった。1521年にエルナン・コルテスは武力でアステカ王国(現在のメキシコ周辺)を滅ぼして莫大な金銀を奪い、インカ帝国(現在のペルー周辺)ではフランシスコ・ピサロが金、銀、エメラルドなどを略奪しながら侵略を続けて1533年には帝国を滅ぼしている。 ヨーロッパの侵略者は莫大な量の貴金属を盗んだだけでなく、鉱山開発も行うために先住民を奴隷として酷使した。その象徴的な存在がボリビアのポトシ銀山。1545年に発見されたこの銀山だけで18世紀までに15万トンが運び出されたとされ、スペインが3世紀の間に南アメリカ全体で産出した銀の量は世界全体の80%に達したと言われている。スペインは16世紀の後半にフィリピンを植民地化、銀を使い、中国から絹など儲けの大きい商品を手に入れる拠点として使い始めた。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) 1593年から1603年のエリザベス1世の時代、イギリスを支配する人びとの中で「ブリティッシュ・イスラエル主義」が現れた。アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だという信仰で、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配するとされている。 17世紀と18世紀、イギリス東インド会社はインドの各都市に商館を設立、インド全体を支配。その過程で傭兵のセポイ(シパーヒー)を育成、略奪に利用されるが、中国を制圧することはできなかった。イギリスはその一方、アラビア半島ではカルトのひとつであるワッハーブ派を支配が支配するサウジアラビアなる国を樹立させている。 イギリスは東インド会社を介してアヘンを中国へ売り始めるが、中でも悪名高い企業がジャーディン・マセソン。当時、世界最大のアヘン取引企業で、香港上海銀行と密接に結びついていた。それに対し、清の皇帝は林則徐を広州に派遣し、アヘン貿易の撲滅を命じ、1839年9月から42年8月までの「第1次アヘン戦争」と1856年10月から60年10月までの「第2次アヘン戦争」につながったが、イギリスは中国(清)を征服できなかった。 そこで目をつけられたのが日本。長州と薩摩を支援して徳川体制を倒すことに成功、明治体制は琉球併合、台湾派兵、そして江華島事件を引き起こし、日清戦争、日露戦争へと突き進んだ。ロシア革命後の1918年から22年までシベリアへ派兵、その後もソ連へ軍事侵攻する動きを見せていた。その流れが変わるのは1941年8月に関東軍特種演習が中止になり、同年12月にマレー侵攻と真珠湾攻撃を実行してからだろう。 アメリカ人も麻薬取引に手を出していた。エール大学の秘密結社、スカル・アンド・ボーンズを1833年に創設したウィリアム・ハンチントン・ラッセルもその中に含まれている。ラッセル家はイギリスの東インド会社とつながっていた。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) 19世紀後半、アメリカはスペインやポルトガルの植民地になっていた中南米を植民地にしようと目論んでいた。そうした中、キューバのハバナ港に停泊していたアメリカの軍艦メインが爆沈。メインの燃料は石炭だが、その石炭庫で火災が発生したのだ。 それが原因で爆発したとチャールズ・シグスビー艦長は推測していたのだが、ウィリアム・ハーストが発行するメディアはスペインが爆破したと宣伝、政府による調査が行われる前に議会は戦争に向かって突進、ウィリアム・マッキンリー大統領は宣戦布告せざるをえなくなる。その背後では海軍次官補だったシオドア・ルーズベルトが戦争熱を高めていた。(James Bradley, “The Imperial Cruise,” Little, Brown and Company, 2009) この戦争に勝利したアメリカはスペインにキューバの「独立」を認めさせ、プエルトリコ、グアム、フィリピンへ矛先を向け、ハワイも支配下におく。フィリピンは中国市場へ乗り込む橋頭堡としての役割を果たすことになった。 日本は台湾やフィリピンと軍事的な関係を強めている。フィリピンの大統領を務めるボンボン・マルコスはフェルディナンド・マルコスの息子。フェルディナンド・マルコス・シニアは1965年12月にフィリピン大統領に就任したが、その際、日本軍が隠した財宝の一部を掘り出し、使ったと噂されている。 マルコス・シニアは1954年にイメルダ・ロムアルデスと結婚、59年から65年にかけて上院議員を務めた。イメルダをマルコスに紹介したのはフィリピン系アメリカ人のセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナ。この人物はアメリカ軍の情報将校で、OSS(CIAの前身)のエドワード・ランズデール大尉の下、日本軍の略奪財宝を調べ、捕虜からありかを聞き出していた。 ロマーナは回収した金塊をフィリピンから国外の銀行へ移すためのパイプを持っていて、そうした作業はDNPエンタープライズが中心になって行われ、そのネットワークの中にはウォーレス・グローブスも含まれていた。グローブスが所有するカジノを経営していたのはユダヤ系ギャングでCIAと手を組んでいたメイヤー・ランスキー。このギャングはイタリア系のラッキー・ルチアーノと少年時代からの友人で、このふたりはユダヤ系ギャングのアーノルド・ロステインの配下に入っていた。 中央銀行が民間から金を直接購入することが国際的に認められるようになると、マルコスは新しい法律を制定した。フィリピンで採掘された金はすべて中央銀行に売却しなければならないとし、1981年11月には「過剰に保管されている金」を国際マーケットで売却すると発表している。マルコスはサウジアラビア人のアドナン・カショーギの手を借りたという。(Sterling & Peggy Seagrave, "Gold Warriors", Verso, 2003) この頃からフィリピン国内が騒がしくなり、1983年8月にベニグノ・アキノ元上院議員がマニラ国際空港で射殺される。社会が不安定化する中、1986年2月にアメリカ軍がマルコスを拉致して国外へ連れ出しているが、この誘拐作戦を指揮したのはポール・ウォルフォウィッツだったとも言われている。アキノへはNEDを通じてCIAのカネが流れ込んでいた。その妻、コラソン・アキノもCIAの傀儡だったと言われている。 2016年6月から22年6月にかけて大統領を務めたロドリゴ・ドゥテルテはフィリピンをアメリカから独立させる政策を推進していたが、25年3月、麻薬業者の取り締まりが違法だとしてICC(国際刑事裁判所)に逮捕された。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.06

ドナルド・トランプ米大統領のスポンサーだったシェルドン・アデルソンはカジノの経営者で、彼の賭場はラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)にもあった。2021年1月に彼が死んだ後、ビジネスと政治活動は妻のミリアム・アデルソンが引き継いだ。シェルドンの両親はウクライナからアメリカへ移り住んだユダヤ系の人びとで、ミリアムの両親はポーランドからイスラエルへ移住したユダヤ系の人びとだ。 シェルドン・アデルソンは日本との関係もある。彼は2013年11月、「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」の細田博之会長に会って日本におけるカジノ構想を説明、この構想を実現するよう日本に圧力を加え始めた。アデルソンはカジノ計画を2020年の東京オリンピックに合わせて実現するつもりで、14年2月には日本へ100億ドルを投資したいと伝えたが、その計画は実現せず、大阪でIRの建設が始まった。 トランプだけでなく、アメリカの大統領首席補佐官や駐日大使を務めたラーム・エマニュエルやマルコ・ルビオ国務長官もシェルドン・アデルソンは支援していた。 ラーム・エマニュエルの父親、ベンジャミン・エマニュエルはエルサレム生まれだが、シオニストのテロ組織であるイルグンに所属、1948年9月に国連パレスチナ調停官のフォルケ・ベルナドッテがシオニストのテロ組織、レヒ(スターン・ギャング)に暗殺された後にイスラエルから逃亡した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の親はエマニュエルの親と親密な関係にある。 レヒはイルグンから、またイルグンは後にイスラエル軍の母体になるハガナからスピンオフしているが、その源には修正主義シオニストの開祖でオデッサ生まれのウラジミル・ゼエブ・ジャボチンスキーがいる。 ジャボチンスキーは1940年8月にニューヨークで心臓発作のために死亡したが、その当時、彼の秘書を務めていたのはベンヤミンの父親であるベンツィオン・ネタニヤフ。ゼエブ・ジャボチンスキーを信奉する修正主義シオニストは1970年代、アメリカのキリスト教シオニストと連携して台頭したが、現在、この集団はベンヤミン・ネタニヤフを中心に集まっている。 この集団は次期アメリカ大統領候補として共和党はマルコ・ルビオ、民主党はラーム・エマニュエルを考えているとされ、J. D. バンス副大統領はネタニヤフと繋がり、パランティア・テクノロジーズを創設したピーター・ティールをスポンサーとしている。エマニュエルの父親はシオニストのテロ組織「イルグン」のメンバーだった。 エマニュエルを売り出したフィナンシャル・タイムズ紙は日本経済新聞が所有する新自由主義の代弁紙的な存在だが、ジョージ・ソロス一派の影響下にある。 ラームはイスラエル軍に志願して湾岸戦争に参加。バラク・オバマ政権の第2期目とトランプ政権の第1期目でシカゴ市長を務めたが、その際に公立学校約50校を閉鎖、公共交通機関の運賃や駐車料金を大幅に引き上げ、シカゴ交通局の民営化を断行している。ジョー・バイデン政権ではは駐日大使を務めたが、その際、彼はCIAの指揮下、統一教会の自民党議員に対する工作を監督したとされている。 ウクライナやイランだけでなく、全世界を戦争へと導いている修正主義シオニストは日本にも入り込んでいる。その日本は1992年2月のウォルフォウィッツ・ドクトリンに従い、中国やロシアと戦争する準備を進めてきた。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.05

ロシア軍は7月2日、キエフを含むウクライナの都市に対する大規模な攻撃を実施した。ウクライナ軍はすでに壊滅状態だが、最近はNATO諸国で生産された長距離ドローンやミサイルをロシアの深奥部へ打ち込み、攻撃を演出している。ドイツなどヨーロッパ諸国では自動車などの製造工場をドローン工場に切り替えているようだ。 イギリス、ドイツ、フランス(E3)はウクライナを支援するため、迎撃ミサイル、長距離打撃能力、弾道ミサイル迎撃システムの共同開発や増産が急務だと主張。そうした国々の首脳は、ウォロディミル・ゼレンスキーを利用してロシアにダメージを与えようとしている。 事実上、ウクライナでロシア軍と戦っているのはNATO軍だ。NATO軍が兵器を供給、オペレーターを派遣、衛星からのデータや目標に関する情報を提供し、その目標までドローンやミサイルを誘導する。つまりNATO軍がミサイルやドローンをウクライナからロシアに向かって発射しているのであり、ロシア軍とNATO軍の直接的な戦争になってきている。 E3などはネオコンに洗脳されているのか、ロシア軍がヨーロッパ諸国を攻撃することはないと信じている。そこでロシアに対する攻撃をエスカレートさせてきたのだが、限界を超えた。7月2日のロシア軍による攻撃はそうしたことを示している。このまま進めば、どこかの時点で核兵器が使われるだろう。 ロシアとNATOのヨーロッパ諸国が核戦争を始めた場合、ユーラシア大陸が壊滅的なダメージを受けるが、南北アメリカは部外者でいられると考えている人もいる。その地域が今、イスラエルの影響下に入りつつある。イスラエルの背後に何が潜んでいるかはともかく、イスラエルの存在が注目されている。 アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が熱烈なシオニストで、イスラエルに心酔していることは広く知られている。彼はアルゼンチンのモロッコ系ユダヤ人コミュニティのラビ、シモン・アクセル・ワニッシュから個人的にトーラー(律法)を学んでおり、退任後にユダヤ教へ改宗する意向を表明している人物で、「私は世界で最もシオニスト的な大統領であることを心から誇りに思います」と今年3月にイェシーバー大学で口にしている。 そのアルゼンチンには鉱物資源に恵まれ、雄大な自然でも知られているパタゴニアがある。ジャーナリストのセバスチャン・サルガドによると、そのパタゴニアをシオニストは19世紀から目をつけていた。 ここにきてパタゴニアでは大規模な山火事が発生、当局は火災の一部は燃焼剤かガソリンを使った放火だと主張している。知事は根拠を示すことなく、先住民のマプチェ族に火災の責任を押し付けているが、現地では、退役したイスラエル軍兵士が火をつけたと主張する人が少なくない。パタゴニアへはガザで戦争犯罪を犯したイスラエル兵が逃げ込んでいるとも言われている。またパランティア・テクノロジーズを創設したひとりのピーター・ティール(会長)はブエノス・アイレスの高級住宅街にある住宅を1200万ドルで購入した。 ペルーでは6月7日に大統領選挙の第2回投票があり、最終的にはアメリカとの関係が深いケイコ・フジモリがロベルト・サンチェスを破り、当選した。前者の投票率は50.1%、後者は49.9%なのだが、この選挙でも外国での投票が結果を逆転させている。 6月17日の夜、国内の全投票の集計が完了した時点でサンチェスがフジモリを4万票以上リードしていたのだが、そこで海外からの票が加わると、逆に5万票差をつけて勝利したのだ。登録有権者全体の3パーセントにも満たない国外の投票でフジモリがサンチェスを9万票上回っていたことになる。 コロンビアの選挙でもアメリカやイスラエルとの関係が深いアベラルド・デ・ラ・エスピエジャが左派のイバン・セペダを僅差で破った。前者は49.7%、後者は48.7%だ。選挙結果判明から数時間のうちにイスラエルのギデオン・サール外相から祝いの電話が入った。デ・ラ・エスピエジャはコロンビアが「イスラエルとの関係をかつてないほど回復、強化するだろう」と宣言している。 パラグアイ、グアテマラ、ホンジュラス、エクアドル、チリ、ボリビア、エルサルバドル、パナマも親イスラエル派が政権を握った。10月には現職のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバが親イスラエル派のフラビオ・ボルソナーロ上院議員と競っている。 パレスチナ人を大量虐殺、カネとスキャンダルで各国の要人を操っているイスラエルは世界的な嫌われ者だが、ラテン・アメリカが「新たなイスラエル」になるかもしれない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.04
J. D. バンス米副大統領は7月1日にマイケル・ロールズ・ショーに登場し、ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領が6月17日に署名した合意文書(MoU)は石油の供給を回復させて石油経済を立て直し、備蓄を補充、枯渇したドローンやミサイルを補充してイランを壊滅させるために行う次の戦争に備えるための時間稼ぎだということを明らかにした。マルコ・ルビオ国務長官はイランに対する攻撃を再開しようと必死だ。 トランプ大統領はイラン攻撃に関する新たな計画を作成するように求めたものの、そうした試みはリスクが大きすぎると報告され、現時点では「外交交渉」を継続することにしたと伝えられている。まだ時間を稼がねばならないということだろう。 MoUではイランとレバノンへの攻撃が全面的に停止され、凍結されたイラン資産の一部を返還、イラン船舶に対する制裁を緩和し、海上貿易と国際輸送ルートを正常化、そして核問題は初期段階の協議に含まないとされている。 そのため、これはアメリカの降伏文書だとする人もいたのだが、トランプ政権はこの合意を守る意思がないので同意したのだろうと言う人もいた。バンス副大統領はMoUを単なる時間稼ぎだと主張、この懸念が正しかったことになる。 イラン側もこうしたことを理解している。最高指導者の選出および解任権限を持つ、上級イスラム法学者らで構成される「専門家会議」は、イランの交渉担当者らが欺瞞に満ちた邪悪な敵(アメリカ)の策略を十分に警戒し、指導部の「レッドライン」を遵守することは宗教的義務であり、いかなる状況下でもそれを侵害することは許されないと勧告している。 イランの交渉担当者とは、マスード・ペゼシュキアン大統領、モハンマド-バーゲル・ガーリーバーフ国会議長、そしてアッバス・アラグチ外相。アメリカ側の覚書に関する違反に対し、イラン側の対応は不十分だと批判されてきた。「専門家会議」もアメリカがMoUに書かれた条件を事項する意思がないと考えている。ペゼシュキアン大統領は自分自身の見解を専門家会議に説明しなければならなかった。イラン議会も交渉担当者を批判している。 アメリカ側もイラン側も戦争が再開されると考えているようだが、再開された場合、アメリカとイスラエルが勝てる見込みは小さい。2月28日にアメリカとイスラエがイランを奇襲攻撃した際にはイランからすぐに報復攻撃があり、西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などが攻撃され、またイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も破壊された。再建などできていない。 斬首作戦でもイランの体制を転覆させることができず、カラー革命も機能しなかった。クルド人やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)の戦闘員を投入するとも言われたが、成功するとは思えない。核兵器を使用した場合、ロシアが報復する可能性がある。 イラン側の定めたルールを遵守する船舶はホルムズ海峡を航行できているというが、タンカーは減少したままだと伝えられている。すでにアメリカでは保有している戦略石油備蓄(SPR)の減少が激しく、余裕はない。トランプ政権は追い詰められているだろう。 トランプ大統領はウクライナにおける戦闘から距離を置こうとしてきたが、この戦況はNATO諸国にとって厳しい。状況を追いかけてきた人なら西側の大手メディアが事実を伝えていないことを理解しているだろう。 戦況に関する嘘は算数ができれば見抜かれてしまうような代物。すでにウクライナ軍は崩壊状態で、NATOが対ロシア戦争の主体になっている。 NATOから持ち込まれた長距離を飛行するドローンやミサイルはウクライナ軍が独力で飛ばせない。衛星からの情報、地上の情報網、ミサイルやドローンの誘導システムなどはNATOに頼らざるをえない。NATO軍がウクライナからロシアを攻撃しているのであり、すでにロシアとNATOが直接戦争を始めているのだが、劣勢。敗北は時間の問題だ。 ロシア社会が不安定化しているわけでもない。仕事や旅行でロシアにいる西側の人は少なくない。2022年2月からしばらくの間、ロシアにいる西側の人びとが西側でメディアが伝える話の嘘を発信していた。 一般人だけでなく、アメリカ人ジャーナリストのタッカー・カールソンが2024年2月6日に行ったウラジミル・プーチン露大統領とのインタビュー映像が公開されたが、その際、モスクワの様子も伝えている。 こうした偽情報を流す場合、西側の大手メディアは何らかの情報源を挟むことがある。その一例がモスクワ・タイムズ紙だ。オランダ人のダーク・ザウアーがモスクワで始めたオンライン新聞で、英語を話す観光客や駐在員が訪れる場所で無料配布されていた。2020年にはロシア語でのサービスを開始したが、2022年に本社をオランダのアムステルダムへ移転した。 同紙からキャリアを始めた記者のひとりがエレン・バリー。エール大学を卒業した1993年にスタッフ記者となり、95年まで働いた。2007年にニューヨーク・タイムズ紙へ入り、08年にモスクワ特派員、そして11年から13年までモスクワ支局長を務めている。 国民から支持されていないE3(イギリス、フランス、ドイツ)などの指導者はロシアを挑発してNATO諸国の領土を攻撃させ、完全な戦時体制へ持ち込んで支配システムを維持しようとしているようだが、ロシアがNATO加盟国を攻撃する時は、そうした国々を破壊すると決断したときだろう。沈みゆくNATO諸国は日本を巻き込もうとしている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.03

ウクライナを舞台としたロシア軍との戦闘ではドローンが飛び交い、戦場の様子は一変したが、戦況に変化はない。日本には「ウクライナの戦果は明らか」だと宣伝する人もいるのだが、その「戦果」とは何を意味しているのだろうか? ウクライナの衣を着たNATOは、生産力でロシアに圧倒されている。言うまでもなく、中国にも圧倒されている。1970年代からアメリカをはじめとする西側諸国は新自由主義と呼ばれる通貨カルトに支配され、製造業を衰退させてきた。通貨カルトにとって製造会社も商品のひとつにすぎず、解体され、売り飛ばされてきて経済力は急低下したのだ。 2022年2月にロシア軍がウクライナをミサイル攻撃しはじめめた当時には「ウクライナ軍」が前面に出ていた。すぐに停戦交渉が始まってほぼ合意に達したのだが、イギリス政府などの圧力で戦闘が激化した。当初、ロシア軍の戦力はウクライナ軍の戦力の数分の一だったが、ロシア軍が当時から優勢。 侵略軍は相手の数倍の戦力が必要だと言われているが、2022年にはそうした展開にならなかった。その理由は単純で、ウクライナの東部や南部はソ連時代にロシアから割譲された地域。ロシア文化圏に属し、住民は自分たちをロシア人だと考え、ロシアとウクライナにまたがって親戚がいるという人たちが多い。つまりウクライナ軍は占領軍であり、ロシア軍は「ホーム」で戦っているのだ。 すでにキエフを拠点とし、NATOの支援を受けているクーデター軍は壊滅状態。当初からNATOは兵器だけでなく将兵や情報機関員を派遣、軍事情報を提供していたが、その度合いが高まってきた。代理戦争のステージは終わり、直接戦争のステージに移行しているのだが、それでもロシア軍に圧倒されている。 そこで長距離を飛行できるミサイルやドローンを大量に発射、数機でも迎撃を免れることを期待するという戦法を採用、それを大手メディアに「大勝利」だと宣伝させているのだが、そうしたミサイルやドローンを飛行させるには専門のオペレーター、衛星からの軍事情報、地上からの情報、誘導するシステムなどが必要である。 ウクライナ軍だけでは長距離を飛行するドローンやミサイルを飛行させることは不可能であり、NATOの支援が必要だ。つまり現在のロシア攻撃はイギリス、フランス、ドイツを中心とするNATOが実行していると言えるが、ミサイルやドローンを生産するNATOの能力もロシアに圧倒されている。生産能力の不足を日本で補おうとするのは自然だ。 防衛研究所で中国研究室長を務める増田雅之は日本も将来の戦場における戦闘の大部分を担うであろうドローンの開発に注力しているとしているが、日本がウクライナへ接近する動きを見てロシア大統領府はロシアと日本の関係が「ゼロにまで低下した」と語っている。 すでにウクライナでの戦闘に足を踏み入れているからだが、中国政府も日本の軍事部門に警戒し始めている。アメリカの命令で中国やロシアとの関係を悪化させ、経済を崩壊へと導いている日本の政治家や官僚は兵器ビジネスに活路を見出そうとしているようだ。 日本とウクライナのドローン戦略で中核をなすとされているのは「日本ウクライナドローンクラスター」。これは日本の企業とウクライナの軍事会社による連携で、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加するというが、現在、ウクライナにおける対ロシア戦争で使われているドローンはヨーロッパで生産されている。そうした西側の戦争ビジネスを日本のアカデミーの世界へも浸透させようとしているのだろう。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表されている。またアメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。開発能力や生産能力が衰えてきた欧米が日本に目をつけるのは必然だろう。 高市早苗政権は4月21日に「防衛装備移転三原則」と「運用指針」を改訂、全ての防衛装備品の移転を可能にした。武器輸出の制限を緩和したのだ。 すでにアメリカはウクライナにおけるロシアとの戦争や西アジアにおけるイランとの戦争でミサイルやドローンが枯渇、戦場で圧倒される事態になっている。工業製品の生産能力が不足しているからで、その不足を日本に補わさせようということだろう。今後、日本は侵略戦争を続けているアメリカやイギリスをはじめとする国々に対し、殺傷能力のある兵器を輸出することになる。 日本では防衛装備を担当する部署として2015年10月に防衛装備庁が設置された。その下に防衛イノベーション科学技術研究所(DISTI)という機関が設置されたのは2024年10月のこと。DISTIのモデルはアメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)と国防イノベーション・ユニット(DIU)で、DIUとは協力関係を推進していくようだ。 兵器にしろドローンにしろ、研究、開発、生産の背後にはアメリカが存在している。日本独自に行うということはありえない。2024年3月には陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が編成されたが、これによって自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入ると言われている。 自衛隊の「指揮統制」において、指揮官らの判断を支援するAI(人工知能)としてパランティア・テクノロジーズの「メイブン・スマート・システム」を導入する動きがある。今年3月、アメリカ国防総省はこのAI指揮統制システムを採用すると発表しているので、アメリカの動きと連携している可能性が高い。このAIが自衛隊をアメリカ軍の一部として指揮するのだろう。 メイブンはデータ中心型のプラットフォームだとされ、衛星画像、ドローンからの映像、レーダーのデータ、戦場センサー、情報報告などを統合する。今年2月に実施された日米共同統合演習「キーン・エッジ」でも試験運用された。 アメリカ国防省はロシアと並んで中国との戦争を想定しているが、その際にウクライナ的な役割を期待されているのが日本だろう。その布石として、菅直人政権は日本が経済的に強く結びついていた中国との関係を破壊する政策を開始した。昨年11月7日には衆院予算委員会で「台湾有事」について問われた高市早苗首相は「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言して中国を挑発している。 ところで、アメリカがロシアやイランに負けている最大の理由は新自由主義と呼ばれる通貨カルトの政策にある。その中でも生産の軽視と教育システムの破壊は大きな要因だろう。 新自由主義のアメリカでは公教育が破壊され、生産現場で働く技術者が足りなくなっている。アップルの故スティーブ・ジョブスは2010年の秋、当時アメリカ大統領だったバラク・オバマからアップルの工場をアメリカに建設してほしいと頼まれたのだが、それを拒否した。 ジョブスによると、アップルは中国の工場で70万人の労働者を雇っているが、その工場を機能させるためには3万人のエンジニアが必要。アメリカでそれだけのエンジニアを集めることはできないというのだ。中国なしにアップルは機能しないということでもある。アメリカで工場を作って欲しいならそれだけのエンジニアを育てる教育システムが必要だが、状況は改善されていない。 アメリカのエリート校は私立であり、高額の授業料を要求される。トルーマン・カポーティが書いた『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物は「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」と言っている。(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫) エクセター校とは「一流大学」を狙う子どもが通う有名な進学校で、授業料も高い。そうしたカネを捻出するため、「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないとカポーティは書いているのだ。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重い。 その結果、アメリカでは経済的に豊かな親を持つ愚か者が高学歴になり、優秀でも貧しい子どもは排除される。知性のない富豪の子どもたちが跋扈する「一流大学」をありがたがるの愚かだ。 ハーバード大学教授から上院議員になったエリザベス・ウォーレンによると、教育費の負担が親の肩に重くのしかかり、破産する人が少なくないという。公立の学校へ通わせようとしても、少しでもまともな学校を選ぼうとするなら、家賃の高い地域へ引っ越さなければならないと彼女は指摘していたが、その時より現在はひどい状態だ。日本も同じ道を進み、国の力は衰退している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.02

ロシア軍はイギリスの海軍特殊部隊SBS(特殊舟艇部隊)が駐留するペルヴォマイスキー島に続き、キエフのダルニツキーにある化学会社の生産設備を6月29日に破壊した。 ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊は2022年2月以降にウクライナで回収した機密文書をイゴール・キリロフ中将の指揮下、分析し、アメリカ国防総省の内局であるDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると2022年3月に発表している。 ロシア軍が6月29日に破壊した会社はキリロフの報告書に含まれていることから、ダルニツキーの会社は生物化学兵器の製造に関わっていたとロシア軍は考えているのだろう。ところがキリロフの発表後も攻撃されずにきた。ロシア政府の姿勢に変化があったことを示唆する出来事のひとつである。 2023年4月にはロシア議会が報告書を発表しているが、その中で、アメリカの研究者が人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える「万能生物兵器」を遺伝子組換え技術を利用して開発していたと指摘している。そうした兵器を秘密裏に使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすつもりだという。この特性は「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」と似ているのではないか。 長年医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワはその前にCOVID-19と国防総省の関係を指摘していた。アメリカでは裁判所の命令で医薬品メーカーやFDA(食品医薬品局)が隠蔽しようとした文書が公開されたが、彼女はその文書を分析、「COVID-19ワクチン」についてアメリカ国防総省のプロジェクトだと2022年に発表。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということになる。そうした企業は情報を公開する必要がなく、免責だ。 2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言をしている。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用する許可だ。 1991年12月にソ連が消滅、翌年の2月にジョージ・H・W・ブッシュ政権でも軍事と外交はネオコンが抑えていた。ブッシュ大統領時代の国防長官はディック・チェイニー、そして作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツ。そのため、この指針は「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 ネオコンはアメリカが唯一の超大国になったと認識、国連や他国に配慮することなく、好き勝手に侵略できる時代が来たと考えた。そのドクトリンの最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。 手始めはビル・クリントン政権が1999年3月に実行したユーゴスラビア空爆。2000年にネオコンのシンクタンク、PNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)はこのDPGに基づいて「アメリカ国防の再構築」というタイトルの報告書を発表、ジョージ・W・ブッシュ(H・Wの息子)政権はその報告書に従って政策を進めることになる。(PNAC, “Rebuilding America’s Defenses,” PNAC, September 2000) この報告書を始動させ、アメリカに侵略戦争を開始させたのは2001年9月11日の出来事、いわゆる9/11だ。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃だ。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(NATO作戦連合軍)最高司令官によると、9/11から10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(3月、10月)。そして2003年3月、ブッシュ・ジュニア政権はアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させ、リストに載った国々をアメリカは攻撃していく。そしてアメリカはイランにとりかかったのだが、敗北した。 こうした軍事作戦と並行して「COVID-19ワクチン」プロジェクトが進められた。ウクライナでアメリカの国防総省が生物化学兵器の研究開発をしていたのは必然だ。 西側の大手メディアは「COVID-19ワクチン」の危険性、ましてそれがアメリカの軍事作戦だということを伝えない。同じように、メディアはアメリカが展開してきた侵略戦争、例えばユーゴスラビア、イラク、リビア、シリア、イラン、ウクライナなどについて事実を無視、西側世界を支配している勢力が望む物語を宣伝してきた。 いわゆる「右翼」も「左翼」も大手メディアと同じ。強大な私的権力が支配する寡頭体制の枠組みの中で動き、発言している。民主主義体制を樹立するために私的権力と戦う意思のある人を大手メディアが取り上げることはない。 現在、西側の私的権力の手先として動いているウクライナ、NATO、イスラエルなどは追い詰められている。ウクライナでの戦闘はNATOが前面に出てきたが、そのひとつの結果がNATO諸国の軍人や情報機関員の死傷者増大だ。 ロシア軍はドンバス(ドネツクとルガンスク)方面で戦略的に重要なコスティアンティニフカを制圧したのに続き、ポクロウスクで進撃、ドンバス全域の制圧が視野に入ってきた。北東ウクライナにあり、ロシアとの国境に近いスームィまで数キロメートルまでロシア軍は迫り、ハルキウでも進撃している。ザポリージャやヘルソンでも前進、ウクライナやNATOは大手メディアを使った「大本営発表」で対抗するしかない状況だ。これがパランティアのAIが作成した作戦なのだろうか? すでにアメリカのネオコンがNATOを引き連れてウクライナで始めた対ロシア戦争、「新バルバロッサ」は敗北したと言える。ナチ政権下のドイツが1941年6月22日に300万人以上の兵力で始めたソ連への軍事侵攻作戦、「バルバロッサ」は失敗、ドイツは1945年5月8日にベルリンで降伏文書に署名した。 その直後、イギリスの首相だったウィンストン・チャーチルはソ連を奇襲攻撃するための作戦を立案するようにJPS(合同作戦本部)へ命令し、5月22日に「アンシンカブル」作戦が提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が発動しなかったのは、イギリスの参謀本部が5月31日に計画を拒否したからだという。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 現在、イギリス、ドイツ、フランス(E3)はロシアとの直接的な戦争へ向かっている。「新アンシンカブル」を考えているのかもしれないが、アメリカを巻き込まなければ話にならない。1945年にはイギリス軍がブレーキをかけたが、今回、ヨーロッパ諸国はロシアとの直接戦争に突入し、自滅するかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.07.01
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