《櫻井ジャーナル》

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2012.09.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 日本が東アジアで孤立しつつある。特に深刻なのは中国との関係悪化。その主因は領土問題に火がつけられたことにある。「放火」した人物は前原誠司と石原慎太郎だ。

 現在、日本が抱えている領土問題は「北方領土」、竹島(独島)、尖閣諸島(釣魚台群島)の3つ。それぞれロシア、韓国/朝鮮、中国/台湾と関係している。最近、最も大きな問題になっているのは尖閣諸島である。

 尖閣諸島に関しては、田中角栄政権の時代に「棚上げ」になり、日本が占有する形で推移してきた。その問題に火をつける事件が引き起こされたのは2010年9月のことた。諸島の付近で操業していた中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕したのだ。この海上保安庁は国土交通相の外局で、事件当時の国土交通大臣は前原誠司。事件の直後、外務大臣に就任している。

 漁業協定に従うなら、日本と中国は自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行うことになっていた。このことは事件直後に自民党の 河野太郎議員が指摘 している。

 日中関係を悪化させる原因を国交省が作ったとしても、本来なら外務省がカバーすることになるのだが、国交大臣と外務大臣が同一人物では話にならない。この人事自体、菅直人政権が中国との関係悪化を望んでいたことを示している。

 日本と中国との関係悪化でさまざまな影響が出ている。特に、日本企業の中国における経済活動への影響と東アジアでの軍事的な緊張は大きな問題だろう。経済活動には生産と販売の両面があり、中国との関係が悪化した場合、少なからぬ日本企業が破綻する可能性がある。

 アメリカから見ると、尖閣諸島の問題がこじれると、中国からライバルの日本を排除、日本の対米依存を高めることができる。軍事的な緊張はアメリカの軍や戦争ビジネスにとっては願ってもないことであり、ネオコン(親イスラエル派)の潜在的ライバルを潰すという戦略にも合致する。

 1991年にソ連が消滅、アメリカが「唯一の超大国」になったと言われた頃、ネオコンはソ連に替わるライバルの登場を阻止するための戦略を練り上げた。その第1弾とも言えるものが1992年に作成された「DPG(国防計画指針)」の草稿。



 このDPG草稿をベースに作成された報告書「米国防の再構築」をネオコン系のシンク・タンク、PNACが2000年に出している。そこでは潜在的なライバルとして東アジアが注目されていた。執筆者のトーマス・ドネリーは下院軍事委員会の元スタッフで、2002年には巨大軍需産業、ロッキード・マーチンの重役を務めることになる。

 2001年にジョージ・W・ブッシュが大統領に就任、その周辺をネオコン人脈が固めることになり、「米国防の再構築」が実行に移される環境ができあがった。そしてブッシュ大統領は「中国脅威論」を叫び始める。が、この年の9月には「9/11」を切っ掛けにして中東へ攻め込み、とりあえず東アジアは後回しになった。

 ところで、ONAが創設されたのは1973年。それ以来、現在に至るまでマーシャルが室長を務めている。そのマーシャルは1921年に生まれ、シカゴ大学で経済学を学んでから国防総省系のシンクタンク、ランド・コーポレーションに入った。

 マーシャルがランド入りした1949年、統合参謀本部では70個の原爆をソ連の標的に落とすというロバート・マックルア将軍の計画を承認している。核戦争を想定して特殊部隊のグリーン・ベレーも創設された。

1957年にはソ連に対する核攻撃の準備を始め、63年に戦争熱はピークに達した 。この動きがキューバ侵攻作戦やミサイル危機の原因になっていることは、前に書いたことがあるので、ここでは省略する。こうした計画の前に立ちはだかっていたのがジョン・F・ケネディ大統領。1963年11月に暗殺された政治家だ。

 恐らく、マーシャルはこうした時代のメンタリティーを持ち続けている。言わば、全面核戦争の亡霊的な存在。中国は1980年代の初頭、新自由主義経済を導入したが、軍事面ではマーシャルはの影響を強く受けているとも言われている。

 今では多くの弟子を抱えているマーシャル。この人物の師と見なされているのはイギリス出身のバーナード・ルイスだ。サミュエル・ハンチントンと似た世界観を持ち、シオニスト/イスラエルだけでなく、サウジアラビアや湾岸の産油国も支持、イランなどは敵視している。言わば、大英帝国の戦略。

 そして今年、石原慎太郎都知事が尖閣諸島の問題に火をつけた。一見、威勢が良く見えるが、その実態は安全な場所から悪態をついているだけ。前原と石原、ふたりの政治家を背後から操っているのがアメリカだろう。「カネ儲けより大事なものがある」と主張する人たちもいるが、単に虚勢を張り、アメリカのカネ儲けに協力しているだけだ。

 アメリカ支配層には、戦争まで持っていこうとしている勢力も存在する。戦争に至らなくても、日中関係の悪化で日本が受ける経済的なダメージは計り知れない。

 領土問題に関する事実関係は『日本の国境問題』(孫崎享著、ちくま新書)に詳しい。すでに読んだ方も多いと思うが、それでも一応、推奨しておきたい。どのような立場であるにせよ、事実関係はきちんと把握しておく必要がある。





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最終更新日  2012.09.13 14:11:06


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